澤田瞳子のレビュー一覧
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奈良時代の宮仕えの采女、若子・笠女・春江を軸とした青春小説。十代の女の子が主人公とは言え、話は政治に情欲と生々しく実に古代らしく良い。三人それぞれキャラは立っているものの、あまり感情移入できず、小説の評価としてはまずまず。心情描写はしっかりしているが、事件に重点を置いているからか、事の重大さに比して軽い。これが当時のリアルなのかもしれないが。
各短編の中で群を抜いて好きなのが「藤影の猫」。最近よく落語をきくが、まさに落語の人情噺のような温まる落ち。不遇をかこつ采女のささやかな抵抗といたずら。籠の鳥と自身の境遇を重ねる表現に心を掴まれる。皇女目線では敵にあたる藤原房前にも人の心と流儀があり、 -
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登場人物がみな、生き生きしていました。亡くなっていく人も臨終の瞬間まで生き生きしていました。と、なんとも矛盾した言い方ですが、その場での役割をしっかりと果たして、この話の中でなくてはならない存在感を放ち、亡くなっていきました。人だけではなく、書画までが登場人物として人格と存在感を持って訴えかけてきました。
とはいうものの、決して重苦しいものではなく、だからと言って軽々しくなく、激しい一陣の雷雨のように過ぎていきます。
ヒロイン、道真と同時代の人であったのか、とつくづく思った次第です。彼女は彼女で有名ですが、なんというか、時代から浮き立った存在。六歌仙の中でも一人、時代から浮いているような感覚だ -
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富士山の噴火に伴う様々な出来事、富士山は休火山だと習ったような記憶があるが、何回も何回も噴火を続けている活火山だと言う意見が一般的になってきており、驚いた記憶がある。
箱根山の街道造りの興味を惹かれたが、陸奥の国への集団移住、明治期の北海道開拓屯田兵の話、満州国への集団移住、満網開拓団の話、ロシア、ウクライナ、戦争、イスラエル、パレスチナ、戦争、など、現在の戦争も領土を巡る、様々な思いが引き起こしていることに思いを馳せながら読み終えた。
長い歴史の様々な出来事の中で、人はその自分の生きる範囲でもがき、苦しみ、喜び、楽しみ、生きていくのが歴史なのかなと思わされた。 -
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藤原道長が栄華を極めんとして、娘の彰子が御子を産むか、という時期のお話。
主人公は小紅といい道長の家の位の低い女房勤めをしている。祖父は大納言までなった公卿だったが、産まれた皇子が女で権力争いに負け悶死。父もその荒々しい血筋を引き、酒におぼれ酒席のいさかいで殺人を起こす。四人姉妹の末の小紅は兄、保昌とともに罪人の子という後ろ指をさされながら生きている。もう一人の兄は強盗となり、その兄の残した人間関係が今の小紅にかかわってくる。兄・保輔はかなり昔にとらえられ殺害されている…はず。
巷で暗躍する強盗団が兄の保輔なのか、兄を検非違使に売ったといわれている足羽忠信の真実は?二人の関係は深まるのか?和泉 -
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ネタバレ赤染衛門が見つめた宮中の姿。
夫を亡くした朝児は慶円に頼まれて頼賢の学問を見ることとなった。頼賢は不義の子であり、引き取って育ててくれていた原子の仇を娍子とみなして真実を明らかにする時を待っていた。再び女房として姸子のところに上がった朝児も犯人探しのために情報を集めることに協力する。火事が頻発する内裏、病に苦しむ帝に攘夷を迫る道長、疎まれる姸子、道長に近付き帝の側で真実を探そうとする頼賢……赤染衛門こと朝児はそのすべてをつぶさに見ていた。
最後に三条帝が詠んだ百人一首の歌で涙がこぼれた。悲劇の帝、それでも帝を慕う人はいる。しかし世の流れには逆らえず。絶望を詠んだ帝に必死で寄り添う姸子。雲と