澤田瞳子のレビュー一覧
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主人公は大河ドラマ「光る君へ」にも登場する栄花物語の著者赤染衛門こと朝児(あさこ)。権勢を誇る藤原道長と対立する三条天皇をめぐる、平安京内裏が舞台の物語。権力争いに利用される姫君が健気でもあり、哀れでもある。もう一人の主人公が、比叡山の僧、頼賢(らいけん)。三条天皇の妃の一人が、他の貴族と不倫の末生まれ、早くに親から見捨てられたが、やはり三条天皇の妃のひとり、原子(げんし)に養育され、原子が毒殺(という噂)された後は比叡山に預けられたという生い立ちを持つ頼賢。いくつかの遍歴の後、三条天皇に仕える身となる。天皇が中心、貴族たちが覇者を争うその様を、ありのまま書き記そうと決意する朝児が目にする様々
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平安遷都した頃のお話。鷹取は大中臣家に使えている三十歳の家人。家人は牛馬同然に売買される奴婢ほどではないが、家の財産として生涯その軛を逃れられない。話は鷹取が家の主の弟が駿河の国司となるのに供なるところから。駿河で富士の爆発やそれに伴う村の様子、馬を飼う里のこと、遊女たち、山賊の生き方、蝦夷や坂上田村麻呂など多彩なメンバーが登場し、鷹取に影響を与えていく。
起承転結があるような展開ではなく、悠久の富士そのもののどっしりと壮大な話だったので、面白みは薄め。文章や語彙の美しさ、歴史的背景を織り込んだ描写はいつもながらに卓越。
澤田瞳子好きなら、ゆっくり読み進めるのにオススメです。
山賊の荒さや遊女 -
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江戸末期から明治にかけて活躍した絵師・河鍋暁斎の娘の物語。
お恥ずかしいことに、私は河鍋暁斎を知らず、架空の人物かと思っていて、読み終わってから検索して知りました。
物語の描写のとおり、彼の絵は生き生きとして迫力のある作品でした。
この人の家族はさぞ苦労しただろうなと思うほどに。
読みながら、絵を描く運命から逃れられず苦しむ娘の生き様が、苦しくて苦しくて。
芸術って、その人自身の才能なのに、子供だからって跡取りにされたらつらいだろうな。
関東大震災のところも、東日本や能登の震災を思いつらくなり、読むのがずっと苦しかったです。
最後に
「人は喜び、楽しんでいいのだ。生きる苦しみ哀しみと、それ -
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表紙にある「若冲」のタイトルとニワトリの絵、有名な画家とその作品という朧げな記憶から本書を手に取りました。
青物問屋の跡取りが早々に隠居して絵描きに没頭し、描く絵画は奇想天外な発想と細微を極める表現力によって他を圧倒する。芸術家にありがちな気風かと思えば、お家のピンチには絵筆を置いて奔走するユニークな存在で何処までが事実なのかと思います。その若冲さんに対して怨みと怒りを力に変え見事な贋作を描いて執拗に絡む義弟の源蔵。この構図を中心に若冲さんの世界が広がってゆきます。読み進めるにつけ原画を見てみたくなります。恐らく主人公のこだわりが怒涛のごとく押し寄せてくるに違いありません。とても面白い作品でし -
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平安時代の富士山延暦噴火。災害に遭った人々の葛藤、苦悩、奮闘、再生を描いた「赫夜」。全巻サイン本という挑戦をした作品でもあります。初版限定でなく、版を重ねるごとにサイン本にするらしいです、気合い入れてます。
己の境遇に悩む国司の家人・鷹取が富士山の噴火に遭遇し、混乱と絶望の中で日々を生きてゆくしかなくなってしまった人々との生活の中で、自分自身と向き合い生きる意味を見出してゆくのが、大きな柱か。
登場人物それぞれが、災害の中で自分にできることを探し出していくのですが、その向いている方向が違って、必ずしも希望や未来に向かっているわけでないのが混乱の只中にいるということを実感させます。
災害を己 -
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ネタバレわたしの人生はわたしが大切にしなくては。
小紅の父は諍いのうえに流刑となった。兄のひとり保輔は盗みを働き仲間に裏切られて捕らえられ殺された。兄の保昌は汚名をすぐために道長に追従し、小紅自身も父兄の噂をされながらも土御門第で女房として働いている。ある日、小紅は保輔と関係があるという盗賊の一味に出会ってしまって——。
真面目で長いものには巻かれるタイプかと思いきやいざとなったら押しが強い保昌とか、盗賊だけど人間的魅力に溢れる保輔だとか、仕事人でピンチに助けてくれる忠信とか、やけにイケメンが多い。ラスボスかと思いきやヒロインの倫子様や、ウザいおばさんかと思いきや本質をついてきて味わい深い鈴鹿など