佐伯泰英のレビュー一覧
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「居眠り磐音」40巻は、おめでたにて開幕です。
天明3年(1783)の春、磐音とおこんの間に2人目の子が誕生。女の子で、睦月ちゃんと名付けました(そういえば1人目の男子空也が生まれたのも正月でした)。年の瀬には、南町奉行所定廻り同心木下一郎太と瀬上菊乃の祝言もあったので、この年末年始はおめでた続きでありました。
さて、本巻の一大事は、磐音の生国豊後関前藩の江戸との藩物産取引きにおいて、不正が行われているかもしれないという疑惑が浮上したこと。磐音は、関前藩の江戸留守居役兼用人となった中居半蔵からその話を聞かされ、調査を頼まれます。その不正は、幕府に知られれば〈豊後関前藩にお取り潰しの沙汰が下 -
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「居眠り磐音」39巻、速水左近まつりでございます。
なにしろ、十代将軍家治の御側御用取次という要職についていた旗本速水左近が、老中田沼意次の策略で甲府勤番支配に任ぜられ、3年余り「山流し」状態だったのが、急にその任を解かれて奏者番として江戸城に復帰できることになったのですから、これは祝着至極、まつりにもなりましょう。どこへ行っても酒と膳が供されます。
一方、江戸の尚武館道場にて剣術の稽古に余念がない磐音は、速水左近が江戸へ戻る道中に田沼一派の刺客に襲撃されるおそれがあると察し、甲州道中へと急ぎ迎えに行くことに。磐音が近くまで来ていると知った速水左近の喜びようは、こちらもうれしくなるほど。二 -
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ネタバレ佐伯泰英の「新・酔いどれ小藤次シリーズ」17巻となる「鼠異聞、上巻」
幼くして老成したような息子、駿太郎が、あまりに子供っぽくなくて、同じ年頃の子供たちとの触れ合いを作ってやろうと、親交のある南町奉行所同心近藤の道場「桃井春蔵道場」でも親しい友人も増えて楽しく通っていた。
そんな折、大事な荷物を高尾山薬王院へ運ぶ仕事の付き添いを小藤次が頼まれる。
わけがありそうな人物から、大名の妻子が持ちそうな立派な懐剣の研ぎを頼まれる小藤次。
その研ぎを薬王院の滝でしようと心に決め、駿太郎の持つ刀も同じくそこで研いだことを思い出し、一緒に連れてゆくことに。
その話を聞いた道場の年少組たち。
同心、 -
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居眠り磐音36巻、おめでた続きでございます。
新年が明け、安永九年(1780)、磐音たちが身を寄せる紀州姥捨の郷にて、空也くん誕生!
(正確には前巻のラストでしたが)
辰平と利次郎も加わり、一気ににぎやかに。
しかし姥捨の郷の暮らしを支える丹(水銀)の採掘に、財政難にあえぐ幕府が口を出してきた。
郷と深く関わりのある高野山奥之院副教導の室町光然とともに、郷を守るべく、磐音も和歌山を走り回ることに。
しかもそこにも田沼一派の刺客が現れ……。
そして江戸では、品川家についに嫁が!
もう、結納に武左衛門を連れて行っちゃったからハラハラし通し。
後ろから薙刀持った幾代さんがついて行けばよかったの -
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「居眠り磐音」32巻、『更衣ノ鷹』下巻。
ついに来てしまった、それを読むときが。
第五章を読んでいる間、胃の奥の方がずぅんと重かった。
今、私の胸中は、嘆きの大嵐です。
読み進めるのが怖くて嫌で、でもここを乗り越えないと、この先に待っているはずの、きっと和やかで楽しい(よね⁉︎)33巻以降の物語を読めないから、必死に耐えて我慢して、ずっと涙目で読んでいた。
あぁ目尻がピリピリする。
どの本でもそうなのだが、読んでいる間はその世界に埋没してしまい、本の中で起こるすべてを、ほぼ私の現実として体験しているので、今回のショックは大きすぎて、まだ受けとめきれていない。
大好きな場所や人々が、一瞬で -
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「居眠り磐音」29巻では、おもに3つの出来事が起こる。
磐音は、おこん、霧子、早苗を連れて、千鳥ヶ淵まで冬桜を見に行くと、千宗易ゆかりの茶碗の貸し借りをめぐる、瀬良家と神沼家の諍いに巻き込まれそうになる。
また、笹塚孫一(と木下一郎太)から、能楽の丹五郎一味を捕縛すべく協力を頼まれ、豊後関前藩の新造船を使っておびき寄せる策を講じたのだが……。
そして、盲目の老剣客が孫娘に手を引かれて尚武館を訪れてから、西の丸家基に異変が!
いろんな意味で緊張感に満ちた一冊でした。
一方で、孫一と一郎太が尚武館に来たときから、もうコント見てるみたいで可笑しくて可笑しくて。
孫一っつぁんが出てくると、毎 -
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「居眠り磐音」決定版28巻は、かなり盛りだくさん。
磐音と木下一郎太は、直参旗本設楽家の存続のため、13歳の嫡男設楽小太郎の仇討ちを助勢しに上総へ。
また、でぶ軍鶏こと重富利次郎が、父の共で土佐へ旅立つことに。
そしてそして、竹村武左衛門、ついに就職!
この3つの大きな出来事の合間に、上方弁の掏摸が現れたり、刀剣名人鵜飼百助の屋敷に不届き者が押しかけたり、時鐘役夫婦が毒殺される事件が起こったり、木下一郎太と菊乃ちゃんがいい感じになったり、西の丸様に磐音が剣術指南に行くことになったりと、まぁ目まぐるしくいろんなことが起こる。
おもしろくないわけがないんである。
やせ軍鶏の辰平が武者修業の -
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「居眠り磐音」シリーズの番外編4冊目。
14歳のおこんをめぐる中編が2話、収録されている。
母おのぶを亡くして1年経つころ、深川六間堀の金兵衛長屋に、下野から来たという曽我蔵之助一家が越してきた。
住人たちと交流を深める一方、彼らが江戸に来たのには深い訳があり、それがもとで南町奉行所が出張るほどの騒動が起こる。(「妹と姉」)
その後、おこんが奉公先を探していると、両替商今津屋の番頭由蔵と出会う。
一年経ち、奉公先を紹介してもらおうと、金兵衛と2人で今津屋を訪れると、その場で今津屋への奉公が決まるものの、直後にお店を揺るがす大事件が⁉︎(「跡継ぎ」)
おこんさんの過去の話が読めてうれしい! -
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山形から江戸に帰ってきた磐音、たくさんの仕事が待っていた、の巻。
尚武館の人たちも、今津屋の人たちも、武左衛門も柳次郎一家も、南町奉行所の面々も、江戸のみんなが磐音の帰りを喜んでいて、本当に微笑ましい。
おこんさんも、うれしいはずなのにちょっと複雑そうなのは、磐音の山形行きを勧めはしたもののやっぱり不安だったから。
ね、やっぱりそうだよね、とおこんさんの涙に私もウルウル。
でも磐音のセリフと振る舞いに私もひと安心。
磐音自身もいつもの生活に戻ってホッとしたようで、良かった良かった。
そんな磐音だが、早速笹塚孫一から頼まれごとがあったり、西の丸様の大冒険に冷や汗をかいたりと、相変わらず大忙 -
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別の本を読み始めていたが、発売日が来てしまったので、先に磐音を読んでしまうことにした。
26巻のカバーのあらすじを読んだ時、磐音は所帯を持ってもまだ奈緒を助けに山形へ行くのかと、正直ちょっと憤りを感じてしまった。
今回ばかりは、磐音の行動に共感できないかもしれないと。
そんな思いを胸に読み始めてみると、吉原会所の四郎兵衛さんから奈緒の嫁ぎ先前田屋の窮状を知らされた磐音は、即答せずにいったん持ち帰り、家族に相談して全員から行ってこいと言われた上で、おこんさんにすまないと思いながら山形へ旅立っていた。
さすが、みなさん器が大きい。
もちろん、あの悲劇あっての今の磐音の人生であって、奈緒という -
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読み終えてからなんやかんやと忙しく、感想を書けないまましばらく経ってしまった。
ついこの間『初午祝言』で初めてお会いした向田源兵衛さんが出てきたから、うれしくてすぐ書きたかったんだけど。
尚武館に剣友格で稽古に来ることになったものの、何やら事情があるようで、微妙に距離を置く源兵衛さん。
これっきりではもったいないお方です。
きっとまたどこかでひょいと現れてくれると信じてますよ。
もうひとつこの25巻でうれしかったのは、品川柳次郎が尚武館に入門して稽古に通うようになったこと。
これまで以上にちょくちょく会えそうで楽しみ。
一方、竹村武左衛門が……(涙)。
そこに思い至らなかった磐音と柳次 -
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書き下ろしスピンオフ『初午祝言』でこれから先の展開を知ってしまったのち、気を取り直して読み始めた24巻は、これまた感慨深く、記念すべき一冊でございます。
桂川さんと桜子の祝言で幕が開き、尚武館佐々木道場の道場破りがなぜか相次ぎ、今津屋には詐欺目的で大阪の薬種問屋が来店、かつて加賀金沢城下で出会った三味線造り名人の次男鶴吉とばったり再会、義弟の井筒遼次郎が尚武館へ入門、そしてそして、むふふふふ。
おこんさんの船をみんなで見送るシーンでは、私も胸がいっぱいになってジーンと来た。
でもタの字がよ、もうヒタヒタと忍び寄ってきているではないの。
今後の展開を知っているからこそハラハラしちゃう!