【感想・ネタバレ】日本史のなぞ なぜこの国で一度だけ革命が成功したのかのレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2020年06月21日

(帯文)”信長でない、竜馬でもない、日本の歴史上ただ一人の革命家とは誰か?”。

新書判の本というのはたいてい、端的にして(読書においてのという意味で)実用的であるところ、このように煽っていることに驚き、ワクワクした。
だが考えてみれば大澤真幸の本はたいてい、謎解きを体験するようにワクワクして読んで...続きを読むいるから、編集担当のプロモーションが巧妙であるか、大澤氏の確信犯的企みなのかもしれない。

めちゃくちゃ面白かった!!

日本の歴史におけるただ一人の革命家であるという「かれ」について関連書籍を注文してしまった。もはやファンになってしまっている。
そしてまた、自分自身の置かれている環境で、一つの人生の仕事で、革命の方向に思いを駆り立てられる論理的な武器を手渡されてしまう。やはり新書判、実用である。

以下の読書メモでは、「かれ」が誰であるのかは、
このエンタテインメント性に敬意を払って、記載しない。

【読書メモ】
日本社会の歴史の中で唯一革命に成功した人物。
基本的な社会構造や支配構造の転換を成功させた。

一般的な改革の不在と例外的な革命の実現
外国の社会や文明との対比を媒介にしてこのなぞを解き、日本社会の成り立ちを解明する。

事実課程を追うのではなく、そこに作用していた論理を抽出する。

社会構造の抜本的な変動の必要を認識している現代の日本人に構想力を提供するのが間接的なねらい

抽出された論理が、現在に適合したかたちで受肉することができるはずだ(あとがき)
日本社会の困難の源泉になっている(不)可能性の臨界を超えでていくための方法として、具体化できることを示唆している。

大化の改新、明治維新は外部に現れた脅威を原因としている
やむを得ない反応として生じた社会変動であり、革命とはみなし得ない

信長は既存の権威、支配構造を全否定していたが、途中で部下に裏切られ、挫折した。秀吉、家康は既存の権威による基準を積極的に継承した。
後醍醐天皇も、単に権力を武士から奪い返したのではなく、伝統的な王朝国家とは質の異なる専制国家を目指したのでまさに革命的だったが、足利尊氏兄弟から裏切られ、室町幕府には税の新賦課方式くらいしか受け継がれなかった。信長、後醍醐という革命家の典型的イメージを体現しているカリスマは、実現に至るためのポイントでフォロワーからの致命的な裏切りにあい挫折している。

・誰も狙っていない権威を輪番で警護する制度を定めた。空虚な中心への従属を繰り返し確認し、自他に対して明示する制度。
・完全に固有法の方を定めた(継受法ではない)。後世まで普及し人の行動、教育に影響を与えた。
・既存の権威を全否定し、対決しながら敗者にならなかった
・権威に一定の経緯を払った者でさえも批判されてきたのに、公然と戦ったうえに処罰するという「不敬」を犯しながら、後世に激賞されてきた
・明治の幕開けまで続く世を開くという革命を成し遂げた

中国の易姓革命は、革命を否定する革命、革命を無化するための革命。むしろ「皇帝」という制度を持続させるための理論。暴力に関して優れた者が皇帝になっているのにその事実に対して「徳が高いから天命がくだった」という解釈が加えられる。

革命は、自然発生している秩序や運動を過剰なまでに肯定し引き受けることによって可能になる。(p.160)

「パスカルの賭」からディドロへ受け継がれた信仰の賭と同じ態度を、彼は時の支配的権威にとったことになる。
ディドロの信仰が不在の神への信仰であったのと同じように、かれは行動を通じて不在の権威存在への忠義を実現した。

”自生的秩序の生成をそのまま肯定するということは、その秩序を制御する外的な審級(超越神のようなもの)の存在を否定することである。そのような存在を否認しても、なお神が存在しているのと同じような秩序が存在しうることへの信頼が、自生的秩序を徹底的に肯定し、その潜在的可能性を引き出そうとする態度をもたらすことになる。” p172

かれによって完成された革命のおかげで、田舎を地盤とする戦う集団が、権威に雇われれる上下の構造を超えて自律的な政府をもつことができるようになった。そして、武者たちの規範が、日本の伝統の行動原理の中に加わることにもなった。

”<例外的な一者>を肯定的に活用するような革命は日本では起きようがなかったが、否定的に活用するのであれば日本でも革命が起こりうることを示した。

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Posted by ブクログ 2019年07月07日

承久の乱と現代の対米従属をつなげて語るという、無理がありそうな展開をなるほどと思わせてくれるあたり、たくさん本を出している学者さんだけはあると思う。日本史の謎と言いながら、実は日本史の本ではない。現代社会の病理を考えるために、歴史に手がかりを求めるという本だ。日本では革命はただ一度を除いて成功してい...続きを読むないという。ここでいう革命とは、社会の在り方を一変させる事象だ。万世一系という天皇をいただく日本においては、社会を一変させるなんてことはかつてなかった。ただ一度、承久の乱における北条泰時をのぞいては、という話。承久の乱が日本史においてひとつのターニングポイントになった、というのは歴史の本でも書かれていたくらいだ。それだけ大きな出来事ではあったのだろう。

本書の面白さは歴史を追求するのではなく、日本はなかなか変わりにくい国だけど、一度できたのなら、そこを分析することによって、現在日本が抱えている対米従属という病理も克服できるのではないか、という展開にある。

知的なアクロバット?という感じでね。刺激的だったし、考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2017年06月15日

タイトルが内容を正しく表わしていないように思う.「革命の条件」とでも言った方がいい.「御成敗式目とは何だったか」とか.
わが国の権力の中心は空虚だ,と看破したのは猪瀬直樹だったが,その分析をもう一歩進めた感がある.

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Posted by ブクログ 2017年01月20日

<目次>
第1章  革命家はただ一人
第2章  東の革命/西の革命
第3章  天皇なき天皇制

<内容>
日本唯一の革命家は、北条泰時だという。説の根本は、山本七平の『日本的革命の哲学』。大筋はわかった気がするが、キリスト教との比較や中国の比較などは手に負えなかった。

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