寺田寅彦のレビュー一覧

  • 読書と人生

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     岩波文庫の随筆集を持っているので、角川ソフィア文庫から寅彦が刊行されたときにどうしようか迷ったのだが、購入して良かったと今は思う。  

     戦後間もない時期に角川書店から寅彦の本が何冊も出版されていたことも、今回の文庫化で初めて知った。

     元版の角川源義氏、文庫版に新たに付された若松英輔氏の懇篤な解説があるので、印象に残ったことを数点。
    「案内者」〜案内者によって見ること、考えることが拘束されてしまう危険。
    「一つの思考実験」、「ジャーナリズム雑感」〜かなり手厳しい見解が表明されている。
    「レーリー卿」〜寡聞にしてこの人を知らなかったが、寅彦の親愛感が現れている。
    「丸善と三越」〜寅彦らしい随想。

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    2020年11月03日
  • 銀座アルプス

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    物理学者にして、随筆家であり、俳人。加えて音楽や絵画にも造詣が深く、もうこれは知の巨人としか言いようがない。
    エッセイの楽しみのひとつは、著者の空想や妄想を辿ることにあると思っているのだけれど、本書では空想にもある程度の科学的根拠があるから、凡人から見ると空想になっているようには見えない。ましてや、妄想の欠片などどこにも落ちていない。ならばというわけで、酒に酔わせて酔客の戯言を引き出してみたいとの邪心を覚えたのだが、下戸だというからこれも叶わず。
    どこかに付け入る隙はないものか。

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    2020年09月20日
  • 漱石先生

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    8月13日購入。
    一昨日の会食相手と夏目漱石や寺田寅彦の話などしていたものだから、書店で一際目に付き購入してしまった。
    漱石先生のことを書いているようで、その実、明治大正という時代が垣間見える。
    そうか、随筆はこういう楽しさがあるのだなと改めて思う。

    ちなみに中谷宇吉郎著作の『寺田寅彦』も一緒に購入してしまったのだが、漱石先生の巻末に件の宇吉郎先生も登場しており、いやはや読む前から聯想の坩堝に見事にはまっていたなと苦笑。

    こういう読書も楽しい。

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    2020年08月16日
  • 漱石先生

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    I先生の追憶、II先生に集う人たち、III先生の俳諧の3部構成。

    IIは正岡子規がテーマの作品が多く、I・IIIも漱石が僅かしか登場しない作品も結構ある。小宮豊隆や森田草平と比べると、寅彦が漱石について書き残した量は少なかったということだろう。もっとも、IIでも例えば『仰臥漫録』を漱石の「修善寺日記」と対比しつつ論じたものなど、鮮やかな作品が収録されている。

    「『朝 ヌク飯三ワン 佃煮 梅干 牛乳一合ココア入 菓子パン 塩センベイ……』こういう記事が毎日毎日繰返される。それが少しも無駄にもうるさくも感ぜられない。読んでいる自分はその度ごとに一つ一つの新しき朝を体験し、ヌク飯のヌク味とその香を実感する。そして著者と共に貴重な残り少ない生の一日一日を迎えるのである。牛乳一合がココア入りであるか紅茶入りであるかが重大な問題である。それは政友会が内閣をとるか憲政会が内閣をとるかよりは遥かに重大な問題である。」(「仰臥漫録」1927年)

    なお、中谷宇吉郎のエッセイ2本が解説代わりに付いている。うち1本は、『猫』の「首縊りの力学」と元ネタの英語論文とを比べるもので、なかなか面白かった。

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    2020年07月23日
  • 写生紀行

    購入済み

    写生紀行

    独特な寂しさと素っ気なさがハマる作品。これを読んで自分もどこか違う場所へ行って、気ままに過ごしたり絵を描いたりしたいな思えた。

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    2020年06月19日
  • 柿の種

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    "日々の日常をつづったエッセイ。寺田寅彦さんの偉業は何も知らないが、感性を大切に日々を過ごしていたことがわかる。
    自然の畏怖を感じることのできる心がある科学者であったことがよくわかる一冊。"

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    2018年11月25日
  • 天災と国防

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    いかにも科学者的で冷静な文調で、妙にいきりたっていないところに好感。寺田寅彦だったら、今の原発事故について、どう分析するのだろう。畑村洋太郎さんの解説文も読みごたえアリ。へたな原発本より読後にすっきりできた。

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    2018年10月09日
  • 柿の種

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    こうやって毎日の中で書き溜めたものを、まとめて本にできるなんて、いいなぁ
    これ読んだ限りでは、人間を50タイプに分けたとしても、わたしは寺田さんと同じ部類に入る気がする、似てると思う

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    2018年03月19日
  • アインシュタイン

    購入済み

    青空文庫です。

    楽しんで読めます。好きならば。

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    2017年10月05日
  • 寺田寅彦 科学者とあたま

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    この人の興味の幅には感心する。
    様々な分野の人間から偉大な人物として慕われていることに納得できる。
    文章にも嫌みが無く、少し古めかしい部分を差し引けば、とても読みやすい。ちょこちょこと顔を出すユーモアもいい。
    書物から他の商品へ繋がる「読書の今昔」、涼しさから自由へ広がる「涼味数題」・・・、いつも身近な事柄から事象の起因へと広がっていく。
    〈思考する〉とはこういうことなのだなあ。

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    2017年02月01日
  • 寺田寅彦 科学者とあたま

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    すごい。先見の明。
    後半になるにつれて好み。「自画像」などは 人工知能や種々のセンシング技術にもつながる未だ新鮮な未来の話だ。

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    2016年10月25日
  • 寺田寅彦 科学者とあたま

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    冒頭の線香花火に科学者故の文章力を感じる。中谷宇吉郎の文章に、寺田寅彦との線香花火の実験についての記載が出てくることが興味深い。また、岡潔が団栗を絶賛していた。

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    2016年05月10日
  • 柿の種

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    朝が寒いからって布団の中で着替える。なんて、お茶目!

    平凡な日常からこんなにお洒落な文が書けるなんて。こんな風に日記を書けたらどんなに幸せか!

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    2014年02月03日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    深刻さはないが、戦争だけでなく、災害にも備えよ、との繰り返しの呼びかけは正鵠を得ている。「愛国心も大和魂も進化すべき」なんてにくい表現である。

    科学的思考で、流言飛語を却下するエッセイも素晴らしい。自分で考え、判断できるようになることが大切だ。

    文明が進むと被害が大きくなることや事故の責任の取り方、地を相する術についての指摘も鋭い。

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    2013年06月14日
  • 天災と国防

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    東日本大震災から2年を過ぎ、あのときのこわい思いを少しずつ忘れている。こわい思いを忘れることは、前を向いて歩いていくためにはよいことでもあるけれど、やはり忘れてはいけないこともある。
    この本は大正~昭和に書かれたものであるのに、今なお、私たちに教訓を伝えてくれる。地震や津波だけではなく、火事についても示唆に富んでいる。マスコミのあり方も、当時も今も全く変わっていないようである。もともとは物理科学者だけあって、とても冷静で分析的な文章で、説得力に富む。個人的には、関東大震災について、当日から数日間の様子が書かれた「震災日記」が大変参考になった。やはり経験しなければ書くことができない内容だと思う。
    一方で、解説については、もっと解説に徹するべきだと思った・・・解説を担当した畑村洋太郎氏の自説の量が多く、これでは解説にならないのでは?と思ってしまった。もちろん、畑村氏の自説は大変参考になるのだが、それならば畑村氏の本として読みたいわけで、あくまでも解説を担当しているわけだから、もっと解説に徹するべきなのではと感じてしまった。

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    2013年10月10日
  • 天災と国防

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    寺田寅彦の災害に関する随筆集。文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈な度を増すこと、平生からそれに対する防御策を講じなければならないことを再認識できた。

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    2012年07月01日
  • 天災と国防

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    事象に対する向き合い方が、寺田さんは徹頭徹尾『科学者』だね。人間の性質による社会現象さえも、自然現象だといいきっちゃって、スパスパと気持ちいい随筆でした。

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    2011年10月27日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    地震の研究もしていたし、文筆家としても名高い寺田寅彦の随筆から、地震をはじめとした天災に関したものを編纂した一冊。もちろん3・11を受けてのものだ。関東大震災時の日記から昭和10年くらいまでの折々の天災(主に地震と台風)に関して書かれたものが収録されている。少なくとも70年くらい前に書かれたものだが、昔から人が住んできた地区は大丈夫なのに新造成地ばかりが地震の被害に遭っているとか、地震のない西欧の建築をそのまま真似しているとか、天災のパニックからか尋常に考えればありえないデマ・風評を信じる人がいるとか、いま読んでも十分に納得できる。ただし、ということは、私たちはまた同じ轍を踏んだということでもあろう。
    一方で、日本人は日本人なりに、天災とそれなりにうまくつき合ってきたとも述べている。あえて簡素で壊れやすいつくりの家屋文化や、天災に対するあきらめのよさなど。自然を征服するものでなく、謙虚につき合っていくことの大切さも説いている。
    70年前から本書に述べられているような考えがあったというのに、3・11で同じ轍を踏んだというのは、一方では学習能力のなさ、備える意識の欠如であるとともに、もう一方では、このような被害は茶飯事と考える日本人なりの連綿と続いてきた天災との仲と考えてもいいのかもしれない。

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    2011年10月09日
  • 天災と国防

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    天災を『国防』という言葉で表現しているという、筆者の視点が面白い。かつて天災⇛国防、という捉え方ができるということを始めて知った。考えてみれば”定期的に”地震、台風、津波がやってくる日本。であれば、外的に備えて海岸線を防御するのと同様、天災に対しても自衛の手を持つべきなのかなと思う。このように認識を変えることで、自衛隊の存在も天災に対する国防と広く捉えられたりして。また、「天災は”愚直に”定期的にやってくる」と書いてあったが、この”愚直に”という表現がいい。人間は忘れる生き物。脆弱な人間の記憶と、天災をすごく対照的に比較している形容詞だ。

    元々物理学者のはずなのに、エッセイが面白いのは意外。ところどころ物理学者的思考が見えるけど、非常にわかりやすい。天災は忘れた頃にやってくる、とはよく言われることだけど、本でも読んで面白かった、とかためになった、とかいう感情とその記憶をもっておくことで、リスクマネジメントの役割を果たしてくれればいいなと思う。

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    2011年09月14日
  • ちくま日本文学全集寺田寅彦

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    寺田寅彦といえば、「帝都物語」で、震災後の街を地下に建設しようとしたかわったおっさんという印象しかありません(笑)
    その話も、ちゃんとあって大満足。

    いろんなことに、

    「おもしろい!おもしろい!」

    と顔を突っ込んでいく物理学者のお話です。

    今につながっていく発想もあるし、今でも新しい発想もあると思います。

    解説は、ちょっと辛口ですが、わたしはもうちょっと甘い点数でよいと思います。

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    2009年12月22日