和田はつ子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
民俗学や歴史の中で語られるカニバリズムにリアルを感じて、世界観に引き込まれた。本当にこういう儀式や風習が存在した時代があったのかな、と思わされたので調べてみたい。
特に印象的なのは、ここで描かれる食人に対して嫌悪感よりもむしろ尊さを感じたことです。
文化や風習という歴史的背景と、犯人の孤独心や愛に対する執着心が重なって生まれた行為であり、私の中では正当化されてしまった。
食人に対して単にグロい、怖い、ではなく美学を感じさせるのはこの小説ならではだと思う。
日常的な料理の温かく美味しそうな描写によって、犯人による食人描写の生々しさが際立っていた点も良かった。
ただ、個人的には蛇足な部分も多