鈴木恵のレビュー一覧

  • 第八の探偵

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    ミステリ短篇集「ホワイトの殺人事件集」を著した後隠棲した作家を追って、彼のもとへ訪れた編集者。その本を復刊するために、短篇のひとつひとつを読み返し考察していく二人。しかしそれぞれの作品に潜む不自然な矛盾点と謎。いったい物語はどこへ向かうのか。ミステリの楽しさがこれでもかというほどに詰め込まれた一冊です。
    作中作のミステリの数々が楽しいです。どれもが王道のように見えて変則的でひねくれた作品が多いです。仕込まれた矛盾点も気になるし(自力ではなかなか気づけませんでした)、なんとなく据わりの悪い気がする結末もそれはそれで魅力的。なのだけれどまさか……ああ、これ以上は語れない! 言うべきことは、この本が

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    2021年06月30日
  • 深夜プラス1〔新訳版〕

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    何度読んでも魂が震える。菊池光の訳も良かったが今回の新訳も良い。話が良いんだから当然だ。15年前の戦争で特殊部隊で名を上げたキャントンことドライバーのケインは、弁護士メルランの依頼で、シンプルな仕事を引き受けた。マガンハルトという実業家を大西洋岸からフランス、スイスを横断してリヒテンシュタインへ約束の日時までに車で送り届けるというものだった。しかし、マガンハルトはフランス警察に追われ命を狙う者たちもいるからと、アル中のガンマン、ハーヴィーが雇われた。そしてマガンハルトの連れて来た美人秘書の4人で車に乗り込んだ。派手なアクション、駆け引き、一か八かの賭け。アルコールに逃げ出したくなる極度の緊張と

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    2021年01月26日
  • その雪と血を

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    ネタバレ

    難読障がいを抱えた始末屋、オーラヴ・ヨハンセン。
    信条と言うほど偉ぶったものではないが、相応の罪人でないと自らの招く結果にうまく心の整理がつけられない不器用で孤独な気質の男。
    かつて、同じ組織のポン引きの上役が聾唖の少女の仕事ぶりを怒鳴りつけている場面に心が騒ぎ、衝動的に助け、資金面で援助し、微かな恋心を抱きつつその後の生活を見守る。そんな男。

    あるとき雇い主から不貞をしている妻を殺すよう命ぜられるのだが、なんと彼女の姿に一目惚れ。
    不倫自体も彼女が弱みを握られている節があり、相手の男も暴力的。
    本能的とも言える行動で相手の男を始末することを選んだが、実はその男は雇い主の息子だった。
    さてえ

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    2021年10月04日
  • ザ・チェーン 連鎖誘拐 上

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    スピーディでスリルがあり、面白い!
    そんなチェーン繋げられるのか、色々と危ういのに、他に道が無いと思わせる切実さが生々しく、力強い。計画の全体像の壮大な底知れなさより前に立つ、操る側と操られる側も地続きな人々のサイズ感。他人事では無い、一枚隔てた、そこにある、この世界。
    スカスカのようでがっつり絡み合い逃さぬ一蓮托生の鎖たる様と、全てが繋がるような捉えよう。
    普通に生きるためにモンスターになるという事。
    続きが楽しみ。

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    2020年10月22日
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)

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     言わずと知れたダニエル・デフォーの名作。本書は第一作『ロビンソン漂流記』の新訳となる。南米大陸の無人島へと流れ着き、二十八年間の漂流生活を過ごしたロビンソンの姿が描かれる。西欧文学史における無人島物語の先駆けであり、『ガリヴァー旅行記』や『十五少年漂流記』など後世に絶大な影響を与えた本作。現在でも世界文学の名作に挙げられることが多く、マックス・ウェーバーがロビンソンを例に中産階級労働者のプロテスタント精神を論じたことが知られている(※大塚久雄著『社会科学における人間』(岩波新書)』のレビュー参照)。

     ストーリーは「放浪癖のあった青年時代からブラジルで農場を経営するまで」「無人島漂流から脱

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    2020年06月11日
  • 深夜プラス1〔新訳版〕

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    「深夜プラス1」(ギャビン・ライアル : 鈴木 恵 訳)を読んだ。
    新訳ですね。旧訳(菊池光)で読んだのはもう何十年も前だ。新訳はさらっと読みやすくなってる気がする。

    『だが、キャントンでいるということは数えられない。』(本文より)

    そうなんだよな。
    そういうことなんだよな。

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    2020年05月02日
  • 拳銃使いの娘

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     ページを開いた瞬間から、がばっと掴まれた心は、物語のスピード感と一緒に走り出す。登場人物の主観ごとに変えて語られる物語は短くまとまり、次の登場人物の物語へスピードを緩めることなく引継がれ、先を読ませる。

     描かれているのは暴力に支配された世界なので、好き嫌いが分かれるかもしれないが、面白い。おそらく映像化されるだろうが、本書を読んでいた時間の高揚感を超えることはないと思う。活字の持つ力は、まだまだ侮れない。

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    2020年03月14日
  • 深夜プラス1〔新訳版〕

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    名作冒険小説の新訳版!
    この会話、サイコーにかっこいい!
    初めて読んだのは中学生だったかな、大人になるとより楽しめる気がする。

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    2020年03月01日
  • ザ・チェーン 連鎖誘拐 下

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    エイドリアン・マッキンティ『ザ・チェーン 連鎖誘拐 下』ハヤカワ文庫。

    下巻は手に汗握るアクションの連続。映画化されたら、かなり面白い作品になるだろう。海外翻訳物に余り馴染みの無い方でも充分に楽しめる作品だと思う。

    無事、愛娘のカイリーを取り戻し、誘拐した子供を解放したレイチェルだったが、チェーンの呪縛からは逃れられない。意を決して、レイチェルはチェーンを断ち切るために元軍人のピートと共に行動を起こす。

    そして明らかになるチェーンの首謀者とその目的……

    一般人がモンスターを凌駕してしまうという出来過ぎなところもあるが、多くの方々にお勧めしたい作品。

    本体価格780円
    ★★★★★

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    2020年02月29日
  • ザ・チェーン 連鎖誘拐 上

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    エイドリアン・マッキンティ『ザ・チェーン 連鎖誘拐 上』ハヤカワ文庫。

    奇抜な設定のスリラー・ミステリー。この作品は海外翻訳物に馴染みの無い方にも充分楽しめるのではなかろうか。

    タイトル通り『連鎖誘拐』を描いた作品である。まるでチェーン・メールのような誘拐の連鎖。たまに描かれる首謀者は一体誰なのか。犯罪とは無関係の一般人が大切な我が子を守るために次々と犯罪に手を染め、無慈悲な誘拐のチェーンを維持し続ける。

    乳癌から生還し、新たな職業を得て、これからの人生に期待を膨らませていたシングル・マザーのレイチェルの元に突然、最愛の娘カイリーを誘拐したとの連絡が入る。娘を救うためには身代金の送金と他

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    2020年02月28日
  • 拳銃使いの娘

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    ネタバレ

    刑務所内で大きな犯罪組織に刃向い、家族ともども死刑宣告を下された父親、救出に向かうもかつての妻と再婚相手は既に殺され、かろうじて娘だけを救出できた。彼と娘の逃避行は逃げ回るのではなく、戦うことで死刑宣告を取り下げさせようという危険かつアクティブなものだった…。

    娘を犯罪者にするつもりは毛頭ないし、自分も犯罪など犯したくはないが、それでもこの父娘がいいなぁと思うのである。二人で強盗を繰り返すシーン、生き延びるための訓練を行うシーン、ジャンクな食事を楽しむシーン…。娘をもつ父親なら「あぁ、俺もこういう娘との関係が欲しい」と思うんじゃないだろうか?

    この本は、犯罪小説であり、アクション小説である

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    2020年01月23日
  • 拳銃使いの娘

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    2019年このミステリーがすごい!海外編第2位
    アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)最優秀新人賞、アレックス賞受賞作品
    緻密な描写が目に浮かびました。この内容なら映像化も容易だと思われます。
    読み終えてみれば、娘思いの良い?父親でした。

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    2019年12月27日
  • ニューヨーク1954

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    昔の復刻版と思ってたのが、ごく最近書かれた作品と気付き、驚いた。もう、全然当時の雰囲気。ブルボンのお菓子工場でハイテクに効率良く生産されるのが現代の作家で、この人のは、孫達が来るから笹団子つくろ。誰も喜ばないけどな、とよもぎを積みに行く老婆のしたりがおが浮かぶ。具体的に言うと、昔の人にはスタイルがあった。気に入りのシェーブローションを頑なに使い続け、店にその人が入って来たら「あ、来たな」と存在が解る。
    クールな文体なんだけど表現がいい。特に前半の人生とは、という説明が粋でなあ。内容は事件で人が殺されるよ。

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    2019年08月28日
  • 拳銃使いの娘

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    はい面白いです。最高です。
    パパと娘の逃避行。生きるために、守るためにギャングに立ち向かうクライムノワール。血と暴力には熊のぬいぐるみがお似合いだぜ!!
    父親の覚悟により娘は変貌していく。拳銃使いの娘へと。娘は相棒となる…娘を鍛え上げることで親子を取り戻していくのだ。成長の物語であり家族の絆の物語でもある。場面転換がとにかく素晴らしく、登場人物もすぐ把握できる。異常にすっきりしたリービタリィ海外苦手な人もおススメです。
    保安官が好きでねぇ。トンプスン読んだからかもしれないが狂ってるやつほど正義に偏りがあってぶっとい芯のある生き様がいい。とにかく読もう!こりゃあ傑作だ!!
    作者が影響受けたもの。

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    2019年05月04日
  • 深夜プラス1〔新訳版〕

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    実際は古いほうの文庫。もう何回読んだか分からないくらい読んでいる。その度ごとに感銘する。ふしぎなものだなあ。

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    2019年04月09日
  • 拳銃使いの娘

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    アクション小説。
    レオンみたいな。
    お父さんが物騒な人だと娘も物騒になるお話。
    でも超人的な活躍する訳でもなく、地に足のついた娘の活躍&成長でした。
    映画になるのね?見たいかも。

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    2019年04月03日
  • その雪と血を

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    殺し屋の男が自分のボスの女であり
    暗殺の標的である女に惚れてしまうとこから始まるパルプ・ノワール

    あらすじだけで、どんな結末になるか
    なんとなくわかってしまうんだけど
    寒さが伝わってくるくらいの綺麗な描写が良い。
    暴力すらやや和らげてるような印象(ヤワなわけではない) ただただ切ない。

    余談:パルプ・ノワールってなんなの?とか今なぜ70年代でノワールなの?とか疑問に思ってたことを全て解説してくれてて感動した。

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    2019年03月13日
  • 拳銃使いの娘

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    アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)新人賞受賞作品。早川書房は海外作品の受賞作品を半年から一年くらいで日本語版にして出版してくれる稀有な版元である。中でもポケミスは早撃ちにかけては名の知れた叢書なので、ぼくは八割方は読んでいる。新たな作家に出会うことも多い。本書デビューとなったこのジョーダン・ハーパーみたいな活きのいい作家と。
    少女が犯罪者の父親と逃亡し逆転勝利を、目指すロード・ノヴェルである。のっけから彼等の殺害指令が全米に出される。超重警監房にいる犯罪グループのボスから発される。少女は、父親と同じ拳銃使いの眼をしている。海ではなく川のように青い眼を。
    作者はテレビドラマ

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    2019年02月08日
  • 真夜中の太陽

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    巨匠認定。今回も素晴らしい。北欧ミステリは分厚いのに読後感が似てしまい、見分けがつかなくなってしまうものも多い中、ページ数も少ないのに地理的にはノルウェー感をたっぷり味わえ、人物も個性豊かで悪役を含めて魅力的で、主人公の感情の動きも時間とともに大きく揺れ、わずか260ページとは思えない充実感。恋愛小説としても優れており、ミステリ要素もちゃんとある。幸せな読後感を持てるミステリは久しぶりかも。
    まさかの双葉山!笑

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    2018年09月07日
  • 真夜中の太陽

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    ネタバレ

    過去から逃げ、組織に追われている男が見つけた居場所。その場所で出会った1人の女性と子供。2人との交流、特に子供との場面がいい。追われている恐怖のなかにあって過ごす時間。ジョークをねだる子供。何気ない瞬間がとても鮮やか。『その雪と血』同様に静かで美しい。少し頼りない男がたどり着いた場所。結末に向かうとき、このまま終わってほしいと思わずにはいられなかったラストが素晴らしい。

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    2018年08月26日