五十嵐貴久のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ今年の正月にNHKで『幕末相棒伝』というタイトルでドラマ放送されたもの。
ドラマ化をするというのを聞いてこの作品を知ったのだが、私はドラマを見るのは苦手なため、原作小説を読んだ。
坂本龍馬と土方歳三がコンビを組むという、考えただけでわくわくしてしまう設定で、とても面白かった。
水と油のような二人は、初対面では一触即発な空気を醸し出していたが、ともに「将軍暗殺未遂事件」の犯人を追っていくうちに、少しずつ信頼が生まれていく。
その過程が大変良く、何より二人の会話のキャッチボールが面白かった。
事件解決後、別れ際に龍馬は土方に向かって、
「わしゃ、あんたのことが嫌いではない」
「また会いたいもんじゃの」
と言うが、土方はこう返す。
「うるせえ」
「おれぁお前が気に入らねえ」
「明日以降お前のことを見つけたら、その時は容赦なく叩き斬る」
しかし二人の空気感は初対面のときとは随分と変わっており、土方の言葉も微笑ましく感じてしまった。
新選組や土佐藩の人物の他に、薩摩、長州、御陵衛士など、幕末期の有名人が数多く登場する。
私が幕末にハマっていたのは十年ほど前なので、その面々にとても懐かしくなった。
気になったところもいくつかあった。
展開がゆっくりで、事件の解決の仕方は少し拍子抜けしてしまった。
また、人物像が司馬遼太郎などの先人が作り上げたイメージを引き継いでおり、新鮮みは感じられなかった。
しかし二人のやり取りを見ているだけで楽しかったので、多少の引っかかりがあったもののあまり気にならなかった。
物語は戊辰戦争へと進んでいくが、そこでもハッと驚かされる展開が待っている。
そうだったら面白いな、という妄想を広げてくれる、とても夢のある作品だった。
読めて良かったと思う。 -
Posted by ブクログ
炎がビル全体にじわじわと、やがて勢いを増して襲い掛かる描写が見事で、その場にいるかのように苦しくなってしまった。さすがに熱さを感じるわけではないが、まるで自分が迫りくる炎に追いかけられているような恐怖を感じながら読んだ。
最先端の技術を駆使した超高層ビル。しかし工期や費用などの関係で、出来上がったものはずさんで危険極まりないものだったのだ。
ビルの一部から出火した炎がフロア中に広がり、上へ下へと広がっていく。
商業施設とオフィス、そして一流ホテル。最上階には大きなパーティールームがあって、そこに大勢の人が取り残されてしまう。
救助に向かった消防員のうち、現場に生きて残ったのはたった一人の若い女性の消防士。彼女は体力的にもこれ以上この仕事を続ける自信がなく、更に消防士には向いていないと上官に言われ、近々辞表を出そうと決めていた。
そんな状況の中で次々と発覚する絶望的な事実と、救助しなければならないたくさんの人たち、迫りくる時間と炎。
本の冒頭は、オープン初日にそのビルを訪れることになった老夫婦、家族、わけありの恋人たちなどの誰もが期待に胸を膨らませて楽しんでいる様子が描かれている。だから、この後起こる悲劇との落差が余計につらい。
後半はバタバタとまとめてしまった感があって、個人的にはその悲劇がなぜ起こってしまったのか、そしてその責任は誰がどうとるのかまで読みたかったが、それは著者がこの本で書きたかったことから外れてるのだろうなと思った。
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購入済み
スリリング
先の読めない展開でスリリングで面白いです。
主人公が典型的なクズな男性キャラなので、ハッピーエンドの予感が全くしないですね。 -
Posted by ブクログ
五十嵐貴久『PIT 特殊心理捜査班・水無月玲』光文社文庫。
水無月玲が率いる特殊心理捜査班のメンバーが若いOLばかりを狙う謎の連続猟奇殺人犯Vを追う警察ミステリー。密林の評価が随分と低いようだが……
非常にリーダビリティが高く、ストーリーも面白い。次々と陰惨な事件が描かれるが、もしかしたら同一犯による犯行かと期待は高まる。物語にどう決着を付けるのか……
なるほど。相沢沙呼の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』を読む前に本作を読んでいたら、大絶賛だろうな。
前半に描かれたVと名乗る連続猟奇殺人犯は意外にあっさりと逮捕され、その動機にも拍子抜けする。だが、物語はこれで終わりではない。
終盤に物語は急転直下の展開を見せ、結末はまたまたの掟破り。このところのミステリーはこの作品も含め、古くはウィリアム・ヒョーツバーグの『堕ちる天使』、最近では相沢沙呼の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』のような掟破りの作品が多いように思う。気のせいだろうか。この掟破りは下手すると主人公の使い捨てになっちゃうな。その点、シリーズが続いている相沢沙呼の『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の城塚翡翠は稀有な例だろう。
或る日突然、ビッグデータ解析による犯罪予測システムを開発していた蒼井俊は、車椅子の敏腕プロファイラー・水無月玲が率いるPITと呼ばれる特殊心理捜査班への異動を命ぜられる。突然の異動理由は世間を騒がせていたOLばかりを狙った連続猟奇殺人事件の捜査のためだった。
自らVと名乗り、警察やマスコミに犯行声明と殺害予告のメールを送りつける犯人は既に20代のOLを3人も殺害していた。その手口は新月の夜に被害者女性の家を訪れ、室内で女性を殺害した上に遺体をバラバラに切断し、駅のコインロッカーにVの字に並べて遺棄するという残忍かつ猟奇的なものだった。
PITのメンバーは同時に過去の未解決事件である南青山弁護士一家殺人事件と弦養寺公園バラバラ殺人事件の類似性に着眼し、事件を再捜査するが、組織対策犯罪部の刑事の惨殺死体が見付かり……
プロファイリングとAIによるビッグデータ解析の融合によって残忍な犯人を特定出来るのか……
本体価格720円
★★★★