久賀理世のレビュー一覧
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新人賞に通る作品って何だろうか。『はじめに』を書かれた三浦しをんさん(選考委員)の答えは「情熱の総量が決め手になることも多い」。「これが好きだ。これを書きたい」という気持ちが籠った作品のほうが、荒削りでちょっとわけがわからなくても、読むひとの胸を打つ。。。のだそう。個性的で「その人にしか書けない小説」。
コバルトという、少女小説というくくりのため、ほとんど読んだことのない、中華ファンタジーとか、王国とかが出てくる話もあった。が、どれも読みやすくて、感情の動きもよくわかり、この短さで、十分伝わるほどの世界観を作り上げていた。ライト文芸と呼ばれるもののほうが、凝った設定、凝った文体で、書くのがよっぽど難しいような気がするのだが、どうだろう。そして、一般小説との違いは。本当に、最近はwebでも、無名の方による、ぐっと惹き込まれる小説があって、新人賞受賞が、並大抵の努力では敵わないものだと思い知らされ、どんどん憂鬱になってしまう。それでも自分の書くものを信じられる人だけが、栄光に辿り着けるのでしょうか。もう、ほんとしんどい。
今大活躍中の、佐原ひかりさんも宮島未奈さんも、原点が垣間見れてよかったけど、心に残ったのは、「夕方の団地って大きな墓石みたいだ」で、始まる『みずいろサナギの伝説』(久賀理世さん)。団地の公園の、水色のおわん型の遊具が、まずよかったし、一つ年上の先輩のあだ名、レジェンドもよかった。 -
Posted by ブクログ
内容はともかく…と言っては失礼…でももうこの環境が幸せ過ぎる!
本屋さんの上が住居…しかもとても魅力的な洋館…談話室、読書室、カフェ!
書林で働いて、空き時間やお休みの日は珈琲片手に本を読み耽る…
柊子さんの美味しいお洒落なご飯やおやつ!
中庭の見えるサンルーフも素敵!
もうこの設定だけでこの本が読めてしまう。
憧れの極みだ!
この心地良い環境の中で過ごすエマや下宿仲間達のもう少し現実的な生活の様子が読みたかったなぁ
ちょっとおとぎ話っぽい展開、小泉八雲に関する時にマニアックさ…ではなく(それはそれで良いのだが…)これだけ素敵な環境に身を置いている皆の楡屋敷満喫の様子が覗いてみたかった!
「書林」というネーミング、響きがとても素敵!
「書店」ではなく「書林」がピッタリ! -
Posted by ブクログ
U-NEXTさん、【100min.NOVELLA】の次は【千夜文庫】レーベル創刊? 「千の夜を物語とともに」をキャッチコピーに、大人を寝不足にさせるエンタメ小説なんだそう…。
集英社コバルト文庫・オレンジ文庫で知られる久賀理世さん、初読でした。ティーンズ恋愛や少女向け?とも思いましたが、上記コンセプトや阿部暁子さんの例もあり、手にしました。
緘黙症に陥った高1の瑛麻が、1階が「書林コマドリ」という新刊書店、2階が寄宿舎という洋館で、療養を兼ねた生活を始め、仲間、不思議な猫、本たちと出会い成長していく内容です。
下宿人には元料理人とかバリスタとかもいるし、詮索されることも疎外感も感じない環境の中で、文学談義も始まります。オヤジの私もここで働き、暮らしてみたい!と思いました。緘黙じゃなくただの寡黙なじじいですが笑
〈楡屋敷〉と呼ばれる洋館の雰囲気のよさが感じられます。歴史の中でこの洋館がどう歩んできたのか、古典文学の知識も含め、苦難を乗り越えて今がある事実は、瑛麻に刺激を与えます。
言葉をを恐れることは、そのまま言葉の力を知り大切にしている裏返しとも捉えられますね。
空白行のないほぼ一文ごとの改行がやや過剰で、読みやすいのですが重要な部分が埋もれてしまう気もしました。しかし、発話が苦手な瑛麻の心の声、配慮ある仲間とのコミュニケーションが密で、温かい物語でした。