寺田寅彦のレビュー一覧

  • 読書と人生

    Posted by ブクログ

    本を読むこと、それがどれだけ自分を豊かにしてくれるか。読み方なんてどうでもいい、読みたくないものは読まなくていい。なんだか背中を押された気もする。

    0
    2024年12月31日
  • 柿の種

    Posted by ブクログ

    大正時代の終わり頃から亡くなる直前の昭和10年までの間に、小冊子の巻頭に載せた短文集。エッセイと言えばエッセイなんだけど、随筆という方がしっくりくる。巻末の解説が寺田寅彦のイメージをうまく説明しており、納得がいく。日常の情景(この人はいろいろなところで昼ご飯を食べるが、そういう時にふと視界に入ったもの)に対していろいろな想像を働かせ、それを一般化したうえで人間社会の矛盾や科学技術の行き過ぎた進歩などに対して素朴な疑問を呈する。そこが科学者でありながら、とても人間臭くて読む人の心を打つのだろう。

    0
    2024年06月11日
  • 柿の種

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    本と対話しながら感想を書いてました。それをそのまま転記します。ネタバレ注意です。

    ・寺田寅彦、夏目漱石の弟子。物理学者。
    ・一発目の「土の善し悪し」で、今と昔も環境に左右されるのは変わらねえんだなと思った。
    ・一節目からこの世の真理というか、当然の事をズバッと示された。共感する。日常と詞歌の間にはガラスがあるのみ。ただし穴が空いている。誰でもやろうと思えば通れる穴。通り抜けているうちに(触れているうちに)穴は大きくなり何時でも行き来できる。これはなんにでも当てはまる。俺だってギター弾かなくなったら下手くそになるし。
    ・p14,スッポンが鳴いた話好き。固定観念に囚われている人々を表現できている

    0
    2024年03月25日
  • 柿の種

    Posted by ブクログ

    物理学者にして文学者、さらには音楽家だったという寺田寅彦のマルチな才能を垣間見ることができた。
    自然現象や、動物の生態、人の行動特性とか、身の回りで生じていることへの観察眼が多角的で冴えている。
    師匠の夏目漱石同様、猫が好きだったみたいで、可愛らしい側面も垣間見える。
    晩年は、日々病に蝕まれるなかで、人間の身体について淡々と描き続けていた様子が分かった。
    当時は、自由に海外旅行へ行ったり、インターネットで情報収集したりできない時代だったが、寺田氏は視野が広くて自由な発想を持ち、時には婉曲的に、ソフトに社会を批判していたのだろう。
    他の随筆集も読んでみたい。

    0
    2023年10月31日
  • 銀座アルプス

    Posted by ブクログ

    ようやく、開くことができたという感じ。

    あの時代を生きた人のエッセイは今の時代すべてを理解することはできないかもしれないけれど。それでも、と思う。

    0
    2023年10月13日
  • 柿の種

    Posted by ブクログ

    物理学者であり俳人の寺田寅彦による、余所行きではない散文集。夏目漱石の門下であったということは知っていましたが、氏の文章に触れることは初めてだと思います。生活の中の何気ない出来ごとが綴られ、それが現在にも通じるところが多々あり興味深い。 印象に残った一文。「眼は、いつでも思ったこ時にすぐ閉じることができるようにできている。しかし、耳のほうは、自分では自分を閉じることができないようにできている。なぜだろう。」(p28)

    0
    2022年11月08日
  • 科学歳時記

    Posted by ブクログ

    時代は違うが、科学者としても有名な著者であるが、科学者らしくない、表現豊かな文章に驚かされることばかり。身近なものに興味をもっていることも刺激的だ。読んでいるうちに今の時代との境目がなくなるのにも楽しくなってきた。

    0
    2022年03月28日
  • 天災と国防

    Posted by ブクログ

    天災にあうと人はなぜ、と理不尽な思いをするが、天災は一定のスパンで一定の確率で必ず起こるものだし、それを防ぐための科学的思考が大事なのだと思う。本書の刊行は2011年なので東日本大震災を機に改めて脚光を浴びたものと思うが、それ自体我々の忘れやすさを表しているようにも思うが、少なくとも科学的思考をもって意識することはできるのだと、そう前向きにとらえたい。

    0
    2022年02月24日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

    Posted by ブクログ

    日本人は太古から繰り返し天災に見舞われ、高等に訓練されながらも忘れてしまう。人間そのものが忘れてしまう生き物だからだ。
    今度こそ忘れてはならない、と思います。

    0
    2021年11月30日
  • 漱石先生

    Posted by ブクログ

    寺田寅彦自身の科学と文学の思想がいかなるものかについて、とりあえず手にとった本書では多くは語られていないが
    当時の特色も踏まえた漱石との師弟関係のあり方や、寺田ー漱石を通じた俳句論の片鱗を垣間見ることができた。

    0
    2021年11月30日
  • 科学歳時記

    Posted by ブクログ

    寺田寅彦という人を、友達に持ちたかった。
    夫だともっと良かった?
    お茶からお酒にかわり夜が更けても、おしゃべりしたい人。

    0
    2021年08月02日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

    Posted by ブクログ

    昭和の始めに指摘されていることをしてこなかったのか、と愕然とした。台風も地震も津波も幾度となく日本を襲ってきたし、これからもあるのだろう。
    東日本大震災から10年が過ぎ、これからの10年のためにも記憶に留めておかなくては、と思う。阪神淡路大震災もあったのに、活かしきれなかったのは私たちの心算ではなかったかと思った。
    昭和の始めという時代のためと思われる、表現が随所にみられ、良し悪しではなく、当時の日本の雰囲気を感じ取れたのが興味深い。

    0
    2021年05月09日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

    Posted by ブクログ

    東日本大震災直後(2011年7月)に編まれた、寺田寅彦随筆選である。編者の意図を超え、コロナ禍の現代に読むと、そのあまりにもいまの我々のために言ってるかのような言葉に溢れていて、びっくりした。

    その幾つかを、以下に羅列する。

    「天災と国防」(昭和9年)
    ・文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその激烈の度を増す
    ・日本のような特殊な天然の敵を四面に控えた国では、陸海軍のほかにもう一つ科学的国防の常備軍を設け、日常の研究と訓練によって非常時に備えるのが当然ではないかと思われる。

    「流言蜚語」(大正13年)
    ・(大地震の最中毒薬を暴徒が井戸に投じたという噂に関して)いわゆる科学的常識とい

    0
    2021年03月11日
  • 柿の種

    Posted by ブクログ

    20201218 科学者の随筆。らしくなさが読んでいて考えさせられた。科学をどう利用するかが大事と言われればわかるが科学を使う大義を誰がどのように判断するのか今そこを考える時期なのだと思う。

    0
    2020年12月19日
  • 柿の種

    Posted by ブクログ

    短文の随筆がまとめられた本。
    数行〜2ページ程の短文たちは、まるでSNSの呟きを読んでいるような心地になる。
    寺田氏の視点から紡がれる日常や自然は独特で新鮮でもあり、それと同時に現代の私から見ても共感する部分があった。
    街をぶらぶら歩きながら、ぼんやりと考え事をしたくなるような本だった。

    0
    2020年12月07日
  • 読書と人生

    Posted by ブクログ

     岩波文庫の随筆集を持っているので、角川ソフィア文庫から寅彦が刊行されたときにどうしようか迷ったのだが、購入して良かったと今は思う。  

     戦後間もない時期に角川書店から寅彦の本が何冊も出版されていたことも、今回の文庫化で初めて知った。

     元版の角川源義氏、文庫版に新たに付された若松英輔氏の懇篤な解説があるので、印象に残ったことを数点。
    「案内者」〜案内者によって見ること、考えることが拘束されてしまう危険。
    「一つの思考実験」、「ジャーナリズム雑感」〜かなり手厳しい見解が表明されている。
    「レーリー卿」〜寡聞にしてこの人を知らなかったが、寅彦の親愛感が現れている。
    「丸善と三越」〜寅彦らし

    0
    2020年11月03日
  • 銀座アルプス

    Posted by ブクログ

    物理学者にして、随筆家であり、俳人。加えて音楽や絵画にも造詣が深く、もうこれは知の巨人としか言いようがない。
    エッセイの楽しみのひとつは、著者の空想や妄想を辿ることにあると思っているのだけれど、本書では空想にもある程度の科学的根拠があるから、凡人から見ると空想になっているようには見えない。ましてや、妄想の欠片などどこにも落ちていない。ならばというわけで、酒に酔わせて酔客の戯言を引き出してみたいとの邪心を覚えたのだが、下戸だというからこれも叶わず。
    どこかに付け入る隙はないものか。

    0
    2020年09月20日
  • 漱石先生

    Posted by ブクログ

    8月13日購入。
    一昨日の会食相手と夏目漱石や寺田寅彦の話などしていたものだから、書店で一際目に付き購入してしまった。
    漱石先生のことを書いているようで、その実、明治大正という時代が垣間見える。
    そうか、随筆はこういう楽しさがあるのだなと改めて思う。

    ちなみに中谷宇吉郎著作の『寺田寅彦』も一緒に購入してしまったのだが、漱石先生の巻末に件の宇吉郎先生も登場しており、いやはや読む前から聯想の坩堝に見事にはまっていたなと苦笑。

    こういう読書も楽しい。

    1
    2020年08月16日
  • 漱石先生

    Posted by ブクログ

    I先生の追憶、II先生に集う人たち、III先生の俳諧の3部構成。

    IIは正岡子規がテーマの作品が多く、I・IIIも漱石が僅かしか登場しない作品も結構ある。小宮豊隆や森田草平と比べると、寅彦が漱石について書き残した量は少なかったということだろう。もっとも、IIでも例えば『仰臥漫録』を漱石の「修善寺日記」と対比しつつ論じたものなど、鮮やかな作品が収録されている。

    「『朝 ヌク飯三ワン 佃煮 梅干 牛乳一合ココア入 菓子パン 塩センベイ……』こういう記事が毎日毎日繰返される。それが少しも無駄にもうるさくも感ぜられない。読んでいる自分はその度ごとに一つ一つの新しき朝を体験し、ヌク飯のヌク味とその香

    0
    2020年07月23日
  • 写生紀行

    購入済み

    写生紀行

    独特な寂しさと素っ気なさがハマる作品。これを読んで自分もどこか違う場所へ行って、気ままに過ごしたり絵を描いたりしたいな思えた。

    0
    2020年06月19日