紅玉いづきのレビュー一覧
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落ちこぼれのトトが、ホーイチと出会い、ママとなり、成長していく物語。『ミミズクと夜の王』や『毒吐姫と星の石』との違いは、圧倒的な「共依存」にあると思う。
トトとホーイチには互いに「愛」がある。「共依存」から生まれた「愛」だ。最初は「共依存」が強く表れていたように感じたが、読み進めるうちに「愛」が強く表れていったように感じる。「共依存」が小さくなるわけではないのだが、おそらくは、「共依存」以外から生まれた「愛」も増えていくことで、「愛」の物語となっていくのだろう。
紅玉いづきさんの描く「愛」はどの作品でも一貫して純粋で、歪なほどに純粋で、まっすぐで、だから心を打たれるんだろうなと思う。
『ミ -
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ネタバレ落ちこぼれだった幼少のトトにとって、ホーイチのママになるということは、はじめて誰かに存在を切望されることだったんだろう。少なくともトトは、自分を選んでくれたホーイチを、唯一自分に価値を見出してくれた存在ととらえたと思う。
でも考えてみれば、トトが果たそうとした『ママ』は、きっと自分の母親をもとにしたイメージだ。ホーイチとの契約をきっかけにこじれてしまった親子仲だけれど、それまでトトは両親からしっかりと愛情を与えられていた。幼さと、自己肯定感の低さゆえに、無自覚であっただけで……。
母親になるには、トトはあまりに幼すぎた。
どこで関係を間違えたか、というような文章があったけれど、たぶん最初か -
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このシリーズ面白いですね。
今回は、悪口雑言ばかり吐く女の子「エルザ」が主人公。貧民街で口悪く喚き散らす彼女は「毒吐姫」と呼ばれますが、実は彼女は王女様で、ある日急に城に戻され、隣国に嫁がされることになります。急展開。
このエルザ、先の主人公「ミミズク」に比べて、乱暴なイメージですが、彼女と同様に苦労してます。このシリーズは、自分ではどうしようもない力で運命を狂わされた女の子が、また思いがけない出合いにより自分を取り戻す物語だと思います。その過程で描かれる彼女たちの葛藤が、実に生々しくちょっと変わったファンタジーに感じますね。そこがいいです。
嫁ぎ先の国で出会う人たちがいい人ばかりなんで -
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ネタバレおよそ20年前、電撃文庫で刊行された作者のデビュー作ミミズクと夜の王を読んだのだけどあらかた忘れていて、今回完全版ということで読みなおしてみたところ、えっとこんなお話だったけ?となった。
ミミズクと夜の王と聖剣の騎士が登場することは覚えていたけれど王子のエピソードは全く記憶になかった。
それだけに自分の中では新たなお話を読んだような新鮮な感情が湧いた。
これは言わば、人らしい感情を持たない、どこにも居場所がなかった少女が、不器用な優しさと許された居場所を得て、愛を知る物語だ。
ミミズクと夜の王のフクロウという名前がやがて2人が辿る関係を示唆していて心憎い。
昔読んだ時は何かが足らない気がし -
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ネタバレとてもいいお話でした。
魔物に食べられたいため、魔物の森を彷徨う女の子「ミミズク」が、その森の魔物の王「夜の王」と会うところから始まる物語。
どこか様子のおかしいミミズクは、夜の王に「自分を食べて」とお願いしますが、夜の王は「人間など食えるか」とにべもなくどこかに去ってしまいます。残された女の子の元に、やってきた別の魔物「クロ」。どうなるかと思いきや、「お前は許された」として、相手をして面倒をみてくれます。
なんとも不思議な始まり方です。壮絶な暮らしを強いられた結果、ただ食べられることを望むようになってしまったミミズク。どうしても食べてもらうため、しつこく夜の王にお願いします。その度にあしら -
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「ミミズクと夜の王」を読んでから、その描く世界がちょっと気になるこの作者さん。
家出して行き場もなく夜の街をさまよっていた少女チルが、ある夜、路地裏に突如降ってきた黄金の髪を持つ美しい男と出会い、異世界に取り込まれる。
破れたマントを胸に抱えて迷い込んだ先は、かつて豊かな織物の国と呼ばれながら今は先王が没後の混乱を極める国リスターン…という出だし。
聖獣が王を選ぶとされるその国で、なぜ彼女が選ばれたのか、こちらもチルとともに戸惑いながら読み進むが、一度は人生のすべてを諦めたのチルの、降りかかってきた運命の下で改めて突き付けられる“生きること”の意味に揺れる心情が痛ましい。
一方、動乱を収め -
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ネタバレビブリア古書堂の事件手帖が含まれていたので。
「神×本」をテーマにしたアンソロジー。
ビブリア古書堂は安定の面白さだったが、
神様の御用人が含まれていたのは嬉しかった。
下町の和菓子屋さんの話は刺さっても良かったと思うが、
ちょっとちがった。
個人的には聖書をテーマにしていた「ハレルヤ出版編集部」が面白かった。
アダムとイヴの息子、カインとアベルの捧げもののうち、
アベルの方しか受け取らなかったことを
「肉好きだからな!」と神が一言で切って捨てたのとか。
「俺は二次創作には寛大だから」と発言したり、
全知全能なのに金に困っているとか。
矛盾だらけの聖書について突っ込むのは野暮なことと思いつ -
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もう何もかもがいやだと、逃げ出したいと考える少女のチル。
「我が王よ」
突如降ってきた黄金から囁かれたその言葉にさらわれ、チルは異世界へと迷い込む。
自分には何もできないと諦めの境地に達している彼女は、本人の知らぬ間に勝手に託された運命のもと、選択しなければならない。彼女の生きる道を。
チルの周りに確かに在る手の温もり。国の象徴である織物の彩り、刺繍の手触り。肌で感じる異国の動乱。
すべてのものが鮮やかに浮かび上がってくる。
チルの進む道を物語の最後まで共に歩んできたように感じる。
そして共に進んできた彼女はこの物語を一度終え、再び新たな道を歩き出すのだ。その道に幸あらんことを。
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最初はミミズクの言葉の稚拙さに入り込めなかったが、話が進むにつれて面白く感じた。
特に記憶を取り戻してからのミミズクの哀しみには感情移入した。
外伝で、アン・デュークとオリエッタの聖騎士・剣の巫女になる前日譚と、ミミズクとフクロウが去った後の後日譚で、こういうハッピーエンドなのかと驚き。
他の部族や種族が登場しないからか、ややこの世界に広がりを感じづらかったのと、今まで夜の王に何かされてきた訳ではないのにレッドアーク国が敵視していたのかという所に疑問を感じたが、夜の王という新たなファンタジー作品を読ませてくれたことに感謝します。
読みやすいファンタジーです。 -
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この前読んだ「ミミズクと夜の王」の続編。あれから5年後の物語。
占の国ヴィオンに呪いの言葉を吐いて生きる王女エルザがいた。生まれ落ちると同時に国を呪って城下へ捨てられた彼女は、政略によって城に呼び戻され、隣国に嫁ぐことを強いられる。
魔術によって唯一の武器である声を奪われ隣国に送られた彼女を迎えたのは、レッドアークの“異形の王子”クローディアスだった…というところから進む物語。
前作は省略された背景と主人公の刹那の感情の振れにやや戸惑いを持って読んだのだったが、今回は前作巻末の外伝でお馴染みになった人たちが中心のお話。
そうなれば、前作で戸惑った素早い場面転換と細かな機微が省略された感情の -
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視覚に訴える神秘的な情景、静謐な世界観あふれる背景、主人公の純真さに包まれる読書でした。本書は決してラノベ作品でなく、単なるファンタジーでもなく、大人も楽しめる質の高い児童文学、と言っても過言ではない印象です。
主人公は、手枷・足枷の鎖、額には「332」の焼きゴテがあり、自らを「ミミズク」と名乗る少女。ミミズクはある村の奴隷で、壮絶な過去をもっていました。冒頭から、悲壮感を全く感じさせず、少し足りないのかな?と思わせる天真爛漫さぶりです。
しかし、ミミズクのこれらの言動は、人間として扱われず、傷付き、壊された結果で、ミミズクの純真さは逆にとても切ないです。
物語は、ミミズクが美しい