澤田瞳子のレビュー一覧
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この世の地獄はどこにある。
天然痘の流行する奈良の都の様子を描いた作品。施薬院に配属された名代、濡れ衣で侍医から一時は罪人にまで身を落した諸男、この2人を軸に話が進んでいく。医師の道とは何なのか。絶望と恐怖の中でどのように生きるのか。それはいつの時代でも不変の問い。
効果のないまじないが流行し、それに大金を払う人が出たり、とにかく自分だけは助かりたいと、閉じこもって食料などは届けてもらったり、病は海外からもたらされたものだと、異国の人を攻撃したり、新型コロナウイルスの感染が拡大する今の様子と通じるところもある。
医師の姿に自分の答えを見つけた名代の独白がいい。全員を救うことはできず、人を -
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ネタバレ少女たちのお仕事青春小説かと思っていたが、内容はもうちょっと大人だった。
地方豪族の娘は郷里においては名家のご令嬢でも、中央に出てくれば田舎娘。
畿内豪族の娘との格差もあり、女性が職を持つといってもひとりで生きていくことは難しい。
若子は妹の代わりに急遽出仕が決まり、何の覚悟もろくな準備もないまま出てきたために仕事にも慣れずどこかふわふわしている。
それが現実を知ることにより自分の生きる道を見つける。
能力も高く男性に交じって仕事をしたいと思う笠女も、いざ男性官僚の能力を超えられると知られれば女だからとはじかれる。
恋愛に奔放な春世はそうしなければ生きていけなかった。
誘いを断っても受け -
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持統天皇が大宝律令を制定するが、その際の既得権益を持っていた豪族との争いを描いた話である。
なぜ律令がいるか、それは、中央集権国家を目指すためで、百済のような亡国にならないよう、国力をあげるためだった。また、その中には、日本という言葉が記され、これまでの、倭国という、蔑まれた国名ではダメだという、日本人の強い思いがひめられていた。
法律がなければ、人びとは、己の欲の欲するままに行動し、国は乱れ、まとまらず、国力は落ちる。律令で天皇すらもその元にあるという、おもいだったとこの小説ではいう。天皇という言葉も大宝律令で出てきて、それまでの天皇の呼称 大王から変わるが、この、大宝律令の制定は、これ