沢木耕太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ボクシングの話ではあるのですが、元ボクサーたちのその後のような、
少しネタバレになりますが、あるボクシングジムで昔、四天王と呼ばれていた4人のボクサー、誰も世界チャンピョンのタイトルを取ることなく引退して、月日は流れ、それぞれ老齢となった4人が、昔ジムの寮で暮らしたようにシェアハウスで暮らし始めます。
それぞれいろいろな事情は抱えているものの、気心の知れた者同士同じ屋根の下での生活、役割分担や、取り決めや、必要なものをそろえたり・・・・
それだけでこちらまでワクワクしてしまいます。
そんな4人の前に現れたのが、若きボクサー。もう読めてしまうのですが、4人はこのボクサーを育てて、自分たちが果たせ -
Posted by ブクログ
▼1960年の安保闘争の終盤。首相だった岸信介さんは、私邸をデモ隊に何重にも包囲されてしまいました。そして、防衛庁長官の赤城宗徳さんを呼びつけ、自衛隊の出動を要請。しかし、赤城さんがこれを断固拒否。「日本人同士を戦わせて、流血するわけにいかない」。▼沢木耕太郎さんは、この時に自衛隊が首相を守るため、という大義名分でデモ隊と戦っていたら、その後の政治は決定的に変わっていただろう、と述べています。恐らく自民党政権は遠からず倒れ、所得倍増計画も無かったことになります。ちなみに岸信介さんは、弟が佐藤栄作首相。娘婿が安倍晋太郎首相。孫が現在の安倍晋三首相。うーん。身分制度?歌舞伎?▼「危機の宰相」沢木耕
-
Posted by ブクログ
ネタバレ『暮らしの手帖』の編集から沢木氏が頼まれて
書かれた映画評。書名でもあり導入部に書かれた
「使われなかった人生」というフレーズに惹かれました。
映画は見たい見たいと思いつつ腰が重くなっている
ことのひとつなので、少し映画に近づくために
読みました。
見たくなった映画は「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」
「タクシー・ブルース」「恋々風塵」「オリヴィエ・
オリヴィエ」「ワンダーランド駅で」
沢木氏にかかると映画評も一つの短編のように
味わい深いものでした。
編集から頼まれて始まった連載でしたが
「沢木さんが書かないと映画欄がなくなることになります」
(P316)というのはなかなかの脅し文句で -
Posted by ブクログ
池田勇人、田村敏雄、そして下村治。三人の人生が交差して戦後最大のキャッチーな政策「所得倍増」が誕生した。旧大蔵省という超エリート組織のLoserである三人が不思議な縁で結びつき、高度経済成長という経済主導の「新しい形の『強い国家像』」を牽引することになったのは歴史的必然なのだろう。池田内閣が組閣された1960年は安保改定という戦後脱却のエポックメイキングがあり、退陣した1964年は東京五輪開催の年であった。まさに時代の変革期にうまく日本国を成長軌道に乗せた、と振り返って今思う。
沢木耕太郎氏の俊逸な取材力を文章力には毎度驚かされるが、本作品では下村治の再発見が特筆すべき点だろう。安定成長路線 -
Posted by ブクログ
「山本周五郎名品館Ⅱ 裏の木戸はあいている」山本周五郎 (編:沢木耕太郎)
山本周五郎の短編集。
相変わらずのクオリティ。
「ちいさこべ」。火事に焼かれて家屋敷と両親を失った大工の若棟梁。同じ火事で行き場を失った孤児たち、その面倒を見る娘さん。
三つ巴それぞれの事情が描かれるだけなんですけれど、こういうお話しが染みてくるのは、世界には理不尽な都合で孤独になったり死んでしまったり不遇になったり、自力でどうにもならないことが多くある、まあつまり人生は運不運次第の受け身なゲームである、ということが感じてくる年齢以降なんだろうか、改めて思いました。
「ちいさこべ」は何度もドラマにもなっているらしく、 -
Posted by ブクログ
ネタバレ日本に一時帰国し、束の間の平和な日々を送っていた主人公が心が通じ合いつつあった村田明美の制止を振り払い再びマカオに行く姿が渋くてカッコよかった。
そう思うのは男だけだろうけど…
死んでしまった劉さんの残した言葉
「波の音が消えるまで」の意味を求めてバカラにのめり込んでいく。
全てを失い後戻りするチャンスを捨ててバカラをする主人公。なぜそこまでやれるのか?
客観的には没落しているが、果ての果てまで追求する姿に羨望の念を抱いてしまった。
最後の50ドルだけで勝負していくところは緊張感があって引き込まれた。全てがあのシーンのためのフリだったように感じる。 -
Posted by ブクログ
1960年に起きた、右翼少年による社会党の浅沼委員長刺殺事件、を題材としたノンフィクション作品。
物語は被害者と加害者である二人の生い立ち、事件当日の状況や現場に居合わせた人々の様子、そして事件後に残された関係者の行末を、とても鮮明に描き出している。
防衛庁に勤める父親を持つ少年が、兄の影響により右翼活動に参加し、浅沼委員長をターゲットに定めるまでの経緯、そして浅沼氏が政治家を志し、書記長から委員長へと登り詰めた時代背景など、何の接点もない二人の人生が交錯する一瞬までの模様が、非常にスリリングに描写されている。特に、浅沼氏自身も多くを語らなかった、恩師である麻生久氏との関係に触れた、第三章