鈴木恵のレビュー一覧

  • 宝島

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    子どもの頃に読んだときには、想像が追いついていなかったのがわかった。いま読み返すと、細かい人間関係や駆け引きもわかるし、夜の船の中でのランプの灯に照らされた海賊たちもリアルにみえてくる!とにかくおもしろい!100年を超えてもなお愛される作品にはワケがある!

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    2023年09月07日
  • ザ・チェーン 連鎖誘拐 下

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    誘拐された我が子を取り戻すには、誰かの子どもを誘拐し、その親にまた別の子どもを誘拐させなければならない。
    この〈チェーン〉に巻き込まれたのは、癌患者でシングルマザーのレイチェル。彼女の凄絶な奮闘劇と、謎のチェーン・システムの核心に迫るプロットが熱い!

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    2023年08月15日
  • ザ・チェーン 連鎖誘拐 上

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    ネタバレ

    「チェーン」は終わらない。

    レビュー
     プロットが素晴らしいの一言に尽きる。
     誘拐犯の子どもは別の誘拐犯に攫われていて、その誘拐犯のもまた別の誘拐犯に攫われ、という、無数に繋がるチェーンという設定自体が秀逸だ。そして、そのシステムの性質上、自分の誘拐だけでなく、繋いだ先の誘拐の成否すら責任を負わなければならない。(会社で人事部のあなたが誰かを採用して、その採用した誰かが採用した人が問題を起こしたら、あなたまでその責任を追及されるということだ。)
     この鎖は単なる誘拐連鎖ではなく、システムに組み込まれた時点で、その当事者の身体、そして精神を縛る鎖だ。我が子への愛を担保に繋がっていく。
     レイ

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    2023年07月16日
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)

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    冒険家、男として憧れないことはないだろう。この勇敢でいて、無鉄砲、でも弱さもある男の一生を知ることができ、良かった。幾度となく、大きな壁にぶち当たり、その度、諦めてもおかしくない中、活路を見出していく姿に、心から勇気をもらえた。何を信じて、何に向かっていけば分からなくなる事や、理不尽の波にへこたれそうになる事があっても、この物語に戻ってくれば、きっとまだやれると気付けるはず。

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    2023年05月13日
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)

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    そこで銃が撃たれたのは天地創造以来初めてだったのだろう

    描写つまり心情描写、風景描写などとても繊細かつ鮮明で、読者である私たちがその場にいるような疑似体験をさせられるリアル感がある
    デフォーはこのような冒険に出たことあるのかと思うくらい生き生きと表現するので、300年近く金字塔であるのは疑うまでもない

    理性的な精神を持つことに意識をしたり
    置かれた環境に感情的ときには感傷的になりつつも
    一人で気持ちを持ち直している

    ーわたしはこの点の配剤を受け容れた。いっさいは最善となるように定められていると考えを認め、信じるようになっていたからである。とにかくそう考えて心を沈め、あそこへ行けたらという

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    2023年05月07日
  • 拳銃使いの娘

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    ★5 ギャングからの逃避行、愛する娘を守るため、命を懸ける父親の熱い想いと行動… #拳銃使いの娘

    ■きっと読みたくなるレビュー
    熱く、素敵な話やった… ★5

    少女ポリーが可愛すぎて尊い。
    金星生まれの設定やぬいぐるみに自分に投影したりするなどして、いつも微妙な精神バランスをはかって、自らの境遇を受けいれている。それでも彼女には、生き物として生死の覚悟をしなければならない場面が次々と迫ってくる。
    決して多くを語らず、ぐっと歯を食いしばんで強い意思をもって勇気のある決断していく。読めば読むほど胸が苦しくなっていくよ…

    読んでいる最中は、なぜこんな父親と一緒にいるのか、どうしても理解できなかっ

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    2023年04月08日
  • 拳銃使いの娘

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    ネタバレ

    海外ドラマ「メンタリスト」の脚本家であるジョーダンハーパーの初作品。「メンタリスト」好きだったなぁ。。。

    で、本作はミステリというより冒険小説。主人公は父親ネイトと、娘のポリーと熊(ぬいぐるみ)。
    ネイトが牢獄内でギャングのボスの弟を殺してしまったため、自分だけでなく元妻と娘ポリーまで処刑対象に。出所後すでに元妻が殺されていたため、誘拐のようにポリーと逃げることに。逃避行の道すがら、成長していくポリーと父親との関係。
    短い小説ながら、とんでもなく良かった。

    あと、熊のぬいぐるみ、キャラが濃すぎる笑
    他の作品も読みたいけど、書いてなさそう?
    ポケミスって一品物の良作が多いから一度集め始めると

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    2023年02月22日
  • 第八の探偵

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    ネタバレ

    これは面白い試み。唯一無二。

    ”作中作が7つ"という触れ込みばかりが耳に残っており、どんな話なのだろうと思っていたら、まさかのミステリ談義もの。

    形式的には、地中海の小島にひっそりと住むグラント・マカリスターが過去一作のみ私家版として出版した『ホワイトの殺人事件集』を、正式に出版したいと一人の編集者ジュリア・ハートがグラントのもとを訪れ、そこに編纂された7つの短編を読み返しながら、1作ごとにその作品の意義を対話していくというもの。

    その対話で繰り広げられるミステリ論が、グラントの言うところの”殺人ミステリ”の構成条件とでも言うべきもので大変に興味深い。
    登場人物を被害者、容疑者

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    2023年02月19日
  • 深夜プラス1〔新訳版〕

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    冒険小説にして第一級のハードボイルド作品。第一人称でストーリーを進める。
    感情に流されない。スイスイと読み進められる。アル中のガンマンと元諜報部員のコンビで要人護衛の物語が始まる。
    終末の大団円は無いが大傑作だ。

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    2022年11月22日
  • 第八の探偵

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    うわぁぁぁああ!最後まで気が抜けなさすぎる!もう、めちゃくちゃ面白い!ネタバレになるから面白いしか言えないんだけど、アレがこうで?コレがああで?アレまでこうなわけ?みたいな感じです(落ち着け)新本格好きはみんな読んで!

    コレ読んだらクリスティー読みたくなるし、ホロヴィッツ読みたくなるし、解説では作中作の必読書がめちゃくちゃ並んでるから、もう積読がぐわって増えるけど、とりあえず読んで欲しい。読んで度肝抜かれて?この作者さん、コレがデビュー作らしいから。え?マジで?次作買います(笑)

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    2022年04月24日
  • 拳銃使いの娘

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    ギャングに命を狙われた少女と父親の逃避行。
    ノワールですが、面白いです。

    11歳の少女ポリーは、母親とその再婚相手と暮らしていました。
    父親は何年も収監中。
    ところがある日突然父親が現れ、命を狙われているから一緒に来いと告げます。

    刑務所にいた父のネイトは、ギャング組織の親玉に睨まれ、家族ともども抹殺指令が出たため、脱獄してきたのだ。
    妻がとっくに再婚した相手と暮らしている娘のことなど、あまり気にかけてはいなかったのだが。
    父と同じ淡い青色の眼をしたポリー。
    「拳銃使いの眼よ」と母親には言われていました。

    互いに馴染のなかった父と娘が危機に瀕してやむなく行動を共にし、次第に気が合う相棒と

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    2022年04月08日
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)

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    それまでの小説とは異なり、「現実らしさ」を持ったリアルな小説というのが評価に値する。自分がかつて築いた友好関係や財産は裏切らないんだよなぁ。。

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    2022年02月21日
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)

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    タイトル*ロビンソン・クルーソー
    著者*ダニエルデフォー
    出版社*新潮文庫

    一六三二年、英国に生まれた船乗りロビンソンは、難破して絶海の孤島に漂着した。ここから二十八年に及ぶ無人島生活が始まった--ー。不屈の精神で鳥や亀を獲り、野生の山羊を飼い慣らしてバターやチーズを作り、パンまでこしらえてしまう。ところが驚天動地の事態が……。めげない男ロビンソンを通して人間の真の強さを描き、世界中に勇気と感動を与えてきた、冒険文学の金字塔。待望の新訳。

    あらすじより引用

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    2021年12月16日
  • その雪と血を

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    ハードボイルドの哀しい結末

    愛することも愛されることもよく分からないと感じる、
    絶望しているわけではなく、不器用に手探りで愛を感じようとする……
    自身の物語を見つけようとする、主人公の悲しさ。

    200項に満たない“中編”に、冬の情景をふんだんに盛り込んだ抒情詩のような一片の小説

    主人公一人称で描かれるのは主人公の「想像(思い)」でもあり、
    見え隠れする「現実」でもある。
    最後の章で一人称が外れたとき、夢から覚めたような感覚でいる自分に驚く。

    クリスマスの夜、町を覆う雪
    「悲しみもやがて温かいベールに包まれる」という幻想
    ……残酷です。

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    2021年12月09日
  • 第八の探偵

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    ネタバレ

    作中作を用いた構成がよくできていた。

    ミステリ考証として面白さもありつつ、
    それぞれの短編としての面白さ、
    全体での結末変更や著作などに関する後半の章等、
    様々な側面があり、普段読むミステリとは違う楽しみ方が出来た。

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    2021年09月04日
  • 第八の探偵

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    事件には嘘がつきもの。
    様々な事件に、ラストで明かされる真実。一冊でここまで楽しませてくれて大満足です。
    解説で作中作のある本を紹介しているけど、結構あるんだなあ。そちらも読んでみたい。

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    2021年08月26日
  • 第八の探偵

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    ミステリ短篇集「ホワイトの殺人事件集」を著した後隠棲した作家を追って、彼のもとへ訪れた編集者。その本を復刊するために、短篇のひとつひとつを読み返し考察していく二人。しかしそれぞれの作品に潜む不自然な矛盾点と謎。いったい物語はどこへ向かうのか。ミステリの楽しさがこれでもかというほどに詰め込まれた一冊です。
    作中作のミステリの数々が楽しいです。どれもが王道のように見えて変則的でひねくれた作品が多いです。仕込まれた矛盾点も気になるし(自力ではなかなか気づけませんでした)、なんとなく据わりの悪い気がする結末もそれはそれで魅力的。なのだけれどまさか……ああ、これ以上は語れない! 言うべきことは、この本が

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    2021年06月30日
  • 深夜プラス1〔新訳版〕

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    何度読んでも魂が震える。菊池光の訳も良かったが今回の新訳も良い。話が良いんだから当然だ。15年前の戦争で特殊部隊で名を上げたキャントンことドライバーのケインは、弁護士メルランの依頼で、シンプルな仕事を引き受けた。マガンハルトという実業家を大西洋岸からフランス、スイスを横断してリヒテンシュタインへ約束の日時までに車で送り届けるというものだった。しかし、マガンハルトはフランス警察に追われ命を狙う者たちもいるからと、アル中のガンマン、ハーヴィーが雇われた。そしてマガンハルトの連れて来た美人秘書の4人で車に乗り込んだ。派手なアクション、駆け引き、一か八かの賭け。アルコールに逃げ出したくなる極度の緊張と

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    2021年01月26日
  • その雪と血を

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    ネタバレ

    難読障がいを抱えた始末屋、オーラヴ・ヨハンセン。
    信条と言うほど偉ぶったものではないが、相応の罪人でないと自らの招く結果にうまく心の整理がつけられない不器用で孤独な気質の男。
    かつて、同じ組織のポン引きの上役が聾唖の少女の仕事ぶりを怒鳴りつけている場面に心が騒ぎ、衝動的に助け、資金面で援助し、微かな恋心を抱きつつその後の生活を見守る。そんな男。

    あるとき雇い主から不貞をしている妻を殺すよう命ぜられるのだが、なんと彼女の姿に一目惚れ。
    不倫自体も彼女が弱みを握られている節があり、相手の男も暴力的。
    本能的とも言える行動で相手の男を始末することを選んだが、実はその男は雇い主の息子だった。
    さてえ

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    2021年10月04日
  • ザ・チェーン 連鎖誘拐 上

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    スピーディでスリルがあり、面白い!
    そんなチェーン繋げられるのか、色々と危ういのに、他に道が無いと思わせる切実さが生々しく、力強い。計画の全体像の壮大な底知れなさより前に立つ、操る側と操られる側も地続きな人々のサイズ感。他人事では無い、一枚隔てた、そこにある、この世界。
    スカスカのようでがっつり絡み合い逃さぬ一蓮托生の鎖たる様と、全てが繋がるような捉えよう。
    普通に生きるためにモンスターになるという事。
    続きが楽しみ。

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    2020年10月22日