澤田瞳子のレビュー一覧
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能の曲目に題材をとった短編集ということで、サブタイトルに、元になった曲目が添えられている。
生で能を観たことが無いけれど、興味はあって、少し本など読んだことはある。
個人的に能のイメージは、途中で世界が一転するということ。
目の前の老婆がいきなり美女の霊になったり、人が精霊の姿を現して舞ったりする。
現実が、いきなり夢幻の世界に変わる。
もともと、美しい能面の下はおじさんの顔だったりして、外と中身は違う世界なのだ。
この本の物語も、そういった、“変わる”"本性を現す"瞬間がある。
時代を映してか、親子別れの話も多い。
子育てに向かない女、夫には向かない男、稚児にむかない -
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連作短編集?という気もしなくもない。
若冲の隠居の頃から、八十を超す高齢での死の後までが、間歇的に描かれている。
短編間では描かれる時間に少し間があるが、その間何があったのかはわかるように描かれている。
物語の結末は、こう言っちゃ何だが、半ばくらい読んでいくと見えてくる気がする。
けれど、その結末に向かって、じっくり、丁寧に描いていくのがこの作家の特質yのような気がする。
周到な書き方はは「枡屋源左衛門」から「茂右衛門」を経て、「若冲」と呼び方を変えていくことにも表れている。
こういった細かい事実が、説得力を生んでいる。
京都の老舗の野菜問屋の主人であった若冲。
生来の弱気から、母にいびられ -
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ネタバレ澤田瞳子にしては珍しい時代小説。とはいえ、舞台が京都となれば彼女の土俵という感じ。関西在住、京都にもほど近いところに生活圏をおく俺にとって、出てくる地名や方言が身近に感じられるのが嬉しい。
人情モノでミステリー仕立てではあるんだけど、あっさりした感じ。所謂江戸市井人情物に比べたらベッタリ感はなく、このジャンルが好きな人にはちょっと薄味で不満が残るのかも。俺はべたつきが少ないナチュラルは好感が持てたが。
解説にある「驚異の十割バッター」はおおげさにしても、作者の作品で既読作品に大外れがないのは事実。日本の歴史のどこをとっても小説の舞台にできるってのは凄いなぁ。澤田ブランドさすがである! -
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ネタバレ多くが明らかになっていない江戸時代の画家、伊藤若冲の生涯を、独身ではなく妻がいたのではないか仮定して物語られる。
色彩豊かでありながら、テーマや絵の雰囲気になんとなく影があるように語られる理由を、妻がいたこと、その妻が自死したこと、その妻の親族に恨まれること、などを背景に結びつけることで妙に納得させられてしまう作者の筆力に圧倒される。
若冲の主観的な描写でなく、若冲が死ぬまで助手となって働く妹の目線で、それがものすごく客観的に語られることによって、より作品の信ぴょう性を増しているように感じる。
完全なる創作作品でありながらあたかも史実であったかのように錯覚してしまうほどの若冲の背景のテー -
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聖武天皇の御代、つまり奈良時代を舞台にした本作。
珍しいところに題材を取ったものだ。
それもそのはず、著者は日本古代史を専攻していたというではないか!
始めに慣れない読み方の登場人物や女官の位、皇族の名前などが一覧になっている。
これは親切に、ありがとう、たすかります。
これがないと読めないのだ。
馴染みのない、采女やナントカの司(職場名)など、慣れてしまえば物語の面白さに気にならなくなるが、慣れるまではこの箇所に何度も戻る。
18歳でもはや行き遅れ、10代で子を成すのは当たり前、愛人にだってなる。
しかし処女信仰はまだなく、皆が性に奔放。
かと思えば、男性も女性もキャリアを積めるのに、女性 -
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京都出身京都在住の作家さんによる、京都をキーワードにした、歴史も遡る蘊蓄エッセイ。
さほど面白くはない。博学であろうとは思うが。
大阪出身で京都に勤務していたこともある身からすると、まあ地名で親近感を感じることがあるのであるがそれだけかな。
ご本人、ご両親は中部地方の出身であるらしく、生粋の京都の方から見れば全然京都人ではないようではあるし。
まあ、良くも悪くも、洛中はそう言うところ。
で、京都人は京都の観光地に行かないと言ってるが、ぼくが付き合った京都の方は、大概言ってたよ。金閣寺以外は。金閣寺も、一回くらいは行ってたんかな。
ま、人それぞれ。
生々しさが全然ない京都の歩き方だっ