あらすじ
京都鷹ヶ峰にある幕府直轄の薬草園で働く元岡真葛(まくず)。ある日、紅葉を楽しんでいると侍同士の諍いが耳に入ってきた。「黙らっしゃいッ!」――なんと弁舌を振るっていたのは武士ではなく、その妻女。あげく夫を置いて一人で去ってしまった。真葛は、御典医を務める義兄の匡(ただす)とともに、残された夫から話を聞くことに……。女薬師・真葛が、豊富な薬草の知識で、人のしがらみを解きほぐす。
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Posted by ブクログ
母親の澤田ふじ子さんの小説に似てきた。公事宿シリーズのような推理や高瀬舟シリーズのような人情噺で京都が舞台。
この本の主人公は父親が、修行のために娘(真葛)を友人に預けて行方不明になっている。預け先で良くしてもらい、女性としては珍しく医師の修行も行っているし、預け先の家業の御薬園も良く手伝い漢方薬に詳しい。
6つの章となっているが、医薬の知識で各事件の匂いを嗅ぎ取って未然に防ごうと努力する。ただ結果として悲惨さがちょっとだけ軽減した事件が多い。大量毒殺事件で救えたのは数名。孤児が殺人事件を起こした後にできることは情状酌量での減刑。表題の「ふたり女房」では重婚の元夫婦、現夫婦はあれで皆幸せになれるのだろうか。
重い内容が多いが、主人公の真葛が凛としているので何とか読み切れる。続編もあるようなので、いつか読もうと思う。
Posted by ブクログ
澤田瞳子にしては珍しい時代小説。とはいえ、舞台が京都となれば彼女の土俵という感じ。関西在住、京都にもほど近いところに生活圏をおく俺にとって、出てくる地名や方言が身近に感じられるのが嬉しい。
人情モノでミステリー仕立てではあるんだけど、あっさりした感じ。所謂江戸市井人情物に比べたらベッタリ感はなく、このジャンルが好きな人にはちょっと薄味で不満が残るのかも。俺はべたつきが少ないナチュラルは好感が持てたが。
解説にある「驚異の十割バッター」はおおげさにしても、作者の作品で既読作品に大外れがないのは事実。日本の歴史のどこをとっても小説の舞台にできるってのは凄いなぁ。澤田ブランドさすがである!
Posted by ブクログ
瞳子さんの作品は、ほとんど読んでいて、
「京都鷹ヶ峰御薬園日録」は未読(続編も)だった。
光格天皇(119代)の時代、
この時代の江戸ものは時代小説によく書かれるが、
禁裏のある京都を舞台にしたものは、あまり読んだことがなかった。
幕府が開いた鷹ヶ峰御薬園は、広大な薬草畑を持つ薬草園で、
京都市北区鷹峰藤林町に顕彰碑が立っているそうだ。
小説の流れがやや固く、先が読めてしまうのが残念。連作短編になっているが、
一冊としてのフィニッシュが物足りなかった。
でも、美しい言葉を選び取って纏める瞳子さんの瞳子さんの作品は好きだし、良書だと思う。
Posted by ブクログ
京都の鷹ヶ峯の御薬園で働く真葛、医師であった父は行方不明。薬草のことばかりでなく医師としても期待される能力がある!
余り堅苦しくなく、臨機応変な感じがいいです!