あらすじ
文政8年冬。小籐次一家は、おしんの従妹のお鈴を伴って丹波篠山から江戸へと戻った。小籐次は不在の間にたまった界隈の研ぎ仕事に精を出す。
そんな折、十一代将軍家斉の念願だった日光社参が延期になった。凶作で治安が乱れたためだが、例幣使街道で凶悪な押込みを働いた杉宮の辰麿一味が江戸に潜り込んだとの情報が、秀次親分からもたらされた。そしてその探索に協力してほしいと小籐次にいう。
その直後、畳屋の隠居夫婦が惨殺された。隠居は殺される直前に居酒屋で謎の女と言葉を交わしていたらしい。続いて古筆屋が襲われ、こちらは大金も奪われ、一味の仕業と思われた。
調べの結果、辰麿一味は南町奉行所に恨みを持っているらしく、次なる標的は久慈屋とも想像できた。小籐次は久慈屋の危機を救うべく、辰麿一味と対決する。
緊迫の展開のシリーズ第14弾!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
二巻連続して心温まる良い話でした。
途中でおかしな盗賊の捕物がありましたが、老中青山家と赤目一家の交流は実際にこんなことはまず起こらないとわかっていても、読んでいてホッコリします。
新兵衛さんの絶妙なボケも健在で、最初は心配しましたがこのキャラクターがいつの間にかシリーズに欠かせないものになっています。
諸事多難
旅から帰って来たら来たで、諸々の事件が、小藤次を、ゆっくりさせてくれない。篠山から一緒に来た、お鈴が、篠山だから忙しいかったのではなく、江戸でも忙しいんですねって。そうなんです。小藤次の行くところ、諸事多難なんです。読者には、それが、面白いんですが。
Posted by ブクログ
赤目小藤次も五十路を超え、剣術の技をひけらかす活躍から、謎解きをして事件を解決する方向に変わってきたように思われた。そのほうが面白みが増す気がする。
Posted by ブクログ
佐伯泰英の著作で、他のシリーズは終わったものが多いのだが、これはまだ終わっていない。
このシリーズは「酔いどれ小籐次」とこの新シリーズがあって、新シリーズは、世間を大いに賑わせた小藤次が、次々と刺客を派遣されるのだが、その一人、まだ乳飲み子を抱え出奔した剣客須藤平八郎のたっての願いで、もし自分がこの果たし合いで死んだら、その子供を小藤次に託す、、、というものだったため、研ぎ仕事をしながら赤児を育てて、長い間の思い人、おりょうとも、夫婦になり三人の暮らしぶりから始まる。
その中で腕を江戸市中に知られる小藤次は、様々な事件や陰謀の解明に駆り出され、支援者も増えた。将軍家斉のお目見えも叶ったほど。
今回の話は、その俊太郎の亡き父母の故郷に帰り、母の墓前を弔い、江戸のある父の墓に一緒に入れ弔うこと。他にも兼ねてから付き合いの深い老中青山の統治する藩に、中々帰藩できないため、藩の内情に喝を入れるという働きも依頼された。
常に事件が小藤次に寄ってくる。
今回も無事事件を解決し江戸に帰る。
帰って早々、残虐な強盗団の噂が届く。
何と言っても、このシリーズは、幼子の成長ぶりや思春期になる俊太郎との関わり方、教えなど、背中で語る小藤次と愛妻おりょうとの家族愛が主軸で痛快な話の中に、家族とは?との主人公たちの自問自答が見えて、ほのぼのする。
Posted by ブクログ
特に緊迫することなくいつも通りの小籐次一家だが、駿太郎が見事にいい子に育って来てこのまま素直に大きくなってくれと思う。事件そのものは残虐だが、さほど深みはなく、いつもの如く小藤次が捌く