あらすじ
京都鷹ヶ峰にある幕府直轄の薬草園で働く元岡真葛(まくず)。ある日、紅葉を楽しんでいると侍同士の諍いが耳に入ってきた。「黙らっしゃいッ!」――なんと弁舌を振るっていたのは武士ではなく、その妻女。あげく夫を置いて一人で去ってしまった。真葛は、御典医を務める義兄の匡(ただす)とともに、残された夫から話を聞くことに……。女薬師・真葛が、豊富な薬草の知識で、人のしがらみを解きほぐす。
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Posted by ブクログ
澤田瞳子にしては珍しい時代小説。とはいえ、舞台が京都となれば彼女の土俵という感じ。関西在住、京都にもほど近いところに生活圏をおく俺にとって、出てくる地名や方言が身近に感じられるのが嬉しい。
人情モノでミステリー仕立てではあるんだけど、あっさりした感じ。所謂江戸市井人情物に比べたらベッタリ感はなく、このジャンルが好きな人にはちょっと薄味で不満が残るのかも。俺はべたつきが少ないナチュラルは好感が持てたが。
解説にある「驚異の十割バッター」はおおげさにしても、作者の作品で既読作品に大外れがないのは事実。日本の歴史のどこをとっても小説の舞台にできるってのは凄いなぁ。澤田ブランドさすがである!