佐伯泰英のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」の続編シリーズ「空也十番勝負」、1巻の下巻であります。
上巻は、物語の舞台が薩摩周辺に移ったうえに、空也の旅もなかなかスムーズにいかないため、話のテンポがいまいちつかみ切れずにいたのですが、下巻に入ったとたんググッとおもしろくなりました。
東郷示現流を学ぶために薩摩に入ろうとする空也ですが、国境付近で暗躍する無法集団外城衆徒との戦いにより、狗留孫峡谷の滝壺に落ちてしまいます。意識を失い川内川に流されているところを、薩摩藩前藩主島津重豪の重臣だった渋谷重兼と、その孫娘眉月が乗った船が通りかかり、彼らに助けられます。年が変わり17歳になった空也は、渋谷重兼の麓館で野太刀流の稽古を始めます。
いやぁやっぱりおもしろいですね! 渋谷重兼じいじがすごく良い。いざという時のじいじがね、カッコいいのですよ。優しいしね。ああ眉月ちゃんがうらやましい。
「終章」ではめっちゃ泣いてしまいました。磐音とおこん夫妻の気持ちを思うともう、込み上げるものを抑えきれず、ヒックヒックとしゃくり上げて泣いちゃいました。磐音シリーズからずっと読んできてこんなに泣いたの初めてだわ。
そして「あとがき」と「決定版刊行によせて」がとてもすばらしい。佐伯さんのいろいろなお気持ちを知ることができてうれしかった。〈やはり「居眠り磐音」と「空也十番勝負」の二つのシリーズは、父と子の長大なひとつの物語であり、この父子ふたりを描ききることがひとつの作品として完全なる「了」へと導く〉と書かれており、ファンとしてはヒャッハーな喜び、そして今私がこの決定版を読んでいることはとてつもなく幸せなことだと思いました。
最後にもうひとつ、舞台が薩摩なのでセリフがちょくちょく薩摩弁なのですが、数年前に林真理子さんの『西郷どん!』を読んだのを懐かしく思い出しました。「〜もはん」とか「〜もす」とか、ちょっとかわいらしくて薩摩弁好きなんですよねぇ。
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」50巻です。
前巻から5年後の寛政5年(1793)、坂崎空也は14歳。2年前から尚武館での稽古が許されています。尚武館、そして坂崎磐音の後継としての自覚も芽生えてきて、心身ともにかなり頼もしくなってきました。
空也がここまで成長しているということは、周りも等しく歳をとっているわけで、多くの登場人物が家族のように思えるこの物語の中で、加齢による衰えを見せる人物がいると、やっぱり寂しくなっちゃいますね……。
本巻のメイン・イベントは、なんといっても、磐音と空也父子が第11代将軍家斉からの呼び出しを受けてからの一連の出来事でしょう。依田鐘四郎が〈片手で両眼を覆った〉とき、彼の思いがどっと押し寄せてきて、私の目にも涙がにじみました。これぞまさしく、感無量。
それから、尚武館のわんこがなんと3匹に! 小梅が牡を2匹産んだそうで、名前は白山から取ってシロとヤマ。この子たちが登場するたびに、わたくし、もれなくとろけております。
そしてもうひとつ、かつて私が惚れたあのお方が、尚武館に戻ってきてくれてうれしい! こっ、この人は、もしかして……あの方では……? やっぱりーーーーーっ‼︎ とめっちゃテンション上がりました。
長く楽しませてもらった大好きなこの物語も、あと1冊で終わりかぁ……と思うと胸がギュッとして寂しくなるけど、そのあとに、空也を主人公にした「空也十番勝負」というシリーズがあるので(こちらも「決定版」として同じ文春文庫から刊行中)、そっちできっとまたみんなに会えると信じています。
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」49巻。
本来なら次の50巻で完結するはずが、佐伯さんの〈計算違い〉により51巻になったと「あとがき」に書いてあるのですが、私はうれしいですよ。もう一冊読めるんですから。そんな〈計算違い〉なら大歓迎でございますよ。
さて、前巻から1年経ち、天明8年(1788)、ついに田沼意次が死に、老中松平定信による「寛政の改革」が始まりました。しかし田沼の最後の刺客、七人の御番衆が放たれておりました。彼らの探索に、利次郎と霧子が向かいます。
一方で、田丸輝信の兄次助がお孝と祝言を挙げることになったり、尚武館に仔犬が1匹増えたりと、ほっこりほほえましい幸せな光景も。9歳になった空也は、まだ尚武館での稽古は許されていませんが、毎日庭で独り稽古に励んでおり、本巻ではなんと初陣にのぞみます。
今回一番ときめいたのは、そう、尚武館に仲間入りした仔犬(メス)です! 竹籠の中でくんくん鳴いてるとか、もうもうもうもうかわいすぎっ(涙)。名前も、小梅ちゃんだなんてめちゃかわゆいじゃないですか。睦月ちゃん、ナイスネーミング! そしてっ、本巻の表紙イラストがっ、最高なのだぁっ! 尚武館のわんこが白山と2匹になって、わたくしヘロヘロでございます。
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」48巻。
いきなり前巻から2年経っていて、読み始めてすぐ、おっとそう来たかとちとびっくり。
ネタバレにならないよう、裏表紙に書いてあるあらすじを参考にメモしておくと、本書での大きな変化としては、奈緒が江戸で「最上紅前田屋」という店をオープンさせたこと、それに、十代将軍家治がたおれたことにより政局が変わり始めたこと、ですね。あとは、尚武館の門弟田丸輝信の迷いと、お代の方の変化もありました。
といろいろあるのですが、何はともあれ本巻は幸せにあふれています。最終回なのかと思えるほど幸せな光景で、とくに第二章は泣けちゃいました。ここに描写されるすべての光景が、あでやかで美しくて輝いてまぶしくて優しくて、ちょっぴり哀しみもあり、ここまで本シリーズを読んできた者としては、まさかこんな日が来るとは……と感無量。もうここ何巻か毎回泣かされておりますわ。
また武左衛門がねぇ、良いですね。父としての思いが、胸にこたえます。なんだかんだでこの物語には必要不可欠なキャラなんですよねぇ。
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」47巻です。
物語が大詰めに差しかかっているからか、本巻では、田沼との戦いはもちろん、尚武館坂崎道場を訪れる客人(?)たちや、山形で苦しむ奈緒の境遇など、いろいろな局面の展開に、心が動かされっぱなし。とくにラストの第五章では、いろんな涙がにじみました。全部自分のメモとして書いておきたいところだけど、ここに書くのはこれから読む人たちの興を削ぐことになりそうなのでやめておきます。
最低限のメモとして、本巻ならではの目玉となる人物だけ書いておくと、妖術を使うひなの婿選びのために尚武館坂崎道場へ立ち合いを求めにきた迷惑千万な鹿島神陰流卜部一党と、磐音が谷戸の淵からの帰りにばったり会っちゃった絵師北尾重政、ですかな。
めっちゃ笑ったのは、空也が金兵衛のことを「うちの爺上は、れいちょうではございません、父上」とのたまったシーン。吹き出したわ。
それと、北尾重政と武左衛門のやりとり! もう最高。おもしろすぎ。こりゃ漫才かコントかっていうくらい。すばらしいゴールデンコンビですな。
そして毎度のことながら、白山がかわゆくていとおしい(←犬好き)。
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」シリーズの新作スピンオフ5冊目は、唐傘長屋の幼なじみ、おそめと幸吉のお話。中編が2話収録されています。
第一話は「おそめ初仕事」。磐音一家が江戸を離れていたときのエピソードです。おそめは、江三郎親方の元で縫箔の修行中ですが、初仕事で才能が開花して、江戸じゅうがこの話題で持ちきりに。そんな中またしても武左衛門がからんだ事件が起こり、南町奉行所の面々まで登場する始末。これはもう普通にミステリーとしておもしろく読みました。幸吉、えらい! 頼もしい!
そして第二話は「幸吉独り立ち」。こちらは磐音一家が江戸に帰ってきたところから、ラストまで、で合ってるかな、私が読んだ46巻よりも先の話まで書いてあります(ええそうなんですまたネタバレされちゃった状態になっているんですでも決定版の刊行順に読みたいからここで本書を読んだので仕方ありませんみなさまはお気をつけください)。おそめも幸吉も、一人前の職人になるべく奉公や修行をがんばっており、ぐんぐん成長中。そのかたわらで、磐音と田沼の戦いが続いております。幸吉の竹串飛ばしには笑っちゃいましたが、ほんっとにいい話でした。ラスト、船の上のおそめに、感慨深くて胸がいっぱいになり涙が出ました。
スピンオフ5冊の中で、本書が一番好きかも。このシリーズのエッセンスがぎゅっと詰まった一冊だと思いました。これを読めば、磐音の世界の魅力がひととおり味わえる感じ。「あとがき」でも、このシリーズの完結に関連してスピンオフも本書でいったんお休み、と書いてあるので、磐音シリーズの集大成的な一冊と言っていいかもしれません。
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」46巻です。
やってくれましたな、佐野善左衛門政言。江都を揺るがす大事件が起こりました。これについては何を書いてもネタバレになりそうだから、ほぼ何も書けません。もう、大騒ぎですよ。わたくし、まだ茫然としております……。そして弥助さんを全力で称賛、応援いたします。
山形にいる奈緒の窮状が明らかに。これは完全に被害者ですわね。磐音じゃなくても、助けてあげなくてはと思わせます。一八さん、この登場はカッコいいぜ!
もうひとつ書いておきたいのは、序盤のシーン、竹村武左衛門と娘の早苗との会話。どっちの気持ちもわかりすぎて、胸が痛んで涙が出ました。娘ってね、父親に対して素直になれない時期があるんですよ。悪いと思いつつも、顔を見るとつい厳しい言葉をかけてしまう。それにしても早苗さん、ちと言い過ぎでは、と思うのは、私が歳をとったからでしょうか……。ここで金兵衛が武左衛門に「娘じゃなきゃあ、言えない言葉なんだよ」と言い、さらに早苗には「おめえさんのお父っつぁんじゃなきゃできないことなんだよ。その気持ちを察してやりねえな」と言ってるのが、もう泣けて泣けて。金兵衛さん、最高すぎ。(涙)
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」44巻です。
くはー、シビれました。すばらしい。これですよ、こうでなくっちゃ。
本巻でもいろいろあるんですよ。尚武館坂崎道場が改築され、「尚武館改築祝い 大名諸家対抗戦」なるイベントの準備に忙しくしていたり、浅慮な佐野善左衛門政言にお灸をすえる意味でも、闇読売に一計を案じてみたり。
そんな中、さらなる重大事件が起こるのですが、それがもうめちゃくちゃ胸アツなのです。やっぱり最高だぜ、笹塚孫一! しかも、笹塚の言葉にグッときて目が潤んでいるところに、木下一郎太の一大ニュースがまた、これがもうっ! くうぅぅぅぅっ、泣けるぜぇ。
私の胸をアツくさせた笹塚孫一のセリフを書き出しておきます。
「(略)坂崎磐音にはこれまで無数の借りがある。かようなときに動かぬでは笹塚孫一の男が廃る」
「(略)われら、不浄役人と蔑まれる町方役人ゆえ、ふだんから頭を下げることなどない。だがこたびの一件、わしは真相を知るためなら頭も下げれば、汚い手も使う。老中若年寄父子に奉行所まで壟断されてたまるか」
-
Posted by ブクログ
「居眠り磐音」42巻。
今回はもう、忙しいのなんのって! 問題が山積しておりますな。でもこの物語は、これでこそなのです。
冒頭、参勤上番で江戸入りした豊後関前藩の藩主福坂実高と磐音が再会したところで胸がいっぱいになりウルウルしていたら、なんと次期藩主俊次とご対面、関前の輝かしい未来を思わせます。
他方、4歳になった空也の頼もしさに驚き、武左衛門とその息子修太郎のふるまいにいろんな意味で戸惑い、磐音の両親が関前への帰路につき、尚武館の増改築の際に地中から出てきた二振りの刀の謎が深まり、山形にいる奈緒の近況を知り、江戸起倒流鈴木道場に怒り心頭、という何かと忙しい一冊でした。
「かくなる事態にそれがし、堪忍袋の緒が切れ申した」と磐音が語るシーンではゾワゾワしたわ。この人をこんなに怒らせてはいけません。
ここまでいろんな感情の振り幅が大きい小説、なかなかないと思う。あちらこちらに心配の種は尽きないし、いやもうマジ目が離せねぇぜ!
-
ネタバレ 購入済み
安定の面白さ!
小藤次の居るところに事件有り。事件の方が、勝手に寄ってくるのか、小藤次が引き付けてしまうのか….….
今回も、豊後森藩の参勤交代に同道することになり、出発間近に一件、また、出発して、直ぐに、また一件。
まだまだ先は長いし、着けば、また難問が、待ちかまえていそうな予感がする。
それを、サクッと解決する所が、面白いのだけれど(笑) -
ネタバレ 購入済み
さっぱりすっきり
いつもながらきれいに決着が付いて安堵しました。
まだまだ先の展開が気になってしょうがない。
早く続編出ないかと楽しみにしております。