紅玉いづきのレビュー一覧
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『ミミズクと夜の王』の続編。
激しい姫君に圧倒され、成長した王子に感嘆し、懐かしい顔ぶれに安堵し、二人の不器用で歪で優しい恋のおとぎ話にやっぱり涙した。
前作も強烈な光を放っていたけれど、今作も別な光を放っていた。
おかげで目がシパシパです。
涙腺の底が見えそうだよ。
「面白かった」や「感動した」という言葉より「本当に良かった」「ありがとう」を。
続編の出版にも物語の結末にも、本当に「ありがとう」を伝えたい。
紅玉さんの書く物語が大好きです。
それはそれとして、著者近影の写真を見て「ぶほっ」と吹き出してしまったんですがこれはどうしたもんか(笑) -
Posted by ブクログ
原作『小説の神様』の世界を8人の作家が描く、豪華なアンソロジー。作家、編集者、読者など、様々な視点から紡がれる「小説の神様」の物語は、どれも個性的で一気に引き込まれた。
特に心に響いたのは、相沢沙呼さんの『神様の探索』だ。帆舞こまにの誕生秘話、シリーズでは語られなかった余白の部分をスピンオフならではの面白さがある。
一也と詩凪を見守る編集者・河埜が、若い才能の居場所を守るために戦う姿が最高に格好いい。神崎部長を熱い思いで説き伏せる場面や、「帆舞こまに」の傑作が誕生した瞬間の喜びは、読んでいるこちらまで胸が熱くなった。
一方、紅玉いづきさんの作品は、まるで私小説のような『小説の神様』誕生秘話として楽しめた。「神様って何?」「自分で考えなよ、小説家でしょ」という作家二人の淡々としたやり取りが面白い。特に「売れなければ心細いし、売れたら売れたで嫉妬に狂う」という言葉には、作家同士の本音が詰まっている。良き友であり、同時に負けたくないライバルでもある——そんな二人の関係性がとてもリアルで、深く心に残った。
一冊を通して、物語の裏側にある作り手たちの情熱を存分に味わえる、贅沢な作品集だった。
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落ちこぼれのトトが、ホーイチと出会い、ママとなり、成長していく物語。『ミミズクと夜の王』や『毒吐姫と星の石』との違いは、圧倒的な「共依存」にあると思う。
トトとホーイチには互いに「愛」がある。「共依存」から生まれた「愛」だ。最初は「共依存」が強く表れていたように感じたが、読み進めるうちに「愛」が強く表れていったように感じる。「共依存」が小さくなるわけではないのだが、おそらくは、「共依存」以外から生まれた「愛」も増えていくことで、「愛」の物語となっていくのだろう。
紅玉いづきさんの描く「愛」はどの作品でも一貫して純粋で、歪なほどに純粋で、まっすぐで、だから心を打たれるんだろうなと思う。
『ミミズクと夜の王』や『毒吐姫と星の石』の方が、個人的には好き。もちろん『MAMA』も好きだけれど、完成度の違いかな(あとがきも読んで)。
だけど、ミミズクとフクロウ、エルザとクローディアスのような唯一無二の関係がトトとホーイチにもあって、好き。物語の、キャラの核は、どれも共通したものがある。紅玉いづきさんにしか書けないものがある。
あとがきが素敵。素直な言葉で書かれている。
雪蟷螂も読みたい。 -
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ネタバレ落ちこぼれだった幼少のトトにとって、ホーイチのママになるということは、はじめて誰かに存在を切望されることだったんだろう。少なくともトトは、自分を選んでくれたホーイチを、唯一自分に価値を見出してくれた存在ととらえたと思う。
でも考えてみれば、トトが果たそうとした『ママ』は、きっと自分の母親をもとにしたイメージだ。ホーイチとの契約をきっかけにこじれてしまった親子仲だけれど、それまでトトは両親からしっかりと愛情を与えられていた。幼さと、自己肯定感の低さゆえに、無自覚であっただけで……。
母親になるには、トトはあまりに幼すぎた。
どこで関係を間違えたか、というような文章があったけれど、たぶん最初から正しくはなかった。
だからといって、互いを唯一の家族と決めて真摯に向き合いつづけた二人の絆は、たしかに存在している。「愛することを、決めていた」いまのトトなら、今度こそ本当に彼のママになれるだろう。(なったんだけど) -
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このシリーズ面白いですね。
今回は、悪口雑言ばかり吐く女の子「エルザ」が主人公。貧民街で口悪く喚き散らす彼女は「毒吐姫」と呼ばれますが、実は彼女は王女様で、ある日急に城に戻され、隣国に嫁がされることになります。急展開。
このエルザ、先の主人公「ミミズク」に比べて、乱暴なイメージですが、彼女と同様に苦労してます。このシリーズは、自分ではどうしようもない力で運命を狂わされた女の子が、また思いがけない出合いにより自分を取り戻す物語だと思います。その過程で描かれる彼女たちの葛藤が、実に生々しくちょっと変わったファンタジーに感じますね。そこがいいです。
嫁ぎ先の国で出会う人たちがいい人ばかりなんですよね。そこは前作の舞台で、エルザのお相手が前作は弱々しかった王子様。今回、素晴らしい人格に育ってます。
聖騎士、聖剣の巫女など、前回の登場人物がエルザを導きます。そして、ミミズクも出てきます。こういう展開は、くすぐられますね。それだけで楽しいものです。
話のテンポが良くスラスラ気持ちよく読めました。
エルザが国で自分の運命と共に与えられる石の色と、王子様の目の色が同じなんていうロマンチックなところも嫌いじゃないんですよ。色んな本を読んで自分も変わったなあ、って変な感慨を得ます。
ひとつ引っかかったのが、王子の人格が素晴らしすぎたこと。もう少し姫と反発しながらも共に成長する姿も見たかったかな。 -
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ネタバレおよそ20年前、電撃文庫で刊行された作者のデビュー作ミミズクと夜の王を読んだのだけどあらかた忘れていて、今回完全版ということで読みなおしてみたところ、えっとこんなお話だったけ?となった。
ミミズクと夜の王と聖剣の騎士が登場することは覚えていたけれど王子のエピソードは全く記憶になかった。
それだけに自分の中では新たなお話を読んだような新鮮な感情が湧いた。
これは言わば、人らしい感情を持たない、どこにも居場所がなかった少女が、不器用な優しさと許された居場所を得て、愛を知る物語だ。
ミミズクと夜の王のフクロウという名前がやがて2人が辿る関係を示唆していて心憎い。
昔読んだ時は何かが足らない気がしたのだけど今読むとこれで本当に十分だなという気がする。
そして追加された聖剣の騎士と剣の巫女の前日譚(➕後日談)がまた一人の少女を救う物語であるのが良い。 -
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ネタバレとてもいいお話でした。
魔物に食べられたいため、魔物の森を彷徨う女の子「ミミズク」が、その森の魔物の王「夜の王」と会うところから始まる物語。
どこか様子のおかしいミミズクは、夜の王に「自分を食べて」とお願いしますが、夜の王は「人間など食えるか」とにべもなくどこかに去ってしまいます。残された女の子の元に、やってきた別の魔物「クロ」。どうなるかと思いきや、「お前は許された」として、相手をして面倒をみてくれます。
なんとも不思議な始まり方です。壮絶な暮らしを強いられた結果、ただ食べられることを望むようになってしまったミミズク。どうしても食べてもらうため、しつこく夜の王にお願いします。その度にあしらわれますが、面倒を見てくれるクロの導きに従い、夜の王に近づこうと頑張る姿が痛々しくてたまらないですが、儚いながらも希望が見えてきます。
そんな中で一方、近くの王国の王様や聖騎士が出てきて、彼らが魔王と呼ぶ「夜の王」討伐の目論見が出てきて、何やらきな臭くなってきます。
この討伐はどうなるのか。ミミズクは、夜の王、クロはどうなるのか。そっとしといてよ、と思ってしまうけど、そこは物語が進展しますよね…。
さて、この物語、ここからがとてもよかった。人の怖さ、優しさ、強さ、儚さが凝縮されて、話が美しくどんどん進みます。
そして、再生と成長が描かれる最後は、自分を満足させてくれるハッピーエンド!
ファンタジーものですが、細かい設定がなく、なんというか逆にすんなり入り込めるなあ、と思っていたら、解説で有坂浩先生が、「細かな設定のない、これはお伽話」とおっしゃっていて、ほんとだお伽話だ!と感心しました。さすが作家さん。 -
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「ミミズクと夜の王」を読んでから、その描く世界がちょっと気になるこの作者さん。
家出して行き場もなく夜の街をさまよっていた少女チルが、ある夜、路地裏に突如降ってきた黄金の髪を持つ美しい男と出会い、異世界に取り込まれる。
破れたマントを胸に抱えて迷い込んだ先は、かつて豊かな織物の国と呼ばれながら今は先王が没後の混乱を極める国リスターン…という出だし。
聖獣が王を選ぶとされるその国で、なぜ彼女が選ばれたのか、こちらもチルとともに戸惑いながら読み進むが、一度は人生のすべてを諦めたのチルの、降りかかってきた運命の下で改めて突き付けられる“生きること”の意味に揺れる心情が痛ましい。
一方、動乱を収めるためにチルを王として担ぎたいながら彼女の心情も理解し元の世界へ戻してあげたいと願う、マニージェやビージャンなど周囲の心根がなかなか清々しい。
終章、チルがどちらの道を選ぶのかと思っていたが、ああ、そっちだったのか。少し意表を突かれたが、ありきたりではない良い選択だった。
少し前の頁に戻れば、『どのような願い、どのような他者からの望みがあったとしても。自分の人生を生きるべきだと』と教えてくれた人たちがいたのだと気がついた。
チルに祝意を送った国の中に“聖なる剣の国”も出てきてちょっと嬉しく、『いつかそんな、剣に選ばれた騎士と話してみたい』と思ったチルだったが、そんな話が読めるともっと嬉しい。
物語の底には、生きることの尊さや意志を持つことの大切さや民意を反映して国のトップを選ぶことの重要さなども寓意として描かれているように思えたのは、今の世界を見ているからかね。 -
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ネタバレビブリア古書堂の事件手帖が含まれていたので。
「神×本」をテーマにしたアンソロジー。
ビブリア古書堂は安定の面白さだったが、
神様の御用人が含まれていたのは嬉しかった。
下町の和菓子屋さんの話は刺さっても良かったと思うが、
ちょっとちがった。
個人的には聖書をテーマにしていた「ハレルヤ出版編集部」が面白かった。
アダムとイヴの息子、カインとアベルの捧げもののうち、
アベルの方しか受け取らなかったことを
「肉好きだからな!」と神が一言で切って捨てたのとか。
「俺は二次創作には寛大だから」と発言したり、
全知全能なのに金に困っているとか。
矛盾だらけの聖書について突っ込むのは野暮なことと思いつつ、笑えた。