あらすじ
正月。小籐次は望外川荘で新年の膳を囲んだほか、おりょうの実家に駿太郎も連れて挨拶に行き、さらには久慈屋でも祝い酒を頂戴するなど宴席続きだった。そんな中、昨年来、同行を求められている伊勢参りについて昌右衛門と相談したが、どうも昌右衛門の歯切れが悪い。なにか悩みか、心に秘めたものがあるようだ。
一方、年末年始に立て続けに掏摸を捕まえた駿太郎は、奉行所から褒美をもらうことになった。駿太郎とともに招かれた小籐次は、面倒ながらも町奉行と面会し、帆船の絵本と眼鏡を贈られた。
そんな折、小籐次は望外川荘で何者かに襲われた。小籐次は難なく撃退し、その刺客の腕を惜しんで手加減したが、刺客は口封じのため雇い主の矢に射抜かれて死んだ。しかも、その矢を見たおりょうが驚愕の声を発した。なんと、刺客の雇い主とはおりょうの実兄だったのだ。おりょうの兄は、なぜ小籐次を狙うのか。そしてその結末は――。
書き下ろし第8弾。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
今回はおりょうの実家である北村家が多く登場した。
豊かではないけれど非常に気持ちの良い一家と感じていたけれど、そんな家にも実は困った家族がいるというのは小説の常套手段であり、北村家では兄がその役でした。今回の騒動は御歌学者の父、北村舜藍の潔い強さに救われた感じです。
小籐次が老眼鏡に対して抵抗を感じながらもその効果に驚くところに親近感を持ちました。
異国の眼鏡
おりょうの実家、北村家の両親とも和解し、不幸な結末ながらも、兄の始末もついた。後顧の憂いが無くなった事は、良しとしなければ。
赤目家三人が、南町奉行より、お招きを受け、褒美を、頂戴した。駿太郎には、元服の際着る小袖と継裃、おりょうには、天竺からの到来物のサリー、小藤次には、異国の帆船が描かれた絵本と異国の眼鏡(老眼鏡だね)。その眼鏡をかけて、憮然としながら、良く見える事に驚いている小藤次が、想像できて、可笑しい。
Posted by ブクログ
4年振りにこのシリーズを読んだが、意外に覚えていた。これまでは結構大きな事件に巻き込まれることが多かったように思うが、今回はその意味では地味。老眼鏡を手に入れた小籐次は、砥ぎ仕事に精が出そう