大澤真幸のレビュー一覧

  • げんきな日本論

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    日本史において、普通に出てくる数々の「キーワード」、社会システムの変換点を表す「時代」、そういうものとして当然と受け取っていた日本の歴史が、いかに特殊なものであったのか、どうしてそうなったのかを膨大な知識量を背景に対話方式で展開していく本であり、それぞれの論点はかなり興味深いものでした。
    歴史の純粋な考察でもなく、裏付けもないので、信憑性があるものではありません。ですが、対談の中で新たな解釈が生まれていく躍動感と熱量を楽しめると、面白く読めると思います。

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    2018年11月28日
  • げんきな日本論

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    『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』(ともに講談社現代新書)と同様、橋爪大三郎と大澤真幸の二人の社会学者が、日本史についての解釈をおこない、現代にまでいたるこの国のありようを解き明かそうとしている本です。

    著者たちの日本史の解釈は、専門の研究者から見れば大胆にすぎるのではないかと思われる箇所もありますが、日本社会の歴史的な形成過程を明らかにするという問題設定から日本史を読み解くという本書のスタンスは、歴史研究においてはあまり見られないアプローチのしかたで、おもしろく読みました。

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    2018年08月23日
  • 憎悪と愛の哲学

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    真の愛は憎悪からの転回としてのみありうる。事前に憎悪がなければ理想主義的な平和を導くような愛が事後に現れることはなかっただろう。憎悪と愛は繋がって居て、むしろ本質的には同一であり、愛の真実性の前提として憎悪がある。

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    2017年12月08日
  • 考えるということ 知的創造の方法

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    私は考える,この世界を。

    難しいところもあったけど,とりあえず読みとおした。考えること,そして書き表すこと。決して止めてはならないと思う。最近,あまり考えてないけど。

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    2017年07月02日
  • 日本史のなぞ なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか

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    タイトルが内容を正しく表わしていないように思う.「革命の条件」とでも言った方がいい.「御成敗式目とは何だったか」とか.
    わが国の権力の中心は空虚だ,と看破したのは猪瀬直樹だったが,その分析をもう一歩進めた感がある.

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    2017年06月15日
  • げんきな日本論

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    この書名の「元気な」は「日本」ではなく「論」にかかる言葉。日本史の18の質問を社会学的観点から語り合う。まずはなぜ日本は土器が発展したのか?から。なぜ日本で大きな古墳が発達したのか。なぜ日本は貴族階級、そして武士階級が生まれたのか、天皇を超える存在になろうとした信長を象徴する安土城など、興味深い根源から考えさせてくれるテーマが多い。貴族の代表格でもある藤原氏は爵位を継承していたわけではない、その権力の根源がどこにあったのか。武士の存在は日本にしかない!などは全く考えたこともなかったが、実にスッキリとした感じ!幕府と天皇の関係を巡る微妙な力関係が、北条義時の承久の乱の戦後処理、後醍醐天皇の失敗な

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    2017年02月14日
  • 日本史のなぞ なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか

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    <目次>
    第1章  革命家はただ一人
    第2章  東の革命/西の革命
    第3章  天皇なき天皇制

    <内容>
    日本唯一の革命家は、北条泰時だという。説の根本は、山本七平の『日本的革命の哲学』。大筋はわかった気がするが、キリスト教との比較や中国の比較などは手に負えなかった。

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    2017年01月20日
  • げんきな日本論

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    年末年始に何読もうかと書店を物色して目に留まった本。
    「元気な日本論」というタイトルと橋爪大三郎さんに魅かれた。413ページと新書にしては大部だけど、対談形式なので苦にならず読めた。
    「なぜ日本には、天皇がいるのか」、「なぜ日本には、幕府なるものが存在するのか」、「なぜ信長は、安土城を造ったのか」などの興味深い問について、日本史の授業では教わらない-主に社会学の-観点から学べた。
    ただ、古代からはじまった対談が明治で終わってしまうのは日本史の授業と同じか…。

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    2017年01月02日
  • げんきな日本論

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    とてつもなく賢いおっさん二人の話を立ち聞きしたら、ちょっとは分かる部分もあったし、分からない部分は分からないなりに面白かった。
    そんな感じ。
    全部理解しようと思わなくていいし、どんどん読み飛ばしたっていい本だと思います。

    何しろ、「一人で考えていたら悶々としちゃいそうな話も、二人で話したら膨らむんでないの」という気楽なスタンスに救われた。

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    2016年12月26日
  • げんきな日本論

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    橋爪氏と大澤氏の日本史に関する対談。
    古代から幕末までですが、もう少し近代史も範囲として
    話をしていったほうが、と思います。
    なんとなく日本史って幕末。もしくは明治・大正までで
    終わってしまう傾向にあるので。
    日本の特殊性やその必然性など、中国やヨーロッパと
    比べて日本の武士や封建制の特殊さなど。
    なかなか面白い内容だったと思います。

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    2016年12月25日
  • 憲法の条件 戦後70年から考える

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    憲法について騒がれることが多くなったので学びのために手に取った本。
    集団的自衛権、憲法9条といった世の中で騒がれているようなポイントだけではなく、憲法そのものについての基本的な考え方を学ぶことができる。
    ただ、法に対しての人の解釈が無数あるように、法そのものに対しての基本的な考え方も他にも多くあるのだろうという予感はしている。
    これはあくまで一つの意見ということで解釈している。特に初心者の私にとっては最初の一歩の本なので、これがすべてだと真に受けてしまうのは危ないなと。

    ただ個人的に大いに共感できる意見が多かったのも確かだ。
    憲法9条はどこの国にもない誇れるものだと思う。

    例えば1000年

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    2016年10月27日
  • おどろきの中国

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    ネタバレ

    ■読んだきっかけ
    ・中国出張するにあたり、行く土地の歴史・地理・文化・国民性を知っておきたかったから。
    ・ニュースや人の話で聞く、中国の悪いイメージ(自己中心的・反日)は、あくまで日本側の視点なので、中国側の視点も知りたかった。
    ■本の内容
    ・社会学者3人による、「中国」についての鼎談であり、どちらかと言うと親中で中国に詳しい橋爪氏が、他二人の疑問点(以下のようなこと)に答えていくかたち。
    ・中国のような大きな帝国が、二千二百年も前(秦の時代)にできたのは、どうしてなのか。いかにして、帝国としての統一性を実現し、維持することができたのか。
    ・中国人=アグレッシブで自己中心的なため、統一国家に不

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    2016年10月01日
  • 戦後の思想空間

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    3回に渡っておこなわれた講演をまとめた本で、柄谷行人の「昭和・明治平行説」に則る形で、戦前と戦後の日本社会における超越的な審級の変容を読み解いています。

    第1章では、江藤淳や加藤典洋の議論を参照しつつ、戦後の日本がそれまでの「天皇」に代わって「アメリカ」が超越的な審級に位置づけられていたと論じられます。ところが、1970年以降もはや「アメリカ」は超越的な審級としての役割を果たさなくなっていきます。1970年代の日本では、「日本」というローカリティが意味を失い、日本人であることがそのまま世界市民であるという奇妙な錯覚が行き渡ります。戦前においてこの時代に対応するのが、超越性を持たない天皇を戴い

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    2016年09月07日
  • 不可能性の時代

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    戦後という時代を「理想の時代」「虚構の時代」「不可能性の時代」の3つに区分し、それぞれの時代における「第三の審級」のあり方について考察しています。

    オウム真理教事件やオタク文化が現代の日本社会のある側面を示していることは間違いないとしても、それらに焦点化する形で戦後日本社会の総体を把握することができるのか、という疑問はもっともだと思います。ただ本書は、戦後日本社会を包括する試みではなく、見田宗介の『現代社会の理論』や『社会学入門』(ともに岩波新書)から、オウム真理教事件を中心に現代社会を論じた著者の『虚構の時代の果て』(ちくま学芸文庫)への展開を改めてたどりなおし、同時に『虚構の時代の果て』

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    2016年09月06日
  • おどろきの中国

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    著名な社会学者達の対談だけあって視点が多岐に渡っていて面白い。

    人類史の中で、他の文明とか他の文化の真似や影響なしで独自に文字をつくったところは4つしかない。メソポタミア、エジプト、マヤ、中国。
    頭の中が漢字でフォーマットされた中国人が日本を理解することは難しいという指摘は興味深い。
    また一方で、日本には行動規範となるテキストが存在しない。イスラムのコーラン、インドのヴェーダ聖典、中国の経典。特に戦後の日本は何をよりどころにしてきたかといえば米国であろう。パックス・アメリカーナの中で平和を享受してきたわけだ。

    経済の視点では、西側陣営で起きている資本主義の社会主義化と中国に代表される社会主

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    2015年07月29日
  • おどろきの中国

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     3人の社会学者が、中国について話し合うという本。前半は中国、中国人に関する基本的な謎について。なぜ中国人は、日本人から見ると自己主張の強い人たちに見えるのか、中国人にとっての宗教とは何か、そもそもなぜ広大な地域が国としてまとまっているのか、といった問題や、共産党と毛沢東についての話。後半は中国の歴史問題に関する認識の捉え方と日中関係のあり方を論じている。
     今回の3人のうちの2人が参加している『ふしぎなキリスト教』がとても面白かったという記憶があって、中国についてはまともに知らないけど、読んでみた。とても面白いけど、難しかった。まず中国の歴史、特に戦時の日中関係や日本の行動について、おれはあ

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    2015年05月24日
  • 憲法の条件 戦後70年から考える

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    社会学者の大澤氏と憲法学者の木村氏の対談本。
    内容は興味深いが、対談形式だと、少し理解しにくい。
    個人的には、木村先生単独の作品のほうが、ギャグや小ネタが入っていて面白い。

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    2015年03月06日
  • 生権力の思想 ──事件から読み解く現代社会の転換

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    これは生権力について語っているのだろうか。フーコーをメインに語ってるというかというと、違う。むしろいつもの大澤節というべき、猟奇犯の動機推理小説。主体の客観的同一性の自己崩壊から甘さの再措定へ。
    そこからでてくるのは、神のゾンビ。価値の生々しい否定によって別の超越的価値を復活させる錬成術。
    そして、その生々しさ(内なる他)との和解が、アウシュビッツ的悲劇を回避するという。ほんとうか。

    補論の「パレーシアとその裏側」は、けだし、超重要論考である。ヘーゲルをキーに、フーコー生政治的主体の脱構築をはかる。

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    2014年11月07日
  • おどろきの中国

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    橋爪大三郎、大澤真幸、宮台真司の3人が、中国をテーマに語り合った本。

    中国という国のあり方は、ヨーロッパの近代国家を基準にして作られた西洋の社会学の枠組みでは説明しきれないところがあるにも関わらず、文化左翼的な立場からの中国論者たちはポストコロニアル批評などの西洋の現代思想を当てはめることで中国を理解しようとしてきました。本書はそうした一方的な中国への共感を戒め、理論社会学についても独自の思想を展開し、中国の実情にも詳しい橋爪を中心にして、理論と現状分析の双面にわたって中国を分析しています。

    日中の歴史問題や、今後の日中関係についての議論も、たいへん興味深く読みました。ただ、座談会形式とい

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    2014年09月13日
  • 夢よりも深い覚醒へ 3.11後の哲学

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     最低限、同著者の『不可能性の時代』(岩波新書)を読んでいないと、まったく理解できないと思われる。相変わらずの衒学趣味とアクロバットな力技には辟易させられることもあるが、さまざまな社会問題に対するちまちました対症療法の繰り返しにうんざりしている向きには魅力的な問題提起ではある。少なくとも第3章と第5章は社会運動論として読むに値する。

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    2014年09月05日