水野和夫のレビュー一覧

  • 超マクロ展望 世界経済の真実

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    現在の日本の経済状況(主にデフレ)を考えるときに、今までのパターンのひとつと考える流れと、まったくあたらしいパターンと考える流れがあるが、この本は後者。資本主義の形がかなり変わってきていているので、この100年単位の考え方では通用しないというもの。

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    2018年11月06日
  • 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

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    経済の専門家による、資本主義について述べたもの。資本主義は資本の増加により成り立っており、経済規模が膨張することによって万民に富が行き渡り、それによって民主主義も成り立つ。今後、フロンティアがなくなり資本が増えない状況では、資本主義は成り立たないため、閉じた社会へと変革が必要だと著者は述べている。ピケティの考え方にも同意しており、格差の拡大に警鐘を鳴らしている。ウォーラーステインやケインズにも触れ、歴史的分析もされており、面白く読めた。
    著者の考え方には概ね同意するが、閉じた社会に移行しつつある欧州との意見には、ドイツの状況を見る限り疑問。今後、日本のとるべき方向についても、単純には同意できない。今後の生き残り戦略を考える上で、閉じる社会や陸上国的考え方の導入は、わが国には困難であろう。
    「日本の賃金は、1997年以降、現在に至るまで下落傾向が続いています。その一方で企業の当期純利益は2001年度をボトムに増加基調に転じ、2015年度の最終利益はリーマンショック前の最高益を49%も上回っているのです」p21
    「アメリカに流入する国際資本は、2007年の最盛期には対GDP比で26.6%もあったのですが、2016年1~9月期には8.8%へと、およそ1/3にまで低下しました。これは、1982年の8.7%とほぼ同じ水準で、グローバリゼーションのスタート時点に戻っていると言えます」p26
    「資本と国家が円満な結婚生活を送るためには、パイの拡大、すなわち経済成長が必須条件です。逆に言えば、経済成長が止まれば、民主主義と資本主義の両立はできなくなります。その転換点となったのが、1973年のオイルショックでした。これが「長い16世紀」に匹敵する歴史の転換期、「長い21世紀」の始まりです」p30
    「世界的な低金利が示唆しているのは「実物投資空間」では、もはや経済成長ができないということなのです。しかも、資本の反対側には生産力が存在します。生産力が過剰になれば、もはや需要を新たに生むことはなく、不良債権が生まれるだけです。10年国債利回りがマイナスになったということは、新規投資をすると既存の資産が不良化するというサインなのです」p41
    「「より遠く、より速く、より合理的に」→「より近く、よりゆっくり、より寛容に」」p240
    「中国を待ち受けているのは、バブル崩壊後の日本と同様、長期にわたるデフレや低金利です。それはすなわち、投資機会の消滅に向かっているということになります」p170
    「現代は、かつてないほどマネー過剰経済になっています。マネー過剰経済では、バブルが発生して膨れ上がっていく局面で設備投資や雇用が増加し、それが崩壊すると一気に需要が減り設備過剰となって、工場の稼働率が下がり、リストラが行われ、デフレとなります。このとき当然、工業の原料である鉱物資源も価格が急落しますから、中国の本格的なバブル崩壊は、ロシア、ブラジルなど他の新興国にも及ぶことになるでしょう」p173
    「高利貸しは、教会や貴族にとってライバルとなる危険性があったため、教会は利息をとることを禁じていました」p177
    「国民国家においては、かつては国王と貴族しか味わえなかった贅沢を国民全員が平等に求めるようになりました。欲望に限界はないので、人々は過剰な要求をします。民主主義の下では、施政者はそれに応えなくては、政権の維持ができません」p182

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    2018年10月21日
  • 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

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    資本主義は蒐集する。フロンティアが存在した時代は蒐集することで資本主義の拡大は担保されたが、フロンティアが存在しない現在においては勝手の帝国主義がひとつの生き方である。EUは陸の帝国を目指している。
    金利は自分の使える金を預ける事に対するプレミアムであるのでゼロ金利は投資にプレミアムがつかないと言う事である。
    ゼロ金利、成長無き時代の日本が歩むべき道について示唆を与える書物である。

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    2018年07月09日
  • 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

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    「より遠く、より速く」周辺へ拡大を続けることで維持されてきた資本主義というシステム。だが、もはやすでに拡大の余地は残されておらず。経済的な成長は望めない。それに抗おうと金利を下げても、投資先がないのだから、効果は低く、せいぜいが短期間の延命策にすぎない。これからは、拡大ではなく閉じていくしかない。その大きな流れでみると、トランプ政権の施策、ロシア、英国の動きも腹に落ちてくる。
    16世紀に海の向こうとの貿易で拡大が始まった資本主義は、これから逆方向へ向かう。その時参考になるのは、16世紀までの社会の仕組み。もちろん、専制君主的な社会は全否定すべきだが、低成長で地味だけど、もしかすると穏やかな社会。これからそういう社会に向け、着地点を探るいろいろな動きが出てくるのだろう。
    歴史、経済の視野から大きな歴史の転換点を読み解いた本書はすごい。前作も読んでみたい。

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    2018年07月04日
  • 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

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    近未来をさぐる最後は、エコノミスト水野和夫さんの最新刊。近代資本主義の終焉を見通し、そこからゼロ成長の「地域帝国」へと進んでいくという大胆に思える予測ですが、未来を定常型社会としてとらえるというのは広井良典さんにも見られる発想であり、これが経済学の分野からも提唱されるのは、一考に値します。
    ただし、そのためには対米従属と決別すべしという提言が何より難しい課題であるのは、私たちが変えていかなくてはならないハードルです。

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    2018年01月17日
  • 株式会社の終焉

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    ネタバレ

    今日は水野和夫先生の「株式会社の終焉」。なかなかの力作ですが(お前が言うなよ~って怒られそう)、全部は紹介しきれませんので、最後の方をちょちょっと詳述します。

    まず1000兆円の国・地方の借金だが、ストックとしての800兆円にも及ぶ国債をこれ以上増やさないことだ。

    そのためには毎年のフローとしての国債発行額をゼロにするべきであるとする。それによって国債発行残高の増加に歯止めがかかるとのことだ。

    次に、2015年度には8.8兆円と歳出100兆円の8.8%を占めていた国債利払い費が、マイナス金利によって、近い将来ゼロになることが考えられることから、それによって節約できた8.8兆円を国債の償還と社会保障関連のサービスの充実に充てることだという。

    そして、国債管理庁を設立して、国際資金繰りのショートが起きないようにすることが大事であるという。これは日銀が適任だと水野先生は主張する。

    また銀行(メガバンク、地銀)の預金1363兆円の53.3%が貸し出しで、残りの5割弱が国債などの有価証券投資であり、預金に占める国債保有と日銀預け金(市中銀行の日銀への預金)の合計の割合は37.9%となっており、異次元の金融緩和を始めた直前の2013年(35.4%)と比べても大して変わってない。

    これは預金取扱金融機関が日銀に国債を売却して受け取った分を、日銀に預けているからである。

    この結果、2015年度末で、預金取扱金融機関の日銀預け金は267.1兆円と、2011年の2011年の31.5兆円と比べて235.6兆円増加している。

    つまり、預金取扱金融機関1363.2兆円の預金のおよそ4割が、国債とリンクしているといっていい。

    これでは預金者がいくら預金を各金融機関に1000万円ずつ分散させても、その預け先である国内金融機関がどこの国債に投資しているのであれば、それは預金者が国債のリスクを負っているとの同義だ。

    会社が倒産すると、株価が基本ゼロになるので、株主はリスクを負っているといわれていた。しかし、株式は証券市場で自由に売買できるので(公開企業を前提とする)、売却することで、リスクを回避することができる。

    もちろん、倒産した株主を購入した人はリスクを被る。2015年に倒産した企業の負債総額は2.04兆円だった。日本の株式会社の株主資本は598.5兆円なので、比率にすればリスクが顕在化するのは、わずか0.3%である。リーマンショックの時でもその値は2%台半ばだった。

    それに対して、預金者が間接的に保有する国債は預金の4割に相当する506.5兆円と巨額で、圧倒的に預金者の方がリスクを負っていることになる。

    これには次の仮定をする。

    「株主のリターン>預金者のリターン」となっているので、預金者のリスクを株主のリスクより低くすべきだと考える(A1)
    「預金者のリスク>株主のリスク」なので預金金利を株主のリターンよりも高くすべきと考える(A2)

    A1のケースの場合、国の借金を減らしていく政策をとり、かつ、日本の潜在成長率を高めていくことだ。

    しかし、現在のようにROE(株主資本利益率)が8%弱のときに、預金金利を3%まで引き上げるには、潜在成長率もおよそ3%に高める必要が出てくる。これは、通常、資本コストは5%と言われているために、ROE8%から5%を引いた3%がリスクを負わない人が受け取るリターンとなるからだ。

    次にA2のケースは、預金金利を株主のリターンより高くすることで、正常な関係に戻そうとするというものである。しかし、預金金利をROE(≒8%)以上にするのは、常識的に考えて無理がある。

    次に、もう一つには現実を認めようとするケース(B)である。
    預金者はハイリスク・ローリターンで我慢しろ、株主はハイリターン・ローリスクで当たり前だとするケースだ。

    この考え方は「国民国家」の時代が終わり、「資本の帝国」の時代に変貌したと認識すれば正当化される。「国民国家」の時代には、預金者はローリスク・ローリターン、株主はハイリスク・ハイリターンが正常だったが「国民国家」の時代に正常だったことは、「資本の帝国」の時代には異常になるからだ。

    「資本の帝国」とは一級市民の株主と二級市民の預金者からなる階級社会だ。国民は平等であるという近代の理念に反するという点で、「資本の帝国」は「反近代」であって、反動勢力なのだ。

    とこのように、本書の一部を紹介してきたが、上記に続いて、「株式会社の終焉」について、水野先生の議論が展開されている。興味を持った方はぜひ本書を手に取って欲しい。

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    2017年08月13日
  • 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

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    閉じてゆく帝国、定常状態を目指す、そうしたコンセプトには強く共感する。
    そして、読みながら頭に浮かんだのは、梅棹忠夫の文明の生態史観に描かれた4つの帝国である。
    そして、日本はその帝国のいずれにも属さない。
    4つの帝国が陸の帝国であり、日本は海の国である。
    では、海の国日本は誰と手を組んで閉じた帝国を作れば良いのだろうか。
    それは、決して中国ではない。
    日本はAIIBに参加する必要はない。中国の過剰な生産力を吐き出し、フロンティアの限界を数年先延ばしにするだけの麻薬のようなものにすぎないからである。

    相手の一つとして考えられるのは、本書の中でも指摘されるEUである。筆者も断るように日本のEU参加は荒唐無稽に思われるかもしれないが、共に資本主義の限界に真っ先に突き当たる国同士が未来思考で連携することは不可能ではないかもしれない。
    一方、私が最有力と考える相手は、梅棹忠夫と川勝平太の対談の書で梅棹も主張していた、経度の近い国との縦の連合、すなわちオーストラリアやインドネシアなど太平洋の海の国との連合である。

    こうした観点から、いま日本が進んでいるEUとのEPA、環太平洋諸国(陸の国も含むが…)とのTPPは方向性として誤っていないと感じている。

    とはいえ、これらの政策を進めたとしても、最重要の課題であるエネルギー問題や安全保障の問題が解決される訳ではない。中東依存のエネルギー問題、アメリカ依存の安全保障問題、この2つの解決なしに日本が閉じた帝国を形成することは出来ない。
    引き続き、この2つの問題にいかに対処すべきか、しっかりと学び、考えていきたい。

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    2017年07月23日
  • 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

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    コンビニ 日本全国で5.5万 一店舗当たり962世帯
    7-11 一日平均客数 1057 (2016/2)
    これ以上増やすと既存店の顧客を食い合う

    最低金利国 オランダ、イギリス、アメリカ、日本

    利子率は、実物経済で利潤率と近似値を示すため、いくら追加の資本を投下しても、高い利潤を挙げることのできないくらい成熟した経済に到達していることを示しています。つまり、世界一の低金利国とは、ある特定の世界システムにおいてもっとも成功した経済大国なのです

    ジェノバで11年続いた超低金利は中世の帝国システムを解体し、近代主権国家システムを準備するほどの大きな革命的な変化をもたらした

    オランダ、イギリス、アメリカでおきた低金利の交代は、覇権国の交代にすぎない

    チャイナショック 日本同様のプロセスをたどるはず。数年かかって徐々に経済への影響が明らかになり、処理が終わるまでに、10年以上の長い期間を要するでしょう

    中国 人民元をアジアの基軸通貨にしようとしている 現代の中華帝国
    しかし、もはや中国の生産力を吸収できるフロンティアは一帯一路にのなかには残されていない

    1997 日本のデフレ始まる 4半世紀を経て中国がデフレに転じてもまったく不思議ではない
    近代化の最後の国、中国がデフレになるとき、資本主義はその最終局面にはいることになる

    中国は13億総中流を実現する前に、近代=成長の時代が終わってしまうという最悪の事態を迎える可能性が高いのです。

    エネルギー収支比 一単位のエネルギー豆乳で何単位のエネルギーを獲得できるか

    1930年代 原油 100 1970 30 2000 11まで下がる

    2単位にまで低下すると、エネルギーの採掘が止まり、化石燃料に前面依存した近代社会がおわる
    1単位のエネルギーを投入して、2単位のエネルギーしか得られないのであれば、次の採掘用に1単位確保した後になにものこらない
    近い将来、原油は値段の問題ではなく、採掘が持続可能かどうかの問題に転化することになるでしょう。

    シェールオイル 採掘の費用が高い エネルギー収支比が2

    近代資本主義の理念である、「より遠く、より速く、より合理的に」を実現するには、エネルギーが不可欠です。しかし化石燃料に頼ることが出来ないのですから、近代資本主義が成立するはずがありません。

    定常状態実現のための3つのハードル
     ゼロ金利だけでは不十分。財政均衡が必要
     エネルギー問題 太陽光パネルと蓄電池(自動車)
     地方政府を視野に入れが地方分権

    より近く、よりゆっくり、より寛容に

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    2017年07月12日
  • 株式会社の終焉

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    ★★★2017年6月レビュー★★★


    我々は歴史の転換点に立っている、と筆者はいう。かつては「株価」と「利子率」は景気の体温計ではなくなっている。急速に力を持ちはじめた「資本帝国」。


    勤労からはお金を得られず、株などの資産からでなければ、お金を得られない時代。企業は人件費をカットし、利益を確保する。そんな時代だ。事実、90年代後半から労働分配率は下落の一途をたどっていると、数字が示している。
    これは何となく実感できる。


    では、これからの世の中はどうなっていくのか。
    1、筆者は「成長」信仰を鋭く批判する。企業は「減益計画」を立てるべき、と。これは頷ける、企業でも人でも、永遠に成長し続けることは出来ないから。
    2、もう一つ。近代資本主義の「より速く、より遠く、より合理的に」→「よりゆっくり、より近く、より寛容に」と思想を転換させるべき。この提言も頷ける。筆者も述べる、「すでに過剰な資本が存在するのだから、地球の裏側から株主を募る必要はない」株主も地域住民でいいはず・・・・・


    成長、成長、成長・・・・という某新聞社の主張には疑念を抱いていた。この本の、「減益計画」「よりゆっくり、より近く、より寛容に」という主張に基本的には同意したい。資本主義の歴史についての叙述も詳しく、歴史を知って初めて自分の立ち位置や、未来が見通せると改めて思った。

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    2017年06月27日
  • 閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済

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    次々に著書を著していく水野和夫の近著。「より遠く、より速く、より合理的に」という近代の理念と「より多く」という資本主義の時代は終わったという前著に続いて、「より近く、よりゆっくり、より寛容に」というスローガンを掲げてポスト近代を手探りでも俯瞰しようとする意欲作。

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    2017年06月11日
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか

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    【書きかけ】
    書名と著者名で拒否反応を起こす人も(特に近代経済学を一通り学んだ人には)いると思うし私自身はちょっとしたきっかけで読んでみたが、一度考えてみてもよい問題ではある。博識とイメージで押し切るトンデモな面はあるだろうから気をつけたほうがいいが、そういう面を全く含まずに考えるのは難しい話だと思う。トンデモ本としての価値しかないと思う人は逐一説得的な反論を試みるべき。”正統な”経済学者も百家争鳴のなか大衆感覚では結局のところ長期停滞のままであるのは事実なのだから。

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    2017年02月07日
  • 国貧論

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    2010年からの5年間で、上位62名の資産は44%上昇し、貧しい半分の人々の総資産は44%減少した。

    安倍政権誕生直前の2012年には320万円の負債超から、2015年には434万円の負債超となり、全勤労者世帯の半分は負債が増えた。
    成長戦略が予算に反映された2002年と比較すると、当時は20万円の貯蓄超過なので、政府が成長戦略に力を入れれば入れるほど中間層の家計は困窮していった。一方で、2001年度末には1,417兆円だった個人金融資産は、2016年末には1,741兆円に増加している。

    資本の成長戦略を破棄し、企業の最終利益を抑制し、人件費を増やす政策に転換すべき。企業の最終利益は、最終的には新規設備投資の為にある。

    資本主義を活用して豊かになれるのは、世界総人口の15%まで。

    12世紀のスペインでは、デフレ状態を回避する為に、半年でマイナス2%のマイナス金利を適用した。事実上の金融税。この収入で、領主は教会などの礼拝施設の充実や巡礼に来る信者達が宿泊する施設を建設、領内経済が活性化した。

    資本の概念が生まれた13世紀のイタリアフィレンツェでは、「商業についての助言」という小冊子が出回り、そこには「貧乏人とは付き合うな。なぜなら彼らに期待すべきものは何もないからだ」と書かれていた。資本主義は元来、貧しい人を豊かにするという発想は持ち合わせていない。

    消費者がより多くのモノ・サービスをより速くと要求していれば、それは金利に現れるが、20世紀末から日本、ドイツ、欧州の2/3は2%を下回っている。ゼロ金利は消費者が新規の投資は不要と言っているサイン。

    預金者がゼロ金利を受け入れているのであれば、配当はゼロでよい事になり、家計は新規の工場、店舗をもやは要求していなければ、利潤もゼロでよい。

    リスクの観点から、会社の配当は預金利息より低くていいのだから、配当はゼロでよく、代わりに株主には現物給付すればよい。


    1215年、ローマ教会によって金利が認められて以来、800年の歴史の中で、最低金利を経験した国は7カ国のみ。まずスペイン、ついでイタリアジェノバ、そしてオランダ、イギリス、米国、日本、ドイツ。超低金利国の交代はシステムの終焉を意味するか、あるいは同じシステムの中での中心の移動を意味する。2015年の日本からドイツへの交代は前者を意味している可能性が高い。前者は世界の枠組みを一変させてしまうので、それだけ衝撃が大きく、その吸収に時間を要する。中世・帝国の時代から近代・主権国家の時代へと変わるのには約二世紀を要した。(1453年ビザンチン帝国滅亡から1648年ウェストファリア条約でオランダ共和国の独立が認められるまで。)
    同じシステムの中での中心の移動の場合は、移行期は数十年。

    金利から見れば、明らかに近代システムは終わり。統治システムから見れば、国民国家時代の終わりであり、経済的には資本主義システムの終わりを意味している。
    国民国家の成熟と、近代デモクラシー制度は、歴史的役割をもう十分に果たした。第四の帝国はEU。

    主権国家システムとは、1.多数の主権国家が存在し、2.相互作用が主権国家間である事、3.共通規範と共通制度の承認という3つの基本的属性から成り、これらの条件を外していく事でこのシステムを超えていく。

    21世紀前半は、単一通貨時代から複数の地域基軸通貨時代への移行期。

    企業は、過剰資本と化した段階で出資者のものではなく、社会的存在となった。

    事実上ゼロ金利になった1990年半ば以降、人件費はエネルギー高騰に伴って売上高変動費率が上昇する程度に売上高人件費率が低下した。一方、売上高に占める企業利潤と固定資本減耗の比率は24%で安定している。人件費が最終調整項目となっている。

    原油価格急落は、先進国にとって交易条件を改善させ、計算上の付加価値は増加するが、製造業の売上減によって人件費削減が行われる為、家計の所得は減少する。

    国内チェーンストアについて、2013年の店舗調整後の総販売額は0.7%減となり、1997年以来17年連続で減少している。消費税引き上げ前の駆け込み需要で0.2%増大した1996年を特殊要因とすれば、1993年以来21年連続で減少している事になる。一方、店舗面積は増え続けており、総販売額がピークをつけた1996年と比して1.47倍に増える一方、総販売額は24.6%減少した。この結果、1997年には99.3万円だった1㎡当たりの販売額は2013年には50.8万円へと、この間48.8%減少した。

    資本の利潤率は国債利回りで代替できるので、資本の生産性と10年国債利回りは正の相関関係がある。日本の歴史的超低金利は資本過剰が原因であり、ベースライン予想の世界が現実化すればさらに20年続く事が予想される。

    国内の食品ロスは2009年で21%。

    人口当たりのイノベーション件数は1873年以降減少している。これは、電気と自動車の時代への移行期とほぼ一致する。

    1980年以降、富の集中と格差の拡大は、フランス革命前の身分社会のレベルに戻っている。

    国内役員報酬について、2011年から2014年にかけて3.3%増となり、同期間の従業員一人当たり賃金は0.3%減と格差が広がっている。日本の格差上昇幅はドイツやフランスよりも上回っている。

    日本の個人資産はもはや相続を通じてでしか増えない。

    21世紀は資本主義対民主主義の戦いとなる。資本主義を終わらせる事ができるのは民主主義だけ。

    今が近代ではないというのが正しければ、近代の延長線上の政策を採る事(より速く、より遠く、より合理的に)が一番やってはいけない事。次にどういう社会が来るかを考える事。(よりゆっくり、より近く、より寛容に)

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    2017年02月06日
  • 過剰な資本の末路と、大転換の未来 なぜ歴史は「矛盾」を重ねるのか

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    資本主義とは表現を変えた奴隷制度と植民地主義じゃないかと常々考えていたのだが、この本によってその印象が強化された。
    先進国は途上国の資源と労働力を買い叩き、低コストで作った製品を売りさばいて異例の成長を遂げた。そして途上国が潤ったら新たなマーケットとして製品を売りつけ、別の途上国(安価な資源と労働力の供給元)を探す。
    それを繰り返してきたが、ついにアフリカにまで手をつけて、もう後がない。で、ついに自国を標的にし始めた。
    最終兵器はふたつ。
    ひとつは、致命的なリスクを未来に先送りして時間という資源を買い叩く。
    もうひとつは、分厚い中間層の奴隷化。

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    2017年01月25日
  • 資本主義の終焉、その先の世界

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    著者(水野さん)は、「より速く、より遠く、より合理的に」は近代の行動原理であり、近代システムが機能不全に陥れば、この原理をひっくり返すしかなく、「よりゆっくり、より近く、より寛容に」を前提にしたシステム(二十一世紀の「新中世主義」)を構築するこを提唱している。
    二十一世紀の「新中世主義」を構築するにあたり、江戸時代中期の生活が参考になるのかもしれません。見えない時代を乗り霧には、実学重視の教育ではなく、人文系の教育が重要性がましているように思います。
    著者の榊原さんは、成熟という点では日本は再優等生なのだから、「成長戦略」などといって過去の高成長をノスタルジックに求めるのではなく、成熟の果実を享受し、これを維持するこことが重要で、成熟先進国日本として世界に発信すべきと、述べている。

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    2016年10月02日
  • 過剰な資本の末路と、大転換の未来 なぜ歴史は「矛盾」を重ねるのか

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    日本大学での講義の書き起こし。
    日本、ドイツが経済復興を遂げられた背景には、安い石油を手に入れられたという経緯があるが、韓国。中国は石油価格が高騰(それまでは固定相場制で経済の常識が機能していなかった)してからの近代化であり、大きなハンデとなっているとの、指摘が興味を引いた。さらに、近代化の基本が「より遠く」であることを考えると、あとから参加するものは、グローバリゼーションが進展した現代において、市場拡大も困難となっている。
    実物取引の損失をヘッジする先物市場発展のきっかけが、ドルの変動相場制への移行(ニクソンショック)にあったが、実需原則を撤廃することで、予測のもとに債権や株式を売買するようになり、いくらでも利益を生み出せる発明となった。

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    2016年09月10日
  • 国貧論

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    水野さんの新刊。
    日本では経済に関してかなり深い洞察力を持っている人だと思う。ちょっとこじつけて格差を煽ってる部分もあるのは玉にきず。
    それでも色々な考え方や見方の発見があり、自分の考えと照らす面白さもある。
    この水野さんとじっくり対話できると考えればこの本は(高いけど)安い。

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    2016年08月25日
  • 別冊NHK100分de名著 「平和」について考えよう

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    ネタバレ

    フロイト『人はなぜ戦争をするのか』、ブローデル『地中海』、井原西鶴『日本永代蔵』、ヴォルテール『寛容論』。心理学、経済学、江戸文学、哲学と、それぞれ切り口は違えど、平和の維持と創造のヒントを名著から見出せる。

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    2016年07月14日
  • 資本主義の終焉、その先の世界

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    水野さんの前作を読んでからの、今作だったが前半は資本主義経済の成り立ちがメインになっており、ややわかりづらい内容。後半については対談形式になっておりこちらは読みやすかった。
    結論、前作を超えるほどのインパクトは無し。やや難しい目でした。以下抜粋
    ------------------------
    ・超低金利が意味するのは「実物投資空間」の消滅という意味
    ・一人あたりのエネルギー消費量と、労働生産性は正の相関関係が見られる
    ・近代にとって無くてはならない、電子機械と自動車産業で不正をしなくては利益が得られなくなったということは、近代の成長メカニズムが破綻したことを意味する。
    ・株価は上がっても賃金は下がっていく。
    結局株を持っている人だけが恩恵を受けている。

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    2016年02月27日
  • 資本主義という謎 「成長なき時代」をどう生きるか

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    インデックス投資家として、世界の成長ってのがどこまで続くのかが気になって手に取った一冊。正直なところ半分も理解出来なかったが、資本主義における経済成長ってのは、永遠に続くものではないのかな、という風には理解しました。
    まあ当面は大丈夫かなとも思いますが、「桐島、部活やめるってよ」の引用話のところで、破綻は突如訪れるものというような話もあって、油断はならないのかも知れません。素人にタイミングが判断出来るわけありませんが、、、

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    2015年06月11日
  • 資本主義の終焉と歴史の危機

    購入済み

    やはりそうなのか

    資本主義は、より強いものが富を得ていくという気持ちが強まっていた。これは金が世の中と人々をこれでもかというほど痛めつけているという感覚から起こった。
    「金がない世の中だったら、人も生活もどれほど気持ちのよいものになるだろう」と思っていたが、解決策は全く見いだせない。
    水野氏も次なる世界は具体的にはイメージできないものの、近い将来何らかの変化が起きるであろうことは言及している。
    後どれくらい持つだろう。

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    2014年09月05日