あらすじ
19世紀末のロンドン――。ある目的のため、セシルは見習い記者として働いている。令嬢という身分を隠し、性別さえも偽る生活だが、仕事上のパートナーであるジュリアンとの仲はとても良好だ。そんな今、ロンドンの街は“怪盗ブラックバード”の話題で持ちきり! あざやかな手口で貴族の邸宅から宝飾品を盗み、黒い羽根を残して消える大怪盗――。ある日、セシルは、怪しい新聞広告に目をとめて…? 大ヒット、ヴィクトリアン・ミステリー第2弾!
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Posted by ブクログ
第2巻を読破。
冒頭からいきなり敬愛すべきダニエル兄さんのインタビュー記事に噴いた。
しかも妹バカ炸裂w
この人はほんとにww
いい人だなあ、ダニエル兄さん。
そんな兄貴にセシルは容赦なく出し抜いていくんですけれど(^-^;)
今回も短編連作、けれど実は1本筋が通っている、そんなストーリー構成で。
ロンドンでは怪盗ブラックバードが紙面をにぎわせていて。
セシルは自分が働いているアクロイド紙に個人広告を出している人物があやしいとにらむわけです。
そんな彼女――身分と性別を偽っている男装少女の相棒であるジュリアンは、セシルの正体はすでに知っていて。
知っていて黙って常に一緒に行動しているんですよね。
さりげなく彼女の身を案じながら。
彼女が未来の奥さんだから、とかじゃなくて、本当に大切に想うようになっていますよねー。
で、義務としてではなくてジュリアン個人として好きになってもらえるよう、さりげなくアタック(笑)しているわけですが。
男装して仕事をするという行動力のあるセシルだけれど、推理はだいたい明後日な方に向かっていて(^-^;)
そのためジュリアンもいろいろと振り回されておりますね、はい。
そうそう、貸本屋「ミューディーズ」ってヴィクトリアン・ローズ・テーラーにも登場していました。
思わず「おお!」となったり。
第1話に登場した人物がラストまで関わってきたり、ジュリアンの過去が関わってきたりと、なかなかおもしろい展開になっていました。
あと各話の冒頭にセシルに関するインタビューが載っているんですが……。
い ぬ w w
ちょっ、末っ子じゃなくて犬にインタビューってww
となっていたら、まさかの種明かし。
ラストのラストまで楽しめる1冊でした。
第3巻も出るようなので楽しみです。
Posted by ブクログ
マザーグースがらみでなければならないミステリは
ヴィクリアン舞台の少女向けライトノベルにとって
どの程度まで主張を許されるかの塩梅が
なかなか良い配分の作品
ミステリであることでの
主人公を照らす登場人物模様のまにあわせが
上手く重なっているが
物足りなくもある
内容には関係ないが
「首筋に手刀で気絶」伝説の始まりはどこで
なぜ多くのひとが疑問もつことできないか興味深い
Posted by ブクログ
最後は綺麗に纏まってて良かったと思います。ブラックバードの正体も、途中までは本当にエンジン技師の彼だと思ってた。良かったいい人で。
ブラックバードに対してはあれでいいのかとちょっと思いましたが、まあ記者だし・・・ええんかとはやっぱり思うけど、まあまあ・・・
そこらへんもやっとしたので☆一個減。
Posted by ブクログ
1作目に続いて、安心して楽しめる。セシルの男装がバレバレなのはお約束だろう。ジュリアンの魅力が増したが、ダニエル兄さまはコメディ要員のようでちょっとかわいそうな気がする。
Posted by ブクログ
シリーズ2巻目。
今回は新聞広告にちなんだ事件と怪盗ブラックバードの話。今回も3本の短編で読みやすかった。長編も楽しいけれど短編もサクッと読めて良いよね。
要所要所で事件の解決の糸口みたいなのが出てくるけど、今回はけっこう予想しやすかったような気がする。まだ2巻目だからか恋愛要素は少な目。セシルはジュリアンが自分の正体を知っていることに相変わらず気づいてないし。まさか最後まで気づかないなんてことはないよね?(笑)
新キャラのアメリアが良かった。次でも登場してほしい。
Posted by ブクログ
“全部全部、ジュリアンが少年としてのセシルを愛していたから?
「そんな、困ります!あ、いえ、困らないかも」
いざとなったら女だと打ち明ければ、恋愛対象からはずれるのだから……ああ、だめだめ、やっぱりだめ!
性別を隠していたことが知られれば、セシルがアッシュフォード家の令嬢だと感づかれるのも時間の問題だ。なにしろアッシュフォード家にはセシルという名の令嬢がいるのだ。男でも女でも通用する名まえだし、とっさに混乱しないようにと同じ名まえを名乗っていたのが、失敗したかもしれない。まさかこんなところに男装生活の落とし穴が待っていたなんて!
セシルはじりじりとジュリアンからあとずさった。
「ちょっと待って、セシル」
「待てません!」
「その台詞、べつの状況ならぜひもっと聞きたいところだけどね」
彼は路地のほうに逃げこもうとするセシルをひきとめ、半泣きの顔をのぞきこんだ。
「きみはなにかとんでもない誤解をしていないかい?ぼくに男性と愛しあう趣味はないよ」
「え……本当ですか?」
「そこを誤解されるのはちょっと不本意だな」
「よ、よかった!」
よかった……のだろうか?
もはや頭がぐるぐるとして、なにをどう考えたらいいかわからない。”[P.123]
今回もすごく楽しくて。にやけて。
怪盗に関しては、え、その対応で良いの?と少し思ったけど別に彼らは警察でも探偵でもないしね。
ガブリエルと"錠前屋"のガブリエルがどんな会話をし合ってたのかすごい気になって。
セシルとジュリアンがお互いにバレる時がどんな風になるのかすごく楽しみ。
アメリアとソフィに次はもっと出番を!この二人とセシルのやり取りも好き。
そして次兄と弟可愛い可愛い。
“玄関ホールから大階段をのぼっていくと、二階の長い廊下で次兄ジェフリーと弟サミュエルとでくわした。
「ふたりとも、ここでなにしてるの?」
ふりむいたサミュエルがきらきらした瞳でこたえる。
「ウィリアム・テルごっこだよ!」
「なあに、それ?」
「頭の上にのせたりんごを、弓矢で落とすの!」
セシルは目をむき、絨毯にのんびりと座りこんだジェフリーにつめよった。
「ジェフリー兄さま、なんてことするの!弟を弩の的にするなんて人として最低よ!」
「なにを言ってるんだ、セシル。的はぼくのほうだぞ!」
「え?そうなの?」
見ればなるほど、おもちゃの弩を手にしているのはサミュエルのほうだった。そしてりんごをひょいひょいと宙に放り投げているジェフリーの顔には、ところどころ赤い痕がある。
「これはものすごいスリルに満ち満ちた遊びだぞ、セシル。なんせ次はどこに当たるかまるで見当がつかないのだからな。あははは」
「どんどんやっちゃいなさい、サミー」
「はあい」”[P.223]