澤田瞳子のレビュー一覧

  • 夢も定かに

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    ネタバレ

    ☆4のつもりだったが、最後まで読んで☆3にした。

    元々古代の女性官僚について卒論執筆にあたって細かく調べたこともあり、するする読めるし理解も早かった。笠女(笠目)だけその人生の全貌を知っていたため、誰かの妻となったり女を使って出世したりしない部分をもって肩入れして読んでいたが、結局笠女のターンは少なく、その後の出世っぷりも描かれなかったのは残念。

    とはいえ若子や春世までしっかり実在していたとは。彼女たちの子供についても調べると面白かった。また『万葉集』の授業をとっていたため、小鹿の登場もなんだか嬉しかった。

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    2025年02月11日
  • 孤城 春たり

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    備中高松城に行き感激した事を覚えてる。で、この小説を勘違いしてたが、幕末の松山藩の重鎮の物語だった。山田方谷と言う儒学者が主人公で、弱小の藩を建て直す才力や人柄が感銘受けた。

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    2025年01月28日
  • 火定

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    時は天平年間。誰であろうと区別なく人を喰らい尽くす感染症が海を渡ってやって来る。次々と命果てる数多の患者を前に無力感に苛まれながらも自らの使命と治療に当たる医療従事者たち。恐怖と絶望感に翻弄され平常心を失う民。無論貴族も例外ではない。秩序が崩壊する京の陰惨な光景を直截的な表現で淡々と描かれた作品に全身が粟立つような臨場感を体験した。理性と感情のガチンコが本書の面白さのひとつと思う。語彙力を試されるような文体も魅力。

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    2025年01月28日
  • 恋ふらむ鳥は

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    ネタバレ

    叔母に勧められて。長かった…笑
    新聞連載の小説ということで、わかりやすさや面白さが重要なのはわかる一方で、通しで読んでいるとあまりにも(?)額田王が全ての中心で、"都合よく"話が進んでいくので、うまくいえないのだけれど抵抗感のようなものがずっと心中にあって、没入感を得られず残念な感じでした笑

    ただ何も詳細がわかっていない額田王の人生や、詠まれた歌の背景や想いをこのような一つのストーリーにまとめ上げられているのは純粋にすごいなと思いました。

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    2024年12月08日
  • 灯台を読む

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    日本に約3000基ある灯台の役割や多様な価値について知ってもらおうという趣旨で進められている「海と灯台プロジェクト」。主体は一般社団法人・海洋文化創造フォーラムで共催が日本財団と海上保安庁である。そのプロジェクトの一環として企画されたのが、灯台が果たしてきた地域固有の役割や機能、存在価値を物語化して知らしめようという取り組み。本書はそれに基づき19基の灯台を6人の著名な作家が分担して現地取材し、紀行文集として取りまとめたもの。
    灯台の建築技術や歴史、地域との関わりについて様々な観点から語られ、読み進めるうちに少しずつ灯台への関心が高まってくる。
    しかし、門外漢の私には歴史作家や描写力のある作家

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    2024年11月27日
  • 月ぞ流るる

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    主人公は大河ドラマ「光る君へ」にも登場する栄花物語の著者赤染衛門こと朝児(あさこ)。権勢を誇る藤原道長と対立する三条天皇をめぐる、平安京内裏が舞台の物語。権力争いに利用される姫君が健気でもあり、哀れでもある。もう一人の主人公が、比叡山の僧、頼賢(らいけん)。三条天皇の妃の一人が、他の貴族と不倫の末生まれ、早くに親から見捨てられたが、やはり三条天皇の妃のひとり、原子(げんし)に養育され、原子が毒殺(という噂)された後は比叡山に預けられたという生い立ちを持つ頼賢。いくつかの遍歴の後、三条天皇に仕える身となる。天皇が中心、貴族たちが覇者を争うその様を、ありのまま書き記そうと決意する朝児が目にする様々

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    2024年11月06日
  • 赫夜

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    平安遷都した頃のお話。鷹取は大中臣家に使えている三十歳の家人。家人は牛馬同然に売買される奴婢ほどではないが、家の財産として生涯その軛を逃れられない。話は鷹取が家の主の弟が駿河の国司となるのに供なるところから。駿河で富士の爆発やそれに伴う村の様子、馬を飼う里のこと、遊女たち、山賊の生き方、蝦夷や坂上田村麻呂など多彩なメンバーが登場し、鷹取に影響を与えていく。
    起承転結があるような展開ではなく、悠久の富士そのもののどっしりと壮大な話だったので、面白みは薄め。文章や語彙の美しさ、歴史的背景を織り込んだ描写はいつもながらに卓越。
    澤田瞳子好きなら、ゆっくり読み進めるのにオススメです。
    山賊の荒さや遊女

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    2024年11月03日
  • 赫夜

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    長く続く歴史という一本の線。自分が生きるこの日々はごく小さな一点だけれど、それは確かにその線上にあり線を成す一点であること。そのことをしみじみと思う一冊。

    長い時間の中では瞬きするほどの一生だけど、ひとつひとつのその点に生きている熱量を吹き込んでくれる物語の面白さよ。LIFE is beautiful !

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    2024年10月23日
  • 星落ちて、なお

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    江戸末期から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎の娘の物語。
    お恥ずかしいことに、私は河鍋暁斎を知らず、架空の人物かと思っていて、読み終わってから検索して知りました。
    物語の描写のとおり、彼の絵は生き生きとして迫力のある作品でした。
    この人の家族はさぞ苦労しただろうなと思うほどに。

    読みながら、絵を描く運命から逃れられず苦しむ娘の生き様が、苦しくて苦しくて。
    芸術って、その人自身の才能なのに、子供だからって跡取りにされたらつらいだろうな。
    関東大震災のところも、東日本や能登の震災を思いつらくなり、読むのがずっと苦しかったです。

    最後に
    「人は喜び、楽しんでいいのだ。生きる苦しみ哀しみと、それ

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    2024年10月15日
  • 若冲

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    表紙にある「若冲」のタイトルとニワトリの絵、有名な画家とその作品という朧げな記憶から本書を手に取りました。
    青物問屋の跡取りが早々に隠居して絵描きに没頭し、描く絵画は奇想天外な発想と細微を極める表現力によって他を圧倒する。芸術家にありがちな気風かと思えば、お家のピンチには絵筆を置いて奔走するユニークな存在で何処までが事実なのかと思います。その若冲さんに対して怨みと怒りを力に変え見事な贋作を描いて執拗に絡む義弟の源蔵。この構図を中心に若冲さんの世界が広がってゆきます。読み進めるにつけ原画を見てみたくなります。恐らく主人公のこだわりが怒涛のごとく押し寄せてくるに違いありません。とても面白い作品でし

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    2024年10月01日
  • 若冲

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    読み進めていくと
    登場人物の動きが目に浮かび、セリフが聞こえてくるような作品でした。
    史実のとおりではないようですが、
    このような生き方から
    若冲の絵がうまれたという物語は、小説としておもしろいと思いました。

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    2024年09月26日
  • 星落ちて、なお

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    澤田瞳子らしい、訥々とした流れの中にも
    葛藤や強い思い、一本筋の通ったテーマがあり、人それぞれ楽しみをもった人生でよいというシンプルな言葉も重要なところで出てきたところなど好感がもてる作品でした。

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    2024年09月10日
  • 星落ちて、なお

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    絵が表現される場面がたくさんあって
    想像しながら、読んでいくのが
    面白かった。
    実際の絵をネットで見たりするのは
    反則かなと思いながらも
    つい確認してしまいました

    本筋には関係ありませんが
    「まんじゅう切手」なるものがあったとは
    驚き!

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    2024年08月31日
  • 月ぞ流るる

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     今回も、大河ドラマ「光る君へ」から興味を持ち、手に取ってみた澤田作品。
    赤染衛門の生涯についてかと思ったら、複雑な境遇に生きる人々の、孤独について考えさせられるお話であった。
     特に、帝(三条天皇)の苦しみに共感した。
    月明かりのなか詠んだ歌
     心にもあらでうき世に長らへば
      恋しかるべき夜半の月かな
    には、その場にいた人たちと同じく、私も悲しみに満たされた。
     哀しみを抜け、幸いが訪れるよう願う、そんなお話だった。


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    2024年08月23日
  • 歴屍物語集成 畏怖

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    ネタバレ

    【収録作品】
    序章 天野純希
    「有我」矢野 隆
    「死霊の山」天野純希
    「土筆の指」西條奈加
    「肉当て京伝」蝉谷めぐ実
    「ねむり猫」澤田瞳子
    終章 天野純希

    ゾンビテーマの時代小説アンソロジー

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    2024年08月23日
  • 赫夜

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    平安時代の富士山延暦噴火。災害に遭った人々の葛藤、苦悩、奮闘、再生を描いた「赫夜」。全巻サイン本という挑戦をした作品でもあります。初版限定でなく、版を重ねるごとにサイン本にするらしいです、気合い入れてます。

    己の境遇に悩む国司の家人・鷹取が富士山の噴火に遭遇し、混乱と絶望の中で日々を生きてゆくしかなくなってしまった人々との生活の中で、自分自身と向き合い生きる意味を見出してゆくのが、大きな柱か。
    登場人物それぞれが、災害の中で自分にできることを探し出していくのですが、その向いている方向が違って、必ずしも希望や未来に向かっているわけでないのが混乱の只中にいるということを実感させます。

    災害を己

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    2024年08月22日
  • のち更に咲く

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    ネタバレ

    わたしの人生はわたしが大切にしなくては。

    小紅の父は諍いのうえに流刑となった。兄のひとり保輔は盗みを働き仲間に裏切られて捕らえられ殺された。兄の保昌は汚名をすぐために道長に追従し、小紅自身も父兄の噂をされながらも土御門第で女房として働いている。ある日、小紅は保輔と関係があるという盗賊の一味に出会ってしまって——。

    真面目で長いものには巻かれるタイプかと思いきやいざとなったら押しが強い保昌とか、盗賊だけど人間的魅力に溢れる保輔だとか、仕事人でピンチに助けてくれる忠信とか、やけにイケメンが多い。ラスボスかと思いきやヒロインの倫子様や、ウザいおばさんかと思いきや本質をついてきて味わい深い鈴鹿など

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    2024年07月24日
  • 月ぞ流るる

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    道長の権力亡者振りがすごい。
    権力を持って何がしたいというのではなく、純粋に権力そのものをどこまで取れるかを突き詰めようとしている。

    それに翻弄され、人生を狂わされる周辺の人々。
    帝も例外ではない。
    帝の外戚であることが権力の源泉でありつつ、その権力を傘に来て帝を蔑ろにするという拗れた構造。

    育ての親を殺された頼賢や道長の娘の妍子も含めて、帝周辺の人々が和解する結末が淋しい。

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    2024年07月21日
  • 火定

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    ネタバレ

    P.404
    医者とは、病を癒し、ただ死の淵から引き戻すだけの仕事ではない。病人の死に意味を与え、彼らの苦しみを、無念を、後の世まで語り継ぐために、彼らは存在するのだ。


    ふぅん。死んでいったものたちは、犠牲になったものたちは、残されたものたちは、意味を与えてもらってそれで少しでも救われるのか、、、。
    隆英どのは、こどもたちの死に意味を与えてもらえたのかな。
    なんだかなぁ。

    コロナがはやり、パンデミックという言葉が浸透する以前に、このテーマを扱った小説ということで注目されたのかな?

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    2024年07月15日
  • 若冲

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    名を残す表現者は、洋の東西を問わずどこか「狂気」を湛えている。

    若冲の筆から感じられる「狂気」の源を、こんな風にわかりやすく仕立ててしまうことに若干の抵抗は感じるが、まあ、読み物としては面白いし、フィクションとしてはよくできている。

    しかし、あの絵画の不気味さ、細部への異常な偏執は、もっと深淵な「闇」に裏付けされているのはず。
    でも、それは小説にはならないね…

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    2024年07月09日