あらすじ
未曾有の大地震が首都・東京を襲った後、復興の名目で湾岸エリアに大人の街――カジノ特区がオープンしてから長い時間が経った。今宵も、街を象徴する少女サーカスでは、古き文学者の名を冠する精鋭たちが舞台へと踊り出る。が、あるとき花形の空中ブランコ乗り・片岡涙海が練習中に落下。身代わりとして、そっくりの双子の妹・愛涙が舞台に立つことになる。やがてその命が狙われて……? 嘘を背負うふたりの少女の青春ミステリ!
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Posted by ブクログ
首都にカジノ特区を開いた架空日本の、少女たちで構成されたサーカスの話。
事故で片足を失った姉とその影武者になった妹。
二人のブランコ乗りの少女を中心とした物語。
過大な重圧と無責任な欲に晒されるのが当たり前で、でも確かに守ってくれる人もいる。
そんな中で少女たちが自らの道を選び方、進んでいく。
Posted by ブクログ
『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』を改題したもの。涙海の『サーカスのブランコ乗り』としてのプライドがとても好きなのだけれど、久しぶりに読み返したら狭い鳥籠にこだわるアンデルセンの傲慢さにも痺れてしまった。もっと広い場所でも活躍できるけれど、そんな名声には興味が無くて、でも小さな『少女サーカス』という居場所には執着する。『あたし、あのサーカスでしか、うたいたくない』に込められているのは彼女なりの愛情、というところに、唸らずにはいられなかった。
その後の話も読みたい。
紅玉いづき先生の他作品が大好きだったので読んでみました。凄く良かったです。
彼女達のその後が知りたいのですが、「影の幕をあげる」の方で語られるのでしょうか。これから読むのがとても楽しみです。
どの演者も魅力的ですが、歌姫アンデルセンと猛獣使いのカフカが特にお気に入りです(^^)
Posted by ブクログ
表紙の絵が好みで一読。
双子の片岡涙海《るう》と愛涙《える》の名前が強烈だったのと、すごく響きや漢字の自体が好き。
欲望に溢れたサーカスの闇に魅せられた。
すごく面白かった。
下巻も読みたい。
Posted by ブクログ
少女たちの不安や嫉妬、自分たちの力じゃどうにもならない葛藤、そのすべてが包括された美しい物語だった。
双子、同期、先輩、後輩、指導者、応援者、そして自分たちを喰いものにする人間、そのすべてに対する感情が、ありありと描き出されていて、何度も目頭があつくなった。
どれだけ無駄でも辛くても頑張ってきたことが途中で終わりになることが嫌で諦められないあの気持ちや、誰かから何かを奉仕されることを当たり前だと思う若さ、気に食わないのに気になって仕方がない些細なささくれた心。
苦しくてとても痛かったのに、どこか懐かしくてたまらない感覚に揺さぶられた。
とてもすきです。
Posted by ブクログ
最高でした。『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』から加筆もされたと聞き、どこが加筆されたかわかるのは優越感があります。加筆された後の今回の本もとても素晴らしかったです!紅玉いづき先生の作品の中で、この少女サーカスのお話が一番大好きです。是非、2冊合わせていろんな方に読んで欲しいと思っています。
【追記】
あまりにも感動したので、2冊目を購入しました!表紙が綺麗だと、何冊もある方が目の保養になっていいですね!
Posted by ブクログ
過激で美しい少女たちの一瞬の灯火に心囚われるようだ
サーカスという少女たちの舞台
サーカスの曲芸を行う為に少女たちは曲芸学校へ進学をしてから花開く
この世界を読んだ時、宝塚の女の園を想像した
大変過酷と聞くその場所ときっとこの学校は似ていることだろう
入るのはひと握りの人材で、入ったとしても残れることすら危うく、そして時には相手を妬み嫉む
そんな学校を出てからも、名持ちの1人として演じることが出来るのは極わずかの狭き門
物語はそんな名持ちの子達の物語
双子の姉妹が演じたのはブランコ乗りのサン=テグジュペリ
本来は姉である涙海(るう)ちゃんが演じていたが、事故により妹の愛涙(える)ちゃんが姉の身代わりとして周囲を欺き演じる
最初はそんな愛涙ちゃんの葛藤などが描かれる
曲芸師になるつもりなんてなく、サン=テグジュペリの名は姉の場所であることを信じて疑わない
そんな彼女の罪悪感などの心理描写がとても良かったな
そして彼女の覚悟を決めたあとの演技は、それはそれは美しいことだろう
第3幕、第4幕にはそれぞれ猛獣使いのカフカと歌姫アンデルセンの物語
カフカの方は、チャペックとの邂逅が私にとって魅力的だ
チャペック自身はそんなに登場はしていないけれど、強烈に印象に残る存在だった
そしてアンデルセンは……なんか色々な自枠を胸に秘めて、女って恐ろしい!って思うような少女だった笑
でも彼女のサーカスへの一途さは本当に凄い
一体彼女の歌声はどのように響き渡るのであろう
想像できないからこそ凄く聴いてみたいな
最後はブランコ乗りのサン・テグジュペリである姉の物語
妹の愛涙ちゃんへの想いが、とても切なく思う
妹に対する嫉妬などは兄弟のいない私には想像は出来ないけれど、妹の方が凄いという思いを抱えながらも自分自身の場所を絶対に手離したくないという強い思いが凄く伝わってくる
そして彼女の覚悟
永遠なんてないからこそ、今輝き舞台に立つために選択した覚悟が凄く心をうちつける
不自由なことは美しいことという言葉が私の中ではとても印象深い
不自由を抱えたブランコ乗りのサン=テグジュペリの演技を私もこの目で見てみたい
それは見事なサン=テグジュペリであろうな
あらすじには青春ミステリーと書かれているがミステリー感は個人的には感じられる
けれどとても満足な1冊だった
今宵、嘘つきたちは影の幕をあげるも楽しみだ