水野和夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
#ツナグ100分de名著
\\ 寛容な心。そこにある強さ。 //
『平和』について、
4冊の本から共に考える。
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【タイトル】別冊 NHK 100分 de 名著「平和」について考えよう私たちに何ができるのか?
【 著者 】斎藤環/水野和夫/田中優子/高橋源一郎
【 出版社 】NHK 出版
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本書は2016年オリンピックイヤーに当たる年に企画された。
オリンピックは元々『平和の祭典』として戦争を休戦して大会に参加しようという理念がある。
そこから企画された本書は、4章4冊から成り立っている。
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第1章
フロイト『人はなぜ戦争をするのか』斎藤環
☆心理学から考える。平和のためにできることはダイアローグ対話である
第2章
ブローデル『地中海』水野和夫
☆経済学から考える。平和のためにできることはよりゆっくりより近くより寛容に
第3章
井原西鶴『日本永代蔵』田中優子
☆江戸文学から考える平和のためにできることは信頼を作り出し、それを持続すること
第4章
ボルテール『寛容論』高橋源一郎
☆哲学から考える。平和のためにできることはPray,and think
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このポストでは、第一章『フロイト//人はなぜ戦争をするのか』について、触れてみたいと思います。
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『人はなぜ戦争するのか』は精神分析の創始者であるジークムント・フロイトが物理学者アルバート・アインシュタインの呼びかけに応じて交わした公開の往復書簡である。
●アインシュタインは、人間の心自体、平和に抵抗する人間の悪しき権力欲と権力にすり寄って利益を得ようとする心がある。人間には本能的な欲求が潜んでいてその本能的な破壊欲動、死の欲動があると言った。
●戦争防止する2つの方法
①感情的な絆
②同一化
●反戦活動をする問いのこたえ
①個人の生を尊重するという個人主義に基づく
②生理的に戦争が嫌だと感じるから
●文化は欲動を制限する
文明は科学技術的なもの、文化はどちらかというと人文的な知識全般を指すもの。良い悪いの価値判断はどこでするのか。その判断をしていくのが文化の力。
「文化の発展がもたらすものは全てが戦争を防ぐように機能する」とフロイトはこの書簡の最後に記している。
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フロイトは反戦の理由を『生理的に戦争が嫌だと感じるから』と、人間の本能を取り上げていることに、驚きと納得を覚えたのでした。
あれこれ考えた理由、理性の問題じゃないんだなぁ、って思ったんです。
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他にも、4章にパリ同時多発テロの時に、奥様を亡くされた人が、『あなたたちは私に憎しみを抱かせることはできません。』Facebook に書き込みをした話が載っている。
『彼は生後十七カ月。普段通り食事をし、私と遊び、そして幸せで自由な人生を過ごすことで、あなた達に勝利するでしょう。彼もあなたたちに憎しみを抱くことはありませんから』
パートナー、幼い子どもの母を亡くした直後にこの思いを抱き、口にできることの凄さには考えさせられるものがあります。
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ページの横には各々の平和に対する一言格言が載っていて、
『戦いは戦いを生み、復讐は復讐を生み、好意は好意を生み、善行は善行を招く。』エラスムス
の言葉との繋がりも感じ、
『寛容』な心を自分の中に大きく育てることが『平和をつくる』ことなんだと、真摯に受け止め、難しくても励んでいこうと思いました。
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他にも、
『すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。』世界人権宣言第一条
『すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。』世界人権宣言第三条
など大切な考え方が本書の隅々まで載っている学びの多い、示唆に富む1冊です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【シンボルエコノミー】 水野 和夫 著
経済の分野で一番信頼しているのは水野和夫氏(&河野龍太郎氏)。膨大な歴史書・哲学書を渉猟して現代の経済を考察するという稀有な経済学者です。新著が出たので、早速、読んでみましたが、新書でありながら開眼ものです。
シンボルは単なる記号であり、株式や為替も記号。一方、我々の生きる世界はリアルなエコノミー。こうしたシンボルを重視するエコノミーには上限がないものの、働いている人・工場・店舗・オフィスは目に見え、これらの資本は限りなく増やせないので両者の乖離が広がっていると分析します。また、人口の少ない国ほど生活水準が高いことも実証しますが、唯一の例外は米国。シンボルエコノミー化となった米国に対して、日本はリアルエコノミー中心の世界でいずれも「例外」。唯一、日本でビリオネアに相当するのは法人企業であり、賃下げと利払い削減によって利益を増やし、実質GDPが対1998年比で1.2倍しか伸びていないのに、内部留保は4.6倍にまで膨れ上がっている実態から、いまの賃上げのみならず、過去の生産性向上分まで還元すべきと提言します。
これまでの「より遠く、より速く、より合理的に」が限界に来ており、21世紀は「より近く、よりゆっくり、より寛容に」が「定常状態」になると予想しますが、この「定常状態」に対して資本を無限に増やそうとすることは最大の障害になると断じています。
新書と言っても万人向けではなく、多少の経済知識は必要かと思います。左派的でもあり、政策立案者には受け入れられないと思いますが、いつもながらに示唆に富む一冊です。 -
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いやぁー、これはとても良い本です。21世紀の資本主義経済社会がヨーロッパの中世後期の「長い16世紀」の時代と同じ状況にあることを説く。カトリック教会が救済の役割を果たせなくなったのと同じく、資本主義が「自由と平等」を実現できなくなり、格差が拡大して、99%の自由が奪われている。
合理的経済人は「より遠くへ、より早く、より合理的に」という行動原理に従って行動すれば、会社は儲かり社員は出世するという救済をえたのだが、この行動原理に従って行動しても実質賃金は上がらず自由を手にできないようになっている。ケインズが「100年後には経済問題は人類の恒久的な問題ではなくなる」と言っていたにも関わらず、人類は相変わらず自由や平等を実現しないにも関わらず経済成長を無理やり追求している。必要のない需要を生み出すためにショックドクトリンが繰り返され、その度にビリオネアだけが巨満な富を蓄え、中産階級は99%に呑み込まれていく。
この本は、私が今まで読んだ経済に関する本の中で一番価値の高い本であった。ぜひ多くの人に読んでもらいたいと思います。
再読しました。現代の経済学者でダントツの筆者に良心の書で現代の古典です。 -
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幾人かの学者らが、資本主義、近代が終焉に向かっている事を指摘するが、本書の著者・水野和夫氏もそうである。
水野和夫氏は、マクロな視点で歴史に注目し、超低金利が、『長い16世紀』が利子率革命により、中世を終わらせ、近代システムが開始したように、現在の低金利が、資本主義と近代システムを終わらせるという。
その先の未来は、『世界は複数の『閉じた帝国』が分立し、その帝国の中で幾つかの『定常経済圏』が成立する。』状態がしばらく続くという。
その閉じた帝国の分立状態を、彼は、『長い21世紀』と呼ぶ。
『長い21世紀』とは、『長い16世紀』が国民国家が分立していたように、新たな中世のような状態『新中世』を意味する。
『長い21世紀』の始まりは、1973年のオイルショックであった。
『長い21世紀』は、今から2100年頃に完成するというポスト近代のシステム完成迄の過渡期である。
この時代のモットーは、『より近く、よりゆっくり、より寛容に。』だ。
つまり、近代システムの真逆だ。
『長い16世紀』の時代に、誰も次の時代がどんな時代になるか予想できなかったと同様、近代システム終焉後の新たなシステムは、誰も予想出来ないという。
ホイジンガが中世から近代への移行が、小さなさざなみが、やがて大きな波に変わっていったと表すように、ポスト近代のシステムもそのように完成して行くだろうという。
そして、縁故資本主義など、『悪しき中世』的な現象は、既に見られている。
これは、富める者の資産の三分の一は相続によるものなどを指す。
つまり、中世の王侯貴族のように、エリートら富める者が固定され、世界を支配しているということだ。
これらは、先日読んだ『ポスト・デモクラシー』のエリート企業が、ロビー活動で政治を支配し、民主主義の状態は、中世に逆戻りだという主張に通づる。
世界は閉じていくであろうというのは、経済的には僕にはわからないが、政治的にはそうであろうと思う。
何故なら、一国では対応するには難しい問題が幾つも存在し、各国が緊密に連携する必要があるからだ。
水野和夫氏も紹介するように、国民国家というシステムは、過渡期的存在であるというが、なるほど、国民国家の上位に位置する存在が無ければ、世界で何かを決定したり、アクションを起こすには、非常に難義である。
また、水野和夫氏は、『長い16世紀』において、『陸』の中世封建システムから『海』の近代世界システムへの大転換が起きたと述べる。
シュミットの言うように、世界史は、陸の国と海の国の戦いであるという。
『海の国』アメリカの時代は、終わりつつあり、『陸の時代』への移行期に現代はあるという。
近代システムの一つである『より遠く』のフロンティアが、最早存在しない。
金融の話で解り難い部分があったが、後半は読みやすく、よく理解できた。
また、水野和夫氏は、一見マイナーでありながら興味深い著作を読んでおり、読書家の一人としても参考になる。
本書は、ウォーラーステインの世界システム論に開かれており、必然的に、『近代とは?』や今後の資本主義に考えねばならず、読み応えがあるのは確かだ。
他に、本格的に資本主義とは異なるシステムに持っていくには、現在の株式会社と投資家の関係を変えて行く必要があるように思えた。
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資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
(和書)2013年10月14日 00:37
水野 和夫, 大澤 真幸 NHK出版 2013年2月7日
格差を絶えず付け続ける運動が資本主義である。
それに対し格差を解消することを目指す平等と平和の哲学がある。
資本主義の中から格差を解消する対抗運動が生まれることは考えづらい。それは資本主義自体が格差をつくる永久運動としてしか存在意義がないからである。やはり理念を明確に持つことが不可欠であると思う。
〈理念)=〈格差の解消としての平等と平和の運動又はシステム〉
柄谷行人さんの交換様式がカール・ポランニーから来ていることを知った。互酬性、再分配、商品交換である。第四象限は格差の解消を目指すものである。そしてこういった象限による様式はプルードンから来ていることは知っていた。柄谷さんはこういったことを踏まえた上で格差の論理である〈資本主義=国家=ネーション〉に対し明確にそれらのつくる格差を解消しようとする平等であり平和の理念を示している。
この本の資本主義への対抗運動の論理には物足りなさを感じたがそれを補う意味でノーム・チョムスキーや柄谷行人が有益でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2019/06/14:
600年続いた、西欧の資本の蒐集による資本主義は、未開拓の地がなくなったことで、限界に達した。
アメリカが電子空間を新たな未開の地としたが、一時的な者だった。
これからは、再び帝国の時代に、それも「閉じた帝国」の中で、資本の拡張を前提としない「定常経済圏」による社会がうまれる。
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という内容。以前民主党が政権をとっていたとき、仙石さんのブレーンとして内閣官房の内閣審議官をやっていた人。
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海の帝国の時代から、再び、陸の帝国の中国やロシアが勃興し始めたとも書いている。日本の向かう「閉じた帝国」は、どこって考え始めると、それは中国じゃない、アメリカは没落するので、もしかして、ロシアとかインドとか??とか、考えると、閉じた帝国ってのも、なかなか難しいと思う。