宮城谷昌光のレビュー一覧
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徳川家に関わる菅沼氏を主人公にした歴史物語の二巻目。
でも、この巻は松平本家(徳川家)についての話だった。
傑物清康の突然の死によって松平本家に押し寄せる艱難辛苦。
織田信秀(信長の父)の侵略や叔父信定による嫡男広忠の圧迫。
広忠の放浪。
そして、本拠、岡崎城の奪還。
うん。こういう人物って、すごく著者の好みの人だな。
中国の晋の文候(重耳)を真っ先に取り上げた著者らしい。
著者はこういう困難を乗り越えて後に(もしくは子孫が)成功するタイプの人物を繰り返し描いてきたように思う。
そのぶん、今巻は菅沼氏についてはほとんど事蹟がない。
このまま代替わりしてしまいそうで、ちょっと残念な気がする。 -
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中国古代が専門の宮城谷さんの日本戦国時代物。
しかも、菅沼氏という、あまり有名でない一族の話。
こういう、歴史上の隠れた人物のことを知るのは歴史小説の楽しみのひとつだと思う。
徳川家康の祖父・松平清康に使えた菅沼新八郎から物語は語られ出す。
この後、家康の代までおそらく三代にわたって物語は続くのだろう。
どのようなエピソードがあるのかすごく楽しみだ。
宮城谷さんは中国物で見せたような文献資料の深い考察と漢字表現の持つ独特の味わいをここでもうまく使っている。
氏素性についての話は少々くどいような気もするけど。
久々に読むけれど、やっぱり歴史物語は面白い。 -
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中国春秋時代中期、小さい国である鄭でそのもてる力を最大限に発揮して、国を支えた名将子国とその子の子産の物語。鄭は大国の晋と楚に挟まれ、時と場合によって、それぞれの大国と渡り合わなければならず、その歩みは困難を極めるが、勇気の人子国と天才とも言える洞察力とはっきりした意見をきちんと主張できる子産が、鄭を何とか盛り立てて行く。当時の国の政治がいかなる考え方で運営されていたのか?史実の裏に隠された当時の人間の考え方を推察する上で参考になる話が多く、勿論推察だとしても、史料から導き出された物語には、説得力がある。
それにしても、一国の君主を宰相が殺戮してしまうとは、何と激しい下克上の時代であることか -
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ここの所、暫く宮城谷の作品を読んできているが、この子産は、いささか筆が重い感じで、読むのにスムーズに進んでいかない。このシリーズ上下で随分時間を取ってしまった。それも、何か読んでいて引き込まれるものが無く、主人公がいつまで経っても、作品中で輝いて活き活きしてこないことが原因だと思い至った。教訓的な話が多く、理屈が先に立って、心に迫る膝を打つ話が無いために、子産の素晴らしさが伝わってこないのです。結果的に私にとっては、この作品は失敗なのかも知れません。ちょっと宮城谷に作品を読むのはお休みして、司馬遼太郎氏の世界に遊ぶことにしましょうか?!
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一旦は岡崎城から逃げ出した家康のお父さんですが、叔父をだまし討ちっぽく追い出して、再び城主に返り咲きます。
ところが織田と今川に挟まれた岡崎城は、天才軍師雪斎の知略もあり、風前の灯火に!
このままでは、援軍もあてに出来ないってわけで、仕方なく家康父は、手中の珠ともいえる嫡男竹千代(家康)を今川に人質として送り出します。
だがしかし!竹千代は部下であり親戚筋でもある者の手で輸送途中にかどわかされて、織田に売られてしまうのでした。
3巻まで読んで思ったのですが、三河武士なんだか、情がこわすぎる。妙にねちねちしてるように感じます。
主君の寵愛を嫉妬したり、あいつより自分の方が蔑ろにされてると -
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1巻は家康の美しすぎる少年おじいちゃん「清康」と新八郎との出会いのお話です。
僅か13歳で戦にばんばん勝ち、他国の城を攻略し、会ってみれば一生忘れられない程の(神のように)美しい少年大将・・・そんなスーパースターな(家康の)おじいちゃん。
なんとなく家康自身がこうだったらいいな的ご先祖様の話な気がして笑ってしまう。
作者は中国ものでは大作を多数書いてるとても筆力がある方です。面白いんですが、徳川・・・と思うだけでちょっと笑ってしまう。
徳川方が好きになれないとある意味苦痛かも。
後半残り20p位あたりから面白さにスピードが乗ってきました。
城1つより大切な部下というより、忍・・・
がぜん十