紅玉いづきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『ミミズクと夜の王』の続編。
激しい姫君に圧倒され、成長した王子に感嘆し、懐かしい顔ぶれに安堵し、二人の不器用で歪で優しい恋のおとぎ話にやっぱり涙した。
前作も強烈な光を放っていたけれど、今作も別な光を放っていた。
おかげで目がシパシパです。
涙腺の底が見えそうだよ。
「面白かった」や「感動した」という言葉より「本当に良かった」「ありがとう」を。
続編の出版にも物語の結末にも、本当に「ありがとう」を伝えたい。
紅玉さんの書く物語が大好きです。
それはそれとして、著者近影の写真を見て「ぶほっ」と吹き出してしまったんですがこれはどうしたもんか(笑) -
Posted by ブクログ
このシリーズ面白いですね。
今回は、悪口雑言ばかり吐く女の子「エルザ」が主人公。貧民街で口悪く喚き散らす彼女は「毒吐姫」と呼ばれますが、実は彼女は王女様で、ある日急に城に戻され、隣国に嫁がされることになります。急展開。
このエルザ、先の主人公「ミミズク」に比べて、乱暴なイメージですが、彼女と同様に苦労してます。このシリーズは、自分ではどうしようもない力で運命を狂わされた女の子が、また思いがけない出合いにより自分を取り戻す物語だと思います。その過程で描かれる彼女たちの葛藤が、実に生々しくちょっと変わったファンタジーに感じますね。そこがいいです。
嫁ぎ先の国で出会う人たちがいい人ばかりなんで -
Posted by ブクログ
ネタバレおよそ20年前、電撃文庫で刊行された作者のデビュー作ミミズクと夜の王を読んだのだけどあらかた忘れていて、今回完全版ということで読みなおしてみたところ、えっとこんなお話だったけ?となった。
ミミズクと夜の王と聖剣の騎士が登場することは覚えていたけれど王子のエピソードは全く記憶になかった。
それだけに自分の中では新たなお話を読んだような新鮮な感情が湧いた。
これは言わば、人らしい感情を持たない、どこにも居場所がなかった少女が、不器用な優しさと許された居場所を得て、愛を知る物語だ。
ミミズクと夜の王のフクロウという名前がやがて2人が辿る関係を示唆していて心憎い。
昔読んだ時は何かが足らない気がし -
Posted by ブクログ
ネタバレとてもいいお話でした。
魔物に食べられたいため、魔物の森を彷徨う女の子「ミミズク」が、その森の魔物の王「夜の王」と会うところから始まる物語。
どこか様子のおかしいミミズクは、夜の王に「自分を食べて」とお願いしますが、夜の王は「人間など食えるか」とにべもなくどこかに去ってしまいます。残された女の子の元に、やってきた別の魔物「クロ」。どうなるかと思いきや、「お前は許された」として、相手をして面倒をみてくれます。
なんとも不思議な始まり方です。壮絶な暮らしを強いられた結果、ただ食べられることを望むようになってしまったミミズク。どうしても食べてもらうため、しつこく夜の王にお願いします。その度にあしら -
Posted by ブクログ
「ミミズクと夜の王」を読んでから、その描く世界がちょっと気になるこの作者さん。
家出して行き場もなく夜の街をさまよっていた少女チルが、ある夜、路地裏に突如降ってきた黄金の髪を持つ美しい男と出会い、異世界に取り込まれる。
破れたマントを胸に抱えて迷い込んだ先は、かつて豊かな織物の国と呼ばれながら今は先王が没後の混乱を極める国リスターン…という出だし。
聖獣が王を選ぶとされるその国で、なぜ彼女が選ばれたのか、こちらもチルとともに戸惑いながら読み進むが、一度は人生のすべてを諦めたのチルの、降りかかってきた運命の下で改めて突き付けられる“生きること”の意味に揺れる心情が痛ましい。
一方、動乱を収め -
Posted by ブクログ
ネタバレビブリア古書堂の事件手帖が含まれていたので。
「神×本」をテーマにしたアンソロジー。
ビブリア古書堂は安定の面白さだったが、
神様の御用人が含まれていたのは嬉しかった。
下町の和菓子屋さんの話は刺さっても良かったと思うが、
ちょっとちがった。
個人的には聖書をテーマにしていた「ハレルヤ出版編集部」が面白かった。
アダムとイヴの息子、カインとアベルの捧げもののうち、
アベルの方しか受け取らなかったことを
「肉好きだからな!」と神が一言で切って捨てたのとか。
「俺は二次創作には寛大だから」と発言したり、
全知全能なのに金に困っているとか。
矛盾だらけの聖書について突っ込むのは野暮なことと思いつ