澤田瞳子のレビュー一覧
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政と戦。歴史的中心人物:天智天皇や天武天皇の側であまり語られることない活躍した人達の苦悩や葛藤、命懸けの活躍を、額田王が自身の行動力で鍛えられていく洞察力で語られるストーリー。壬申の乱闘う人達の必死さ恐れ怯えや絶望などなど表や裏や内心いろんなことが見事に想像でき、引き込まれました。
貴族の歌人とは優雅に過ごしていたんだろうという印象をガラッとかわった。軍勢の士気を高め一団にするためにとか、後世にあせることなく変わる事なく伝わるからこそ歌、意味を深く理解することは真実により近いのかもしれない。万葉集にも興味がわく。澤田瞳子さんの作品に登場する必死に働く女性にはいつも惚れてしまってます。 -
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“時代モノ”ということになる本作である。平安時代、10世紀頃を背景とした物語で、なかなかに興味深い。
本作の主要視点人物のモデルとなっているのは寛朝(“かんちょう”または“かんじょう”)(916-998)という僧である。この人物に関しては、平将門(903-940)が引き起こしたという騒乱を鎮めるべく、京から上総国へ海路で不動明王像を運び込み、祈祷を行った人物とも伝わる。序に、祈祷を終えた寛朝が帰京しようとした際、不動明王像が動かなかったことからそのまま寺を開くということにしたのだという。それが、かの成田山新勝寺の起こりとされている。
その成田山新勝寺の起りに関する謂れに着想を得た可能性も在るよ -
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「若冲」 澤田瞳子
1.購読動機
原田マハさんが好きです。
理由は、馴染みがない絵画を、画家の人生を描写することで、身近なものにしてくれる作家さんだからです。
同じ気持ちで、若冲を知りたいと思いました。
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2.若冲。物語から。
出自は、京都、大きな魚卸し問屋の長男です。
元々から、商売よりも、絵を描くことに関心が高い人でした。
絵を描く動機は、物語のなかで大きく三つに分かれます。
①奥さんが自殺する。
②贋作が出回る。
③義弟の子供を預かる。
若冲は、①②③で描く動機が変わります。
それは、同時に、絵の描写、色合い、筆致にも変化が現れます。
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奈良の平城京で起こったパンデミックの物語。
新羅から帰ってきた使節の一人が発熱した。その後、亰では次々と病に倒れる者が続出する。発熱し、数日経つと一時的に熱が下がる。治ったかと思いきや、全身に豆粒のような発疹に覆われるのだった。
本作は蜂田名代(はちだのなしろ)と猪名部諸男(いなべのもろお)という二人の人物の視点で物語が進んでゆく。
名代は役人になれたものの施薬院勤務を命じられて不満を抱えている。諸男は宮廷で薬の調合の仕事をしていたが無実の罪を被せられ、この世の全てを恨んでいる。
屈託を抱えた二人の前に、裳瘡(天然痘)という恐ろしい病が現れた。
施薬院にいる名代は、裳瘡で苦しむ民を少しでも救 -
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なんだろう?
この出演者が映像で浮かび動き出す感じの読書感覚。
会話挿入のタイミングが優れている小説なんだろうな。
菅原道真と小野小町。
二人を軸に、色んな物語が描かれていて、なんとも微笑ましく、なんとも楽しげで、妙に人間ポイ。
この人間ポイ、という点がスイスイと読み進ませてくれる。
軽い気持ちで読み始めたのに、気が付くと、神様の菅原道真の目線なんて何処にもなく、「頑張れ、道真くん」、と応援したくなってくる。
キャラ立ちしてシリーズ化すら可能な雰囲気たっぷりでした。
一言でいうと、道真くんが好きになった。
そして、良い味付けの小町さんもイイ。笑 -
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ネタバレものすごく楽しかったです。
唐物商で都で培った目で目利きをして、柳公権の書欲しさにちゃっかり菅三道という名前で目利きをすることを承諾してしまう道長。
おーい! 大宰府についてから食事もろくに食べず、着替えもせず、いじけて毎日恨みつらみを書いていたんじゃないんかい!? と思わず思ってしまった(笑)
そこから、いきなり保積に十貫(約百万)の銭を用意しろと言ったりして、唐物を買いあさる道真が可笑しい
そして、ひょんなことから民草の本当の貧しさをしり、大宰府まで連れてきた愛息を失ってしまい、再び引きこもる道真。
だが、ここでうたた寝殿と呼ばれていた保積が彼のために苦言を呈するのが