水野和夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
21世紀の原理は「よりゆっくり、より近く、より寛容に」であると著者は主張する。それは資本主義の原理「より速く、より遠く、より合理的に」を棄却し新しいベースとなる考え方に乗り換えることを意味する。
二十代前半の私にはこれの原理は非常に示唆的である。経済という観点から反近代的原理を導き出すことはとても参考になった。人件費を削って自己資本利益率をあげた結果、進歩は行き詰る。進歩の行き詰まりの結果、デフレや人口減少に至る。そこで主張されるのが中世的な原理である。実際に、トヨタは新型株式を発行し目先の利益を求める投資家を切っているし、三菱東京UFJ銀行も「子国際市場特別参加者(プライマリーリーダー) -
Posted by ブクログ
幾人かの学者らが、資本主義、近代が終焉に向かっている事を指摘するが、本書の著者・水野和夫氏もそうである。
水野和夫氏は、マクロな視点で歴史に注目し、超低金利が、『長い16世紀』が利子率革命により、中世を終わらせ、近代システムが開始したように、現在の低金利が、資本主義と近代システムを終わらせるという。
その先の未来は、『世界は複数の『閉じた帝国』が分立し、その帝国の中で幾つかの『定常経済圏』が成立する。』状態がしばらく続くという。
その閉じた帝国の分立状態を、彼は、『長い21世紀』と呼ぶ。
『長い21世紀』とは、『長い16世紀』が国民国家が分立していたように、新たな中世のような状態『新中世』 -
Posted by ブクログ
資本主義という謎 (NHK出版新書 400)
(和書)2013年10月14日 00:37
水野 和夫, 大澤 真幸 NHK出版 2013年2月7日
格差を絶えず付け続ける運動が資本主義である。
それに対し格差を解消することを目指す平等と平和の哲学がある。
資本主義の中から格差を解消する対抗運動が生まれることは考えづらい。それは資本主義自体が格差をつくる永久運動としてしか存在意義がないからである。やはり理念を明確に持つことが不可欠であると思う。
〈理念)=〈格差の解消としての平等と平和の運動又はシステム〉
柄谷行人さんの交換様式がカール・ポランニーから来ていることを知った。互酬性、再 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2019/06/14:
600年続いた、西欧の資本の蒐集による資本主義は、未開拓の地がなくなったことで、限界に達した。
アメリカが電子空間を新たな未開の地としたが、一時的な者だった。
これからは、再び帝国の時代に、それも「閉じた帝国」の中で、資本の拡張を前提としない「定常経済圏」による社会がうまれる。
---
という内容。以前民主党が政権をとっていたとき、仙石さんのブレーンとして内閣官房の内閣審議官をやっていた人。
---
海の帝国の時代から、再び、陸の帝国の中国やロシアが勃興し始めたとも書いている。日本の向かう「閉じた帝国」は、どこって考え始めると、それは中国じゃない、アメリカは没落す -