澤田瞳子のレビュー一覧

  • 孤城 春たり

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    幕末の備中松山藩を舞台にした短編集。
    山田方谷による改革に不満を持ち暗殺しようとするも改心する熊田恰(あたか)を描く「落葉」、藩内の名産として菓子商を再興しようとする僧玉秀(秀太郎)を描く「柚の花香る、山田方谷の私塾牛麓舎に通い勉学に励むも女としての生と間で悩むお繁を描く「飛燕」江戸で江川秀敏の砲術塾に通うも航海術に興味を持ち退塾。将来の備中松前藩が購入する西洋船快風丸を動かす力となる塩田虎尾を描く「銀花降る」、すべての物語がつながり、大政奉還後も藩主板倉勝静が幕府と心中することを決める一方、松前の人々を新政府軍の攻撃から救うべく東奔西走する家臣団を山田方谷の養子耕蔵の目線から描く「まつとし聞

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    2026年07月22日
  • 吼えろ道真 大宰府の詩

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    いつ吠えるんだ?
    待てど待てど吠えないじゃん!!
    最初の「詔の書」は時平も帝も「ひでぇー奴らだな」と、もっと雷神の如く怒る道真を期待してしまったので、ちょっと肩透かしを食ったよう。
    「もっと吼えろー、吼えるんだ!」と道真にツッコミを入れたくなる。あれ?『吼えろ道真』とはもしかしてこういう事か?

    物語は「朝廷への献上品に不審な点がある」として大宰府を欺いた悪党をあぶり出すために道真が謎を解いていくのだが……。
    作中の「知識や学んだことは、たとえどんな境涯にあったとて、誰にも奪われぬ自分だけのものじゃ」という言葉の通り、学問の神様らしい「知恵」を武器とした大逆転劇はスカッと爽快。

    前作に比べる

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    2026年07月12日
  • 火定

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    すさまじい状況下、人々のそれぞれの想いが交錯しつつ、人として大切なことはなんだろうと考えさせられた一冊でした。
    でも、少し読みにくいのはなぜだろう?
    もがさ、とか、きゅうじょうとか、時々思い出したようにルビが振られている!

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    2026年07月06日
  • 輝山

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    江戸時代に石見銀山で働く人々の話。遠き昔より鉱山の採掘作業は過酷な労働の代名詞。堀子たちは視界不良の中で土砂崩れ、地下水の噴出、粉塵、低酸素、ガス爆発などの危険に晒される現場に大した装備もなく足を踏み入れる。それゆえ大けがや「気怠れ」と呼ばれる呼吸疾患で彼らの平均寿命は40年と短く、高給と引き換えに自らの命を差し出しているに等しい。陰気な題材ではあるが、主人公を始め登場するキャラクターの陽気な様と割り切りった死生観によって中和され、物語は読みやすい。単に銀山にまつわる日常が描かれるだけではなく、事件性を秘めた展開も飽きずに読める工夫と思う。
    昔は貨幣を作るにも多くの命がかかっていた。カネの重み

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    2026年07月03日
  • 京都折々暮し

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    京都旅行に行く前に、京都在住の作家澤田瞳子さんの京都のお勧めを読んで見ようと思った。直木賞作家である彼女の作品をまだ読んでなかったのに。

    今まで何度か訪れた京都だったけど、知らなかった!志津屋のカルネ。京都人のソウルフードと書いてある。これからは絶対買って帰ろうと思った。
    京都ではないけど、丹波篠山市の丹波黒枝豆のエッセーも。
    「一般の枝豆は未成熟でまだ青い大豆を指すが、黒枝豆はそれと同様、熟成していない青い黒豆。これを普通の枝豆のように茹でたものは、初めて見た人がえっと声を上げるほど、独特の黒味を帯びている。しかしこの豆はおよそ枝豆とは思えぬぐらいの甘味に満ち、一度食べると忘れられぬ美味な

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    2026年06月08日
  • 駆け入りの寺

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    雅な御所ことばや季節感あふれる描写が、物語のなかへ引き込ませてくれる。そして読めば澤田瞳子さんの世界観を感じられます。

    “五葉の開く”には、許しを請う人々に手を差し伸べ続けてきた元瑶のやさしさ、温かさ、そしてその裏にある深い哀しみが描かせており、元瑤の来し方を見た頑なであった静馬の言葉が心に残りました。

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    2026年06月02日
  • 金波銀波

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    866年、西国の島々を舞台に、巫女船で海神の生贄となる定めとして育った少女・由良。

    船長・赤名の元、皆が売られて行きながらもいつまでも巫女船にいた由良だったが、海賊に襲われた櫃が海に流されたのを目撃し、赤名が拾い上げると謎の男が入っていた。
    それから後、由良も女に買われてから官人たちの熾烈な争いに巻き込まれていく。

    欲望や裏切りを見ながら、どこでも何者にもなれると知る。

    由良は己の望むまま、幼い頃から海の上で育ったその海へと戻ることが何より安心できるのだろう。



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    2026年05月30日
  • しらゆきの果て

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    ネタバレ

    鎌倉時代から明治までの絵師にかかわる短編集。

    「さくり姫」
    「紅牡丹」
    「輝ける絵巻」
    「しらゆきの果て」
    「烏羽玉の眸」
    の5編収録。
    詫磨為久、源有子(坊門姫)、一条能保。十市遠勝、苗(遠勝娘)。四辻季賢。宮川一笑、菱川師房、宮川長春、宮川長助、狩野春賀。内山永久寺、亮珍、岡田式部(冷泉為恭)。
    知らない人が多すぎるがwikiで調べることができる実在人物たちで絵というモチーフでの物語が構成できているのはさすがです。
    ただ、「輝ける絵巻」で架空人物の宗連を宗達との誤字箇所があるのでのは次版には修正してほしい。

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    2026年05月16日
  • 星落ちて、なお

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    河鍋暁斎の長女暁翠の物語。名前は知りませんでしたが、確かに見たことある絵ですね。狩野派が廃れ近代美術が台頭してきた時代背景は面白かったです。丁度サントリー美術館で展覧会やっているので見てみようと思いました。

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    2026年05月15日
  • 京都はんなり暮し 〈新装版〉

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    京都人・澤田瞳子による、京都に関するエッセイ集。エッセイはあまり読まないが、本作はほぼ全てに歴史小ネタが散りばめられていて非常に面白かった。澤田氏は何度も京都人の嫌味っぽさや世間の偏見を否定しているが、非京都人からすると否定されるほど却って異質が目立つと感じてしまう不思議。ただ、別にそれが悪いわけではなく、むしろ分かりやすい県民性があってうらやましいとも思う。京都愛も伝わってきてよい。

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    2026年05月01日
  • 龍華記

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    怨みに怨みを以って報いるならば、決して怨みは息まず、ただ怨みは捨ててこそ息むそれは、釈尊が弟子に語った訓話集『法句経』の一節だ。この世に怨みの応酬が続けられる限り、怨みが真に消え去ることはない、という釈尊の教えは頭では理解できる。さりながら諸国で戦が相次ぎ、血で血を洗うこの乱世、かような法句を言じる者が、果たして南都にいるのだろうか。
    現実の世に照らしてみれば、哀しいかな、それはただの世迷影。脱で、人間は他者を傷つけずにはいられぬ愚かな存在だ。ましてや成朝の如く、御仏を形に成す仏師ですら他人を脱落とそうとするこの時節、誰がそうそう容易に怨みを捨てられようか。

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    2026年04月28日
  • 孤城 春たり

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    借金を返済する話が中心かと思ったら違った。読み進めるにつれ、いい意味で勘違いをしていたと思った。山田方谷先生は日本史が好きな人には有名な人だったようだが、私はこのほんで初めて知った人。内容がてんこ盛りでじっくり読んだ。

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    2026年04月05日
  • 火定

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    時代は天平九年(737) 舞台は都が置かれた寧楽(なら)。
    市井に暮らす人々の病の治療を行う
    施薬院に配属されてまだ日の浅い蜂田名代は二十一歳。 仕事の煩雑さに加え 出世の糸口も掴めそうにないこの職場に嫌気がさし 逃げ出すことばかり考えていた。

    ある時、患者たちの間で高熱が続いた後 突如 熱が下がるという奇妙な症状が頻発する。
    そんななか 全身を疱疹に覆われた患者が施薬院に運び込まれてきた。
    裳瘡(天然痘)。
    その昔、この国を襲った流行り病が
    またもやってきたのだった──。



    この時代のパンデミックなんて考えただけで恐ろしい。


    収容された病人が ばたばたと亡くなっていく。効くか

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    2026年03月27日
  • 京都の歩き方―歴史小説家50の視点―(新潮選書)

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    雑誌のコラム
    毎週読むならよいのだろうが、まとめて読むと、各章の導入部分の言い回しが若干面倒。

    本題部分は、私も京都生まれ、育ちだからこそ、豆知識として興味を持ったり、結構あるある話として知っているからこそ、入ってくるのかもしれない。
    たくさんの史料等を読み解いて書かれているところは評価。
    柔らかい想像を掻き立てるような結びもコラム的。

    京都の私生活を知りたい人には、その一部を知ることができるかもしれない。

    筆者の顔写真が、高校の国語の先生を思い出せたのは(笑)

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    2026年03月01日
  • 名こそ惜しめよ 歴史小説アンソロジー

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    北条政子を軸に日の本のひとつの時代が歴史小説として五人の作家によって描かれる

    源平のとき、御所と鎌倉の確執、
    武士という生き方、女として生きる道……

    そして時は流れ去る

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    2026年02月16日
  • のち更に咲く

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    ネタバレ

    平安時代の藤原保昌一族の異聞物語。

    主人公は架空ではあるが実在の道長四天王の藤原保昌の妹という設定。
    大河ドラマ「光る君へ」には登場しない藤原保昌一族だが、奥方になる和泉式部が出ていたのでこの人のエピソードもほしかったです。
    小説の物語は保昌の祖父、父、兄弟の悲惨な末路に抗いながらも懸命に生き抜こうとしている兄妹の物語が横糸で、京の盗賊のミステリーが縦糸となっている感じです。
    この盗賊のミステリーの真相が奇想天外ながらも当時の複雑な男女関係ならありうるかもと思わせるのは著者の腕が良いところです。

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    2026年02月01日
  • 星落ちて、なお

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    直木賞受賞作。
    不世出の絵師を父に持った娘が主人公。父から絵を仕込まれながら、父ほどの才がないのを自覚し、亡き父に反発しながらも絵と離れられず、絵師として生きる女性のお話。
    亡き父や絵というものへの思いや理解が、生きていく中で変わっていく。

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    2025年11月23日
  • 京都はんなり暮し 〈新装版〉

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    生まれも育ちも京都の著者。
    はんなりとは裏腹、まま尖っているw
    著者曰く、京都に対して世間の認知がそこそこズレているらしく、そのもどかしさや京都に誇りを持っているからだろうと察する。
    歴史や所以などの解説が多く、読んでいて知見が広がる。

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    2025年11月21日
  • 京都の歩き方―歴史小説家50の視点―(新潮選書)

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    京都出身京都在住の作家さんによる、京都をキーワードにした、歴史も遡る蘊蓄エッセイ。

    さほど面白くはない。博学であろうとは思うが。

    大阪出身で京都に勤務していたこともある身からすると、まあ地名で親近感を感じることがあるのであるがそれだけかな。

    ご本人、ご両親は中部地方の出身であるらしく、生粋の京都の方から見れば全然京都人ではないようではあるし。

    まあ、良くも悪くも、洛中はそう言うところ。

    で、京都人は京都の観光地に行かないと言ってるが、ぼくが付き合った京都の方は、大概言ってたよ。金閣寺以外は。金閣寺も、一回くらいは行ってたんかな。
    ま、人それぞれ。

    生々しさが全然ない京都の歩き方だっ

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    2025年11月13日
  • 星落ちて、なお

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    さすが賞をとっただけあるな。文章上手いし読ませる。
    ぽん太嫌な女だったなぁ。八十五郎、人って変わるもんなんだよねぇ。

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    2025年11月06日