澤田瞳子のレビュー一覧

  • 夢も定かに

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    奈良時代、しかも聖武天皇の時代を描こうと思えば、藤原四兄弟と長屋王との権力争いや彼が大仏建立に至った気持ちの小説になるのだろう、ふ・つ・うは!

    だが、この作品で描かれているのは宮中で働く菜女と呼ばれる女性たちである。幾分、ライトノベルズのように描かれているのが不満だが、そこにあるのは現代の働く女性にも通じる結婚、仕事、同僚への不満や嫉妬だ。

    権力争いをする男たちの向こう側で女性もまた同じように戦っている。それは現代でも奈良時代でも変わらない。

    読み終えて思う、女はいつも戦い続けてるんだなぁ。でも負けてもへこたれないから、女って強い!

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    2016年10月30日
  • 金波銀波

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    由良は赤名が船長の巫女船に記憶のあるときからずっと乗っていた。巫女とは、荒れた海に捧げる人身御供のこと。当時(西暦866年)の私有船には1人乗せていることが多かった。選ばれて売られるとほぼ死が待つが、荒れた海で生き残るものもいた。
    櫃のなかに詰め込まれた安曇福雄という謎の人物が拾われ巫女として赤名の船に乗船する。そんなとき由良は役人に買われることとなり、運命が動き出す。
    どっしりとしたお話で、世界観が独特です。赤名の巫女船や宗継、年麻呂の島嶼ノ輩の船(海賊船のこと)、元利麻呂や真平といった役人達、元昌と香久女の生きざま、道国のような商人の派閥争い、いろんなものが絡み合って雄大に、でも由良は多くを望まず、海を真摯に愛している感じが素朴な印象も与えてくれる本です。
    サラサラと読みにくいところもありますが、ゆっくり読み進めるのが好きな人には良いと思います。
    この登場人物で由良と赤名と宗継、そして由良を想う鴇丸みたいな恋愛模様がメインで描かれる下衆なストーリー重視のお話だと、一般受けは良いだろうな~。いえいえ、この重厚さを味わわないとね。
    殺しも酒家(女郎宿)も頻出するし、日本史的な知識もないと楽しくないので高校以上向け。

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    2026年10月11日
  • 孤鷹の天 上〈新装版〉

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    天皇上皇を始めとした歴史上の有名人以外は初めて聞く名前の登場人物たちにここまでの人格を与え、奈良時代の混迷する政権争いをこのボリュームで描くこの作品がデビュー作とは恐れ入りました。
    貴族以外はほぼ人間として扱われていなかったこの時代に、信念と正義に命を懸ける役人や学者が本当にいたのかは分かりませんが、読む前に予想したとっつきにくさは感じられず、どんどん引き込まれていきます。

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    2026年10月10日
  • 火定

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    読書会の本
    病の蔓延を食い止めようとする医師の奮闘、ありもしない神を祀り上げて大儲けする者。混乱の中の人間模様。
    復讐するか、助けるか、どうする諸男。京アニの犯人の治療に関わった医師も悩んだそうだ。
    漢字も難しく、ルビが欲しい。汚くて、気持ち悪いところも多く読むのが大変だった。

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    2026年09月27日
  • 月人壮士

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    螺旋プロジェクトじゃなければ絶対読まなかった本!全然興味のない時代でジャンルで読めるかな?と思ったけど、口語体でとても読みやすくてさらさら読めちゃったしおもしろかった!

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    2026年09月21日
  • 星落ちて、なお

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    実在の人物の物語、には、まだちょっと慣れてないので複雑な気持ち、なのと普段使わない言葉がたくさんあってふりがなを何度も振って欲しい気持ちに、なり…結構読みづらかった。
    昔の時代の絵の世界に少し触れられて知識が増えたような気分。
    栄枯盛衰的な気分。

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    2026年09月19日
  • 若冲

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    伊藤若冲の作風がなぜあのような形で進化していったのかを、完全に独自の視点で描いた挑戦作。
    早逝した妻の存在すら記録には残っておらず、そこが創作だとしたら、絵画の解釈とそれをストーリーに仕上げるところまで素晴らしい才能だと思いました。

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    2026年09月12日
  • 灯台を読む

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    全国各地の灯台と、その土地にまつわる歴史、風物、人々の営みを各作家が描き出すエッセイ集
    まさに『文章で読む灯台』
    まずは別の写真集やホームページ等で灯台外観を愛で、それから本書を紐解くと、写真だけでは伝わりきらない人の温度や、暮らしの気配を味わうことができる

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    2026年09月09日
  • 春かずら

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    さすがの筆致。ストーリーにあまり新鮮さは感じなかったけれど、細部がしっかりしているので、じっくり味わいたくなる。久しぶりの瞳子さんは期待に応えてくれた。長編小説好きにはおすすめかな。

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    2026年09月02日
  • 孤鷹の天 下〈新装版〉

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    斐麻呂の出奔後、突如赤土が広子の前に現れ妹益女が命の危機にあり、斐麻呂の子を宿していることを伝え、助けを求める。益女は助けられなかったが出産した子女の子を引き取り玉女と名付け養育する。

    斐麻呂は大炊王を戴き反乱を起こそうと廃された大学寮の学友達が集まる淡路島へ向かうが、密命を大炊王に与えられ、伊勢に向かう。
    伊勢で捕えられた斐麻呂は死罪を与えられるところ磯部王の機転により九死に一生を得る。一方で大炊王達は官軍に人数で押され敗北。

    赤土は斐麻呂はそれぞれ新しい人生を生き始めるのであった。

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    2026年08月27日
  • 孤鷹の天 上〈新装版〉

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    時は女帝孝謙天皇の子大炊王の治世、藤原清河の娘広子に仕える高向斐麻呂は遣唐使として中国に渡った清河を探すべく、14才で官僚育成機関である大学寮に入り官僚になることを目指す。
    そこで出会った学友佐伯上信、桑原雄依と共に学ぶ中、1人の奴婢赤土に出会う。3人は赤土に時折学問を教えることになったものの、ある日赤土が大学寮に出入りしていることを見咎められ、斐麻呂は主広子に迷惑が掛かることを恐れ思わず見て見ぬ振りをする。赤土は身の上と偽りの友情に絶望し斐麻呂の元から去っていった。

    数年後仏の道に邁進する孝謙天皇は道鏡を重用し子大炊王との関係が悪化する。斐麻呂を含む大学寮出身者を閑職につける一方、奴婢に良民の身分を与え、赤土及び赤土の妹は紀朝臣益麻呂、益女の名を与えられ、官位が授けられる。再度権力の座に就こうとする孝謙天皇の圧力に追い詰められ、大炊王の後見人恵美押勝こと藤原仲麻呂は反乱を起こすも敗死。大炊王は淡路島へ流罪となる。

    朝廷を二分する争いの結果、孝謙天皇は権力の座に復するが、仏法による治世に不満を持つ桑原雄依は恵美押勝の乱で藤原仲麻呂を裏切り、孝謙天皇についた高丘比良麻呂を暗殺しようとするも失敗しこの世を去る。その場に居合わせた赤土が学友雄依を殺害したと勘違いした斐麻呂は赤土に重傷を負わせ出奔する。

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    2026年08月27日
  • 輝山

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    戦国時代に本格的な銀の採掘が始まった石見銀山。
    その後、支配者を変えながら大正時代まで約400年採掘が続いた間にどれだけの若者の命を呑み込んだのだろう。
    今よりもずっと生まれた境涯を変えることが難しかった時代に、40歳まで生きられぬ定めを受け入れて生きていた人々。
    逞しくも痛ましい登場人物達の生き様が胸に迫る。
    自分が金吾の立場だったら、親しくなった人たちを次々と見送らなければならないことに耐えられるだろうか。
    石見銀山を訪れたくなった。

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    2026年08月09日
  • 春かずら

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    ネタバレ

    清史郎が22歳のとき父は旧友に殺された。
    2人の間に何があったのか。
    原因がわからないまま仇敵を追う旅に出て
    すでに12年が経とうとしていた。
    母の訃報を知り故郷に帰るが
    自分のいない間に何もかも変わってしまった。

    父に落ち度があったとは思えない。
    お家を巻き込む騒動の結末とは。
    侍としての矜持。
    そこから抜け出すことは叶わない中で
    どこで折り合いをつけるのか。

    澤田瞳子さんが初めて書く武家小説。
    最後まで飽きさせない。

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    2026年07月27日
  • 春かずら

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    文体が綺麗。武士のしがらみが切ない。早苗がまるで現代女性のようで逞しい。素晴らしい自然描写に訪れてみたいと思うほどの安良。清史郎のこれからに幸あれと心から思うラストだ。

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    2026年07月19日
  • 泣くな道真 大宰府の詩

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    ブク友さんの本棚から、こっそり盗み見て
    面白そうと思い手に取った。

    物語は大宰府に左遷されたところから始まる。
    正直最初は聞き慣れない官職名と登場人物名が
    読みづらく「やっちまったかぁ……」と思いながらも
    読み進めると、あまりにも不憫な道真の待遇に
    「泣くなー!道真!!」と叫びたいし全力で応援したくなる。

    そりゃぁそうだよ!現代でいうと副総理クラスからいきなり県知事クラスにされちゃうんだから。
    しかも給料なし!現代なら完全にアウトだよ。

    唐物商での道真はまさに水を得た魚、能力の片鱗が少しずつ見えてきて面白さがぐんぐんと加速。
    そして、物語は佳境へ。悲しい事件を乗り越え、道真の能力全解放。(文ストみたいな異能力ではない)

    各章ごとに違った道真の姿が垣間見れ親しみが湧いてくる。こんな道真だったら怨霊にならなかっただろうなと思いつつも、彼をハメた藤原時平に早く仕返ししてほしい自分がいる。
    脳内は、もはやデモ状態
    「やったれ、やったれ、倍返しやーー!!」
    と大盛り上がり。

    読後、無性に太宰府天満宮へまた行きたくなってきた。
    御朱印貰い忘れたし、ご飯美味しかったなぁ。
    次は福岡で世界遺産や史跡巡りも兼ねて、いつか必ず、もう一度道真に会いにいこう。

    コミカルで笑えるのに歴史の裏側を覗く面白さも十二分に楽しめる一冊。
    次巻のタイトルは『吼えろ道真』吼えるのか?
    何があった道真!続きが楽しみだ。

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    2026年07月07日
  • 灯台を読む

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    「海と灯台プロジェクト」というものがあることを初めて知った。GPSの発達により、役目を終えつつある灯台を利活用していこうという活動とのこと。読むほどに、灯台という施設が日本の近現代史と深く関わっていることが感じられ、使わなくなったからといってただ放置するのは確かにもったいないなと思った。そして何度か文中に登場する映画『喜びも悲しみも幾歳月』にも描かれた、灯台守という仕事の過酷さ。自動化によって現在はなくなったというが、むしろ2000年代まで存在していたことの方に驚く。

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    2026年07月06日
  • 星落ちて、なお

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    2021年上半期直木賞受賞作
    江戸から大正時代にかけての時代物
    主人公の河鍋暁翠は実在の人物で画家

    時代物=人情物という先入観は
    読み進む度に『業』やな、『業』ってなんだに変わる

    暁翠の父、暁斎は画鬼と呼ばれた狂の人で名人
    子供も弟子もみなどこかしら狂人。
    飛び抜けた才能もない暁翠はその『業』の中で生きていく…。ながらく父親の亡霊と戦っていたが、最後の清兵衛の台詞"人は結局、喜ぶためにこの世に生まれてくるんじゃないですかね"に苦悩や憎しみではなく、眩しく澄みきった煌めきを見つける

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    2026年07月05日
  • 春かずら

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    ネタバレ

    ラストまでつながる様々な出来事、構成が緻密
    ただ、主人公の父を殺した仇は切腹していたのだから、仇が残した遺書だけを隠せば、主人公は12年間も相手の存在しない敵討ちに無駄な年月を過ごさなくてよかったのではないか。
    文体が美しい

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    2026年07月03日
  • 京都折々暮し

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    この本、一番最初のエッセイのタイトル「天神さんが晴れなら」を見て、あれっ?と思った。よく見たら、「この作品は2023年4月に徳間書店より刊行された『天神さんが晴れなら』を改題しました」と但し書きがあった。
    その本なら読んだけれど、せっかくなので文庫版も読んでみることにしました。
    新しい発見だらけでした。いや、忘れていただけか・・・
    再読って素敵だな。

    興味深かったところを少し。※印は、私の感想です。
    ・都会とは平らなものだと思っていたのに、東京に行って驚いた。「都会なのに坂がある」「道がまっすぐではない」
    ・観光シーズンが来ると、京都市民は天気や行事をチェックし、今日はどこに近づくと苦労するかを確認する(※まるで陰陽道の「方違え(かたたがえ)」)
    ・ポーランドへの旅。オシフィエンチム駅に降り立つ。どのバスに乗るか迷っていると初老の男性が近付いてきて「ムゼウム?」と聞いた。ムゼウム=ミュージアム・博物館、と理解して頷くと、ちようど来たバスを指して教えてくれた。「オシフィエンチム」をドイツ語読みすると「アウシュビッツ」である。あの男性はどんな思いでこの街に暮らしているのだろうか。
    ・高校の時、北九州への修学旅行の直前に阪神淡路大震災。山陽新幹線が使えなくなり、急遽、大阪港からフェリーに乗るコースになった。旅行中、長崎市内のホテルでテレビをつけると、東京で地下鉄に毒ガスが撒かれたというニュース。印象に残った旅。
    ・旅とは決して距離ではない(※名言)
    ・黒岩重吾、杉本苑子、永井路子各先生の後に続く者がいないままとなっていた古代小説を書こうと決めた。時代小説家の母には、「古代史小説は売れないよ」と言われたけれど。

    大学時代に能楽部に所属してから、金剛流の能を学んでいるという澤田さん。その知識と経験は、小説に昇華されたり、芸術作品に対する鑑賞をより深めたり。
    天武・持統天皇についても多く語られている。
    歴史小説を書くには、膨大な資料を読み込むことが必要なのだろうと思う。歴史小説家は「今」ではない時代への旅に読者を案内するツアーコンダクターだ。
    そんな澤田さんが京都に居られることはとても自然でふさわしいことに思える。

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    2026年06月30日
  • 春かずら

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    主人公・多賀清史郎は、父・織部が斬られてから十二年間、仇を求めて諸国を巡ります。しかし手掛かりは得られないまま、病死した母を弔うため故郷へ戻ります。
    そこで出会ったのは、父の仇・渡辺幸太夫の息子・隼人でした。正体を隠したまま剣術を教えるうちに、清史郎は隼人を「仇の息子」ではなく、一人の少年として見つめるようになります。

    読み始めは仇討ちの物語だと思っていました。しかし、この作品が描いているのはそうではありませんでした。

    父が斬られた理由を知ったとき、私は「本当に命を奪うほどのことだったのだろうか」と疑問を抱きました。また、藩の事情によって真実を知らされず、12年間も放浪することになった清史郎の苦しさが胸に迫りました。

    印象に残ったのは、「変わらぬ者なぞどこにもいないのかもしれぬな」という言葉です。年月は人を変え、自分自身も変えていきます。その変化を受け入れることは簡単ではありません。しかし、人は変わることができるからこそ、父の代から続く憎しみを次の世代へ受け継がない選択もできるのではないかと感じました。

    清史郎が最後に下した決断には、正直、私は賛成できませんでした。それでも、人にはそれぞれ譲れない思いや生き方があります。その選択を尊重したいと思わせてくれる作品でした。

    仇討ちを描きながら、問いかけているのは、人は過去とどう向き合い、変化を受け入れ、憎しみをどこで手放すのかということではないかと思いました。

    人は変わることができるからこそ、憎しみの連鎖も断ち切ることができるのではないか。そんな希望を感じさせてくれる一冊でした。

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    2026年06月28日