澤田瞳子のレビュー一覧

  • 月ぞ流るる

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    藤原道長と三条天皇が勢力争いをしている様子を、その周りにいる三条天皇の妻で道長の娘である姸子(けんし)やその女房、とくに学者家系に生まれた朝児(あさこ)とそのもとへ学習のためやってきた頼賢(らいけん)などの目から真実がどこにあるのかをあぶりだすような内容。頼賢の育ての親、原子(げんし)が謎の死をとげた真実はなにか、というところが説かれていくのが話の中核となっていくのだが、とくにそれにこだわらず、栄華を求めて生きることへの冷静な観察眼の方が主テーマのような話だった。つ・ま・り、全体を通して展開が平板で、一見してわからない445ページ(紙が薄いのか?)を読み切るのはなかなかに骨が折れました。でも、

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    2024年05月24日
  • 月ぞ流るる

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    重厚な世界観と、息づかいまで聞こえてきそうな丁寧な登場人物の描写が、平安の宮中の独特の雰囲気と、その中で起こる様々な出来事を彩っていて面白かった。

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    2024年05月19日
  • 京都はんなり暮し 〈新装版〉

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    京都ではお菓子の製造・販売業は、「お餅屋」「お饅屋」「お菓子屋」の三つ。関東でいうところの「団子屋」、フーテンの寅さんのおじさんの家・くるまやさんのようなお店は、こちらでは「お餅屋」に当たる。正しい京菓子屋さんは虎屋、川端道喜。一方各社寺の門前で参拝客相手に菓子を売る店 「お餅屋」「お饅屋」の走りとなる店 上御霊神社の唐板、上賀茂神社の焼餅に下鴨神社のみたらし団子、北野天満宮の長五郎餅と粟餅、伏見稲荷の味噌煎餅、黒谷金戒光明寺門前の八つ橋。
    街道筋の餅屋は双葉、中村軒など京都の周辺部の見られる。
    メモ 宮内庁御用邸の京都産牛乳 松原牛乳
    「比良八荒」3月28日 京都は寒い
    毎年3月26日、比良

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    2024年05月17日
  • のち更に咲く

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    今昔物語の盗賊袴垂に題を取った?平安絵巻。

    主人公小紅は藤原道長邸である土御門第に暮らす下臈で、物語の大半は土御門第を舞台に進む。

    道長四天王である藤原保昌を兄に持ち、袴垂であるとも言われた末兄保輔の死の謎に迫る。

    藤原摂関家を嫌う和泉式部など実在の人物と架空の人物を組み合わせ、黒幕が今ひとつだったり、強引な設定があったりもするが、史実の穴もうまく使いながらストーリーを編んでいる。

    道長の娘で一条天皇の中宮となった彰子の出産も絡め、宮廷内の日常や勢力争いなど、当時の様子が生きいきと描かれているのは古典に造詣の深い作者ならではか。

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    2024年05月14日
  • のち更に咲く

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    謎だらけの話でした。
    名前などの漢字の読み方が難しくなかなか入り込めませんでしたが読み進めるうちに目が離せなくなりました。抗っても逆らえない出来事が沢山ある中での真実の解明に、拍手を送りたいです。

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    2024年05月10日
  • のち更に咲く

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    平安、藤原道長の時代のミステリー。史実を交えながらの展開に、その手があったかと脱帽。紫式部は数行しか出て来ないのに大河ドラマにあやかってるのかな?全く違う作品です、期待以上です。声を大にして言いたい。

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    2024年05月08日
  • 月人壮士

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    時は天皇が在命中にもかかわらずコロコロ入れ替わり、女帝も普通に存在し、まさかの再任すらあったという奈良時代。皇族を山族、藤原氏を海族になぞらえ決して交わってはいけない二族の混血として皇位に就いてしまった聖武天皇の苦悩を、周囲の人への聞き取りという形で綴ったという凝った作品です。
    史実と言われている事柄すら信じられないこの時代のことを、ここまでの精度で創作した手腕がすごい。
    本作ではまだ下っ端扱いの弓削道鏡が、どちらの血も引かない天皇を目指してあの事件を起こしたのかも、という想像を掻き立てられます。

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    2024年05月07日
  • 火定

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    奈良時代の疫病大流行。単なる知識だけだったが、この物語のお陰でそこに生きる人々を想像することができた。
    現代よりもずっと未知のことが多い時代。疫病は計り知れないほどの恐怖だっただろう。何かにすがりたいのも当然。でも、そんな人間の姿は疫病と同じくらい怖い。

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    2024年05月03日
  • 名残の花(新潮文庫)

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    28年振りに維新後の東京変な戻って来た悪役界の超大物 鳥居耀蔵を通して、江戸時代の文化が失われていく町の様子を描いた作品。
    妖怪とまで言われながら徳川の世を守りたかった鳥居からすれば西洋風にかぶれた風潮が許せなく、また自分が弾圧してきた能や大衆娯楽がかたや凋落、かたや逞しく生き残っている様を見て複雑な心情のなかでの行動など、非常に上手く描かれている。
    この話は現代にも通じるところが多く、グローバルスタンダードとタイパ、コスパの波に負けず日本の伝統を残していきたいと思いました。

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    2024年05月03日
  • 吼えろ道真 大宰府の詩

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    朝廷での政争に敗れ、太宰府に流された菅原道真を描く、第2弾。
    第1弾からだいぶ間が空いているので、この本を読むに当たって前作を再読しました。
    そうしたら、最初に読んだ時よりもずっと面白かった。ありがとう、第2弾!

    この第2弾では、大宰大弐・小野葛絃(おのの くずお)の甥であり、その仕事の補佐に当たる大宰少弐・小野葛根(おのの くずね)の目を通して描かれる。
    葛根は早くに親を亡くし、自分と妹を親代わりになって育て、後見にもなってくれた葛絃を父とも慕い、心から敬愛している。
    葛絃が仕事をしやすいように気を配り、葛絃の立場を守るのが自分の使命と思っているが、顔も四角四面なら頭の中も四角四面、真面目

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    2024年04月19日
  • 星落ちて、なお

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    おとよさんの葛藤が凄く良かった。
    ぽん太怖い。

    「顧みれば父と自分や周三郎は、赤い血ではなく、一滴の墨、一本の筆で互いを結び合わせていたのかもしれない」

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    2024年04月16日
  • 月ぞ流るる

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    ネタバレ

    赤染衛門の栄花物語の背景、つまりは藤原道長の朝廷掌握の独断専横とそれに翻弄された女房や宮廷人たちの物語、三条天皇の皇后を恨む藤原原子の養い児頼賢の事件の真相探しのミステリー色もあって、面白い時代小説になっている。彰子や紫式部なども登場し、また違った視点から眺められるのが新鮮だった。

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    2024年04月14日
  • のち更に咲く

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     今年の大河ドラマ「光る君へ」を観ている。
    その影響を受けて手に取った、この作品だった。
    ドラマのおかげで、時代背景など頭にあり楽しく読めた。
    いや、面白すぎて時代小説にはまりそうだ。
     後半に向かって、物語が盛り上がるのは当たり前だが、それがたまらなく心地よい。
     ″人はどんな淵からでも這い上がることができるのだ″(P.317)、というフレーズには心打たれ、最後に冒頭の″この花開けてのち更に花のなければなり″の意味がわかると、生きていくことの何かを感じる手立てがわかった。
     美しい情景描写とともに、平安時代から続く空気を吸い込みたくなる、そんな作品だった。

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    2024年03月27日
  • 若冲

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    伊藤若冲。
    苦しく哀しい物語でした。

    その絵には圧倒され、不思議な感じも、少し怖い感じもすることがあるけれど、この若冲の物語を読んで、その不思議さや怖さに深みを感じるようになりました。
    池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁といった絵師たちとの関わりも興味深かったです。

    原田マハさんの書かれる西洋アートの世界とはまた違う日本画の世界もおもしろい。

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    2024年03月17日
  • 龍華記

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    平安時代末期、平家が栄華を極める中、平重衡による奈良の寺社勢力に対する南都焼討。

    藤原家、平家、源家。
    滅ぼした者が滅ぼされ、そしてその繰り返し。
    栄華を極めて他者を滅ぼしても、いつか滅ぼされるという憎しみや恨みの連鎖が辛いです。
    生きること、正しいことを説く仏教の世界でこんな乱暴で残虐なことがある時代。
    興福寺や東大寺の静かな佇まいを思い出しながら、そこに憎しみや殺し合いがあったことに驚きます。

    「怨みごころは怨みを捨てることによってのみ消ゆる」

    どんなに時がたっても、今の世界でも同じように憎しみによる戦争がなくならないこともとても悲しくつらく思います。

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    2024年03月16日
  • 若冲

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    若冲。京の青物問屋の長男として生まれるが、40代で店を弟に譲り隠居。生涯に渡って絵を描き続けた。その作風は、まさに奇想天外。数年前に観に行った作品が蘇ってきた。史実に基づきながらも、彼の人生を想像し、絵に秘める思いを書き綴った小説。フィクションでありながら、そうであったに違いないと思わせるストーリーにのめり込んだ。たくさん出てくる絵を検索し、鑑賞しながら楽しめる作品。

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    2024年02月18日
  • 月ぞ流るる

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    夫の大江匡衡を亡くした寡婦の朝児は一年の喪に服していた。朝児は結婚前は実家の苗字を取って赤染衛門という局名で宮勤めをしていたことがある。夫の匡衡は文章博士であったし、朝児自身も和歌で名を知られていた。義理の息子の挙周や娘の大鶴は出仕しているし、末の娘の小鶴は書籍三昧をしている。朝児本人は再度宮使いをするつもりはなかったが、大鶴のたっての勧めで藤原姸子の下に出仕することになった。またある経緯で叡山の権僧正である慶円の弟子の頼賢の書籍の師となっている。

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    2024年01月29日
  • 吼えろ道真 大宰府の詩

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      実に面白かった。後半、物語にのめりこんで、朝の通勤、一駅乗り過ごしてしまった。(笑)
     延喜の年号改元の詔の中で、自らのことを謀反人と表現され、そのことに猛り狂った道真が、唐物を、目利きしながら、次第に静かな目に世の中を見るようになる。それと併せて、中央から来た官人が、大宰府の政庁で唐物を密かにとりえて、京に送っていた犯人を捕縛しにやってくる。
     そのことに対して、小野葛根などの大宰府政庁の官人たちが大宰府を守ろうとする物語と言えばいいのかな。
     最後に、道真が、人が生きようとすると必ずぶつかり合う、何処かで折り合いをつけていかないけないと語り場面はなんだか心にしみる。
     考えたら、道真公

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    2024年01月11日
  • 月人壮士

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     聖武天皇の死後、その遺詔を探そうと道鏡と中臣継麻呂が各関係者を回り、首という人物の輪郭を明らかにしていく。
     漠然と聖武天皇には好意を抱いていた。東大寺や盧舎那仏を造ったイメージだろうか。澤田氏の『与楽の飯』からいかに現場が苦労を重ねていたかを知ってもなお悪い感情は生まれなかった。本作の各人物の証言はいずれも事実だけをとれば「愚君」と思える内容。ただそれでも首の「孤独」への同情と憐れみが感じられ、そこには澤田氏の思い入れを深く感じられた。
     藤原氏の血を受け継いだ初めての混血の天皇。それゆえに全き天皇になろうと苦心した孤独な天皇。一般的には認識されていない聖武天皇の姿に心が動かされた。今わの

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    2024年01月07日
  • 満つる月の如し 仏師・定朝

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    時は平安中期、藤原道長全盛の時代の話。主人公は仏師定朝と内供部の僧侶隆範。彼ら2人の視線を通じて平安時代の情勢、仏教感、貴族の権謀術数、市井の暮らしぶりなどが描かれています。時は末法の世が近く、平安京の治安は最悪と言っていい状況。その中での仏教の役割とはどいうものだったのでしょう。仏教があるからこそ救われる心と、所詮宗教では病気を治癒できない冷酷な事実と、仏師や僧侶という登場人物を通じて考えさせられるものがあります。貴族の優雅な暮らしの影で、多くの市民が野垂れ死ぬ世の中。そこに一筋の光を届けるのは、仏教や仏像なのでしょうか。それとも仏教を信じる人の心にあるのでしょうか。

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    2023年12月31日