寺田寅彦のレビュー一覧

  • 読書と人生

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    ネタバレ

    好きなフレーズをいくつか。

    「人々の頭脳の現在はその人々の過去の履歴の函数(関数)である。それである人があるときにAという本に興味を感じて次にBに引きつけられるということが一見いかに不合理で偶然的に見えても、それにはやはりそうなるはずの理由が内在しているであろう。」
                ーわが中学時代の勉強法

    「A is B, A is not B. この二つの命題は両立しうる。なんとなればそれぞれの終わりに if C is D, if C is E.という文句が抜けているのが普通である。我々はこの事を忘れて果てのない議論に時間を空費している。」
                ー 人の言葉ー

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    2024年10月28日
  • 読書と人生

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    この作家は科学者にして名随筆家でも有名だ。内容は戦前の話なので、昭和風情が満載で味わいのある本だった。

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    2024年07月26日
  • 天災と国防

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    全部で12編からなるエッセイ、小論。地球物理学者としての寺田虎彦が、科学者の視点から、天災に対して人間が常日頃から持っておくべき意識について書かれている。畑村洋太郎が解説でとてもうまく説明してくれている。太平洋戦争の前に書かれたものだが、全く色あせていない。
    ■「構成要素」「マイクロメカニズム」「マクロメカニズム」「全体像」
     「定量化」「時間軸」 の6つが、寺田寅彦が事柄や現象を見るときの視点。
    ■文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向がある
    ■誰の責任かを問うよりも大切なことは今後同様な災難を少なくしていくかが重要
    ■「地震の現象」と「地震による災害」は区別して考えなければならな

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    2024年05月17日
  • 猫は神さまの贈り物〈エッセイ編〉

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    猫にまつわるエッセイを色々なところから集めたもの。谷崎潤一郎や夏目漱石など、大分昔のものが多く、文体が読み辛く苦労したものもあった。

    解説で角田光代さんが書いてらっしゃることと通じるけれど、現代の猫の扱いとはかなり違っていて、なんだか可哀そうだなぁ残酷だなぁと感じること多々……より家畜的扱いという感じ。

    猫は感情や言いたいことを目に見えて主張するし甘えん坊だし、現代に生きている私は家族の一員として以外考えられないけれど、昔はこんな感じの距離感だったんだなと。

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    2024年04月15日
  • 寺田寅彦随筆集

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    物理学者で随筆家。
    夏目漱石の弟子。
    そこを深掘りしますか?
    独特な視点に圧倒される。
    災害についての考察は最近の災害も言い当てているようでヒヤリとする。
    戦前の難しい漢字を都度調べながらじっくり読む。
    最後の章、連句雑俎は修行のよう。

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    2024年04月03日
  • 漱石先生

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    夏目漱石の一番弟子である著者の、夏目漱石に関する文章。
    初めて読んだ時は著者のこともよく知らなかったし、夏目漱石以外のこともたくさん書いてあるなあ…と思って興味を失い、一度挫折したんだけど、それから夏目漱石とその周りの人のことを知り、改めて興味をもって読み始めた。そんな目線で見てみると、この本は夏目漱石、と少しでも出てくる話を収録してるんだ、と気づいた。そして、著者の夏目漱石への愛!夏目先生、みんなから愛されすぎです!

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    2023年12月14日
  • 天災と国防

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    ネタバレ

     本著も「ドストエフスキイの生活(小林秀雄著)」同様、「地震と社会〈下〉(外岡秀俊著)」に言及があったので読んだ。
     ほんと、寺田寅彦の「「地震の現象」と「地震による災害」とは区別して考えなければならない。現象のほうは人間の力でどうにもならなくても「災害」のほうは注意次第でどんなんにでも軽減されうる可能性があるのである。(p 38)」のひと言は、当たり前ながらも、秀逸だ。
     でも、学者が前もって警告しても被災者(一般人)は時が過ぎれば覚えてられないということを「つまり、これが人間界の「現象」なのである。(p137)」と至極ニュートラルな立場で語る。でも寅彦は悲観して終わることなく、「教育」の大

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    2023年11月16日
  • 柿の種

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    科学者らしい慎重さと緻密さをもって描かれた随筆。
    科学と人間の奥底にある精神を結びつけて考えるアプローチは、わたしも大切にしたい。

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    2022年09月21日
  • 読書と人生

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    1950年出版の「読書と人生」を再刊行したエッセイ集。

    物理学者だけあってレーリー卿(なぜ空は青いのかを説明したレーリー散乱で有名)の伝記を書いていたりする。

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    2022年05月18日
  • 万華鏡

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     本書編集付記に記載があるが、元本は、1929年に鉄塔書院から刊行された由。岩波の小林勇が設立した出版社だったと記憶しているが、漱石からの繋がりがあってのことか。

     必ず空いた電車に乗るためにはどうしたら良いか、日常生活におけるちょっとした疑問から科学的考察を進める、寅彦らしい一編「電車の混雑について」と、言語の類似性を比較するために必要な統計式を考察し、現代のビッグデータ解析に先駆けるような「比較言語学における統計的研究法の可能性について」が、特に印象に残った。


     また、本文庫の解説は、寅彦随筆の魅力を鮮やかに解き明かしており、大変参考になった。

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    2022年03月14日
  • 量的と質的と統計的と

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    自然現象の量的な評価に重きが置かれ、その延長線上にあるべき科学的な質的把握が蔑ろにされる傾向を憂いた随筆である。
    いまでは現代物理学の基本になっている量子・統計力学をも視野に入れている点は一読に値するだろう。

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    2022年09月28日
  • 火山の名について

    匿名

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    内容は、冒頭文「日本から南洋へかけての火山の活動の時間分布を調べているうちに、火山の名前の中には互いによく似通ったのが広く分布されていることに気がついた。」につきる。学問に文系も理系もないことを明示するエッセイである。

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    2022年09月28日
  • 読書と人生

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    現代仮名遣い、新字体、ひらがなにするなど、一手間でも新しい本の方が読みやすい。
    エビデンスなど今では当たり前のように言われることも、寺田寅彦が昔に言っていたことがわかる。
    幅広い内容なので、いろいろと引っかかると思う。個人的には前半のジャーナリズム雑感までが印象に残った。月刊誌や週刊誌のない頃に、その必要性を唱えていたことは新鮮だった。
    科学偏重でもなく、また古い内容だが物事の考え方の参考になる。

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    2021年06月11日
  • 科学歳時記

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     寅彦自身が付けた書名ではないのだろうが、「歳時期」とあるように、春夏秋冬、四季折々の雨や風、暑さ寒さ、天候などの自然現象、植物や生き物を巡る観察や思いなどが綴られている。
     科学的な記述がかなり比重を占めるものもあれば、随想的なものもあるが、こういったテーマでこんなに興味深い文章が書けるのかと、寅彦の凄さを改めて感じた。

     有名な作品だが、亡き妻が団栗を拾う様子を思い出し、残された娘がドングリを拾いながら戯れる姿を見て思いを募らせる『団栗』、読む側も歳をとってきたせいもあり、読む度に沁みじみしたものを感じる。

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    2021年04月22日
  • 柿の種

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    “くだらない人間や、あるいはきわめていけない人間の書いたものでも後世を益することはある。たとえそれがどんなうそでも詐りでも、それでもやはり人間のうそや詐りの「組織」を研究するものの研究資料としての標本になりうる。ただしそれが「詐らざるうそ」「腹から出たうそ」でなくいと困るかもしれない。
    とは言うものの、「詐りのうそ」でも結局それがほんとうに活きていた人間の所産である限り、やはりそれはそれとして標本として役立つかもしれない。
    全く役に立たない人間になる、ということほどむつかしいことはないかもしれない。”(p.251)

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    2021年04月18日
  • 寺田寅彦 科学者とあたま

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    ネタバレ

    物理学者、随筆家の寺田寅彦の入門編という位置付けの本。
    自分の中では外山滋比古の本を読んでいるような感覚になりました。あ、褒めてます。

    この本はなぜこの項目が取り上げられたのか背景などは存じませんが、確かに今でも通用する箴言はありましたが、そこまで感動・感銘を受ける箇所はなかったです。

    「科学の中等教科書は往々にしてそれ自身の本来の目的を裏切って、被教育者の中に芽生えつつある科学者の胚芽を殺す場合がありはしないかと思われる。」「科学教育は・・・(中略)・・・法律の条文を暗記させるように教え込むべきではなくて、自然の不思議への憧憬を吹き込む事が第一義ではないか。」
    教科書や授業はつまんないこ

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    2020年12月31日
  • ピタゴラスと豆

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     随筆、エッセイには身辺雑記的なものからかなり思想性に富むものなどいろいろだが、寅彦の科学的発想からの文章は、今読んでも古さをほとんど感じることがない。科学的思考の本質を捉えていたからこそだったのだなあと、改めて思った次第。  

     特に、「震災日記より」は関東大震災の体験記なのだが、地震そのものから火災の様子、朝鮮人が放火をする、井戸に毒を入れるといった風説が流布している状況など、その詳細で冷静な観察には舌を巻いてしまう。

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    2020年12月03日
  • 科学と文学

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     ほとんどが昭和初頭に書かれたものであるのに、明晰で古さを感じさせない寅彦の文章である。
     連句について、音楽の楽章との対比で論じている「連句雑爼」は、その着想はとても面白いと思われるのだが、いかんせん連句の素養が全くないので、残念ながら文字面を追うだけになってしまった。

     「科学と文学」は、共通性もなく一見正反対の関係にあるように見える科学と文学の関係について、様々な角度からその共通性を論じていく、物理学者であり文学者であった寅彦の面目躍如たる文章である。

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    2020年11月17日
  • 漱石先生

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     こういう形で一冊を編んでもらえると、また違った角度から寅彦の文章を味わえる。

     何よりも感じられるのは、師漱石に対する敬愛の念である。漱石だからということもあるのだろうが、当時の濃密でいて、だからと言ってベタついたところのない関係が偲ばれる。  

     特に本書からは、漱石の句作について、いろいろと教えられるところが多かった。 

     また、『根岸庵を訪う記」他子規に関する文章も多く収められているが、その跡家に最近行ったばかりなので、当時とは地形なども変わってしまったのだろうが、しみじみしたものを感じる。

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    2020年07月27日
  • 柿の種

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    「学者であって、しかも同時に人間であることがいかにむつかしいものかということをつくづく考えさせられ」たりする、情緒ある科学者の随筆。蟹を持つ男の息子や島田を結う娘、庭の花壇の栄枯盛衰などなど、日常に思いを寄せている。「なるべく心の忙しくない、ゆっくりとした余裕のある時に、一節ずつ間をおいて読んでもらいたい」という著者の願いがしみじみ伝わってくる。昭和初期(1933年)に書いているというのも、歴史を振り返れば皮肉でもあり、また永遠でもある。

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    2019年09月09日