寺田寅彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ好きなフレーズをいくつか。
「人々の頭脳の現在はその人々の過去の履歴の函数(関数)である。それである人があるときにAという本に興味を感じて次にBに引きつけられるということが一見いかに不合理で偶然的に見えても、それにはやはりそうなるはずの理由が内在しているであろう。」
ーわが中学時代の勉強法
「A is B, A is not B. この二つの命題は両立しうる。なんとなればそれぞれの終わりに if C is D, if C is E.という文句が抜けているのが普通である。我々はこの事を忘れて果てのない議論に時間を空費している。」
ー 人の言葉ー -
Posted by ブクログ
全部で12編からなるエッセイ、小論。地球物理学者としての寺田虎彦が、科学者の視点から、天災に対して人間が常日頃から持っておくべき意識について書かれている。畑村洋太郎が解説でとてもうまく説明してくれている。太平洋戦争の前に書かれたものだが、全く色あせていない。
■「構成要素」「マイクロメカニズム」「マクロメカニズム」「全体像」
「定量化」「時間軸」 の6つが、寺田寅彦が事柄や現象を見るときの視点。
■文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向がある
■誰の責任かを問うよりも大切なことは今後同様な災難を少なくしていくかが重要
■「地震の現象」と「地震による災害」は区別して考えなければならな -
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本著も「ドストエフスキイの生活(小林秀雄著)」同様、「地震と社会〈下〉(外岡秀俊著)」に言及があったので読んだ。
ほんと、寺田寅彦の「「地震の現象」と「地震による災害」とは区別して考えなければならない。現象のほうは人間の力でどうにもならなくても「災害」のほうは注意次第でどんなんにでも軽減されうる可能性があるのである。(p 38)」のひと言は、当たり前ながらも、秀逸だ。
でも、学者が前もって警告しても被災者(一般人)は時が過ぎれば覚えてられないということを「つまり、これが人間界の「現象」なのである。(p137)」と至極ニュートラルな立場で語る。でも寅彦は悲観して終わることなく、「教育」の大 -
Posted by ブクログ
本書編集付記に記載があるが、元本は、1929年に鉄塔書院から刊行された由。岩波の小林勇が設立した出版社だったと記憶しているが、漱石からの繋がりがあってのことか。
必ず空いた電車に乗るためにはどうしたら良いか、日常生活におけるちょっとした疑問から科学的考察を進める、寅彦らしい一編「電車の混雑について」と、言語の類似性を比較するために必要な統計式を考察し、現代のビッグデータ解析に先駆けるような「比較言語学における統計的研究法の可能性について」が、特に印象に残った。
また、本文庫の解説は、寅彦随筆の魅力を鮮やかに解き明かしており、大変参考になった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物理学者、随筆家の寺田寅彦の入門編という位置付けの本。
自分の中では外山滋比古の本を読んでいるような感覚になりました。あ、褒めてます。
この本はなぜこの項目が取り上げられたのか背景などは存じませんが、確かに今でも通用する箴言はありましたが、そこまで感動・感銘を受ける箇所はなかったです。
「科学の中等教科書は往々にしてそれ自身の本来の目的を裏切って、被教育者の中に芽生えつつある科学者の胚芽を殺す場合がありはしないかと思われる。」「科学教育は・・・(中略)・・・法律の条文を暗記させるように教え込むべきではなくて、自然の不思議への憧憬を吹き込む事が第一義ではないか。」
教科書や授業はつまんないこ