寺田寅彦のレビュー一覧

  • 漱石先生

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    漱石の門下生と言われる人々の中でも、早くから漱石に師事した寺田寅彦。物理学者にして文学・俳諧を理解する寺田氏は余程漱石先生が好きだったんだな~。漱石が亡くなった直後の記者の聞き書きによる記事から始まる本書。根岸庵(正岡子規)訪問記、津田清楓へのエール、そして俳諧を機縁とした漱石の俳句を松根東洋城、小宮豊隆と論ずる座談と、読み応え満載。解説に相当する「寺田寅彦先生」「冬彦夜話」は、奇しくも寺田寅彦没後に書かれているのも感慨深い。

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    2024年12月15日
  • 柿の種

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    随筆だと思っていたのだが、読んでみるとそれよりも短い掌編が多く、箴言集のような趣もあるし、軽いスケッチのような感じもする。なんとも言えないユーモアが楽しめる。

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    2024年11月13日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    災害の多い日本だからこその随筆集。大勝から昭和初期に書かれたものだが、災害の様子も寺田寅彦の語る内容も、これって現在のことか?と思えるものばかり。

    『天災と国防』昭和9年(1934年)11月
    災害の無い時に準備をしなければいけないのに、それをせずに「非常時」と騒いでしまうことについて。
    日本は、地理の問題として世界の国々との関係が特殊になり、多くの仮想敵国を想定して防衛の準備をしなければいけない、それと同時に、気象学的地球物理学的にも極めて特殊な場所であるので、常に特殊な天変地異に晒されていることを忘れてはならない。
    日本は、陸海空の軍備の他に、科学的国防の常備軍が必要なのではないか?転々の

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    2023年04月11日
  • 柿の種

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    寺田寅彦が俳句雑誌「渋柿」に載せた短文を集めた「柿の種」「橡の実」からの176篇をまとめたもの。随筆の名手の、さらに短い文章が、寺田寅彦の心境、想いを、より深く伝えているようで、興味深く読みました。

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    2022年09月04日
  • ある日の経験

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    寺田寅彦らしさ。

    寺田寅彦さんの本は難しいです。
    数式や確率の話だとか、頭を使う文章が多いように感じます。けれどこの文章はとてもわかりやすいです。自分が物事に対してどう思っていて、どうすればよかったのかを淡々と書いていて、共感できる部分もあればクスッと笑える部分もある。
    寺田寅彦さんの人となりがわかる、良い文章です。

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    2022年06月13日
  • 銀座アルプス

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    明治〜昭和初期にかけての日常のあれやこれやを著名な物理学者おじさん(おじいさんか)が好き勝手に考察して書く随筆。
    当時の男性の書く文章で、やや難解だったけれど非常に面白かった。当時の世の中のこともわかり、とにかく大変に興味深い。
    飼い猫のこと、絵画のこと、地震、火災、庭の植物、映画、音楽、ラジオ、研究、そして東京という町…。おじさんの興味は多岐に渡り、それらについて、驚くほど現代にも通じる感性で語られている言葉たち。
    人間の営みの変化する様と同時にその普遍性を強く感じた。

    そして、この人は現代に生きていたら間違いなくスタバで論文を読んでるおじさんになっていただろうな、などと勝手に想像して笑っ

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    2022年02月20日
  • 科学と文学

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    科学読み物の古典として参考になった。今でも通ずる内容だと思う。科学が文学と握手をすべき領域は随筆文学、エッセー文学、科学小説、とあるが、医療小説やミステリーなどが沢山ある現状を鑑みると、その通りかもしれない。

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    2021年08月08日
  • 柿の種

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    物理学者とは思えない情緒豊かな作者の100年前の日常。随筆というのか散文というのか、短い文章の中に当時の思索や出来ごとが簡潔に描かれていて、そこに去来する感情に共感するところが多く、とても身近に感じた。
    大正から昭和の始めにかけての「今」がここにある。

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    2021年05月27日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    明治に生まれ、大正関東大震災を経験し、昭和初期まで活躍した物理学者で、漱石の門人であることで有名な著者。関東大震災が発生した際、建物の構造を冷静に分析して余裕を見せる姿や、外国人が井戸に毒物を入れる、爆弾を炸裂させるというデマに対し、科学知識があれば惑わされないのに……という知見は流石であった。火山活動を含む地震や、台風を筆頭にする風水害と日本人というテーマでの各随筆を、非常に興味深く読ませてもらった。和辻哲郎の『風土』も読んでみたい。

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    2021年04月09日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    寺田寅彦の自然災害に関する随筆を集めたもの。寺田の随筆が読み応えがあるのはもちろんとして、わたし、山折哲雄さんの著作にも親しんでいて、随筆の選択、はじめに、と解説も、読み応えがありました。
    読み継がれていくべき一冊です。

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    2021年04月05日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    ネタバレ

    震災の時からずっと読みたかったのですが、本屋で見つけられず、最近やっと購入できました。
    昭和の災害について書かれた文章なのにそのまま今も通用する。全く進歩していないのかな日本人。

    (読中)面白いです。そして文章がとても読みやすい。戦前の文章なので少し敷居が高かったのですが、すっと頭に入ります。

    (読後)何回も読み返すべき本だと思った。
    日本人の自然観は日本人の宗教観など精神部分にも触れとても興味深かった。寺田寅彦の時代からこちら、日本でも自然破壊が進み、里山は崩壊し、人の住むところはコンクリートとアスファルトにおおわれて久しいが、日本人の芯の部分はまだ変わっていないと、いいなと思う。

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    2021年03月21日
  • 電車の混雑について

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    エッセイ

    日常生活を数学的に考えたエッセイですね。
    大正時代に書かれたものですが、満員電車に対する考え方には共感するしかない。

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    2021年01月27日
  • 寺田寅彦 科学者とあたま

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    青空文庫にほとんどあるのだけど、それとは別に立派な本になっていると嬉しく思う。
    【収録作品】
    ・線香花火
    ・科学者とあたま
    ・宇宙線
    ・「手首」の問題
    ・化物の進化

    ・烏瓜の花と蛾
    ・津浪と人間
    ・読書の今昔

    ・団栗
    ・物売りの声
    ・涼味数題
    ・浅草紙

    ・自画像
    ・蓄音機

    「烏瓜~」の蛾を怖がる花嫁って夏子さんのことなんだろうな。

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    2020年11月04日
  • 雨の上高地

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    上高地

    23日、安曇野に泊まり24日車で移動バスに乗り換え上高地へ行く

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    2020年07月28日
  • 天災と国防

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    天災と日本人

    面白かった

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    2020年05月12日
  • 寺田寅彦 科学者とあたま

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    私が私淑している寺田寅彦の本。
    この人の頭の中を一度覗いてみたい。この人が見てる景色を見てみたい。きっと全く違う世界が広がっているのだろうと思う。知識の量によって入ってくる情報の量が変わると聞くので、普通の人が何気なく見過ごしている日常の中でも寺田寅彦ほど博学な人は些細な物事から多くの発見をし、いろんな考えや思いが巡るのだろう。

    特に「浅草紙」は私の大好きな話。1枚のありふれた浅草紙からエマーソンのシェークスピア論やラスキンの剽窃問題論が思い起こされ、人も紙も作りが同じであることに彼は気がつく。
    「価値のある独創は他人に似ないという事ではない。」「最大の天才は最も負債の多い人である。」「どん

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    2019年07月09日
  • 寺田寅彦 科学者とあたま

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    寺田寅彦さんについて多くを知らない。

    それでも、昭和感漂うノスタルジアを、深い知識をもとにして自由に展開する文章を、存分に味わえるエッセイ(雑著としたほうがあっているかも)です。

    「団栗」なんて、短編小説を読んでいるようでした。


    STANDARD BOOKS シリーズ、コンセプトからして素敵すぎる…集めたくなりますねー

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    2017年01月03日
  • 寺田寅彦 科学者とあたま

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    「科学の歴史はある意味では錯覚と失策の歴史である。偉大なる迂愚者うぐしゃの頭の悪い能率の悪い仕事の歴史である。
     頭のいい人は批評家に適するが行為の人にはなりにくい。すべての行為には危険が伴なうからである。けがを恐れる人は大工にはなれない。失敗をこわがる人は科学者にはなれない。」

    「科学者とあたま」を読んでふと道垣内先生の法律家の在り方を述べた話を思い出しました。「歴史上、世の中を変えた法律家はいないので、たかが法学と突き放すぐらいで良いと思います。世の中を変えているのは、哲学・政治・経済・科学技術ですね。せいぜい、そのような哲学者たちを邪魔しない法律家になってほしいです。法律というのは、ど

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    2016年09月28日
  • 柿の種

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     とても些細な日常を、人間として、また科学者としての視点で切り取ると、こうも面白かったり感慨深かったりするのだなぁと気づかされた。それと同時に、自分はたくさんのことを見落としながら生きているだろうということが勿体無く感じる。また、解説でおっしゃっている、科学は些細な日常から始まる、というお話にもなるほどと思わせられた。そして関東大震災の後の随筆は、東日本大震災後の現代日本でリアルタイムに書かれたと錯覚しそうなくらい、現代にも通じているような気がする。

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    2015年12月08日
  • 天災と日本人 寺田寅彦随筆選

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    ネタバレ

    寺田寅彦は、日本文化や日本事情の授業を担当した私にとっては、よく見ていた名前だったので、良書だと思っていました。で、実際に読んでみてそうでした^^
    「天災は忘れたころにやってくる」という警告を発したということでも有名な寺田寅彦。この随筆集に収録されているのは、昭和25年ぐらいまでのもので、「天災と国防」という短編は昭和9年(1934年)、日本が中国大陸に侵略し始めていたころの時代に、書かれた随筆です。
    この「天災と国防」は、随筆集の冒頭に収録されていますが、文明と災害というテーマで、「陸海軍の防備が十分であっても肝心な戦争の最中に安政程度の大地震や今回の颱風あるいはそれ以上の者が軍事に関する首

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    2015年03月07日