【感想・ネタバレ】恋ふらむ鳥はのレビュー

あらすじ

宝女王(斉明天皇)に引き立てられた歌人・額田王。次代の大王である葛城王子(天智天皇)、その弟でかつての夫・大海人王子(天武天皇)、二人の異父兄・漢王子、葛城の忠臣・中臣鎌足らに囲まれ、宮人としての勤めに邁進する彼女を時代の波が翻弄する。大敗を喫した白村江の戦いから古代史上最大の内乱たる壬申の乱へ。激動の飛鳥時代と額田王の半生を描いた歴史巨編!

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Posted by ブクログ

額田王を主人公とする歴史物語。宝王女の官人であり、宝王女の息子大海人皇子の妻でもあったが、十市皇女を出産後に離縁している。
葛城皇子とも結婚していると世に名高いが、今回の作品では、葛城皇子に仕える忠義の人として描かれている。中臣鎌足、息子の定恵、葛城皇子の異父兄の漢皇子などがよく描かれている。

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2025年11月29日

Posted by ブクログ

飛鳥時代を取り上げる小説は、歴史小説群の全体からみれば少数派であろう。また、近畿以外に生まれ暮らす人にとっては、この時代の説明に登場する地名なども馴染みがなく取りつきにくいので、今後、わが国において関東圏で育つ人の割合がますます増えたり、文化芸術の発信の東京偏重が一層露骨になれば、この時代に興味を惹かれる人は、さらに少なくなるであろうことを憂えたい。
1400年近くも前の時代だから、史実として知られていること、登場する個々人の人となりを知るてがかりは、後代に比べ圧倒的に少ない。かつて、黒岩重吾や井上靖は、豊かな想像力で、史料の少なさを逆に小説としての豊潤さを作りこむための武器として、読者の心に残る作品を残した。澤田もその系譜を継いでいる。これだけ具体的で長大なドラマを書き込むためには、ものすごく脳味噌を消耗したことであろう。
おかげで、読者は、この時代の雰囲気を、少しでも感じる機会を得られるということだ。
もちろん、これは小説であって、歴史を叙述するものではない。どの時代も変わらない、人間の生き死に、個人の欲望や感情と周辺の人間とのやりとりを、たまたまこの時代に仮託して描くものだ。

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2025年09月21日

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