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Posted by ブクログ
妻を殺されてから夜眠れなくなってしまった同心・土久呂(どくろ)凶四郎は、南町奉行・根岸肥前守からどうせ眠れないならと夜の市中見廻りを命じられた。
大晦日の夜も下っ引きの源次と共に見回りをしていると、除夜の鐘の音が移動していることに気付いてその音の行方を追う…。
<耳袋秘帖>新シリーズ二作目。
主要人物は凶四郎と源次コンビだが、椀田に宮尾、栗田とその妻も登場してくれて嬉しい。栗田の娘たちも可愛らしく成長しているようだ。
今回は動く除夜の鐘、獅子舞の男が入れ替わった末に殺された事件、一晩で店前に六地蔵が並べられた酒屋、わざとまずくしたそばを出す屋台、魚河岸に時折現れる白い手という五つの謎を追う。
それぞれの謎は小粒だが楽しめた。
ちょっと切ない話、小気味よい話、なかなかの仕掛けがあった話など、それぞれタイプの違う謎が楽しめる。
前回から続く、凶四郎の妻・亜久里が殺された事件の方は大きな進展はなし。ただし、亜久里の実家・波岡家には何かありそうだ。
また前回で起きた吉原同心銃殺事件と前作ラストで起きた銃殺事件についてはどうも不気味な空気が漂う。
今回出てきた『鬼の会』が関わっているようだが、これまでのシリーズ作品にもあったように、形のないものに扇動される人々の怖さがある。
生真面目で純真な同心・鬼藤一鬼が変に感化されていなければ良いのだが。
『鬼の会』の中心にいるのは誰なのか、亜久里が殺された事件とも繋がるのか、ここが新シリーズのテーマとなるのだろうか。
このシリーズは根岸を始め、同心も岡っ引きも下っ引きも脛に傷持つ者や何かを背負っているものが多い。
清潔な人間が正義を振りかざすのではなく、何かを抱えていたり人に胸を張れないところがあるからこそ出来ることがあるというスタンスだ。
『(悪を)根絶やしにしろというやつは、この世のなりたちや、人間の本性がわかっていないのだ』
法や道義に触れることを一掃すれば真っ当で皆が幸せになれる世の中になれるのか。逆にどこまでなら許容出来るのか。そのバランスは難しい。
今作のラストがそのことを示していた。
根岸と凶四郎はその答えを求めているのかも知れない。
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小説・文芸
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