佐藤学のレビュー一覧
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短い本でしたが、大変勉強になりました。
コロナ後には、誰もが元に戻ることはないと頭では理解していると思います。教育もそうじゃないかな。それに、ここ30年近くの日本の教育の課題、さらに第四次産業革命の波。こうした中で、教育市場に教育産業やIT企業が一方的に参入し営利事業を許すのではなく、教育委員会と学校の自主性によって、それらの企業と連携するすることで、時代に合った教育を創出することが大切とあります。
また、今の時代、企業に求められるのは「学習する企業」であり、 これからの労働者は「学び続ける労働者」でなければならないと書かれています。併せて、これからの大学は高校卒業者の進路先である 以上に「生 -
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タブレット「一人一台端末」が、中学生に配られた今だからこそ、読むと色々考えさせられる本です。特に佐藤学先生は、PISAの調査結果を根拠にして、コンピュータは情報の獲得や浅い理解には有効であるが、深い思考や探究的な学びには有効ではないという立場に立って論を進めています。
さらに、「批判的思考や探究的思考による学びは、顔と顔を突き合わせて行う協同的学びが最も有効なのです」と言って、ICT教育偏重の風潮には警鐘を鳴らしています。コンピュータを「教える道具」ではなく、「学びの道具」あるいは「探究と協同の道具」として活用する方法を模索する必要があると言っており、この本から学べたし、教育に関わる者とし -
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まず著者群の面子を見て、少なくとも既知の名前において、それぞれの発信することばを追いかけている人が多いことを確認。演繹的に、その他の著者についても、かけ離れた立場にはないであろうと判断。あわよくば、今後の人生指針になり得る存在と出会えることも期待。前置き長いけど、そんな考えの下、発売前から気にかけていた本書。日本学術会議任命拒否問題についても、どこかでちゃんと読まなきゃと思っていたけど、その欲求も本書で満たされた。中曽根時代から綿々と受け継がれて今に至るってのも、何とも根深くて嫌な感じ。そのあたりまで遡って、ちゃんと勉強しなきゃ。あとは、己でさえままならない自由の取り扱いを、更に次世代に伝える
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学問の自由は私たちの生活とも関係している。学問をすることが自由なのもあるが、学問はそれ自体国の権力から自由で独立したものでなくては、また再び、戦争に使われる可能性がある。過去の過ちを繰り返さないという学者の決意から生まれた学術会議の経緯を知っていれば、今回の件は学者集団にとって、赤信号であるとともに、私たちの身にも危険が近づいていることを示している。
さまざまな学会から声明が出され、報道を賑わせたが、最近また忘れられそうになっている気がしてならない。しかし、このことは決して忘れてはならない。
個人的には内田樹さんの部分が、自分が薄々感じていたことをはっきりと明文化して提示されたようで戦慄が走っ -
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ちょっと思い立って教育方法学について知りたいと思い、ずっと前に購入し、少しだけ読んでいたこの本を、今回は最後まで読み通した。いやはや、どうしてもっと早く読まなかったのだろう。私にとって関心深いことが目白押しの分野であることが分かった。もっとも、さまざまなことを学んだ後だからこそ、この分野やこの本の重要さが分かるのだろう。
大切なのは、私の研究テーマである相互交流についてよく述べられており、その重要さが改めて示されていることである。今から10年以上前の本なので、現在はもっと様々な実践がなされているだろう。
いやはや、山ほど線を引いた。後からしっかりと整理しておきたい。 -
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世界における日本の教育を時間軸とともに俯瞰することができた。人的資本、ギガスクール構想、Society5.0、STEM(STEAM)教育、アクティブラーニング等々、論文の引用や筆者の観点から初等教育〜中等教育程度まで議論され勉強になり、かつ改めて学び続けることの重要さを認識した。本の執筆が始まったのはコロナ前で、コロナ状況を踏まえた分析をしなおした上で刊行されたのは良かったと思う。一方で、刊行後ではあるが、ChatGPTなどのLLMや生成AIの爆発的普及は教育業界にもかなりインパクトがあったと思うが、大学教育に関する続編があるなら、その辺りの考察も期待したい。
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ネタバレ今から3年前2019年、当時の首相による日本学術会議の会員任命拒否問題は、政府による自由・学術・教育に対する介入であると大変な危機感をつのらせることになった出来事でしたが、自分の周りでこの件について同じようなことを考えていたり意見を交換したりということがあったのは、小学校教員である友人ただ一人との間でした。
そこにあるものの不穏さを感じ取った人が自分の周りにはあまりにも少なかった、と思います。
それから現在までを振り返ってみるとたった3年の間に自由というものがとても堅苦しく緊張の伴うものになってしまっており今なお進行形であると感じます。
気づいたら周りから固められてて自分は奇特な意見を述べる -
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一部ネットで嫌われてそうな論客たちからのメッセージ集。みなさん、日本から少しずつ自由が奪われていると危惧している。
ある一面の行動・発言が切り取られて批判されることが多い方々だが、その考えに直に触れると、国の在り方や自由について真剣に考えているのが分かる。
例えば表現の不自由展に携わった津田大介氏。近年、アートの世界では政権の意向に沿った展示しかできなくなってきたと言う。意向に反せば、補助金が下りないなど不自由を強いられるそうだ。
詳しく知らないが、おそらく、この展示は慰安婦像などを展示するのが目的ではなく、賛否両論のものを公の場で示すこと自体が目的だったのではないか。こうした国の動きに対 -
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