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失踪していたエミリーがとうとう姿を現した。そんなとき、日増しに衰弱していたドーラが、とうとうあの世へ旅立った。エミリーから託されたハムへの手紙を持ってヤーマスへ向かったデイヴィッドであったが、折しも嵐が襲いかかり、怒号する大海原に難破船が浮かんでいるとの話を耳にする…。(全5冊完結)
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Posted by ブクログ
伏線回収も見事。しみじみとしており、精神の高潔さが脈打っている。 当時も、今も、ジェンダー観に揺さぶりを与えくれる。 オーストラリアへの移民が夢として描かれているのが、植民地時代の名残か。
まとまりすぎているくらい、まとまっている最後だった。 それぞれの人物が落ち着くべきところに落ち着いた、まさにそんな感じだ。 ディケンズは優しいな、と思う。 登場人物たちを大切にしている。 やや甘やかしているくらい、キレイな筋を作っている。 アグネスの件については、伯母さんになった気分でやきもきした。...続きを読む 面白く読めた。 本作には、様々な夫婦が登場する。 そこに視点を置いて読んでも、考えさせられたり、うなずいたり、楽しめた。 この作品は読む価値ありだと思う。 子どもたちにも薦めたい。
ついに読み終わってしまった。 面白かった!読み終わるのが勿体ないくらい。 普段読むのは漫画ばかりの私でも、頁を繰る手が止まらずに、5巻まで飽きることなく読むことができた。 父から大河ドラマだよ〜と聞かされていたけど、本当にそう。 150年も昔に書かれた大河ドラマ、当時のイギリスの街並みや観念、社会の...続きを読む様子などがよくわかるように描かれていて、話の筋以外のところも随分興味深かった。 また、次々と現れるキャラクター達は漏れなくユーモアたっぷりで、読後にはどの人物にも思いを馳せてしまう。 予定調和でご都合主義的なところもあるものの、割り切って読めば思い切り楽しめる要素でもあるかも。 また忘れた頃に読み返したい。
いろんな人物が出てくるが、ベッツィ伯母さんが良い人だった。 伯母さんに、奥さんに家事を教えたりしてくれないかと頼んだときに、「お前の母さんが再婚してどうなったか憶えているでしょう」と言われ、義父と同じことをするところだったと覚ってはっとするシーンが、個人的には印象に残った。奥さんも大概だけど。
ようやく完読。ハッピーエンドで楽しい小説だった。ドーラとアグネスの去就には短絡的なところも感じられたが、登場人物それぞれのキャラクターがおもしろかった。それでも発表当時は主人公が持つ派手ではなく真面目、誠実が尊ばれたのかなと思った。挿絵が著者の他の作品にも見られるがこれもよかった。2023.6.15
小説ってやっぱり面白いんだな~と安心する。 作中、コパフィールドが昔馴染みから「あんたの小説は眠くならない」と評されて、それは大切なことだって再認識する箇所があるが、その通りこんなにも長大な小説なのにいっぺんも眠くなるような難所はなかった。 それはどうしてか、考えるにつけて。 ひとつには非常にドラ...続きを読むマチックな点。一人称で描かれたコパフィールド少年の有為転変の物語なんかハラハラドキドキが止まらない。 ひとつには、とてもフラットに描かれている点。実母の命を奪ったダーシー姉弟や体罰校長のクリークルといった同じ人間とはとても思えない冷血漢が続々出てくるけれども、そういった時の感情にはあまり深入りしない。コパフィールド少年がアンフェアな仕打ちをしたミル先生に対しても、実にあっさりと話をつけてしまう。(しかしまさか最後の最後でそれらの人物に決着をつけてしまうとは思いもよらなかった。ご都合主義の骨頂とも言えるだろうが、感情や思考の葛藤には深入りせずに、あくまで物語としてケリをつける潔さがそこにはある。ディケンズにとって一人称の小説を書く時、それによりバランスを保ったのかな?) まあ色々と考えてみるけど、この小説を読み進めていく原動力は、「ここには何か大事なことが書いてある」という何か直観とか本能的なもののような気がどうもする。 言葉にするとすれば、「啓蒙主義的」ってことになりそう。美しい行いや正義、思いやりといった人間として「善」であることがここには描かれている。 啓蒙的な小説ってここ最近の本に探すのはちっと難しいんじゃなかろうか。 どうも「善」ははびこる「悪」に道を明けたようだ。 だからこそこの本には、時たま開いて読んでみる価値が絶対にある。 個人的には四巻の「新生活」と「家庭」といったドーラとの結婚生活のことが描かれた章がとても身につまされ、またついほろっとくるような話でした。
ディケンズの大作の最終巻。にっくきヒープをいてこまし、ついでにミコーバーさんの大噴火もあり、アグネスが開放される。それに続き愛すべき多くの人々の死、ドーラ、ハム、スティアフォース。気丈にベゴティー伯父とエミリーとミコーバー一家をオーストラリアに送り出すが、コパフィールドはうつ状態に。しかしそんなかん...続きを読むだでも、アグネスと結ばれ、ついにハッピーエンド。 プロットの不自然さは後半気になったが、人物豊かに描ききったディケンズの大著読破の達成感深し。 11/12/8
ディケンズは、子供の頃読んだオリバー・ツイスト以来。愛情に恵まれない幼年期を過ごしながら、正直で素直で努力家に育ち、自ら人生を切り開くことに成功する主人公。性格の捻くれた悪党はみなそれなりの報いを受け、真っ当な人たちはそれなりの幸せを手にする、なるほどディケンズワールドだった。可愛らしいが知性と生活...続きを読む能力に欠ける妻はなんとも都合が良く死んでくれるところには苦笑してしまったが…
ドーラの死、ヒープの破滅、ペゴティー家の渡豪、アグネスとの再婚。 複数の話の筋を見事にまとめたな、という印象。 というかドーラの死因はなんだったんだろう。 特に理由もなく死んでしまう時代ということなのか。
遂に完結! 最後の5巻はすべての伏線を回収して,基本的に良い人には幸せが,悪人にはそれ相応の報いが訪れる(例外もあるが).そうか,謎のキャラクターのミコーバー氏の役割はそういうことか. ディケンズのお話の常で,やや主人公のキャラクターが薄く,基本的に周りの出来事に翻弄されることによってストーリー...続きを読むが進んでいくのだが,今回の場合には「ほぼ自伝」とされているので,つまり自分の感情を書き込んでいないのは,やむを得ないでしょう. ご都合主義とも言われることが多いディケンズの小説の中では,おしまいにきちんと着地を果たした感じで,とても良くストーリーが練られて書かれているように感じた.かなりの数の小説は,そのルーツをたどると,このデイヴィッド・コパフィールドに源流が行き着くのではないか?
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ディケンズ
石塚裕子
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