垣根涼介のレビュー一覧
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『君たちに明日はない』第4弾
リストラ請負会社『日本ヒューマンリアクト』面接官・村上真介。
『勝ち逃げの女王』 AJAの勝ち組CA。
ただCAの給料の安さにびっくり。こんなに安かったの…
会社は残って欲しいって、思うんだろうが。
辞めてもいいよ、家族のために。
特に子どものために。
『ノー・エクスキューズ』 破綻した山三証券OBたち。『日本ヒューマンリアクト』社長・高橋がリストラした元山三証券社員。
『もう必要とされなくなった場所にいてはいけないんだよ』と。
確かにそうだ。
ならさっさと新しい道を探すべきだ。
『永遠のディーバ』 楽器メーカー『ハヤマ』管弦打事業部営業課長でくすぶる元バンドマン。
元バンドマンとして、音楽から離れられない…
離れようとしても…
『音楽はテクニックじゃない』
結局は…
ひと握りのひとたちだけがつかめるスターの座。
『リヴ・フォー・トゥデイ』 ファミリーレストランチェーン『べニーズ』店長。
結局は教師になりたかったんだろうか…
母親に対する反発からバイトを始め、教員免許が取れず、そのまま『ベニーズ』へ。
母親は何を思っているのか…
中学受験の成れの果てなのか…
我々の親の世代は、『いい大学』から『いい会社』に入れれば、『いい生活』が送れるって、考えるのが普通だった…
一部上場企業が倒産するなんて、夢にも思わなかっただろうし…
母親の気持ちもわかるな。
みんな自分で考え、自分で選んだ道へ進んでいく。
真介も何か考えているのだろうか…
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Posted by ブクログ
直木賞受賞作家の出世作、ということで読んでみた。文章のテンポがいいので、普段の倍くらいのスピードで読めた。
内容は、主人公がリストラ代行業の中堅社員(33歳)なので、決して明るい環境ではない筈なのだが、何故か明るく前向きになれてしまう不思議なお話だった。
銀行の中の厳しい出世競走は、「半沢直樹」で業界外の人も広く知るところとなったが、都銀で冷遇されているバンカーがM&Aアドバイザリーの世界でシンドイながらも輝きを取り戻すという設定は、今となっては割と普通の話なのかもしれない。
40代独身女子の恋愛事情に対する好意的な書き振りも、現代的で好感が持てた。
次は、「ワイルド・ソウル」を読む予定だ。
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ネタバレ 購入済み
これは歴とした「歴史小説」…。
2023年10月読了。
『光秀の定理』で腰を抜かす程驚いたので、続巻(と云うより姉妹編?)が有ると知り、直ぐに読み始めた。
前作が「歴史小説の皮を被った現代小説」だったのに対して、本作は「歴とした歴史小説」であり、信長が拘った“原理”を中核として、非情なる采配の末に迎える最期まで、一気に駆け抜けた戦国物語だった。
尾張内部の統一から本能寺へ至るまで、彼の行動をかなり「歴史史料を読み込んで」迫力ある一編として書き上げた著者の筆力には敬服する。余り知られていない幼少期〜尾張平定までの過程は、正に“紙上再現”されているかのような気持ちで読めた。又、前作『光秀の定理』と同じく《主人と使用人の関係》《およそ所領と云うものは“主人から貸与”されたものに過ぎない》部分は一貫していて、これはこれで立派な歴史解釈として成り立つと思われる。
ただ前作と比べると、信長像に関して“かなり人間的なブレ”が大きく、到底同一人物とは思えなかった(勿論、それが本作の目的では無いのは承知だが…)。
ある意味で本作の方が「人間らしさ」を感じたが、その分だけ「“原理”に拘る信長」について、後半は説得力が減っており、己自身が“原理”から外れた言動を取っているのに気付かない信長が、かなり“分かり易い信長像”に成ってしまっていたのは、やや残念だった。
当然「本当の信長はこういう人だったんだ」と云う積もりで著者は書いていないのだろうが、今作に関しては“歴史小説として書くのなら“もっと「蟻の原理」に振り回されずに描くべきだったのでは、とも感じた。
こういう言い方が適切かは分からないが、様々な歴史史料や“原理”まで持ち出して描いた結果、司馬遼太郎氏の『国盗り物語』に描かれた信長、光秀像に「(両書の執筆された年数がかけ離れていたにも拘わらず)元に戻ってきてしまったなぁ」と云うのも、率直な思いだ。
更に話は変わるが、当時の仔細や各人の心中はどうあれ、「本能寺の変」という“歴史上の事件”の真相は、大方こんなものだったんじゃないかと云う気がした。
○○陰謀説等が沢山有るが、やはり“単独犯行”として解すのが、無理無く自然なのである。
正直、前作に驚き過ぎてしまった為、真っ当な歴史小説である本書が、かえって色褪せて感じてしまったのは、自分の読み違いであろう。
何にせよ、織田信長の“熱狂”と明智光秀の“憂鬱”のコントラストに酔える佳作だと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ光秀の話、と思ったら、その架空の友達、愚息と新九郎の話だった(!)。
面白かったんだけど、その架空の友達にもやもやする。結構この2人が深く入り込んでて、私はノンフィクション寄りの話が読みたかったのに、フィクション寄りの話になってた。
それは置いておいて、確率の定理は面白かった。4つのうち1つを当てる、最初1つにかけて残り2つを排除したら、単純に考えると確率は1/2になるけれど、本当は掛けてない方の1つには排除した2つの確率も合わさるから3/4になる。面白い。これが兵法にも通じる。そして日常生活にも通じるのかもしれない。常に目の前にあることだけではなく、全体、過去のつながりも計算に入れないと正しく判断できない。物事をその時代の倫理観だけで判断しても意味がない。
光秀は、明智一族復興のため尽力したけれど、それを楽しんではいなかったのではないか。そういった考え方がこの作者の面白いところだなと思った。