【感想・ネタバレ】毒吐姫と星の石 完全版のレビュー

あらすじ

【紅玉いづきデビュー15周年記念刊行・第2弾】

忌まれた姫と異形の王子の、小さな恋のおとぎばなし。
「星よ落ちろ、光よ消えろ、命よ絶えろ!!」
全知の天に運命を委ねる占いの国ヴィオン。生まれながらにして毒と呪いの言葉を吐き、下町に生きる姫がいた。星と神の巡りにおいて少女エルザは城に呼び戻され隣国に嫁げと強いられる。
唯一の武器である声を奪われ、胸には星の石ひとつ。絶望とともに少女が送られたのは聖剣の国レッドアーク。迎えたのは、異形の四肢を持つ王子だった――。
書き下ろし番外編「初恋のおくりもの」で初めて明かされるある想い。『ミミズクと夜の王』姉妹作。

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Posted by ブクログ

著者の作品は実に10年以上前に発刊された
『ミミズクと夜の王』以来の本でした。
まず、デビュー作を読んだ時の衝撃が鮮烈に残っていて気がついたら著者が15年間もの間執筆活動をしている事に驚愕しました。
その15周年をで完全版として復刻された今作。

私が面白いなと思う物語。いや本というそれ自体に関わる事だと感じる事があるのですが。

読みやすさ、物語の景色がいかに思い浮かぶか?

小説とは漫画とは違い挿絵があるものも有ればないもの。
寧ろ無いものが多数を占める。

なので読者の想像力と,理解力で世界を作り上げる必要性があり、著者の想いを受け止められて共有できるか?
というのが一つの醍醐味だと感じています。

表紙のイラストからイメージを沸かせてそれに基づいて背景を作りあげ舞台が出来上がり物語が進んでいく。
読者は言わば舞台の客席に座っているようなものでもありその舞台を自由に世界を想像する事ができる稀有なポジションにいるのです。

そのイメージが著者に近ければ近いほど理解力があり伝いたい物事の根幹を解釈できていると言うことです。

ココまでは作品について全く触れておらず駄文なんですけどじゃぁ読者が理解できなかったらその物語は難解で無駄な時間を過ごしたのか?と言うことになるのか?

いや違う。ココからは作者の問題なんだ。

如何に想像しやすく世界に入り込みやすく情景が浮かんできてわかりやすい文章を構築できるか?が腕の見せ所なんだ。

難解な文節を作るより如何にシンプルで魅力的な物語を伝えられているか?そして物語が伝えたいテーマが誰にでもわかるように作れているか?が非常に大事なんだ。

そこに人の癖が出て○○節等呼ばれて囃子立てられる。

この本は、御伽噺であり物語もキャラクターも構築も非常に出来が良い。

具体的な事を話すと長くなるんで(もう長い)詳しくは語りませんが、一番良いのは魅力的な読みやすさ。

著者の一番の特徴と言ってもいい。引き込む力が凄まじい。

今日はココまでにしようと本を閉じたくなくなるのだが
続きが気になりすぎて手が、目が文字を追ってしまう。

文字通り一級品。しかも前作との姉妹作であると言う事。
つまらない訳がない。

この物語は言葉を一つのテーマとしてとり上げてます。
言葉には喜怒哀楽や場所、立場、関係性などにより様々な色や音、圧力、重さを与えます。

小説は文字で構築されたものです。
より一層言葉を追いかけるものです。

その圧倒的な引力に巻き込まれてほしい。
この物語の魅力はそこです。
それが美しく時には馬鹿馬鹿しく時には悲しい。

葛藤を感じさせる力。言霊とは良く言ったものだ。
人は言葉で何でもできるのだ。言い方にも悪い方にも。
伊藤計劃氏のあれをマイルドにしたらこんな感じになるかな何て1人微笑して楽しめました。

長くなりましたがこの上質なお伽噺。
触れて損はないと断言できます。
至極の一冊を是非、手に取ってみて頂きたい。

1
2022年06月05日

Posted by ブクログ

ミミズクの続編と聞いて速攻読みました。
やっぱりなぜか引き込まれる世界観が素敵!
前巻に引っ張られ過ぎす、良い案配で続きが描かれていたのもGoodだと思いました。
中で起こってるのはかなり大変なことだけど、あくまでエルザとクローディアスの心の距離、みたいなものに重きを置いてるんだ!という作者さんの意思を感じられた(個人の見解です)。
この作者さんの他の作品ももっと読みたい!

0
2025年01月19日

Posted by ブクログ

電子版のレビューにも書いた通り、読み返すにも紙
の方が好きなことと、購入したものが「完全版」で
はなかったと気づいたので、すぐにこの「完全版」
を紙で購入しました。
本編の感想は電子版のを読み返しても、今は特に付
け加えることが思い浮かばないので、ここでは完全
版に載った書き下ろし「初恋のおくりもの」につい
て少し書きます。

内乱をおさめ、国に戻った後の様子が描かれてます。
主にエルザ。
本編でもわかるように、ディアに恋しちゃったエル
ザはミミズクの事が気になって仕方がない。
そこで無茶な行動を起こします。
無茶なんだけど、そのおかげでディアの本音も聞け
る、エルザも読者も嬉しくなる「恋」のお話です。
ミミズクは、登場の仕方がミミズクらしくてかわい
かった。
本編を読んだ時と同じく、フクロウにも会いたかっ
た!と思ってしまいましたが、姿は見えなくても、
ミミズクが登場するとなぜかその後ろにフクロウの
姿も思い浮かべてしまう。
短くても満足のいく書き下ろしが加わった「完全版」
をお勧めします。

0
2024年11月22日

Posted by ブクログ

人喰い3作目!これはもう全わたしが叫んでる、好き映画化して欲しい、ツンデレお姫さまと犬系王子さまの、国を巻き込んだちっぽけな恋の話、最後についてる番外編までサイコーだった、一言でいえば青春!

0
2024年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作『ミミズクと夜の王』の続きとなる今回の話は前回のを読んでからの一読をオススメします。今回の主人公は毒吐姫という題名だけあって、淑やかさや可愛らしさからは遠い、苛烈な言葉を巧みに繰る気の強い少女・エルザが主人公です。けれど、相手を攻撃する言葉を吐き出すばかりの彼女が、本当は他人も自分さえも信じられない弱さを抱えながら、前作に登場した王子・クローディアスと徐々に距離を縮めていく様子はもどかしいながらも、キュンキュンと悶えさせてくれます。互いに相手が第三者に馬鹿にされたらムキになってしまうところとか、相手が自分以外の誰かに心を奪われてしまうことを恐れていたりとか、雰囲気は違うのにシンクロしてしまう部分がある二人の様子がたまらなく愛しくなります。最後はミミズクの台詞に納得。ああ、そうだよね。二人は結局は似たもの夫婦になるんですよね・・・・・・と、このシリーズで出てきたカップルの中では、もしかしたら一番好きな二人かもしれません。

0
2023年06月04日

Posted by ブクログ

呪われ王子様と毒吐きのお姫様との恋物語
ミミズクと夜の王の姉妹作となる物語

占いの結果が絶対の国に生まれたお姫様
占いの凶兆により市井へ棄てられる
生きるために彼女は毒を吐き続けた嫌われ者のお姫様
お姫様を利用するために呼び戻し、口を封じ、道具として扱う
身勝手な人達に、彼女の立場に同情してしまう

お姫様のエルザは、道具として隣の国に輿入れ
そこで出会った呪われた王子と言われるクローディアス
最初のエルザはワガママな子供のように当たり散らして拒否
正直彼女の立場は可哀想だし同情もしていたけど、それを他の人に当たり散らすなー!って思ってしまった
それを真摯に受け止めるクローディアス、私は彼を尊敬してしまう
徐々にエルザがクローディアスを理解して距離を縮めるのが焦れったくもどかしい
そして最後、エルザが自らの意思で言葉を紡ぐ姿や自らの道を選択する姿に心が躍る
最終的には…エルザツンデレじゃないか!と彼女のことを好ましく思ってしまった
そしてのクローディアスの弱さも…ギャップ萌えってやつでキュンとしてしまう

キュンキュンだと、番外編が素晴らしい
エルザのミミズクへの嫉妬心や、クローディアスの嫉妬心
お互いがお互いを想ってるのにすれ違う姿にキュンキュンドキドキしてしまう
良き、恋物語良き良き

姉妹作なのでミミズクも出てきて嬉しかったー!
ミミズクがあんなに女神信仰の対象みたいになってるとは…
物語はミミズクと夜の王よりもこちらの方が私は好みかも

0
2023年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中盤あたりからストーリーが好きすぎて、ゆっくり時間をかけて読みました。前作のミミズクが出てきた時は嬉しかったです。ミミズク好きなので。毒吐姫も最後あたりに共感できる話だったので好きになりました。

0
2023年01月15日

Posted by ブクログ

あ~よかった~!!毒吐姫のこと最初はあまり良く思えなくて(ただただ毒を吐くだけでしたし)ディアたちの事、何も知らないくせに!!って思ってましたが、作中でレッドアークの人々の優しさに触れ成長していく姿に、いつの間にか好ましく思ってました。エルザがヤキモチ妬くとこ、ディアもヤキモチ妬くとこ可愛いすぎますね。

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2022年12月25日

Posted by ブクログ

前作からおそらく数年後、成長したレッドアークの王子ディアと、隣国ヴィオンのエルザとの出会いが、ヴィオンの行く末を左右する出来事に巻き込まれていく。聖騎士アン・デュークやオリエッタ、そしてあの子も登場し、最高の結末へとなだれ込む。ディアの真っ直ぐな気持ちと、エルザの変化から為るボーイミーツガールのファンタジーとしてのクオリティが高く、今も尚読まれていてほしい作品だ。

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2022年06月30日

Posted by ブクログ

やっぱりこの世界観とか雰囲気とかが好き。
プロローグで泣くという自分の涙もろさに衝撃を受けたけど、それくらい感情移入してしまう、本当に素晴らしくて美しいお話。
もう一回、ミミズクと夜の王から読み直したいな。

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2022年04月24日

Posted by ブクログ

ある意味再読。ミミズクと夜の王とは少しつながっているけれど、違うふたりの愛の話。
毒吐姫の鮮烈て軽々しく、どこか地を這う泥臭さがやはり好きだなと思った。
書き下ろしは普段のふたりの、どこかすれ違い気味な日々が垣間見れてまたよかった。

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2022年04月23日

Posted by ブクログ

この前読んだ「ミミズクと夜の王」の続編。あれから5年後の物語。

占の国ヴィオンに呪いの言葉を吐いて生きる王女エルザがいた。生まれ落ちると同時に国を呪って城下へ捨てられた彼女は、政略によって城に呼び戻され、隣国に嫁ぐことを強いられる。
魔術によって唯一の武器である声を奪われ隣国に送られた彼女を迎えたのは、レッドアークの“異形の王子”クローディアスだった…というところから進む物語。

前作は省略された背景と主人公の刹那の感情の振れにやや戸惑いを持って読んだのだったが、今回は前作巻末の外伝でお馴染みになった人たちが中心のお話。
そうなれば、前作で戸惑った素早い場面転換と細かな機微が省略された感情の大きな振れも、面白いミュージカルを観たような展開に感じられ、優しい王子の振る舞いが毒を吐く姫の心を開くストーリーを楽しむことができた。
幼かったディアが国を治めるものとしての覚悟を持った王子に成長した姿が頼もしく、また、その裏に隠したエルザに対する純情が微笑ましい。
姿は見せないが“夜の王”の存在感が凄い。

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

部作の2作品目。
夜の王とミミズクの美しい世界から数年後かな? 呪われた王子のもとに、隣の国の姫が輿入れしてくる。その姫は、占いによって生まれてすぐに捨てられた、毒吐姫と言われる少女だった。
可愛らしい恋のお話という感じ。

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2024年08月30日

Posted by ブクログ

ツンデレというか、癇癪持ちというか、天の邪鬼な女の子を、理解ある彼氏くんが抱擁してくれる話。こういう子は、理由はともあれ人を傷つけていることに違いはないのだけれど、ちゃんと謝るんだろうか。

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2024年04月25日

Posted by ブクログ

ミミズクと夜の王を読んで、この本の存在を知りすぐに読みたいと思った。
また、みんなに会えることが嬉しかった。

最初の頃、毒吐き姫の言葉の数々はあまりにも聞くに耐えず、耳を塞ぎたくなった。

一方でディアの成長に、王になる者としての覚悟を感じた。
オリエッタにしてもそうだが、どれほど酷いことを言われても怒らない。
そこには一種の諦めと、本当のつらさや悲しみを知っているからこその強さがある。

登場シーンは僅かだが、ミィの存在感は圧倒的なものがある。

エルザの過去も、そしてディアとの未来もいつかは伝説となるのだろうな。

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2022年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

占いが最重要とされる世界で、不吉の象徴として生まれ酷い扱いを受けてきた姫と、前作両手両足が動かない呪われた王子として登場した王子のボーイミーツガール。姫の国の宰相が悪いやつで、姫の言葉を奪ったり、国王を捕え下剋上しようとしたりとやりたい放題だったが、最終的には姫の力強い言葉で謀反がおさまる。いつの時代も賢しい宰相はいるもの。

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2022年06月04日

Posted by ブクログ

――

 そっと心の中に物語世界が残り続ける、そんな、しっくりくるとしか云えないようなおはなしが、たまにある。



 前作『ミミズク』からまとめて読んだのは、良かったのもあるし少し勿体無いことをしたかな、とも思った。それくらい心地良い、物語の、世界。

 テーマ的にも前作を踏襲した部分はありつつ、けれど主人公である少年少女は、その生い立ちは別として前作よりも人間らしい繋がりかた、ぶつかりかたをしているので、よりそれが鮮明になってるのかもしれません。
 あとがきに「ボーイミーツガールを書こう、と思いました」とあるとおり、とてもストレート。搦め手無しの御伽噺はさすがでした。

 なんだか皆の成長が見られてとても愛おしかったのもあり。
 ☆4.2

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2022年05月22日

Posted by ブクログ

しっかり恋愛小説やった。
ミミズク読んでからだいぶ空いたので登場人物少し忘れてたけど、大事なとこやのでこれは前作読んですぐの方が楽しめるなと思った。
ミミズクとエルザは割と恵まれない幼少期が似てるはずやのにこうも性格が変わるのは何で何やろうなと思った。設定として毒吐きっていうのはあるけど、周りのエルザに対する環境が無意識のうちに恐れや不吉で卑しいものとして接されてたからなのかもしれない。卑屈になるわな。そしてその自信のなさがミミズクと会った時の絶望になるし、愛されるものと愛されないものみたいな考えになるんだよな…少しデュークのちょっとした悪意というか釘刺しもうううってなった。ミミズクやディアのが大切やったし分かるけどな。
途中誰かの特別になりたい…みたいな思いは人一倍あるけどそれも信じられないところが不憫ながらも分かるなと思って読んでた。でも最後はちゃんと明るい未来はある感じなのでほのぼの読めて良かった。
個人的には中学生くらいのときが一番刺さりそうな文体というか話の持っていき方やったな。

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2023年06月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ミミズクと夜の王」の姉妹作だった。
全てが占いに委ねられる国ヴィオンの貧民窟で暮らすエルザ。
彼女は国に災いをもたらす毒吐姫との占いにより、王女でありながら幼いころに下町に捨てられた少女だった。
毒舌を武器として育ったエルザは再び城に捕らわれ、またもや占いにより、隣国へ嫁がされることになるが。
剣の国レッドアークの異形の四肢をもつ王子との出会いが彼女にもたらすものとは。

占いの定めに振り回されるエルザが痛々しい。
自らを守るために周りに毒を撒き散らす様子も。
呪いによって四肢が動かない王子の凛とした様子、聖剣の騎士夫妻のさりげない優しさが染みる。
もう少しヴィオンの過去とか占いに凝り固まった歴史を説明してくれると更に深くなったかも。
いや、これも「ミミズク」で語られてるのかな。
そちらも読んでみたい。

0
2022年09月14日

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