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どうして、わたしなんかを選んだの?
行き場もなく夜の街をさまよっていた家出少女チル。ある夜、路地裏に突如降ってきた黄金の髪を持つ美しい男。その口が発したのは――「うまれかわりを、のぞまれますか?」「我が王よ」
かくして、チルは異世界に取り込まれる。破れたマントを胸に抱えて迷い込んだのは、かつて豊かな織物の国と呼ばれた動乱の国リスターン。
一度はすべてを諦めた無力な少女は、荒廃した国を救い、王となり得るのか。少女文学の旗手が贈る、ドラマチックロマンファンタジー。
『ミミズクと夜の王』から17年。こんな紅玉いづきを、待っていた!!
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Posted by ブクログ
「ミミズクと夜の王」を読んでから、その描く世界がちょっと気になるこの作者さん。
家出して行き場もなく夜の街をさまよっていた少女チルが、ある夜、路地裏に突如降ってきた黄金の髪を持つ美しい男と出会い、異世界に取り込まれる。
破れたマントを胸に抱えて迷い込んだ先は、かつて豊かな織物の国と呼ばれながら今は先王が没後の混乱を極める国リスターン…という出だし。
聖獣が王を選ぶとされるその国で、なぜ彼女が選ばれたのか、こちらもチルとともに戸惑いながら読み進むが、一度は人生のすべてを諦めたのチルの、降りかかってきた運命の下で改めて突き付けられる“生きること”の意味に揺れる心情が痛ましい。
一方、動乱を収めるためにチルを王として担ぎたいながら彼女の心情も理解し元の世界へ戻してあげたいと願う、マニージェやビージャンなど周囲の心根がなかなか清々しい。
終章、チルがどちらの道を選ぶのかと思っていたが、ああ、そっちだったのか。少し意表を突かれたが、ありきたりではない良い選択だった。
少し前の頁に戻れば、『どのような願い、どのような他者からの望みがあったとしても。自分の人生を生きるべきだと』と教えてくれた人たちがいたのだと気がついた。
チルに祝意を送った国の中に“聖なる剣の国”も出てきてちょっと嬉しく、『いつかそんな、剣に選ばれた騎士と話してみたい』と思ったチルだったが、そんな話が読めるともっと嬉しい。
物語の底には、生きることの尊さや意志を持つことの大切さや民意を反映して国のトップを選ぶことの重要さなども寓意として描かれているように思えたのは、今の世界を見ているからかね。
Posted by ブクログ
もう何もかもがいやだと、逃げ出したいと考える少女のチル。
「我が王よ」
突如降ってきた黄金から囁かれたその言葉にさらわれ、チルは異世界へと迷い込む。
自分には何もできないと諦めの境地に達している彼女は、本人の知らぬ間に勝手に託された運命のもと、選択しなければならない。彼女の生きる道を。
チルの周りに確かに在る手の温もり。国の象徴である織物の彩り、刺繍の手触り。肌で感じる異国の動乱。
すべてのものが鮮やかに浮かび上がってくる。
チルの進む道を物語の最後まで共に歩んできたように感じる。
そして共に進んできた彼女はこの物語を一度終え、再び新たな道を歩き出すのだ。その道に幸あらんことを。
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