水野和夫のレビュー一覧
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資本主義とは表現を変えた奴隷制度と植民地主義じゃないかと常々考えていたのだが、この本によってその印象が強化された。
先進国は途上国の資源と労働力を買い叩き、低コストで作った製品を売りさばいて異例の成長を遂げた。そして途上国が潤ったら新たなマーケットとして製品を売りつけ、別の途上国(安価な資源と労働力...続きを読むPosted by ブクログ -
著者(水野さん)は、「より速く、より遠く、より合理的に」は近代の行動原理であり、近代システムが機能不全に陥れば、この原理をひっくり返すしかなく、「よりゆっくり、より近く、より寛容に」を前提にしたシステム(二十一世紀の「新中世主義」)を構築するこを提唱している。
二十一世紀の「新中世主義」を構築するに...続きを読むPosted by ブクログ -
日本大学での講義の書き起こし。
日本、ドイツが経済復興を遂げられた背景には、安い石油を手に入れられたという経緯があるが、韓国。中国は石油価格が高騰(それまでは固定相場制で経済の常識が機能していなかった)してからの近代化であり、大きなハンデとなっているとの、指摘が興味を引いた。さらに、近代化の基本が「...続きを読むPosted by ブクログ -
水野さんの新刊。
日本では経済に関してかなり深い洞察力を持っている人だと思う。ちょっとこじつけて格差を煽ってる部分もあるのは玉にきず。
それでも色々な考え方や見方の発見があり、自分の考えと照らす面白さもある。
この水野さんとじっくり対話できると考えればこの本は(高いけど)安い。Posted by ブクログ -
フロイト『人はなぜ戦争をするのか』、ブローデル『地中海』、井原西鶴『日本永代蔵』、ヴォルテール『寛容論』。心理学、経済学、江戸文学、哲学と、それぞれ切り口は違えど、平和の維持と創造のヒントを名著から見出せる。Posted by ブクログ
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水野さんの前作を読んでからの、今作だったが前半は資本主義経済の成り立ちがメインになっており、ややわかりづらい内容。後半については対談形式になっておりこちらは読みやすかった。
結論、前作を超えるほどのインパクトは無し。やや難しい目でした。以下抜粋
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・超...続きを読むPosted by ブクログ -
インデックス投資家として、世界の成長ってのがどこまで続くのかが気になって手に取った一冊。正直なところ半分も理解出来なかったが、資本主義における経済成長ってのは、永遠に続くものではないのかな、という風には理解しました。
まあ当面は大丈夫かなとも思いますが、「桐島、部活やめるってよ」の引用話のところで、...続きを読むPosted by ブクログ -
資本主義は、より強いものが富を得ていくという気持ちが強まっていた。これは金が世の中と人々をこれでもかというほど痛めつけているという感覚から起こった。
「金がない世の中だったら、人も生活もどれほど気持ちのよいものになるだろう」と思っていたが、解決策は全く見いだせない。
水野氏も次なる世界は具体的にはイ...続きを読む -
資本主義という社会・経済システムが機能不全に陥るのはもはや時間の問題であり、それに代わる新しいシステムが必要になるという水野氏の考え方を社会学者の大澤氏との対談で整理・説明していく内容の本。
このまま行けば大きな不幸が待っている。確かにそのように思える。では、どうすればいい?Posted by ブクログ -
地球規模で拡大する資本主義は一見普遍的な様相を持ちつつも、実は特殊な地域の宗教的・地理的バックボーンの上に成立した概念である。そうした資本主義が持つ不可思議さを歴史的に解きほぐす本。勉強になりました。Posted by ブクログ
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日本の書き手としては珍しく、歴史的視野で経済を見る水野と、政治哲学の立場から発言する萱野による時宜を得た対談。
現在もっとも求められているのは本書のように「絶望を煽ることなく、希望のない状況を語る」ことだと思う。国全体を動かすような成長や活力が幻であることは、誰もが薄々感じていることだから、冷静に語...続きを読むPosted by ブクログ -
中世16世紀と今の状況の類似性から、資本主義の終着点にたどり着いているのではないかという論説。今回はエネルギーや食料の価格の動向において、もはや実需によってではなく、投資目的での価格変動が起こっており、利子率を稼げる、要はリターンが得られる要素を探し求めている状況を解説。それにより、フロンティアを求...続きを読むPosted by ブクログ
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成長戦略とは聞くが人の数に限りがあり、市場も限られている以上「成長し続ける事が可能なのか?」という疑問を持っていた。
そんな疑問に答えてくれる入門書です。
最後の章で「成長」の無い時代に、どう未来を切り開いていくかを論じています。Posted by ブクログ -
社会学者と経済学者の対談本。とはいっても、水野さんは経済学者と言っても、歴史の造詣に深く、利子率革命からの歴史から見た経済学の著書が多い方なので、歴史の観点から見たら、人、経済システム、国家システムなどを絡めた対談となっている。
水野氏の主張は一貫しているので、出版された本を読めばよいと思うが、対...続きを読むPosted by ブクログ -
二人の対談集だが、水野氏については、「終わりなき危機」で非常に詳しく自分の主張を書いているので、主張そのものを知るにはそっちを読んだ方が良い。
というか、前著を読んでしまうとこの本を読む意義があんまり無い様な気もする。敢えていえば、分かり易くなった入門的な位置づけか。
資本主義がフロンティアを求め...続きを読むPosted by ブクログ -
法的には資本主義、システム的には……もはや資本主義の終わりの始まりになっているのが今なのでしょう。
社会学者と経済学者の対談で、この社会の中で経済がどのように機能しているかを立体的に考えることができました。
個人的には、世界史に全く疎いので、16世紀の話について行くのがやっとでしたが、確かに、今...続きを読むPosted by ブクログ