【感想・ネタバレ】オリバー・ツイストのレビュー

あらすじ

生まれ育った救貧院でも、徒弟として売られた葬儀屋でも、人間的な扱いを受けたことのない孤児オリバー。道端で会った気さくな少年が、ロンドンで住居や仕事の世話してくれる人物を紹介するというが……。苛酷な運命に翻弄される少年とそれを取り巻く人々の思惑をドラマチックに描いた、ディケンズの出世作。挿絵多数!

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Posted by ブクログ

200年近く昔の本、しかも文庫本で800ページを超える大作だが一気に読み終えた。救貧院で生まれたオリバー・ストーンの物語。今でいう孤児院だが、今とは比べ物にならないくらい劣悪な環境で、下層階級出身かつ親のいない子供は社会のお荷物で、「運河に捨てる方がマシ」などと言われていた時代。オリバーも、孤児院から売られ、親切な老人に助け出されるが、悪党一味に連れ去られる。その後、強盗の下働きで侵入した家で執事に撃たれ、怪我をするが、運よく家の令嬢に救われ、そこで事態が一変する。前半に仕込まれたいろいろな伏線が、最後の数章で一気に回収され、気持ちよく読み終えることができる。最下層の人々の生活を表現する上での差別的な単語も多いが、19世紀中盤〜後半は実際にそうだったのだろう。力を持たないオリバーが周囲の紳士淑女たちの献身的な支援で悪の淵から救い出されるのだが、女々しすぎてちょっといただけないと思うのは僕だけだろうか。

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2022年02月17日

Posted by ブクログ

途中、作者がオリバーをいじめるので、つらくて休み休み……つかの間の安らぎを手にしたときも、残りの長さを見ながら、あーこのまま幸せになるはずないと絶望したり(笑)。当時は連載だったから、先を見とおすなんてこともなく、読者は毎回胸をときめかせて読んだんだろうな。

わたしこれまで、ディケンズは、主に翻訳にはばまれて何度となく挫折してきたんだけど、これは本当に読みやすかった。と同時に、ディケンズのちょっともってまわった、皮肉と風刺に満ちた言いまわしや、ほろっとくるような描写なんかも堪能することができた。

ストーリーは、ある意味びっくりするくらいご都合主義なんだけど、この物語に関して言えば、予定調和万歳だよ(笑)そして、多くの人たちが指摘しているように、悪人たちの実在感のすごいこと。狂犬のようなサイクス(飼い犬可哀想だった(:_;))、美しい心を持ちながら掃きだめから逃れられないナンシー(DVから逃げられない女性の典型のようで、ディケンズすげーとなった)。彼らに対してディケンズは相応の報いを与えているけど、まなざしは決して冷ややかではない。むしろ、社会的地位にあぐらをかいて弱い者をいじめる教区吏のバンブル氏や救貧院のおかみを徹底的に軽蔑しているように思える。

でもって、少し前なら、こういう人間のいやしさに対して、「むかしだからね」とか「ヴィクトリア時代のイギリスってこんなだったんだ」という人ごとのような感想を持ったかもしれないけれど、コロナウィルスが蔓延して、毎日、人間のいやしさと恐ろしさを伝えるニュースやら、困窮した人に対してまったく同情心のない施策のかずかずを目にしていると、ディケンズ時代と変わらないじゃん! という気持ちしか湧いてこないのであった。

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2020年04月30日

Posted by ブクログ

厚いわ!850ページは上下巻に分けろや!( ゚д゚ )クワッ!!

失礼、取り乱しました

というわけで、ディケンズです
『オリバー・ツイスト』です
主人公はもちろんオリバー・ツイストなんだけど、出番がまぁまぁ少ない
題名にしたほどの主人公なのにまぁまぁ少ない

さて、どんなお話かって言うとですね
孤児のオリバーがおって、その周りに悪人陣営と善人陣営がいて、両陣営がオリバーを自分たちの方に引っ張り合う
ものごっついざっくり言うとそういう話

で、基本オリバーは超善人の魂の持ち主なので、ほっとくとすぐ善人陣営の方に行っちゃう
なので悪人陣営がもうあれやこれやとやってくるわけです

もう、この悪人陣営の面々がすごいのよ
ほんと嫌なやつばっかりやで
イラーっとしっぱなし
ムカムカーのムッカムカー!

そしてこの引っ張り合いには、実は秘密が隠されていて…っていうね

ディケンズなので、最後は超絶ハッピーエンドなのは分かってるんだが、もういつまでたってもオリバーにはひどいことしか起きないので、さすがにちょっと心配になりました

でも安心して下さい
オリバーは実は…というベタ展開でハッピーエンド!です

でもね
この物語の読みどころは悪人たちです
なんかねー哀しいのよ
嫌なやつばっかりなんだけど、これさ社会ってやつがこの悪人たちを生み出してるんちゃうの?って思わされるんよな

社会を変えよう!ってのが実はこの物語の目指すところだったんちゃうかな〜?

でもな〜あんまり変わってないかも
ディケンズに顔向けできんわな

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

思ったよりも登場人物が多く、プロットが複雑だった。
1837年の作品であり、もちろん現代から見れば陳腐だったりストーリーが読めてしまうところもあるのだが、それを差し引いても面白かったと思う。
翻訳もとても読みやすかった。

19世紀のロンドンの現実がすごく生々しく描かれていて、特に犯罪者や困窮者の住む暗く汚れた区域の描写が良い。

オリバーは主人公と呼べるような活躍はしない。
基本的に流されるにまかせるばかりだが、心の中に揺らがぬ善意を持っており、それが周囲の人々の動きに影響を与えているようである。つまりオリバーという対象物を巡る群像劇という感じである。
オリバーを守ろうとする人、オリバーを利用して利益を得ようとする人、それぞれの利害が交錯する中でさまざまな事件が起こり、過去の秘密が明らかになり、最後はハッピーな形で決着がつく。

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2025年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

名前は知ってたけど、こんな話だったとは知らなかった。ミュージカルも見たことあったはずだけど、たまたま見たのが英語のままだったから、歌以外は記憶にない。
800ページ以上もあったので、まず、読み終えたのがすごい達成感。

このお話が展開したころ、日本はまだ江戸時代だった。訳にもよるだろうけど、その時代のものが古さを感じずに読めたのがすごいなって思う。まだ日本で小説が誕生する前。

最初に気付いたのが、イギリス的というか皮肉と思われるような修飾語が使われていたこと。
結構、登場人物が多いので、全員識別できるかな・・と心配していたけど、しっかり描き分けられてた。
悪人がぞろぞろ登場する割には、凶悪な事件が起こらない(つまり殺人)のかなあ‥と思ってたら、残念ながらかわいそうな展開が待っていた。スコットランドヤードという名の機関がまだ誕生する前の話。この小説が後の探偵小説などにも影響を及ぼしているらしい。

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2023年02月12日

Posted by ブクログ

オリバーは、全てが包括された"人生ガチャ"のハズレをひいただろう。サラサラと読めるこなれた翻訳だがそれ故に物語の理解度が高くなり、少々キツい。だが流石は文豪ディッケンズ(と新訳)、読ませ方が上手いのだ…

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2021年10月07日

Posted by ブクログ

子供と関わる仕事をしているから、純粋で心優しい主人公に苦難がたくさん降りかかるところが、読んでいてとてもしんどかった。途中で挫折してしまったが、メンタルが安定している時にもう一度読みたい。

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2025年10月21日

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