佐伯泰英のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ毛利助八郎が殆ど出て来ず、神石嘉一郎とのコミカルなやり取りが減ったのが残念だった他、拍子抜けだったり、あまりにも唐突な展開が目立つ完結巻で、やや不満は残る。
しかしながら、嘉一郎と共に世間について学べたような気がするし、三部作を通しての満足度はかなり高かった。登場人物たちの成長や変化、人間模様が発展していく様が読み応え抜群だったし、時代小説の面白さがぎゅぎゅっと凝縮された三部作だったと思う。
――「鞘に刀を納めたまま、この世を平穏に保つ。それが刀の眼に見えない真の力(以下略)」。本当にその通りだと思う。
争いが続く世界故に、心に響いた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ舞台は江戸へ。助太刀稼業が軌道に乗り、益々冴え渡る神石嘉一郎の剣戟がスピーディ且つ迫力満点の筆致で描かれ手に汗握る。
剣の修業を通して世間を知り、金にまつわる事件に巻き込まれる内に嘉一郎がさらに逞しくなって来たようで思わず目を細めた。
恋の予感もあり、目が離せない!
それに比べて助八郎の情けなさには拍車が掛かるばかり。歩けばトラブルを招聘するから甚だ迷惑極まりないが、何故か憎めない。
古備前友成が贋物と分かっても愛着が湧いたと言い出したり、へらへらしてても内実妾腹を気にしていたり人間味が豊かだからだ。
このふたりのやり取りがユーモラスで面白く、ずっと見守っていたい名コンビだと思 -
Posted by ブクログ
ネタバレ剣術修行と聞くと剣の業を磨き強くなることだけを目指すイメージだったが、主人公の神石嘉一郎は剣の業だけではなく、世の中や人生についても剣を通して学んでいくのがとても斬新で面白いなと思った。
剣術修行するにも、行く先々で必要なのは金、金、金。ところが嘉一郎の性格は金儲けには向いておらず。しかし、金には換えられない様々なものが舞い込んで来る。嘉一郎みたいな生き方を理想としたいなぁ…
共に脱藩した助八郎とのやり取りがかなりコミカルだし、全体的にコメディ寄りの作風でとても読み易かった。時代小説が苦手だなと思っている人にもオススメ出来そう。