佐伯泰英のレビュー一覧
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新たに書き下ろされた、『奈緒と磐音』、『武士の賦』に続く3冊目の居眠り磐音シリーズのスピンオフ短編集。
本編(決定版)と区別するために、本書から、この書き下ろしシリーズを「新・居眠り磐音」と名付けたそうだ。
……またやられたよ。
『武士の賦』のときと同様、この文春文庫の決定版で初めて磐音シリーズを読んでいるあたくし、「主な登場人物」からしていきなり「おぅふ」と軽くのけぞってしまった。
しかしこんなのは序章にすぎず、読み始めてからはもう怒涛の衝撃に撃ち抜かれっぱなし。
いっっっ……ろんなことがネタバレ状態で目の前に陳列されておる。
なんてことよ。
前日に読み終わった23巻では安永7年の正 -
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この23巻には、長いあとがきがある。
すべて読み終えた今、磐音の物語を読んでいたときの心持ちとだいぶ変わってしまって、ただ呆然としている。
そのあとがきは、カバーの著者紹介で少し触れてあるスペインの闘牛についてと、それを追いかけていた佐伯さんの話だ。
実はずっと気になっていて知りたいと思っていたので、やっと謎が解けたようでうれしい。
時代小説であるこの居眠り磐音シリーズがなぜ生まれたのか、なぜこんなにも人情にあふれた人たちばかりが登場して、読んでいてこんなにも気持ちのいい物語が生まれるのかがわかった。
この物語には、佐伯さんのすべてが包括されているのだと思った。
今後の「居眠り磐音」の味わ -
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磐音とおこんはまだ江戸に戻らず、豊後関前で出会った博多の大商人箱崎屋次郎平に招かれて、福岡を訪問中。
福岡藩の重臣吉田久兵衛の求めで、藩道場で居眠り剣法を披露、磐音大人気に。
そんな中、また人助けをしたところ、さらなる深みにはまることに……(やっぱりね)。
一方江戸では!
品川柳次郎に大きな変化が!
なんと品川家断絶の危機か⁉︎
話がここしばらく江戸から離れていたので、この品川柳次郎の一件で久々に江戸の面々に会えて、もう、もう、もう、めっちゃめちゃうれしい!
磐音との付き合いで広がった人脈で、いろんな人たちに助けられて、つくづく、なんっっっていい人たちなんだろう、と、柳次郎より私がウルウ -
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うおぉぉ〜、19巻最大の謎が解けぬまま終わってしまった。
でもそうか、さすがに磐音を斬った犯人がそうやすやすとわかってしまってはつまらんよね。
ぐぬぬぬぬ、なにやつ!
そして本巻の一大イベントは、佐々木道場改め尚武館道場の柿落としの大試合。
ずいぶん前から準備に奔走していた磐音だが、当日まであちこち気を配ってホント忙しかった。
一方で、再犯防止のために労働させようと佐渡へ送られた5人の無宿者が、逃げ出して江戸に戻ろうとしているという話が南町の木下一郎太からもたらされ、今津屋も不安を抱える。
が、こっちでは竹村武左衛門が大活躍⁉︎
今回も、色々とハラハラさせられ、おもしろかったです。
磐音 -
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この18巻には、安永5年から6年にかけての年末年始の江戸が描かれている。
ちょうど年末年始の時期に本巻を読んだので、実際の自分の身のまわりの空気感と重なって、多忙な様子にソワソワ、お祝いムードにワクワクしていた。
改築工事中の佐々木道場の地中から古い時代の甕が出てきたり、おそめちゃんがいよいよ縫箔屋の江三郎親方のもとへ修行に出ることになったり、佐々木道場師範本多鐘四郎の婿入り話がとんとん拍子にまとまったりと、気になることが目白押し。
一方で、大賭博開帳への手入れをすることになったり(竹村武左衛門、叱られる)、剣術家ばかりを狙った奇妙な殺人事件が続いたりで、笹塚孫一や木下一郎太ら南町奉行所も -
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日光から江戸へ帰ってきても大忙しの磐音。
父正睦から「虚け者」の始末を依頼されたり、幸吉が宮戸川から姿を消した騒動が、11年前の桔梗屋七人惨殺事件と関わりがありそうな状況になってきたり、南町奉行所から頼まれて甲斐の市川陣屋から罪人を江戸まで連れ帰る羽目になったり、今津屋に来ていた虫売りに抱いた違和感がどうにも拭いきれなかったり。
そんな中、当人どうしではまだ直接ハッキリと話していないうちに、磐音とおこんさんがいつの間にかほとんど公認の仲ですわ。
ここまで周りから固められちゃあ、ねぇ。
でも、
(おこんが磐音の手首に爪を立て)
「痛うござる、おこんさん」
「いいの、私が見合いしても」
「そ -
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佐伯泰英の著作で、他のシリーズは終わったものが多いのだが、これはまだ終わっていない。
このシリーズは「酔いどれ小籐次」とこの新シリーズがあって、新シリーズは、世間を大いに賑わせた小藤次が、次々と刺客を派遣されるのだが、その一人、まだ乳飲み子を抱え出奔した剣客須藤平八郎のたっての願いで、もし自分がこの果たし合いで死んだら、その子供を小藤次に託す、、、というものだったため、研ぎ仕事をしながら赤児を育てて、長い間の思い人、おりょうとも、夫婦になり三人の暮らしぶりから始まる。
その中で腕を江戸市中に知られる小藤次は、様々な事件や陰謀の解明に駆り出され、支援者も増えた。将軍家斉のお目見えも叶ったほど -
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はじめに本巻の「目次」と「主な登場人物」を見て、おおっ、とテンションがすこぶる上がった。
だってだって、でぶ軍鶏(利次郎)と痩せ軍鶏(辰平)が、ついについに、やっと、出てくるんですものぉぉ。
うれしい〜〜〜〜〜。
えぇ、えぇ、そりゃあもう、おもしろうございましたよ。
辰平ってば、こんなやつらと付き合いがあったのか。
今回は利次郎の話はほとんどなかったけど、これからかな。
『武士の賦』、ここらでもう一回読んでみようか。
この2人が出てきたということは、そろそろおこんさんと磐音の関係にも変化が……? と思っていたら、やはりその兆しが早速見えてきたではないの。
もう磐音ったら、胸が立ち騒いじゃっ -
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時は春、江戸に菜の花が咲きほこっております。
幸吉が鰻屋「宮戸川」の奉公に出たものの早速トラブルに遭い、三人太夫が選ばれた吉原は大騒ぎ、妹伊代の婿どの井筒源太郎と初顔合わせ、金貸し兼やくざの権造一家の手伝いで品川柳次郎も伴い秩父へ、豊後関前藩の藩物産所組頭中居半蔵を執拗に狙う輩がうろうろ……。
はい、9巻もやっぱりおもしろい!
もうすべてにおいて目が離せません。
すばらしい。
普通に日本史の勉強になるのもうれしいですね。
はじめから歴史上の人物だと知って読むことももちろんあるし、この人実在した人だったんだ、と後から気付いて驚くことも多々あります。
当時の政治経済状況もよくわかるし。
十八 -
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ふおぉぉぉ、小手斬り左平次が最期に〈間近な磐音の顔を見た〉瞬間、私にも見えた。
いつもとは違う、静かな怒りを湛えた鋭い目をした磐音の顔が。
いろんな意味でゾクッとした。
うーんもうたまらん。
磐音が魅力的すぎて。
こんな人が目の前にいたら惚れぬ女などいまい。
安永3年から4年にかけての年末年始、いつもの面々とのんびり新年の挨拶を交わし、遠い故郷での妹伊代の祝言を文で知る中、新年早々孫一っつぁんたちと石見銀山による毒殺事件でひと仕事、道場の後輩別府伝之丈と結城秦之助を今津屋に紹介し(この2人がまたかわゆい)、久々に品川柳次郎と竹村武左衛門と3人で修善寺にてナイスチームワーク(?)を発揮、また -
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海晏寺の紅葉狩りに始まり、冷たい風の吹く師走で終わるこの7巻。
読んでいると、江戸の季節の移り変わりが肌に感じられるよう。
そんな中、相変わらず磐音は大活躍。
かつて(4巻)奈緒を探して旅した金沢で助力してくれた鶴吉と再会しひと肌脱ぎ、隠居した恩人の治療に行きたいという中川淳庵とともに行徳へ行き、今津屋の仲介で湯屋の不都合を助け、王子稲荷の狐火見物でおこんのピンチに焦る。
てことで本巻もおもしろかった!
ついに逆プロポーズも出たし!
おこんさんの笑みが「泣き顔のように崩れ」たのには、私も泣きそうになりました。
おこんさんがんばれ。大好き。
ただ私の頭の中で動いているおこんさんは、5月に公 -
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これは……再会と呼べるのか。
哀しくてかっこよすぎて、磐音が走り抜けた瞬間、サブイボが立ったわ。
もう、どうしてこうもおもしろい話が次々と生まれるのか。
巻を重ねるごとにそれぞれのキャラも立ってきて、品川柳次郎のちゃっかり精神と竹村武左衛門のしょーもなさに磨きがかかり、新たな登場人物も加わりながらぐいぐい読ませてくれる。
新任江戸家老の利高くんはこれで大丈夫なのか、これまた今後が気になるところ。
ああ楽しみ。
それにしても孫一っつぁんがかわいい。
〈串刺しにされた田楽のよう〉とよく例えられ、登場のたびにクスッと笑ってしまうのだが、〈陣笠に火事羽織、野袴姿で指揮十手を右手に持った、寸足らず -
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前巻を読んでから約3ヶ月経ってしまったので、「ポーラースター」シリーズですっかり中南米に行っていた頭を江戸へ戻すべく、外伝『奈緒と磐音』から、1巻『陽炎ノ辻』、2巻『寒雷ノ坂』、3巻『花芒ノ海』まで、ざっと再読。
ああ、やっぱりおもしろい。
ストーリーを知っているからこそ楽しめたところもあったし、細かい部分の確認もできた。
さて4巻。
まぁ、やっぱりそうなるよね。
そう簡単に会えちゃつまんないもんね。
とはいえ、ここまでかと思うくらいの広範囲なザ・たらい回し。
奈緒ちゃんとはいつどこでどうやって会えるのか⁉︎
そもそも会えるのか⁉︎
何はともあれ、磐音が江戸に帰ってきて、さっそく今津屋で -
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すっ、素晴らしい巻だ。
ひとつの山場になる巻ですな。
最後の五章だけで1冊読んだような濃さ。
まずわたくし、今野敏さんの任侠シリーズを読んで以来、「やくざ」とか「代貸」とかいう単語を見るとワクワクしてくるのです。
そのため一章は心躍りました。
磐音と五郎造の会話なんかもう、たまらんです。
それと、南町奉行所の与力、笹塚孫一っつあんが好きなもんで、ちょこちょこ登場してはさりげなく活躍してくれるこの巻は、やはり思い入れが深くなってしまいます。
また、三章の豆造(4歳)がかわいそうでかわいそうで、胸が締めつけられます。
そしてそして、四章五章で最高の山場を迎えます。
磐音が故郷へいったん戻り -
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どっしぇぇぇぇぇ。
『奈緒と磐音』のあとがきにあった「悲劇」ってこれ⁉︎
なんてことよ、いきなりかーい!
これは悲しすぎる。
慎之輔ぇぇぇ、あんたなんでそっちの話を……。
一番無念なのは舞ちゃんだよ。
1巻を読んでまず思ったのは、『奈緒と磐音』を先に読んでおいて良かったということ。
そのおかげでスムーズに話に入っていけ、幼なじみどうしの関係性や想いの深さがわかる分、「悲劇」がよりつらい。
そもそも話が続きになっているし、これこそ磐音のルーツだし、もう『奈緒と磐音』が1巻で良いのでは。
さて、『陽炎の辻』、悲しく切ないタイトルではあるのだが、その後、磐音の江戸での長屋暮らしが始まり、実はそっ