五十嵐貴久のレビュー一覧
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大好きな『神谷夏美シリーズ』でございます
本作はギンイチに入るため夏美たちが3カ月間続く地獄の研修に挑むというストーリー
研修に招集された誰よりも、体力も技能も劣り、自信もなく、弱々しい夏美が仲間たちとの「絆」を深め強く成長していくのです
(ベタな設定だけどそれが良い♪)
そして、私の大好きな村田大輔は昔から相変わらずです…
村田は昔も村田のままでしたw
鬼です!恐すぎます!
ギンイチ五百人の消防士から"魔王"と呼ばれ、畏怖の対象となっています
言う事、やる事全てが無茶苦茶!ありえない!
だけど、それは村田が本物のファイヤーファイターであるからだ
消防士として誰よりも火災の怖さを知っている本物のプロだからだ
「火災現場では臆病になって自分の弱さをさらけ出せ!」
「臆病な者ほど助かろうとよく考える。勇気だ勇敢だ、そんなものはいらない!そんなことを言うのはただの馬鹿だ」
「そして仲間を信じろ!」
誰よりも自分の弱さを理解し、誰よりも命の重さを知り、誰よりも仲間の絆を大事にする村田の言葉にやられる!
やっぱり村田最高っす!
こんな村田にしごかれることで、『炎の塔』『波濤の城』『命の砦』で活躍する神谷夏美が生まれるです!
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ネタバレバスケもので恋愛が主軸にはならない。バスケ強豪校に入学したものの、バスケ部は不祥事により公式試合参加不可処分。2年生の頑なさは少々異常な気がした。部を存続させたいのなら1年生は歓迎するべきではないだろうか。それを信用できないと言って、受け入れ拒否は自分達さえバスケができればいいという自分本位ではないだろうか。ジュンペーはともかく、ツルはバスケ推薦で入ったのだからバスケ部はそれを考慮しなければならないだろう。そもそも不祥事が起きた時点で、話をするべきだろうが…。バスケ部入部をかけて、寄せ集めのメンバーで2年生に挑んでいく。単純な筋書きだが、バスケのプレイがよく表現されている。2ヶ月で強豪チームに僅差で勝てるのは基礎もあっただろうが、ジュンペーやツルのトレーナー力もあったと思う。
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女性消防士・神谷夏美シリーズは、前2作が70年代のパニック映画へのオマージュなのに対し、この第3弾は新宿の喫茶店で打ち合わせの際、担当編集者の一言から生まれた作品とか。
「『大きな嘘』をつくためには『細部をリアル』にしなければならない」との著者のこだわりが遺憾なく発揮され、新宿地下街がリアルに描かれている。
現代ものではネット関連が必須であり、本書でも犯行のきっかけはグループLINE。
複数犯による犯行で、地下街のあちこちで出火し、地元消防署のみでは手が足りず、夏美が所属するギンイチも出動に。
地下街ゆえの凄まじい火災状況に、前作まで活躍していた消防士たちが次々と犠牲になる事態に。
シリーズものゆえに、主人公は最後まで生き延びるだろうとは思うが、火災現場の迫力満点の描写に息もつかせず頁を繰るのみ。
犯人たちの犯行動機は、純粋な不満、社会への憎悪とあり、現代社会を象徴する犯罪といえる。
最初はエリート丸出しで反発しながらも、最後まで夏美とともに必死の行動をする滑川のキャラがいい。
火災現場の最前線に立つ消防士たちの矜持が遺憾なく発揮されたこのシリーズ、次作もあるとかで楽しみに待ちたい。 -
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キャリアとして警察庁に入庁し、警視庁特殊班第一係に配属された女性捜査官を描いた警察サスペンス。シリーズ第1作。
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キャリア採用の麻衣子は生活安全局に配属予定だったが、男女雇用機会均等法の煽りで刑事部特殊班第一係に配属変更されてしまった。
当初は形だけの要素が強かった麻衣子の評価は交渉人研修で一変した。受講者中ダントツで優秀な成績を修めたのが麻衣子だったからだ。
自然な流れとして麻衣子の特殊班第一係配属が正式に決定。麻衣子はネゴシエーターとして本格的に訓練を受けることになった。
訓練を担当するのが、麻衣子の上司で交渉のエキスパートでもある石田修平警視。石田の知見と麻衣子の能力から考えて、訓練はスムーズに進むと見られていた。
ところが、麻衣子の抜擢を妬んだ同僚から「石田と麻衣子が男女の関係にある」という噂が流され、上層部もそれがただの中傷誹謗であることを承知しながら、麻衣子の更迭を決定した。
こうして麻衣子は所轄の高輪署に異動させられ、経理課で精算伝票処理という閑職に置かれることになった。
やがて年月は過ぎ、経理課勤務のまま麻衣子が27 歳になったとき、その事件は起きた。(「プロローグ」) ※本編4章とプロローグからなる。
* * * * *
キャリア入庁でありながら左遷の憂き目に遭い、5年間も所轄署の経理課員に留め置かれている麻衣子がいかにして本庁の特殊班に復帰するのか。そして試金石となる今回の事件に臨む麻衣子のスキルは錆びついていないのか。そんなことを気にしながら読み進めました。
全体的によく考えられたストーリーで楽しめました。
事件が高輪署管内で起き、本庁の特殊班がすぐに動ける状況にないことから、つなぎで捜査の指揮を執るよう指令を受けたというのは無理のない設定です。現場経験がないとはいえ警部の麻衣子は指揮権を有しているからです。
また、麻衣子が女性であるというだけで反発する男性警察官たちに麻衣子が苦労する場面もリアリティがありました。 ( 男社会の警察組織に色濃く残る女性蔑視の風潮に嫌気がさした知人の女性が、40代で警察を退職して別の道に進んだことを思い出しました。)
麻衣子の交渉相手は粗暴なだけの立てこもり犯だと思っていたので、後半に見せた警察を出し抜く動きには驚いたし、五十嵐さんの仕掛けにしてやられた感がしてうれしくなりました。
そして、麻衣子が謎解きをするクライマックス。なるほど、そう来たかと唸ってしまう展開は満足度を高めてくれました。
ネゴシエーターを扱った作品ということなのでダイナミックさに欠けるかもと思いましたが、どうしてどうして。手に汗握る極上のサスペンスミステリーでした。なかなかおもしろかったです! -
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五十嵐貴久『バイター』光文社文庫。
ゾンビ・パニック冒険小説。『タワーリング・インフェルノ』『ポセイドン・アドベンチャー』の次は『ゾンビ』への挑戦か。
映画などでは何の説明もなく突如としてゾンビが現れて人間を襲うのだが、本作では冒頭に人間がゾンビに変貌した理由やゾンビの弱点などの設定がしっかりと描かれている。
『ブラッド・セブン』というネーミングには少々笑ってしまったが、息苦しいくらいのスリリングな展開に手に汗握る。夢中になって読んでいると、背後から『バイター』に襲われるのではないかとびくびくしてしまう。
結末に救いの無いのが、残念なのだが、多くの『ゾンビ』映画も救いの無い結末であることを思えば、それも有りなのか。
伊豆諸島の大川豆島のの火山でミイラ化した犬かニホンオオカミのような動物の死体が発見される。2名の科学者がその動物の死体を回収すると2本の後ろ足が動き出し、突然どす黒い血液を噴出し、2人の科学者に血液を浴びせた。
2人の科学者は発熱、悪寒などマラリアのような症状を訴え、島内の病院に搬送されるが、治療の甲斐もなく死亡する。しかし、死亡したはずの科学者たちは蘇生し、再び死亡するとゾンビと化し、看護師や医師に襲い掛かって噛み付いた。
人に噛み付くことから『バイター』と名付けられたこのゾンビは狂犬病ウイルスと未知のウイルスとが結合したバイターウイルスに感染していたことが判明する。また、ゾンビ化する前の昏睡期にラザロワクチンを投与すれば60%の確率でゾンビ化を防ぎ、命が助かることも解った。
人間の血肉を求め彷徨うゾンビたちが蠢く伊豆諸島の大川豆島に部活の合宿で訪れていた総理大臣の娘・相澤彩香を救出するために自衛隊と警察庁から精鋭が集められ、『ブラッド・セブン』が結成された。
大川豆島に送り込まれた『ブラッド・セブン』は『バイター』が多数蠢く島から彩香を救出出来るのか。
そんな中、大川豆島に渡った観光客が『バイター』の感染者となり、都内に戻って発症、都内は大パニックに襲われる。
本体価格800円
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3部作で終わったはずだった神谷夏美シリーズの新作が出て、びっくり!
ずっと続いて欲しいシリーズだったけど、いろんな思いがあり、3部で終わると最終作のあとがきにあったが、今作は最終作の続編ではなく、夏美がギンイチに選ばれるまでの前日譚。
各消防署から選ばれた先鋭達が、厳しい研修を受けて、ギンイチの一員になるまでを描く。
小柄で体力のない夏美に、他の各隊員たちの目線は冷たい。
しかし、現場で発揮される諦めない夏美の姿に段々と隊員たちの気持ちが変化していく。
「命の砦」で誰よりも命をかけていた夏美の弱々しい時代の頃のエピソードが読めて、とても嬉しかった。 -
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日進月歩どころか分進秒歩ともいわれる現在、身のまわの物を扱った現代ものの小説などは、数年で陳腐なものになってしまう。
携帯電話の、ガラケーからスマホへの変化など、その極みだろう。特にミステリーなどで、通信手段として重要な場面で使われると、違和感が際立つ。
そんな思いから、著者は2002年発表の思い入れのある作品『交渉人』を大幅に改稿し、『交渉人・遠野麻衣子』と改題し、河出文庫で刊行。
『交渉人』を読んだのは、16年も前であり、その幻冬舎文庫版を拾い読みしながら、本書を<再読>。
本文が445頁だった幻冬舎文庫版に比し、この河出文庫版は345頁と、冗長だった箇所が割愛され、スピーディ感が増している。
大筋に変わりなく、あちこちに仕掛けられた伏線も色褪せない。
主人公遠野麻衣子は、2歳若返り27歳の設定に。上司だった石田修平も同じく若返り、階級も警視正から警視になっている。
「これは誰の身にも、明日にでも起こりうることなんだ。不運という言葉では済まされない・・・」という、背景にある医療過誤問題は、今も変わらぬ現代医療の課題である。
「爆弾魔」「籠城」も、どのように改稿されたのか、楽しみだ。