澤田瞳子のレビュー一覧

  • 赫夜

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    平安時代の富士山延暦噴火。災害に遭った人々の葛藤、苦悩、奮闘、再生を描いた「赫夜」。全巻サイン本という挑戦をした作品でもあります。初版限定でなく、版を重ねるごとにサイン本にするらしいです、気合い入れてます。

    己の境遇に悩む国司の家人・鷹取が富士山の噴火に遭遇し、混乱と絶望の中で日々を生きてゆくしかなくなってしまった人々との生活の中で、自分自身と向き合い生きる意味を見出してゆくのが、大きな柱か。
    登場人物それぞれが、災害の中で自分にできることを探し出していくのですが、その向いている方向が違って、必ずしも希望や未来に向かっているわけでないのが混乱の只中にいるということを実感させます。

    災害を己

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    2024年08月22日
  • のち更に咲く

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    ネタバレ

    わたしの人生はわたしが大切にしなくては。

    小紅の父は諍いのうえに流刑となった。兄のひとり保輔は盗みを働き仲間に裏切られて捕らえられ殺された。兄の保昌は汚名をすぐために道長に追従し、小紅自身も父兄の噂をされながらも土御門第で女房として働いている。ある日、小紅は保輔と関係があるという盗賊の一味に出会ってしまって——。

    真面目で長いものには巻かれるタイプかと思いきやいざとなったら押しが強い保昌とか、盗賊だけど人間的魅力に溢れる保輔だとか、仕事人でピンチに助けてくれる忠信とか、やけにイケメンが多い。ラスボスかと思いきやヒロインの倫子様や、ウザいおばさんかと思いきや本質をついてきて味わい深い鈴鹿など

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    2024年07月24日
  • 月ぞ流るる

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    道長の権力亡者振りがすごい。
    権力を持って何がしたいというのではなく、純粋に権力そのものをどこまで取れるかを突き詰めようとしている。

    それに翻弄され、人生を狂わされる周辺の人々。
    帝も例外ではない。
    帝の外戚であることが権力の源泉でありつつ、その権力を傘に来て帝を蔑ろにするという拗れた構造。

    育ての親を殺された頼賢や道長の娘の妍子も含めて、帝周辺の人々が和解する結末が淋しい。

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    2024年07月21日
  • 火定

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    ネタバレ

    P.404
    医者とは、病を癒し、ただ死の淵から引き戻すだけの仕事ではない。病人の死に意味を与え、彼らの苦しみを、無念を、後の世まで語り継ぐために、彼らは存在するのだ。


    ふぅん。死んでいったものたちは、犠牲になったものたちは、残されたものたちは、意味を与えてもらってそれで少しでも救われるのか、、、。
    隆英どのは、こどもたちの死に意味を与えてもらえたのかな。
    なんだかなぁ。

    コロナがはやり、パンデミックという言葉が浸透する以前に、このテーマを扱った小説ということで注目されたのかな?

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    2024年07月15日
  • 若冲

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    名を残す表現者は、洋の東西を問わずどこか「狂気」を湛えている。

    若冲の筆から感じられる「狂気」の源を、こんな風にわかりやすく仕立ててしまうことに若干の抵抗は感じるが、まあ、読み物としては面白いし、フィクションとしてはよくできている。

    しかし、あの絵画の不気味さ、細部への異常な偏執は、もっと深淵な「闇」に裏付けされているのはず。
    でも、それは小説にはならないね…

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    2024年07月09日
  • のち更に咲く

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    藤原道長は、藤原北家、藤原兼家の五男。
    藤原保輔は、藤原南家、藤原不比等の長男、藤原武智麻呂が始祖。NHK大河ドラマでは散楽一座の義賊として登場。藤原保輔をモデルとする直秀。

    一条天皇の中宮となった藤原彰子は
    果たして誰の胤なのか。
    想像を超える設定には驚くが、
    人物の関係性を理解するのに時間がかかって、
    なかなか読み進めず、集中できなかった。

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    2024年06月10日
  • 恋ふらむ鳥は

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    とにかく長かった。
    ちょっとずつ読むためなかなか物語に集中出来ず…
    葛城皇子が好きなので結果がわかっているだけに読み進めるのも悲しかった。
    不比等さん、もっと出てほしかった。

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    2024年06月01日
  • 月人壮士

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    平安時代が舞台ということで、螺旋プロジェクトみたいな企画でない限り、自分からはなかなか手に取らない小説で、とっても新鮮でした。

    海と山の争いと、血の争いをもとにしたストーリー、かつ主人公の帝(聖武天皇)の周りの人の一人称を中心に描かれる複雑な人間関係は、ミステリーみたいな要素もあって終始ドキドキしながら読めました。

    学生時代は歴史の授業が苦手で全く興味をもてなかったのだけど、こういう話を読むと、今さらながらに歴史にも興味がでてきて、学び直してみようかなと思わされます。

    面白かったです!

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    2024年05月05日
  • 火定

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    字が大きいので早く読み終わるかなと思いきや、人名や役職や物の名前などが昔風なので読みづらい。

    最初は文句ばっかりの兄ちゃん。疫病を通して色んな経験をしながら、「医者とは何か」「人の死の意味とは」みたいなことを考えるようになっていく。

    予想外の展開やどんでん返しみたいな盛り上がりはない。だけど話は現実味があり上手くまとまってるし、冤罪で捕まって捻くれて拗らせてるお爺ちゃんの復讐(?)も上手く行きそうだからスッキリと読み終えられた。
    でも読み返すことはないかも…。


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    2024年04月20日
  • ふたり女房 京都鷹ヶ峰御薬園日録

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    瞳子さんの作品は、ほとんど読んでいて、
    「京都鷹ヶ峰御薬園日録」は未読(続編も)だった。
    光格天皇(119代)の時代、
    この時代の江戸ものは時代小説によく書かれるが、
    禁裏のある京都を舞台にしたものは、あまり読んだことがなかった。
    幕府が開いた鷹ヶ峰御薬園は、広大な薬草畑を持つ薬草園で、
    京都市北区鷹峰藤林町に顕彰碑が立っているそうだ。
    小説の流れがやや固く、先が読めてしまうのが残念。連作短編になっているが、
    一冊としてのフィニッシュが物足りなかった。
    でも、美しい言葉を選び取って纏める瞳子さんの瞳子さんの作品は好きだし、良書だと思う。

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    2024年04月19日
  • 月ぞ流るる

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    権力争いがメインだと思うけれど、私には筆の力を感じた。何かを書こうとする主人公、書物で師弟関係を結ぶ主人公と頼賢、和歌を詠む習慣。

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    2024年03月23日
  • 月人壮士

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    奈良時代の話がまず新鮮だった。固有名詞が難しすぎるけど慣れたら読みにくくない。100ページくらい進んでからやっと、「首さま」が聖武天皇だって気づいて自分でも遅すぎると思った。

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    2024年02月27日
  • 火定

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    天平の時代の天然痘パンデミックの話
    これが出版されたのはコロナパンデミックの前
    起こる事態が想像できすぎて辛い。
    よく生き残って今の命に繋げてくれたなと思う、先祖様。

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    2024年02月25日
  • のち更に咲く

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    藤原保輔盗賊だった話を題材にした物語でした。本当なんですかね…?まあ、いつの時代もグレる奴っていたのでしょうが。和泉式部は色ボケおばさんみたいだし。
    主人公らが盗賊の一味に同情的なのですが、わたしは全然共感できませんでした。いくら恨みがあるからって、盗みをはたらいていいわけじゃなかろ?人を殺めたりもしたろ?なので星3つ。気持ちの良い終わり方ではなかった。

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    2024年02月18日
  • 月人壮士

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    螺旋プロジェクト4冊目。

    聖武天皇崩御に際し、すでに明らかになっている遺詔のほかにあるのでは?と周辺に聞きまわる物語。

    章立ては話を伺った人が一人称で話している。

    山の一族天皇家に海の一族藤原家が絡みついていく様子が生々しい。

    この時代から藤原摂関家が席巻していく。

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    2024年02月07日
  • 若冲

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    絵が好きだ。若冲の絵が好きだ。ニワトリが片足でジョジョ立ちでカッコつける絵がカッコいい。ジョジョは厨二のカッコよさ。とわいえ、かの上野の展覧会に5時間並んだ御仁のなかでも絵を「厨二」「ジョジョ」と評して愛でる世代は少ないだろう。何が言いたいかと言うと「絵の愛で方は人ソレゾレ」ということ。書評なのに何故こんなに絵画愛を語っているかというと、この本に出会うとは、小生では一生思いつかない「絵の愛で方」を発見することになる。まさに若冲大好き大好き溢れ出る想像力の果てに壮大なストーリーが出来ちゃった、って感じ。ここまでくると史実か否かを問うのは野暮。これは伝記ではない。人物評ではない。絵へ愛だけ。ある程

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    2023年11月10日
  • 駆け入りの寺

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    202306/最初は登場人物がわかりにくかったのと、文中()での注釈説明文が世界観を邪魔するので読みにくかったけど面白かった。この舞台でこの展開を作り出すのは澤田瞳子ならでは。

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    2023年10月25日
  • 吼えろ道真 大宰府の詩

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    菅原道真のイメージが180度変わる。人間とは、本当はもっと人間臭くて渋といものなのかも知らない。
    その時代の太宰府が、今日の都に真似て坊城制をとっていたこと、想像もつかないくらい国際色豊かだったこと、新しい発見だった。

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    2023年10月05日
  • 火定

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    天平の平城京で巻き起こった
    天然痘パンデミックの話。

    本望でなく医療に従事している名代と
    志を政治に翻弄され
    医者としての役目を放棄した諸尾。
    ふたりを軸に都の混乱が
    どうやって広まっていったのか描かれる。

    どのキャラも二面性があって
    諸尾を詐欺に引き込む有須は悪党だけど
    同房だった虫麻呂を見捨てないし
    懸命に治療を続ける施療院の関係者でも
    いざ自分が罹患するかもと思ったら
    恐怖で逃げ出す。

    さまざまな人間の業があらわになって
    しんどい展開ではあったけど
    そんな中で生きていくことの力強さも
    感じられた物語でした。

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    2023年09月05日
  • 月人壮士

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    螺旋プロジェクトの2作目。主役は聖武天皇。
    完全な皇統を目指しながら自らに流れる藤原の(海族)の血脈に感じる葛藤と絶望。
    色んな人の一人称で語られるそれぞれの首さまの見え方。
    結局その最期までその苦しみは解されず、それは石器時代から脈々と続く”族”の対立には、何人も抗えないという真理か、そしてそれはこの後も続く。

    こういう昔の物語は語りが読みにくく時代背景にも詳しくないので相変わらず苦手分野。
    けど読み進めるうちにそれぞれに見えてる天皇の苦しみが見えて、そしてみんなそれに気づいてて、苦しみがよく伝わる描写だった。

    どんな時代も、色んな見かた、見え方があるよなぁ。

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    2023年07月29日