鈴木恵のレビュー一覧
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言わずと知れたダニエル・デフォーの名作。本書は第一作『ロビンソン漂流記』の新訳となる。南米大陸の無人島へと流れ着き、二十八年間の漂流生活を過ごしたロビンソンの姿が描かれる。西欧文学史における無人島物語の先駆けであり、『ガリヴァー旅行記』や『十五少年漂流記』など後世に絶大な影響を与えた本作。現在でも世界文学の名作に挙げられることが多く、マックス・ウェーバーがロビンソンを例に中産階級労働者のプロテスタント精神を論じたことが知られている(※大塚久雄著『社会科学における人間』(岩波新書)』のレビュー参照)。
ストーリーは「放浪癖のあった青年時代からブラジルで農場を経営するまで」「無人島漂流から脱 -
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エイドリアン・マッキンティ『ザ・チェーン 連鎖誘拐 下』ハヤカワ文庫。
下巻は手に汗握るアクションの連続。映画化されたら、かなり面白い作品になるだろう。海外翻訳物に余り馴染みの無い方でも充分に楽しめる作品だと思う。
無事、愛娘のカイリーを取り戻し、誘拐した子供を解放したレイチェルだったが、チェーンの呪縛からは逃れられない。意を決して、レイチェルはチェーンを断ち切るために元軍人のピートと共に行動を起こす。
そして明らかになるチェーンの首謀者とその目的……
一般人がモンスターを凌駕してしまうという出来過ぎなところもあるが、多くの方々にお勧めしたい作品。
本体価格780円
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エイドリアン・マッキンティ『ザ・チェーン 連鎖誘拐 上』ハヤカワ文庫。
奇抜な設定のスリラー・ミステリー。この作品は海外翻訳物に馴染みの無い方にも充分楽しめるのではなかろうか。
タイトル通り『連鎖誘拐』を描いた作品である。まるでチェーン・メールのような誘拐の連鎖。たまに描かれる首謀者は一体誰なのか。犯罪とは無関係の一般人が大切な我が子を守るために次々と犯罪に手を染め、無慈悲な誘拐のチェーンを維持し続ける。
乳癌から生還し、新たな職業を得て、これからの人生に期待を膨らませていたシングル・マザーのレイチェルの元に突然、最愛の娘カイリーを誘拐したとの連絡が入る。娘を救うためには身代金の送金と他 -
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ネタバレ刑務所内で大きな犯罪組織に刃向い、家族ともども死刑宣告を下された父親、救出に向かうもかつての妻と再婚相手は既に殺され、かろうじて娘だけを救出できた。彼と娘の逃避行は逃げ回るのではなく、戦うことで死刑宣告を取り下げさせようという危険かつアクティブなものだった…。
娘を犯罪者にするつもりは毛頭ないし、自分も犯罪など犯したくはないが、それでもこの父娘がいいなぁと思うのである。二人で強盗を繰り返すシーン、生き延びるための訓練を行うシーン、ジャンクな食事を楽しむシーン…。娘をもつ父親なら「あぁ、俺もこういう娘との関係が欲しい」と思うんじゃないだろうか?
この本は、犯罪小説であり、アクション小説である -
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はい面白いです。最高です。
パパと娘の逃避行。生きるために、守るためにギャングに立ち向かうクライムノワール。血と暴力には熊のぬいぐるみがお似合いだぜ!!
父親の覚悟により娘は変貌していく。拳銃使いの娘へと。娘は相棒となる…娘を鍛え上げることで親子を取り戻していくのだ。成長の物語であり家族の絆の物語でもある。場面転換がとにかく素晴らしく、登場人物もすぐ把握できる。異常にすっきりしたリービタリィ海外苦手な人もおススメです。
保安官が好きでねぇ。トンプスン読んだからかもしれないが狂ってるやつほど正義に偏りがあってぶっとい芯のある生き様がいい。とにかく読もう!こりゃあ傑作だ!!
作者が影響受けたもの。 -
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アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)新人賞受賞作品。早川書房は海外作品の受賞作品を半年から一年くらいで日本語版にして出版してくれる稀有な版元である。中でもポケミスは早撃ちにかけては名の知れた叢書なので、ぼくは八割方は読んでいる。新たな作家に出会うことも多い。本書デビューとなったこのジョーダン・ハーパーみたいな活きのいい作家と。
少女が犯罪者の父親と逃亡し逆転勝利を、目指すロード・ノヴェルである。のっけから彼等の殺害指令が全米に出される。超重警監房にいる犯罪グループのボスから発される。少女は、父親と同じ拳銃使いの眼をしている。海ではなく川のように青い眼を。
作者はテレビドラマ -
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アメリカ人のみならず、立候補表明時には誰もが泡沫候補だと思った
ことだろう。立候補した本人以外は。
ドナルド・トランプである。アメリカ人の大富豪は、並み居る共和党候補者
を次々と撤退に追い込み、民主党のヒラリー・クリントンとアメリカ大統領
というVIP中のVIPの座を目指している。
私にしては珍しく旬の読書なのである。だって、大統領選前に何故、彼が
多くの批判を受けるのと同じくらいに、多くの支持を得ているのかを知り
たかったのだもの。
しかも、調査報道は得意中の得意の「ワシントン・ポスト」取材班。これは
読み逃すわけにはいかないでしょう。トランプ自身も取材班のインタビュ -
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俺にはできないことが3つあると言って消去法的に殺し屋となった男が、殺さないという道を選んだことで得られた悲しい結末、あるいはハッピーエンドの物語。人にはそれぞれテーマがあってそのテーマに沿って人生は物語として再構成される。同じ事象を目の前にしても、個々人によっては見えているものも違えばその解釈も大きく異なる。そういう意味で一人称で語られる物語は読むたびに解釈が変わるほど入念な小説だった。エピローグでは語り手が変わるがそれが意味することは何だろうと考えあぐねる。カートヴォネガットの『タイタンの妖女』で死にゆく男が見た夢の光景の話があるが、この物語では何がどこまで夢だったのだろうと考え始めるとキリ
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