ディケンズのレビュー一覧

  • 荒涼館 一

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    やっと読んだ
     3巻まで岩波文庫で読んだ。読みづらさを感じて4巻はちくま文庫で。

     岩波文庫はわりあひ正確な訳で、挿絵も登場人物表も地図もあって至れり尽くせり。しかし、訳文が堅苦しくてこなれてゐない印象。
     ちくま文庫の方は訳は古いが、文体が生き生きして、岩波文庫より読みやすい。
     個人的にはちくま文庫の方がいいです。岩波で解らない箇所はちくま、ちくまで解らない箇所は岩波といふ風に交互に読むとより理解できた。

     それにしても克明な描写とそれに紛れた数々の伏線には感嘆した。
     小谷野敦と大江健三郎と筒井康隆がディケンズの最高傑作だとほめてゐた。恐しく長大な社会派エンターテイメントで、一瞬純文

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    2022年09月17日
  • 二都物語(下)

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    よかった。読んでよかった。

    静かに静かに進んでいく上巻。
    正直睡魔に襲われて全然進みませんでした。。


    そしてフランス革命。
    運命に翻弄される人々を描いた激動の下巻。
    下巻で散りばめられたあらゆる伏線が回収されていく様子に
    ページを捲る手を止められませんでした。

    自由、平等、博愛、さもなくば死!
    虐げられ貧しさに耐え自由を勝ち取るために立ち上がった
    もう誰にも止められない群衆の熱気が怖いほどに、
    読んでいる私にも伝わってくるようでした。

    今回もまっさらな気持ちで読みたく、
    いつも通りあらすじも帯も全く見ないで読みました。
    あぁ主役はあなただったのか…と。
    それぞれの結末に、後半はずっと

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    2022年06月29日
  • 二都物語

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    タイトルの地味さとは裏腹に、物凄くスケールの大きな大河ドラマ。一大エンターテイメント。
    勧善懲悪なんだけど、根底に民衆の本物の苦しみがあるからこそ、その中での愛や助け合いや勇気が輝くのだと感じる。
    割とかっちりした辻褄合わせとか、現代的な感じ。漫画化したりして今の若者にも読んでほしい。

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    2022年05月04日
  • 二都物語

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    ミュージカルや演劇を何度も観るよりこの本一冊でその何倍もの感動を体験できると思う。
    こぼれたワインを舐めとる様子や、ゴルゴンの首に出てくる侯爵の館など、惹きつけられる描写が多く、形や色彩や音を伴って感覚に訴えてくる作品だった。

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    2022年03月11日
  • 二都物語(下)

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    ネタバレ

    <登場人物>

    チャールズ・ダーネイ→フランス亡命貴族

    シドニー・カートン→弁護士(見た目はダーネイとそっくり)。ストライヴァーとは昔からの友人。

    ストライヴァー→弁護士。ダーネイ氏の裁判に出席。カートンの主人のような関係の友人。

    マネット医師→18年間生きたままバスティーユ牢獄に入れられていた

    ルーシー→マネット医師の娘で美人

    ロリー→テンソル銀行員。テンソル銀行はロンドンとパリどちらにも属する銀行

    ドファルジュ婦人→反革命派の人間をリストアップし、彼らを順に告発して死に追い込む

    このうち、ダーネイ、カートン、ストライヴァー全員がルーシーに恋をすることになる

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    2022年02月21日
  • 二都物語(上)

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    ネタバレ

    <登場人物>

    チャールズ・ダーネイ→フランス亡命貴族

    シドニー・カートン→弁護士(見た目はダーネイとそっくり)。ストライヴァーとは昔からの友人。

    ストライヴァー→弁護士。ダーネイ氏の裁判に出席。カートンの主人のような関係の友人。

    マネット医師→18年間生きたままバスティーユ牢獄に入れられていた

    ルーシー→マネット医師の娘で美人

    ロリー→テンソル銀行員。テンソル銀行はロンドンとパリどちらにも属する銀行

    ドファルジュ婦人→反革命派の人間をリストアップし、彼らを順に告発して死に追い込む

    このうち、ダーネイ、カートン、ストライヴァー全員がルーシーに恋をすることになる

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    2022年02月21日
  • オリバー・ツイスト

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    200年近く昔の本、しかも文庫本で800ページを超える大作だが一気に読み終えた。救貧院で生まれたオリバー・ストーンの物語。今でいう孤児院だが、今とは比べ物にならないくらい劣悪な環境で、下層階級出身かつ親のいない子供は社会のお荷物で、「運河に捨てる方がマシ」などと言われていた時代。オリバーも、孤児院から売られ、親切な老人に助け出されるが、悪党一味に連れ去られる。その後、強盗の下働きで侵入した家で執事に撃たれ、怪我をするが、運よく家の令嬢に救われ、そこで事態が一変する。前半に仕込まれたいろいろな伏線が、最後の数章で一気に回収され、気持ちよく読み終えることができる。最下層の人々の生活を表現する上での

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    2022年02月17日
  • デイヴィッド・コパフィールド 五

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    まとまりすぎているくらい、まとまっている最後だった。
    それぞれの人物が落ち着くべきところに落ち着いた、まさにそんな感じだ。
    ディケンズは優しいな、と思う。
    登場人物たちを大切にしている。
    やや甘やかしているくらい、キレイな筋を作っている。
    アグネスの件については、伯母さんになった気分でやきもきした。
    面白く読めた。
    本作には、様々な夫婦が登場する。
    そこに視点を置いて読んでも、考えさせられたり、うなずいたり、楽しめた。
    この作品は読む価値ありだと思う。
    子どもたちにも薦めたい。

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    2021年03月18日
  • デイヴィッド・コパフィールド 四

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    ユライアのような、悪の権化のような人間は、周りにいる人間を次々に損なっていくのだなあ、と、怖くなった。
    関わりたくない。
    ドーラの能力の無さ、幼さ、そして純真さには、呆れる一方で、このような生き方しかできない人もいるのかもしれない、とも思った。
    伯母さんのように、彼女を全面的に受け入れようと努力をすることが一番大切なのだ、と、デイヴィッドも気づく。
    伯母さんが素晴らしい。
    しかし、伯母さんにも弱い点があって、その不完全さに人間らしさを感じた。
    多くの登場人物が絡み合って、最終巻へと話は進む。
    早く続きを読みたい、という気持ちになった。

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    2021年03月18日
  • デイヴィッド・コパフィールド 三

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    青年期の恋愛やトラブルが盛りだくさんな巻だった。
    エミリーについては、早い段階で薄々こうなりそうな気配がしていたが、案の定だった。
    それぞれの恋愛がまだ未熟で不安定で、若い。
    大人の社会のずるさも、不幸も、恋愛も、全てがコパフィールドを鍛えている途中、といった感じがした。

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    2021年03月18日
  • デイヴィッド・コパフィールド 二

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    伯母さんが素晴らしい。
    なんて凛として慈悲深い人なんだろう。
    デイヴィットの境遇は、伯母さんのおかげで安定して穏やかになった。
    すばらしい人たちに囲まれた時代。
    成長してゆくにつれ、世の中は変化し、裏にある悲しさをも見ることになるのだけれど、それでも幸せな日々を送れたことに違いはない。
    最後の一章が笑えた。
    独り暮らしを始め、一人前になりかけると、つい羽目を外してしまうのは、古今東西同じなのだなあ。

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    2021年03月18日
  • デイヴィッド・コパフィールド 一

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    面白くて、ぐいぐい引き込まれる。
    笑いと涙、切なさにあふれている。
    それぞれの人物の個性がはっきりとしていて、愚かさも愛すべき点も、ずるさも、滑稽さも、次々に繰り広げられる。
    子どもだから騙されたり、力に負けたりしてしまう。
    読んでいて、デイヴィッドに寄り添わずにはいられない、そんな気持ちになる。

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    2021年03月18日
  • オリバー・ツイスト

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    途中、作者がオリバーをいじめるので、つらくて休み休み……つかの間の安らぎを手にしたときも、残りの長さを見ながら、あーこのまま幸せになるはずないと絶望したり(笑)。当時は連載だったから、先を見とおすなんてこともなく、読者は毎回胸をときめかせて読んだんだろうな。

    わたしこれまで、ディケンズは、主に翻訳にはばまれて何度となく挫折してきたんだけど、これは本当に読みやすかった。と同時に、ディケンズのちょっともってまわった、皮肉と風刺に満ちた言いまわしや、ほろっとくるような描写なんかも堪能することができた。

    ストーリーは、ある意味びっくりするくらいご都合主義なんだけど、この物語に関して言えば、予定調和

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    2020年04月30日
  • 二都物語

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    まず掴みの馬車シーンからしてダイナミックで面白く、音や映像的なイメージの使い方もうまい。映画的なシーンが多々。クライマックスへ向かう高め方、回収の仕方も素晴らしい。手練だわ、ディケンズすごいわーと改めて思わされる。
    私は女の対決シーンが特に面白かった。

    いやー、「人間を描く」とはこういうことだよね。

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    2020年02月19日
  • デイヴィッド・コパフィールド 五

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    ついに読み終わってしまった。
    面白かった!読み終わるのが勿体ないくらい。
    普段読むのは漫画ばかりの私でも、頁を繰る手が止まらずに、5巻まで飽きることなく読むことができた。
    父から大河ドラマだよ〜と聞かされていたけど、本当にそう。
    150年も昔に書かれた大河ドラマ、当時のイギリスの街並みや観念、社会の様子などがよくわかるように描かれていて、話の筋以外のところも随分興味深かった。
    また、次々と現れるキャラクター達は漏れなくユーモアたっぷりで、読後にはどの人物にも思いを馳せてしまう。
    予定調和でご都合主義的なところもあるものの、割り切って読めば思い切り楽しめる要素でもあるかも。
    また忘れた頃に読み返

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    2018年12月29日
  • 二都物語

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    フランス革命下のロンドンとパリを舞台にしたお話
    ヒロイン描写がかなりすごいが
    冗舌なようでもわきまえた表現がさすが
    娯楽小説な筋書きでありながら
    時代絵巻の拡がりは
    文章で表現する小説ならではの小説らしい小説

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    2018年10月25日
  • 二都物語

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    ネタバレ

    こういう作風に慣れていないので、ハマるまで時間がかかったが、ハマってからははらはらしながら読んだ。
    フランス革命時のパリ市民の様子は授業ではよくわからなかったが、こんな感じの印象だったんだなぁ、と歴史の勉強もできた気がする笑

    まさかダーネイとカートンの顔が似てることが最後の最後でそうなるとは…!!
    カートンが全部持ってった……
    自らの死と引き換えに永遠に愛する者の中で生き続けることを選んだんたね……!
    自己犠牲の愛を貫いて、聖書の一節のように彼は永遠の命を得たんだろう。

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    2018年07月30日
  • 二都物語

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    新潮文庫では、佐々木直次郎訳→中野好夫訳→加賀山卓朗訳(本書)と、3つの版が出版されてきたが、本書は非常に丁寧な良訳で感動した。

    特にカートンの言葉づかいがすごく良い。彼の話す一言一言に、彼がどんな人間かがにじみ出ている。カートンの登場場面はいつでも胸がつまった。

    あとがきを読むと、原文の構成や解釈、過去に出版された邦訳の訳文など丹念に研究した様子がうかがえ、特に最終章の”歴史的現在”をきちんと生かした訳になっているのが素晴らしい。中野訳ではこの部分が破壊され、抑制した中ににじむ感情の高まりや物語全体の余韻を全く感じることができず、佐々木訳に比べて非常な物足りなさを感じていた。

    大好きな

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    2017年09月01日
  • デイヴィッド・コパフィールド 五

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    ネタバレ

     遂に完結! 最後の5巻はすべての伏線を回収して,基本的に良い人には幸せが,悪人にはそれ相応の報いが訪れる(例外もあるが).そうか,謎のキャラクターのミコーバー氏の役割はそういうことか.
     ディケンズのお話の常で,やや主人公のキャラクターが薄く,基本的に周りの出来事に翻弄されることによってストーリーが進んでいくのだが,今回の場合には「ほぼ自伝」とされているので,つまり自分の感情を書き込んでいないのは,やむを得ないでしょう.
     ご都合主義とも言われることが多いディケンズの小説の中では,おしまいにきちんと着地を果たした感じで,とても良くストーリーが練られて書かれているように感じた.かなりの数の小説

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    2016年08月03日
  • 大いなる遺産 下

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    事象だけで言えば結局彼の手に残るものは何もなく、尚且つそれは読者の予想できうる範囲だったろうけども、主人公の生々しい心理の変遷、割り切れない感情が素晴らしくて一息に読んでしまった。
    神の見えざる手という表現を聞いたことがあって、それは作者という神がストーリーに意味合いを与えるべく素晴らしい偶然や奇跡を主人公に落としていくことを表すのだけれど、仮にその手があったとしても主人公はついぞ神をちらと仰ぎ見ることもなくただ自分の人生を生きていた。
    歩んでも歩んでも先行きの知れない人生を人生として生きている、その歩みは作者や読者の期待とに乱されることなく、彼だけのものだった。

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    2015年03月02日