あらすじ
「ゼロ金利は利潤率ゼロ社会」「資本主義の死」。気鋭の経済学者・水野和夫。これまで多くの著書で、成長なき社会の未来像を、16世紀以降の世界史を背景として引用し研究してきた。本書は、水野氏が東洋英和女学院大学大学院で半年にわたり語った講義を収録し、独占書籍化。なぜ成長社会は止まったのか? 帝国システムとグローバリゼーションにおける支配と被支配の関係とは? 貴重な講義の内容から、滅びゆく資本主義と水野理論の根幹に迫る。
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Posted by ブクログ
資本主義に限界が来ていること。これはわかった。その資本主義は限界を迎えるとグローバリゼーションを産み出し、国家は帝国主義か覇権国をいずれ目指すようになる。それは資本主義の仕組み上、宿命なのではと感じた。
Posted by ブクログ
資本主義とは表現を変えた奴隷制度と植民地主義じゃないかと常々考えていたのだが、この本によってその印象が強化された。
先進国は途上国の資源と労働力を買い叩き、低コストで作った製品を売りさばいて異例の成長を遂げた。そして途上国が潤ったら新たなマーケットとして製品を売りつけ、別の途上国(安価な資源と労働力の供給元)を探す。
それを繰り返してきたが、ついにアフリカにまで手をつけて、もう後がない。で、ついに自国を標的にし始めた。
最終兵器はふたつ。
ひとつは、致命的なリスクを未来に先送りして時間という資源を買い叩く。
もうひとつは、分厚い中間層の奴隷化。
Posted by ブクログ
日本大学での講義の書き起こし。
日本、ドイツが経済復興を遂げられた背景には、安い石油を手に入れられたという経緯があるが、韓国。中国は石油価格が高騰(それまでは固定相場制で経済の常識が機能していなかった)してからの近代化であり、大きなハンデとなっているとの、指摘が興味を引いた。さらに、近代化の基本が「より遠く」であることを考えると、あとから参加するものは、グローバリゼーションが進展した現代において、市場拡大も困難となっている。
実物取引の損失をヘッジする先物市場発展のきっかけが、ドルの変動相場制への移行(ニクソンショック)にあったが、実需原則を撤廃することで、予測のもとに債権や株式を売買するようになり、いくらでも利益を生み出せる発明となった。