佐伯泰英のレビュー一覧
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柳橋の娘船頭である桜子が主人公の、市井の物語りと思ったら、長崎経由の異国行きという展開になってきた。
前作のモヤモヤがずっと続き、見えない敵に追われて若先生と一緒に異国船に乗った。海賊が出てきて戦うシーンが出てくると「交代寄合シリーズ」「新・古着屋シリーズ」に近づいてくる。二人で闘うシーンは座光寺と玲奈を思い出す。
後半にやっと敵の正体が分かるが、追われる原因がハッキリ分からずに、これまた疑問のまま。次作では、敵の巨大さに長崎にも留まれずに、東南アジア方面となる見込み。壮大な物語になってきた。
1作目から出てきたオランダ絵に、桜子が描かれた秘密もやっと明かされる。 -
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作品紹介・あらすじ
吉原や向島などへ行き交う舟が集まる柳橋。神田川と大川が合流する一角に架けられたその橋の両側には船宿が並び、働く人、遊びに行く人で賑わっていた。柳橋の船宿「さがみ」で働く船頭の広吉には一人娘がいた。名前は桜子。三歳で母親が出奔するが、父親から愛情を受けて育ち、母譲りの器量よしと、八歳から始めた棒術の腕前で、街の人気娘に育っていた。夢は父親のような船頭になること。そんな桜子に目を付けた船宿の亭主による「大晦日の趣向」が思わぬ騒動を巻き起こし……。涙あり、恋あり、活劇あり。待望の時代小説新シリーズの幕が開く。
令和5年7月19日~22日 -
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単発の書き下ろしで、三味線職人の成長物語。
タイトルの「竈稲荷の猫」は、稲荷神社に住み着く野良猫で代々(?)大事にされてきた猫。
三味線に貼る猫皮は黒猫のオスが最適とかで、今いる竈稲荷の猫も丁度その対象となり一騒動が起きる。
主人公の14歳の娘と三味線の棹だけ作る父親のもとに、弟弟子の若い職人が親方から修行の為に派遣される。最高級の材料を元に、親方しかできない全行程を一人で作ることになった若い職人。
娘と竈稲荷の猫に励まされ、三味線の完成に取り組む。
この14歳の娘が何でもできるし、的確な助言も次々と行って行く。佐伯作品では強い女性が付き物。二人の恋の行方も娘が主導権を持っているようだ。
若干 -
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長期に続いたシリーズを次々と終わらせた佐伯さんですが、やはり多作な作家なので短めの新シリーズを出して来た。4作シリーズの1冊目。
最初の方は主人公の紹介を兼ねた周辺事情が描かれる。
母親に幼くして捨てられた娘と船頭の父親の物語。小さい頃から父親の船に乗せて貰い、密かに船頭に憧れる。父親に反対されながら、竿に近い棒術の道場へ通うことに。母親譲りの美貌と長身で評判となる。道場で10数年、元々の才能も含めて有数の棒術使いとなり、次々と災難に立ち向かう。
歳の近い親友の友達や、道場の若先生、友達の従兄弟など同年輩の仲間も出来たり、町奉行や幕府の重臣達も出るような事件に出くわしたりと、中々忙しい。今後の -
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佐伯泰英の長篇時代小説『陽炎ノ辻 居眠り磐音(一)決定版』を読みました。
『奈緒と磐音 居眠り磐音』に続き、佐伯泰英の作品です。
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平成を代表する人気時代小説〈決定版〉刊行開始!
佐伯泰英さんの代表作「居眠り磐音」。
全51巻の〈決定版〉の刊行が始まります。
第一巻『陽炎の辻』は、豊後関前藩の若き武士3人が、国許へと帰参するシーンから始まります。
その夜、3人が直面した思いもよらなかった運命。
そして、浪々の身となった坂崎磐音は江戸・深川で長屋暮らしを始めます。
平成でもっとも愛されたエンタメ時代小説。
著者自らが再度、手を入れ〈決定版〉と -
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佐伯泰英の連作時代小説『奈緒と磐音 居眠り磐音』を読みました。
ここのところ、時代小説が続いています… 佐伯泰英の作品は、4年前に読んだ『神隠し 新・酔いどれ小籐次(一) 』以来なので久し振りですね。
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〝居眠り磐音〟が帰ってきた――三年ぶりの書き下ろし新作!
〝居眠り磐音〟が帰ってきた!
全五十一巻で完結した平成最大の人気シリーズが復活。
豊後関前藩中老職の嫡男・坂崎磐音の朋輩に妹の奈緒が生まれたその日(「赤子の指」)。
四歳の奈緒が磐音の嫁になると口にした日の出来事(「梅雨の花菖蒲」)など、本編では描かれなかった5つの物語を収録。
ふたりの -
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佐伯さんの本の登録は287冊目。付録によれば、この本は時代小説293冊目と言うことでサスペンスものなども読んでいるので、どこかで登録を漏らしているようだ。
これだけ読んでいるので、81才の佐伯さんの作品にどうしても老いを感じてしまう。最後の戦いも相手は何巻にも渡って登場していたのに一瞬で勝負が付いてしまう。壮年の頃はもっと切り結んでいたように思う。また今回も修行はあちこちで行い、中々最終地点に辿り着かない。辿り着いたと思うと又々空也が思い惑う状況。スッキリとした終わりにならない。
このシリーズはこれが最終回だが、やはり多作な作家のため、磐音と小籐次の新シリーズ化を考えているそうだし、全くの新シ -
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「佐伯泰英」の時代小説『神隠し 新・酔いどれ小籐次(一)』を読みました。
「浅田次郎」作品に続き、時代小説です。
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書き下ろし時代小説の巨星、ついに文春文庫登場!
背は低く額は禿げ上がった老侍で、なにより無類の大酒飲み。
だが、ひとたび剣を抜けば来島水軍流の達人である「赤目小籐次」が、次々に難敵を打ち破る痛快シリーズ登場。
わけあって豊後森藩を脱藩し、研ぎ仕事で稼ぎながら長屋に暮らす「赤目小籐次」。
ある夕、長屋の元差配「新兵衛」の姿が忽然と消えた。
さらに数日後、「小籐次」の養子「駿太郎」らが拐しにあった。
一連の事件は「小籐次」に恨みがあ -
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「空也十番勝負」の八番勝負(8巻)です。
時は寛政11年(1799)、空也20歳。武者修行も終盤に入りました。
安芸広島城下では、前巻から登場した、愛鷹の千代丸と下男の伴作を伴い武者修行を続ける佐伯彦次郎の名が、ついに空也の耳に入ります。
その後、播磨姫路城下にて、破れ寺の庭で町人相手に稽古をする撞木玄太左衛門と出会い、明石城下では二代目殴られ屋を開業、そして京に入り、愛宕山頂から空也瀧まで駆け下る厳しい修行に励みます。
一方、江戸の尚武館坂崎道場では、三月前に入門したばかりの江戸っ子鵜飼武五郎と、道場破りに来たという豊後杵築出身の兵頭留助が、〈奇妙な門弟〉として稽古することに。
久