澤田瞳子のレビュー一覧
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ネタバレ赤染衛門が見つめた宮中の姿。
夫を亡くした朝児は慶円に頼まれて頼賢の学問を見ることとなった。頼賢は不義の子であり、引き取って育ててくれていた原子の仇を娍子とみなして真実を明らかにする時を待っていた。再び女房として姸子のところに上がった朝児も犯人探しのために情報を集めることに協力する。火事が頻発する内裏、病に苦しむ帝に攘夷を迫る道長、疎まれる姸子、道長に近付き帝の側で真実を探そうとする頼賢……赤染衛門こと朝児はそのすべてをつぶさに見ていた。
最後に三条帝が詠んだ百人一首の歌で涙がこぼれた。悲劇の帝、それでも帝を慕う人はいる。しかし世の流れには逆らえず。絶望を詠んだ帝に必死で寄り添う姸子。雲と -
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「星おちて、なお」澤田瞳子
一冊にぎゅっと、女絵師の人生、日本絵画の歴史、明治から大正にかけての日本の歴史がつまっている。
明治22年から大正13年にかけ、河鍋暁斎の娘とよ(河鍋暁翠)の半生が描かれる。
不世出の絵師といわれた河鍋暁斎。
どんなものでも、想像力と画力で自由自在に描きあげ、見る人を喜ばし驚愕させた天才。
おとよは、父である前に師匠であった暁斎を超えられない無力さを感じ、絵師であるゆえの苦難に直面するたびに、絵師の家に生まれた自分の人生を「獄だ。」と恨む。
終始、静かだけれど力強い文章で、絵師として生きる苦労、作品を生み出す苦悩、時流に取り残され流派最後の1人として悩みもが -
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藤原道長と三条天皇が勢力争いをしている様子を、その周りにいる三条天皇の妻で道長の娘である姸子(けんし)やその女房、とくに学者家系に生まれた朝児(あさこ)とそのもとへ学習のためやってきた頼賢(らいけん)などの目から真実がどこにあるのかをあぶりだすような内容。頼賢の育ての親、原子(げんし)が謎の死をとげた真実はなにか、というところが説かれていくのが話の中核となっていくのだが、とくにそれにこだわらず、栄華を求めて生きることへの冷静な観察眼の方が主テーマのような話だった。つ・ま・り、全体を通して展開が平板で、一見してわからない445ページ(紙が薄いのか?)を読み切るのはなかなかに骨が折れました。でも、
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京都ではお菓子の製造・販売業は、「お餅屋」「お饅屋」「お菓子屋」の三つ。関東でいうところの「団子屋」、フーテンの寅さんのおじさんの家・くるまやさんのようなお店は、こちらでは「お餅屋」に当たる。正しい京菓子屋さんは虎屋、川端道喜。一方各社寺の門前で参拝客相手に菓子を売る店 「お餅屋」「お饅屋」の走りとなる店 上御霊神社の唐板、上賀茂神社の焼餅に下鴨神社のみたらし団子、北野天満宮の長五郎餅と粟餅、伏見稲荷の味噌煎餅、黒谷金戒光明寺門前の八つ橋。
街道筋の餅屋は双葉、中村軒など京都の周辺部の見られる。
メモ 宮内庁御用邸の京都産牛乳 松原牛乳
「比良八荒」3月28日 京都は寒い
毎年3月26日、比良 -
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朝廷での政争に敗れ、太宰府に流された菅原道真を描く、第2弾。
第1弾からだいぶ間が空いているので、この本を読むに当たって前作を再読しました。
そうしたら、最初に読んだ時よりもずっと面白かった。ありがとう、第2弾!
この第2弾では、大宰大弐・小野葛絃(おのの くずお)の甥であり、その仕事の補佐に当たる大宰少弐・小野葛根(おのの くずね)の目を通して描かれる。
葛根は早くに親を亡くし、自分と妹を親代わりになって育て、後見にもなってくれた葛絃を父とも慕い、心から敬愛している。
葛絃が仕事をしやすいように気を配り、葛絃の立場を守るのが自分の使命と思っているが、顔も四角四面なら頭の中も四角四面、真面目