入間人間のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
“「きみって、藤和エリオの友達かなにかなの?」
質問は、真の予想通りだった。
真はそこで顔を上げる。そして。
平然とした表情で、嘘をつく。
「え、それなんの話?」
自分の声なのに、それは耳も骨も、なにも揺るがさなかった。
言った途端、真の頭は潰れていた。
少なくとも真の認識では、頭の中身の左半分が潰れたように重々しくなっていた。
目の前に立っている男子生徒が遠くなり、教室の輪郭が曖昧となる。真は自分が今、どんな表情を浮かべているか分からなくなる。男子は尚も話を聞き出そうとする。
「いや、だって見たぜ、藤和が籠に載ってるの」
「んん?だから、なんの話だ。トウワッテダレダヨ」
真の頭は真っ白になる。目の前の現実味がどんどんと薄まり、薄い膜を一枚、男子との間に敷いているようだった。三半規管に異常を来したように、真の頭がふらつく。
「俺、引っ越してきたばっかりでさ。町のこと、よく知らんのよ」
言葉の内容は嘘ではない。だが、気持ちに大きな嘘をついていると、真は実感する。
自信の限界を悟って、席を立った。
「飯買いに行かないといけないから。んじゃあ、な」
真は逃げるように、だが早足にならないよう気を遣って教室の入り口へ向かう。
疑惑を晴らすことも、いっそ認めてしまうこともせず中途半端に、場から離れる。
その途端、流子と目が合った。だが流子の方はなにも把握していないらしく、目を丸くしているだけだった。真はなぜか申し訳ない気持ちになって愛想笑いを浮かべて、廊下に出た。
廊下ですぐ、真は腹部を押さえる。
気分が悪かった。本当に気持ち悪くなっていた。”
ここんとこの表現上手いなーと思ったり。
前川さん素敵。
女々さんは変わらんなー。
本来の一巻より幾分シリアスな気が。
“「お前、なんで布団巻いてたの?」
その質問に、エリオの首がかくんと伸びる。
ひくっと引きつるその頬に、真は波を感じる。
波の到来だ。
引いて引いて、また引いていたエリオの波。
押し返していたそれが、砂浜にやってくる。
顔の表という、乾ききった砂浜に。
砂浜を、感情の波が濡らし尽くす。
真はそれを待つ。口を噤み、海面に揺られて。
潮の匂いに様々な目覚めと、始まりを感じながら。
「う、く、ぃ、ぃ、ぃ」
そうして、エリオの顔が崩れた。
引き締めていた目元や鼻が弛緩して、だらだらと、溜め込んでいたものを流す。
「怖いんだよぉ」
ぐずぐずと、涙も抑えきれなくなったエリオが本音を吐き出す。鼻を啜り、肩を震わせてえづく。水色に輝くものすべてが崩れ落ち、海に還ってしまいそうな震え方だった。” -
Posted by ブクログ
“「どうした?」
顔を覗きこんで尋ねる。エリオの表情に苦痛はない。ただ、苦いものを呑む顔だった。
「心の古傷が痛んだ」
「......それ、昨日のドラマで主人公が言ってたな」
俺の指摘は無視して、顔を上げたエリオがぽーんと胸を叩く。軽薄な音だった。
「よしっ」と、意気込むように頷いてから、自分の顔を指差した。
「ここはこのエリオさんに任せておきなさい」
「なんと頼もしい」
ぱちぱち、とスーパー投げやりに拍手して送り出した。リトルスマキンの前で背を伸ばしたエリオが、控えめに、慣れないように腕を組む。深呼吸を一度挟んでから、言葉を発した。
「まず、わたしをししょーと呼んでみなさい」
『しっしょー』
「ちっちゃいのが余分」
『しっしー』
「あ、あにきー」
「そうだねすっごい舐められてるね、なんでだろうね」
数秒のやり取りで舎弟キャラに逆戻りしたエリオに対して、笑いを堪えるのが大変だった。”
リトルスマキンはウチュージンだったのかエリオの子孫的人間だったのか。
前川さんの下の名前は知りたかったなー。
“『あ、紙が切れた』
肩をすくめる。補充してくれと頼まれても、手持ちはもうないぞ。
俺の鞄の中身もぐっちゃぐちゃだし。
さてどうする、と気怠く見守っていると、リトルスマキンが新しい紙を掲げた。
なんだ、あるじゃんと笑いかけたところに。
『仕方ないなぁ』
「......っ」
リトルスマキンが腕を引っこめて、そして。
その布団を軽やかに、初めからなんの束縛もなかったように外す。
バラバラバラ、と手品かなにかのように油性マジックや紙の束が地面へと散らばる。それらを拾い集めることもなく布団を緩やかに振り回し、リトルスマキンがその『正体』を晒す。
布団に隠されていた顔。
髪。
そして、溢れる粒子。
「きみは、何者?」
「だから、ウチュージンですよ」
肉声で偽らずに言葉を、初めて発する。
そして布団を取り払ったリトルスマキンの素顔に、目を剝く。
その顔が無邪気に微笑み、俺に腕を突き出してきた。
「ししょーによろしく」” -
Posted by ブクログ
みーまー、電波女に続く、入間人間の新作。「瞳の色を変える事が出来る」ただそれだけの、インチキみたいな力で、相手を騙し、自分をも騙し、非日常の世界に立ち向かう。
いきなり幼女の全裸があってついつい豚になってしまったが、読を進めるうち、初期の入間人間に戻った事を感じた。とくに眼球をくりぬいて愛でるという狂気とふんだんに使われた叙述トリックが大きい。しかし今回はその叙述トリックが裏目に出たような気もする。なんというか、分かりづらかった。そして、全体を通してイラストレーターブリキとの不和感も感じた。
内容的にも地の文にもあるが、禁書に影響を受けているのは言うまでもない。禁書ではあとがきに魔術に関する造詣の深さ、構成の深さを感じることができるが、内容からはいかんせん感じることが出来ない。難しいからだ。そのあたりも本書は踏襲しているようにも思える。 -
Posted by ブクログ
完全にジャケ買いです。
ブリキ先生のリュウシちゃんの可愛さがなければ、読んでません。
最後の挿絵の可愛さに、最終巻も所持してますが、
この本読んだ感じでは全巻揃えたいとは思いませんでした。
好き嫌い分かれると聞いたので覚悟してましたが、
どっちかというと苦手な文章。
回りくどすぎて何が言いたいのかわからないというか…
ただ、そんな中お目当てだったリュウシちゃんは期待通りか
期待以上に可愛かったので★3つ。
このテのラノベは変な美少女+普通の少年パターンが苦手ですが、
この本の場合普通じゃない主人公+変な美少女+割と普通の子、でした。
リュウシちゃんは普通に可愛くてめさ好感度です。
しかも普通ぶってる普通、でなく、ちょいぶっとんでるのが
ナチュラルに普通、だったのでより可愛い。
なので、いわゆる「ラノベヒロイン」すぎる
前川さん&ヒロイン?・エリオ、女々さん
(これはヒロインじゃないか(笑)はちょっと好みでないです;