水野和夫のレビュー一覧
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今日本の政権が躍起になっている、成長戦略に異議を唱える二人の経済学者が持論を展開。
ゼロ金利が長らく続いていることとは、もう世界にフロンティアが残っておらず、資本を投下する場所が残っていないこと。日本だけではなく世界の各先進国が同じ状態になっていることを数値・グラフを使って解説する。その状況下で起こる弊害として中産階級の下落や格差の拡大を指摘する。
「より遠く、より速く」を掲げるのではなく現実を再認識し「より近く、よりゆっくり」を提唱する。日本は失われたン十年とか言われているが、治安や自然、長寿などむしろ誇るべきものが多い。都市集中ではなく、地方文化回帰なども今後の活路の一つになりえる。 -
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自分とは全く違う畑の経済であるが、社会学から誘引されここに行きついた。経済にまつわる本や雑誌を読んだことがないわけではないが、特に資本主義の原理と歴史が頭に入っていないためわかるようでわからない。あるところまでは理解できていたつもりが、一つの概念をもって自分の中の構造が乱れていく。要するに勉強していないからそういうことになる。
そういうわけでその手掛かりとして本書から取り組むようにした。資本主義を理解するための本棚、というコンセプトで数十冊の書籍が並べられている。知っている本すら数冊で、持っているものとなればピケティだけ、読んだことがあるものに関しては皆無であった。それが逆に刺激的。必ずしも経済を直接語っているものばかりじゃないところがいい。とりあえずここからいこう、と思えるものが数冊見つかったので、頑張ります。
17.8.23 -
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コペルニクス「天球回転論」(1543年)からニュートンの「プリンキピア」(1678年)までの150年間に、近代科学の成立とそれに伴う知的変革が起こった(野家啓一「パラダイムとは何か」)。
1987年2月のルーブル合意によって、これまで以上のドル安を防ぐために日独の協調利下げが行われた。9月にドイツは国内のインフレ懸念からアメリカの要請を振り切って利上げを実施したが、日本は超低金利を維持して、株価や土地のバブル化を招いた。ドイツは、この金融政策をめぐるアメリカとの対立から、1992年にマーストリヒト条約を締結し、ユーロ=ドイツ第四帝国の道を歩み始めた。
数字で表すことができる科学は、お金で測った豊かさが手に入る進歩と整合性がある。これは、速くできること、手を抜くこと、時間を紡ぐこと、すなわち生きることに逆行する(「科学者が人間であること」中村桂子、「科学と人間」佐藤文隆)。 -
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ネタバレ世界にはもう新しいフロンティアはないから(まだ成長するインドを除き)先進国の成長余地は乏しい。だから成熟国家日本はもうモノは欲しがらないし、豊かな安全安心国家なのだから、2%も成長しなくてよいという。失われた20年ではなくて、成長しなくていい成熟国家になっただけ。 アベノミクスの”成長戦略”も意味はないという。新しい工場はつくらず、原価償却のおわった工場で、代替品だけ作り続ける・・・便利さの追求も限界にきている。コンビニをこれ以上作る必応はない。 リニア新幹線つくって、そんなに急いでどこにいく。マッハ2で飛んだコンコルドは、そんなに早く飛ぶニーズがなくて破綻した。速さを優先して座席も少なく、乗り心地もよくなかった 「よりゆっくり、より近く、より寛容に」が日本。国内旅行も地方に回帰している。 JR九州の豪華列車で、日本国内の田舎に行く。
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歴史は現在と過去の対話である。
中間層の再建がなければ、危機を乗り越えられない
ケインズ=利子生活者の安楽死を予測
石油価格の上昇で物価が上がり景気にブレーキがかかる=スタグフレーション=マネタリズムによって克服
バブルは弾けてみてはじめてバブルだったの認識できる=バブルは弾けてみないと分からない=バブルを防止することはできない
市場メカニズムの不備を政府がコントロールすることで福祉国家を実現する
しっぽがアタマを振り回す
成長は長期金利がピークを迎えた1974年に終わっている。
分配率の弾性値はゼロまたはマイナス
デフレから脱却するには原油価格が下がればいい。外需デフレーターが物価を押し上げる
原油価格は新たに50億人が使いはじめるので、今後高騰する。先進国の交易条件は悪化する。デフレ社会へ移行。
資源価格の価格革命で交易条件が悪化。
労働分配率が下がる=賃金革命
ポスト近代はエネルギー革命。
経済と技術は一体化している=コブダグラス型生産関数=技術進歩が成長の決め手。 -
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資本主義の「暴力」とか、「必然」なんてタイトルだったら買わなかったと思う。惹かれたのは「謎」というタイトル。帯に挙げられている「謎」は次のようなもの。曰く「なぜ西洋で誕生したのか」、「法人の起源はどこにあるのか」、「利子率革命とは何か」、「成長なき資本主義は可能なのか」。
ぼくの浅薄な知識によれば、最後の「謎」には「否」と即答することになる。但し、門外漢のぼくが即答するようなレベルのことが、わざわざ「謎」として例示されているはずもない。「もしかしたら可能性があるのか?」という興味から購入。
読み終えてみると、高校時代に読んでいたら経済学を志したかもしれないと思うほどに面白かった。あるいは、面白い学術系書籍によくあるように、読者のもつさまざまな学習体験とうまくリンクすることで一層面白く感じられる本に仕上がっているということなのかもしれない。
個人的には前半の歴史的システム的考察がとくに面白かった。影響されて理論史系の本をたくさん買ってしまった。またひとつ、ぼくに新たな楽しみを与えてくれるきっかけになった本。 -
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キーワードとしては利子率革命・コレクション・陸の国・海の国。
世界的なバブルなどについて時代の流れと共に記載されており、分かりやすいとは思う。
また、成長を前提とした考えが成り立たないことについては同意できる。が、利子率革命やコレクションはいいとして、陸の国・海の国というレッテル的拘りはスッと腹に落ちない。
この本は言いたいことの大半を1章で書ききってある感じ。
以下は備忘録としての内容まとめ。
金融資産が実体経済の二倍になり、金余りとなり利子率革命(利率の鄒勢的低下)が現在社会。その社会では資本家は利子生活ができない。資本家は新たなカネの儲け場所として、レバレッジを効かせたCDSなどのバブル市場を作り弾けたのがリーマンショックであった。
GDPデフレータ(名目GDP/実質GDP)を見ると名目GDP(雇用者利得+企業利潤)が下がり実質GDPが上がっている。これは原油高により名目GDPが下がっているために発生。エネルギー問題は解決しなければいけない。
成長が終わった先進国において、グローバル化により新たな利潤獲得を追うことになる。アメリカであればドル高で海外から資本を集め、金融社会構造を拡大させた。そこが限界となりバブルが崩壊。この辺りの歴史的な流れも記載されている。
金融やバブルに頼らない新たな仕組みが低成長時代には必要になるのであろう。 -
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面白い部分もあったが、本当に超マクロな展望であり、なんかふわふわした感じがした。
現在のデフレは構造的な問題である、だとか、もう先進国の経済成長は望めないというった事を資本主義がどのように発展していったかを踏まえながら説いている。
産業革命によって資本主義が発展していったという認識があったので、それよりも、植民地主義やイギリスの海賊が果たしている役割が大きい点などは面白かった。
ただ、やはり思うのは、現在の資本主義はもう限界に来ていて、新興国がこれからも経済成長を目指して発展してくるのであれば、それに対抗して経済成長を目指すのではなく、経済成長がない状態での新しい世界のあり方を率先して目指していくべきだと思う。
特に課題先進国としての日本は、これからの先進国や新興国の最先端をいっているものであり、人類の今後の道筋を立てるべき社会に変化していくべきだし、原発事故を経験した中で、それを目指さなければならない。
僕らの子孫が幸せに暮らすためには、本当に変わっていかなければならない時期だと改めて実感した。