澤田瞳子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ澤田瞳子さんの歴史小説は歴史の流れをなぞるように物語が進んでいく。(まだ2冊目だけど汗)
延暦19年(西暦800年)富士山噴火。
焼石・焼灰、全てを灰色に染めてしまう降灰は横走に住む人々を襲う。
被災した人達を、降灰の被害にあいながらも岡野牧(朝廷に馬を献上するための牧場)の人達は受け入れる。
被災地に公的支援はなく復興に追われる中、1度ならず2度目の噴火。
心折れ生きる希望を失いそうになる中での、征夷大将軍坂上田村麻呂の東北征伐のための馬や馬具等の納入要請。
「富士山、噴火。それでも人は、生き続けねばならぬだ。」の言葉がつらい。
時代背景や社会制度、当時の言葉も頻繁に出てくるので調べな -
Posted by ブクログ
今日の京都の天気は、
くもり 一時 雨
降水確率は50%
最高気温は摂氏33度
最低気温は25度。
湿度は60%~70%台後半。
梅雨入り以降、
夏至を迎えてさらに暑くて
ジメジメした日が続きます。
でも、、、、
京都は良い♡
良いものは良い♡
そんな京都の歩き方を
京都府生まれ、同志社大学大学院出身の
歴史小説家 澤田瞳子さんが教えてくださいます。
澤田さんは、「はじめに」で、こう語ります。
「京都のあり方と歴史を知らずしてこの地を味わうことは、歴史や文化の表層をただ軽く撫でるだけの行為に過ぎない。
「京都に生まれ育ったわたしから見ても、京都という土地は日々新しい顔を -
Posted by ブクログ
"人はな、畢竟、他者を救うことも助けることもできはせぬ。人を救うのはただ一つ、己自身のみじゃ。"
"知識や学んだことは、たとえどんな境涯にあったとて、誰にも奪われぬ自分だけのものじゃ。"
続編の方が好きかもしれない!太宰府に流された菅原道真が、太宰府で起こる事件を人知れず解決するシリーズ第二弾。
身分を偽り唐物の目利きとして博多に出入りする菅原道真だけでも面白いのだが、ここに帝の調度品を巡るいざこざが関わってくる。
本当に正しいことはとはなんなのだろうか。人のために何かをするということは、時に誰かを欺くことにもなる。それでも、人を救うとはなんなのか。 -
Posted by ブクログ
短編集。ほぼ全てに絵師が出てくるが、語り手は様々。美しい文章で綴られるのは時代に翻弄されながらも自分らしく生きようとする姿が多かったような印象。
「さくり姫」
頼朝の妹、有子は政子や政治にその身が巻き込まれるとさくり(しゃっくり)が激しく出るのでさくり姫と呼ばれる。そんな有子の夫が京都守護となり、兄が秀でた絵師である基清に仕事を依頼したため、彼女を知り、政子を知る。自分の仕事も見つめる。
「紅牡丹」
多聞山城に人質として九歳で入った苗は、母から渡され、立派な花をつけていた牡丹の苗が、いつまでもたっても花をつけないことが気がかりだった。しかし、花をつけないことには深い理由があったのだ。
「輝ける -
Posted by ブクログ
右大臣の位にまで上り詰めた天才文人政治家、菅原道真が太宰府に流されてきた。鬱屈し怒り狂う道真はだんだんと異国の文化の混じる太宰府にて生き生きと己の役割を見つけていくというストーリー。
太宰府に左遷されて初めて本当に民はどのように生きているのか、苦しんでいるのかを目にする。自分が今までやっていたことはなんだったのかと自問自答するシーンが好きだった。
"どんな教養も、飢えや貧困の前には一粒の麦ほどの価値もない。薄汚れた画幅を名品と判じられたところで、病み衰えた男一人、救えはしないのだ。"
有名な書画や陶器を鑑定しながら、朝廷にしっぺ返しも喰らわせる道真。恬子さんの視点が鮮 -
Posted by ブクログ
ネタバレ澤田瞳子の小説『孤城春たり』は、備中松山藩の財政改革を成し遂げた山田方谷を軸に、各章で異なる人物の視点から描かれる群像劇。各章の内容は以下の通り。
第一章「落葉」
主人公は山田方谷に反発し、彼を討とうと画策する剣術指南役の熊田恰(あたか)。方谷を「君側の奸」と見なし、その改革を認められない恰が、方谷の真意と周囲の反応に触れる中で、自身の考えを改めていく過程が描かれている。
第二章「柚の花香る」
菓子商の跡取りだったが店が潰れ、孤児となった少年・玉秀が主人公。寺に引き取られた玉秀が、山田方谷との出会いを経て、困難な状況の中でも希望を見出し、成長していく姿が描かれている。
第三章「飛燕」
山田方 -
Posted by ブクログ
「(心の)故郷は遠きにありて思ふもの」
私の、京都に対しての想いはそんな感じ。京都への憧れは十歳くらいにはじまったと思うが、旅行したのは修学旅行を含めて10回に届くかどうかというところである。(きっかけは、夏休みに家族で大阪万博(1970年)に行ってきたというお金持ちの友達が、ついでに京都に寄って観光して来たという写真を大量に見せてくれたことによる)
近年の、外国人旅行者の混雑を見るにつけては、もう一生、京都に行くことはないだろうと思ってしまう。
でも、本当に京都に憧れている。
そんな私に、居ながらにして京都旅をさせてくれる本書である。
澤田瞳子さんの、歴史の研究者であり、小説家であり、京都 -
Posted by ブクログ
作家さん達が全国18か所の灯台を巡り、紹介する紀行文。島国である日本人は古くから海と共生してきたが、現在のような西洋式灯台が建設されたのは明治維新以降になってからだという。風の吹きすさぶ岬の突端でポツンと立ちながら必死に灯を届ける様子は、孤高であり浪漫を掻きたてられる。
近代日本の文化遺産として、灯台が見直されつつあり、各地域では新たな観光資源となっている。各地に旅行に行く際に、灯台へふらりと寄ってみるのも楽しそうだ。私の地元の灯台も紹介されていたので、まずはそこから訪問したい。
また、どの作家さんも『喜びも悲しみも幾年月』という映画について言及されていた。近代日本を支えた誇りある灯台守という