澤田瞳子のレビュー一覧

  • 能楽ものがたり 稚児桜

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    短編集8編
    能の本歌取りで,本歌のようなカタルシスが無く,こんな現実があったのだと説得力ある展開.「稚児桜」「秋の扇」が良かった.

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    2020年03月08日
  • 能楽ものがたり 稚児桜

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    能の曲目に題材をとった短編集ということで、サブタイトルに、元になった曲目が添えられている。
    生で能を観たことが無いけれど、興味はあって、少し本など読んだことはある。

    個人的に能のイメージは、途中で世界が一転するということ。
    目の前の老婆がいきなり美女の霊になったり、人が精霊の姿を現して舞ったりする。
    現実が、いきなり夢幻の世界に変わる。
    もともと、美しい能面の下はおじさんの顔だったりして、外と中身は違う世界なのだ。
    この本の物語も、そういった、“変わる”"本性を現す"瞬間がある。
    時代を映してか、親子別れの話も多い。

    子育てに向かない女、夫には向かない男、稚児にむかない

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    2020年02月15日
  • 若冲

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    連作短編集?という気もしなくもない。
    若冲の隠居の頃から、八十を超す高齢での死の後までが、間歇的に描かれている。
    短編間では描かれる時間に少し間があるが、その間何があったのかはわかるように描かれている。
    物語の結末は、こう言っちゃ何だが、半ばくらい読んでいくと見えてくる気がする。
    けれど、その結末に向かって、じっくり、丁寧に描いていくのがこの作家の特質yのような気がする。
    周到な書き方はは「枡屋源左衛門」から「茂右衛門」を経て、「若冲」と呼び方を変えていくことにも表れている。
    こういった細かい事実が、説得力を生んでいる。

    京都の老舗の野菜問屋の主人であった若冲。
    生来の弱気から、母にいびられ

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    2019年04月30日
  • ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録

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    ネタバレ

    澤田瞳子にしては珍しい時代小説。とはいえ、舞台が京都となれば彼女の土俵という感じ。関西在住、京都にもほど近いところに生活圏をおく俺にとって、出てくる地名や方言が身近に感じられるのが嬉しい。

    人情モノでミステリー仕立てではあるんだけど、あっさりした感じ。所謂江戸市井人情物に比べたらベッタリ感はなく、このジャンルが好きな人にはちょっと薄味で不満が残るのかも。俺はべたつきが少ないナチュラルは好感が持てたが。

    解説にある「驚異の十割バッター」はおおげさにしても、作者の作品で既読作品に大外れがないのは事実。日本の歴史のどこをとっても小説の舞台にできるってのは凄いなぁ。澤田ブランドさすがである!

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    2019年04月08日
  • 若冲

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    ネタバレ

    多くが明らかになっていない江戸時代の画家、伊藤若冲の生涯を、独身ではなく妻がいたのではないか仮定して物語られる。

    色彩豊かでありながら、テーマや絵の雰囲気になんとなく影があるように語られる理由を、妻がいたこと、その妻が自死したこと、その妻の親族に恨まれること、などを背景に結びつけることで妙に納得させられてしまう作者の筆力に圧倒される。

    若冲の主観的な描写でなく、若冲が死ぬまで助手となって働く妹の目線で、それがものすごく客観的に語られることによって、より作品の信ぴょう性を増しているように感じる。

    完全なる創作作品でありながらあたかも史実であったかのように錯覚してしまうほどの若冲の背景のテー

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    2019年02月14日
  • 満つる月の如し 仏師・定朝

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    仏像は大好きだけど、じゃあ仏師は当時どんな暮らしをして、どうやって仏像を作っていたのかはほとんど知らなかったなと思った。平等院に行くといつも飛天にばかり心を動かされてしまっていたけど、今度はちゃんとご本尊も拝観しよう。それにしてもこの時代の系図は複雑で誰が誰だかちょっとわからなくなった。

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    2019年01月28日
  • 与楽の飯~東大寺造仏所炊屋私記~

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    大仏建造現場の炊き出し名シェフと
    その周りの人達のお話。

    重労働には旨い飯、と妙な真実に気が付いてしまいました。

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    2019年01月06日
  • 与楽の飯~東大寺造仏所炊屋私記~

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    面白かったー。でも、陸奥での金産出の話は複雑。それで蝦夷たちがこれからどれだけ苦しめられるか、高橋先生の陸奥三部作大ファンとしては切ない。。。

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    2018年12月10日
  • 夢も定かに

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    平安時代の小説はよくあるけど、奈良時代のお話ってあんま見ないな?とおもいまして、発売してからずっと気になってた本。やっと読めた。
    専門用語が意外と多いし、人名も覚えにくいかもですが、内容はわかりやすいのでサクサク読めました。
    いつの時代も女は強い!
    男に頼らずに生きれる強さ、うちも身に付けたい。

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    2018年06月28日
  • 夢も定かに

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    聖武天皇の御代、つまり奈良時代を舞台にした本作。
    珍しいところに題材を取ったものだ。
    それもそのはず、著者は日本古代史を専攻していたというではないか!
    始めに慣れない読み方の登場人物や女官の位、皇族の名前などが一覧になっている。
    これは親切に、ありがとう、たすかります。
    これがないと読めないのだ。
    馴染みのない、采女やナントカの司(職場名)など、慣れてしまえば物語の面白さに気にならなくなるが、慣れるまではこの箇所に何度も戻る。

    18歳でもはや行き遅れ、10代で子を成すのは当たり前、愛人にだってなる。
    しかし処女信仰はまだなく、皆が性に奔放。
    かと思えば、男性も女性もキャリアを積めるのに、女性

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    2017年08月14日
  • 満つる月の如し 仏師・定朝

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    仏師を題材にした歴史小説は初めて読んだ。非常に興味深かった。歴史学者である著者の知識だけでなく、1000年も昔の情景を容易に想像させてくれるような描写に、感心しっぱなしだった。
    他の著書も全部読んでみたいと思った。

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    2017年04月05日
  • 夢も定かに

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    いつの時代も女はすべてと闘っている。
    友のために、家族のために、愛する人のために、なにより自分のために。

    ラストまで読んでタイトルの意味がすっと落ちてくるところもまた良い◎

    1300年前の彼女達もがんばっていた。
    残念なのは1300年経っても同じ理由で泣かなければならない女がいることかしら。

    嘆いてばかりはいられないから、せめて1300年後の後輩達のために、私達はまだ闘わなくては。

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    2016年12月25日
  • 夢も定かに

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    平城京のワーキングガールなんて軽く一言で済まされてるなんてもったいない。
    若子、笠女、春世とそれぞれモデルがいるようだし、当時の女性は堅苦しく生きにくい面もありつつ、それでも生き生きと己の道を模索する姿が読みやすく共感しやすく描かれており面白かった。

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    2016年11月01日
  • のち更に咲く

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    ネタバレ

    平安時代の藤原保昌一族の異聞物語。

    主人公は架空ではあるが実在の道長四天王の藤原保昌の妹という設定。
    大河ドラマ「光る君へ」には登場しない藤原保昌一族だが、奥方になる和泉式部が出ていたのでこの人のエピソードもほしかったです。
    小説の物語は保昌の祖父、父、兄弟の悲惨な末路に抗いながらも懸命に生き抜こうとしている兄妹の物語が横糸で、京の盗賊のミステリーが縦糸となっている感じです。
    この盗賊のミステリーの真相が奇想天外ながらも当時の複雑な男女関係ならありうるかもと思わせるのは著者の腕が良いところです。

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    2026年02月01日
  • 星落ちて、なお

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    直木賞受賞作。
    不世出の絵師を父に持った娘が主人公。父から絵を仕込まれながら、父ほどの才がないのを自覚し、亡き父に反発しながらも絵と離れられず、絵師として生きる女性のお話。
    亡き父や絵というものへの思いや理解が、生きていく中で変わっていく。

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    2025年11月23日
  • 京都はんなり暮し 〈新装版〉

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    生まれも育ちも京都の著者。
    はんなりとは裏腹、まま尖っているw
    著者曰く、京都に対して世間の認知がそこそこズレているらしく、そのもどかしさや京都に誇りを持っているからだろうと察する。
    歴史や所以などの解説が多く、読んでいて知見が広がる。

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    2025年11月21日
  • 京都の歩き方―歴史小説家50の視点―(新潮選書)

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    京都出身京都在住の作家さんによる、京都をキーワードにした、歴史も遡る蘊蓄エッセイ。

    さほど面白くはない。博学であろうとは思うが。

    大阪出身で京都に勤務していたこともある身からすると、まあ地名で親近感を感じることがあるのであるがそれだけかな。

    ご本人、ご両親は中部地方の出身であるらしく、生粋の京都の方から見れば全然京都人ではないようではあるし。

    まあ、良くも悪くも、洛中はそう言うところ。

    で、京都人は京都の観光地に行かないと言ってるが、ぼくが付き合った京都の方は、大概言ってたよ。金閣寺以外は。金閣寺も、一回くらいは行ってたんかな。
    ま、人それぞれ。

    生々しさが全然ない京都の歩き方だっ

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    2025年11月13日
  • 星落ちて、なお

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    さすが賞をとっただけあるな。文章上手いし読ませる。
    ぽん太嫌な女だったなぁ。八十五郎、人って変わるもんなんだよねぇ。

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    2025年11月06日
  • 梧桐に眠る

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    吉備真備や玄昉とともに、遣唐使船に乗り込んで日本に渡ってきた袁晋卿が、藤原広嗣の客人になり、市井の人々と交わりながら、痘瘡の病禍を乗り越え、力強く生きていく物語。

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    2025年10月11日
  • 名残の花(新潮文庫)

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    明治になって、丸亀藩での蟄居閉塞から解かれた鳥居耀蔵の話。蛮社の獄首謀者鳥居耀蔵は好きじゃないので、どうしても癇癪爺さんにしか見えなくて楽しめなかった。

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    2025年10月09日